『ヲタクに恋は難しい』1巻のネタバレ感想。作者はふじた。Pixivで配信してたオタク漫画。

あらすじ

主人公は桃瀬成海。26歳のOLであり生粋の腐女子。ひょんなことから新しい職場に転職した先に、昔に仲が良かったオタク友達・二藤宏高がいた。

ただ桃瀬成海は社内で自分がオタクであることを隠していた。これはヤバイ。とっさに機転を利かせて、その場からすぐ離れたものの…
ヲタクに恋は難しい1巻 二藤と桃瀬の再会
二藤宏高から去り際にまさかの「今度のコミケは参加すんの?」。このときの桃瀬成海の表情が「こいつ言いやがったな」という殺意というか愕然というか、なんとも言えない表情が笑う。別にオタク趣味に限らず、新しく作り上げた人間関係の中で「触れてほしくない過去」ってありますよね。単に根暗だったとかネアカだったとか、そういう類いでも何かイヤw

他にも同じオタク同僚・小柳花子や樺倉太郎とともに、隠れオタクとしての苦悩や日常がコミカルに描かれているラブコメマンガ。

最上位オタクたちによるラブコメ

『ヲタクに恋は難しい』という漫画タイトルですが、ここから想像されるのはいかにも「キモいルックス」のオタク。また異性に対するコミュニケーション能力も未熟だから、リアルに恋愛関係に発展することが難しい。ついこう考えてしまいがちなんですが、冒頭に貼った画像を見たら分かるように桃瀬成海は美女で、二藤宏高はメガネイケメン。

だから「オタク要素」以外の点では、むしろどちらもイケてる社会人。お酒は飲むし、タバコだって吸います。コミュ障でもないので過去に何人とも異性と付き合ったことがあって、当然色んなことは経験済み。いわゆる「典型的なヲタク」は一切登場してこない。

ヲタクに恋は難しい1巻 桃瀬はヲタ嫌い
むしろ桃瀬成海は「ヲタクなんてキメーから嫌だ!」と強烈な同族嫌悪。でも腐女子のルックスも大概ですけどね?もし鏡を持ってないなら佐川急便で送り続けてやるから、今すぐ住所教えろや!…とツッコみたくもなります(笑)

この設定をどう評価するのかということですが、個人的にはアリ。ここまでイケメン美女ではないにしても、世の中のオタクのほとんどは普通に日常を送ってる隠れオタク。普通に異性と付き合おうと思ったら、おそらく誰でも可能。だからこそ異性と恋愛関係に発展できないとしたら、まさに「オタク趣味」こそが原因ということですから。

これこそが真の意味で「ヲタクに恋は難しい」と言えます。また見た目のルックスが普通だからこそ、悲壮感が良い意味で漂わない。

やっぱりノリは痛い

とは言え、やっぱりノリは痛々しい。

桃瀬成海は彼氏ができるものの、前述の通りあまり長続きはしない。どうしてもオタク趣味(というよりBL好きの腐女子趣味)がバレて、一般的な男はそれを許容できない。そこで思わず二藤宏高がポツリ。
ヲタクに恋は難しい1巻 乙女ゲーの分岐
「乙女ゲーの分岐は間違えないのにね」。そして食い気味に来る「それな」がムカついて仕方ない。「それな」という、シンプルなタメ口っぷりと上から目線。このときの桃瀬成海の表情も憎たらしいったらない。何回見てもこの表情がヤバイ。女子を殴りたいと思ったのは久々。でもさすがにグーパンチはダメなので、チョップで桃瀬の額を割りてー!

美人だけど行動がウザいという点で、まさにしょこたん。

結局桃瀬成海はコミケに足を運ぶ。このときの「行こうか!会場(いくさば)へ!」とやる気満々なノリがウザすぎて仕方ない。本気と書いてマジと読むようなノリで、会場という書いて「いくさば」と読む。さっぶいなー(笑)

ヲタクに恋は難しい1巻 ノリがキモい2
当然会場に入ればテンションアゲアゲMAX。ジョジョ立ちとかいちいち鬱陶しいし、イケメン男装コスプレイヤーと出会って感涙。ちなみに男装レイヤーが、前述の小柳花子。

ヲタクに恋は難しい1巻 ノリがキモイ
その小柳花子と桃瀬成海がつるんで、お互いの彼氏同士に壁ドンさせて楽しむ。平然と隣でパシャパシャ撮影しまくってるものの、まさに腐女子以外に誰得?という構図。一般人が見たらケンカの一触即発状態にしか見えない。

一応お互いのオタク趣味は理解しつつも、やはり理解できない部分もある。いや、理解したくない部分もある。例えば、二藤宏高のフィギュア趣味。たまたま遊びに行った時に、桃瀬がそれを発見。
ヲタクに恋は難しい1巻 フィギュア
この時の表情が切ない。何故なら、桃瀬の胸はペッタンコだったから!どこに敵意を向けていいか分からず憎しみだけが沸き上がってくるといった感じか。ただ逆にペッタンコなフィギュアを所有してたら、それはそれで危険ですけどね(笑)

ちなみにオタク同僚・小柳花子はボイン。でもその彼氏の樺倉太郎はペッタンコが好きなので、オタク趣味がリアルで合致しない切なさも描写されてます。自分は胸があろうがなかろうが性別が女性だったら誰でもいいですけどね!…みたいなことを冗談で中学生の頃に言ったら、クラス中の女子から総スカンを食らった記憶。ちょっと仲が良かった女の子にも無視されてアレは切なかった(´;ェ;`)ウゥ・・・

セリフのwは必要か?

登場人物たちがオタクということで「www」という語尾が使われがち。小馬鹿にしたり、また自嘲気味に使われるネット用語らしく自分もたまに使っちゃうwww

ヲタクに恋は難しい1巻 セリフのwww
作中でも桃瀬成海が元カレにフラレたことに対して自嘲気味に「フラレたんゴwwwwww」と使ってる。確かに哀愁ただよう背景とともに「m9(^Д^)プギャー」という感情しか芽生えてきません。

ただ「www」がどうこうというより、縦書ゼリフにおいて縦向きのアルファベットは正直読みにくい。日本語は縦書き表示でも横書き表示でもしっくり来る言葉ですが、アルファベットはやっぱり横書きのみにしか合わない。

だからヲタ臭を出そうとするのは良いんですが、無理やり吹き出しの中には入れずにもっと別の表現を模索してもいいのかなと。作中でも既にありましたが、キャラクターの周辺に「顔文字+www」とかで基本的には十分。

総合評価

基本的に卑屈で性格が曲がってるものの、社会経験の乏しさから来る非常識さはなく、そこまで不快感には感じない。恋愛経験値が人並み以上ということもあって、露骨に稚拙な恋愛観が展開されることも薄め。

良い雰囲気になったら下着の色を気にするなど「大人同士の恋愛」が一応前提にあるので、そういう点でも大人の読者でも安心して読めるし新鮮っちゃ新鮮。オタクだからといって必ずしも「チビ・デブ・ハゲ」である必要はなく、性格が根暗である必要もない。だからオタクラブコメの新境地と呼べるマンガかも?

ヲタクに恋は難しい: 1
ふじた
一迅社
2015-04-30


◯展開…★3◯テンポ…★4
◯キャラ…★5◯画力…★3.5
◯全巻大人買い…★5
◯おすすめ度…86点!!!!