『誰が賢者を殺したか?』全3巻のネタバレ感想をレビュー。つい先日完結し、最終3巻も最近発売された模様。

作者は奈々本篠介(原作)、三雲ネリ(作画)。掲載サイトは少年ジャンプ+。出版社は集英社。ジャンルは少年コミックのSFミステリー漫画。AmazonのKindleや楽天koboなどでも試し読み・立ち読みができます。

既に記事タイトルで結論を書いちゃってますが、今回は『誰が賢者を殺したか?』が面白いのかつまらないのか考察してみたいと思います。いずれおすすめ推理ミステリー漫画ランキングおすすめSF漫画ランキングおすすめファンタジー漫画ランキングも執筆したいと思いますが予定は未定。


誰が賢者を殺したかのあらすじ内容・ストーリー


既に【漫画】誰が賢者を殺したかのあらすじ内容・登場人物キャラクター詳細は解説してるのでざっくり割愛したいんですが、とりあえず簡単にどんな内容のストーリーなのか説明しておきます。知ってる方は下へズバッとスクロール推奨です。

誰が賢者を殺したか1巻 あらすじ内容 ファンタジーSF1
(誰が賢者を殺したか1巻)
人類は完全な電脳社会へ移行していた。あらゆる情報を脳内で処理・伝達することが可能になった世界で、ある日、突如として「魔王」を名乗るサイバーテロリストに襲われる。まさに万事休す。

誰が賢者を殺したか1巻 あらすじ内容 ファンタジーSF2
(誰が賢者を殺したか1巻)
しかし、そこへヒーローのごとく現れたのが謎の8名の「パーティー」。勇者アレン、賢者ダーゲンハイム、盗賊ゾロなど。そして無事魔王はパーティーの力によって倒される。

ただ数年後、事件が起きる。この中のひとりである賢者が何者かによって命が奪われた。果たして犯人は誰なのか。そしてその目的とは?といった内容のストーリーになります。主人公が誰なのか等については先程のリンクを参照。


最初から割りと意味不明でつまらない


結論から書くと、『誰が賢者を殺したか?』の評価としては面白くない。とにかく色んな部分において意味不明。

全巻見終わった後で漫画のジャンルを一言でまとめるなら、おそらく「フワッとしたミステリー」になるのかなーと思います。要するに、ストーリーの軸は「誰が誰の命を奪ったのか」といった真犯人を見つけること。

ただ前述のように設定的には「電脳化」といったSF要素や「RPGゲーム風のキャラ設定」といったファンタジー要素など色んな要素が盛り込まれてる。また「異世界」を彷彿とさせるような漫画タイトルでもあります。そのため色んな不安がもたげますが、実際にまさに想像通り単にゴチャゴチャしてるだけ。

だから、まず世界観からして意味不明。一話目の序盤で亡くなった賢者とその娘・ノエルが登場するんですが、ノエルはアンチ文明のアーミッシュと呼ばれる集落で育っているため、麦わら帽子など古くさい服装をした出で立ち。そこまで電脳化が進んでない現代ですら、そんなダサい服装を着た人間を見たことがない。

ましてや漫画タイトルが漫画タイトルのため、正直「ファンタジーの世界観」から始まったのかと自分は思い込んでしまった。でも実際には、ノエルはアメリカ合衆国のどこぞの州で育ってる。もう出だしのスタートダッシュから混乱。

誰が賢者を殺したか1巻 ノエル
(1巻)
そのためいまいち世界観が掴みきれないまま、いきなり文明の利器である自動車が登場したもんだからかなりビックリした。「え?どゆこと?」と頭が正直混乱しました。しかもノエルの謎の戦闘力を発揮する。このことがよりマンガのファンタジー感を強めたもんだから、現実世界かファンタジー世界かチンプンカンの状態。

せめて自動車を登場させるなら、もっとしっかり丁寧に描写しろと言いたい。子供が描いたような中途半端なクルマだから、余計に世界観が混乱した。作者は一度も自動車という存在を見たことがないんか?と言いたくなった。ちなみに自分は最新フルモデルチェンジ情報などをまとめた自動車ブログ「くるまン。」も運営してるので、もし興味があればチェックしてみて下さい。

世界観に一切の取っ掛かりがなく、無意味に忙しい。電脳世界の現在世界がウリなのか、RPGゲーム要素やファンタジー要素がウリなのか、真犯人を探し出すミステリー要素がウリなのか、全くもってマンガの中に大きな軸がない。


ストーリー展開がとにかく面白くない


つまり『誰が賢者を殺したか?』は序盤の入りから全然ダメ。序盤もコロコロと意味なく場面転換させてみたり、導入部分からしてメチャクチャ下手くそ。

もう少しストーリーをネタバレしておくと、賢者の命を奪った嫌疑をかけられたのが元パーティーのメンバーだった盗賊ゾロこと溝呂木一馬。結果、賢者の娘・ノエルとFBIは日本に捜査のためやって来る…という場面から話が少し展開し出す。

ただこれも冷静に考えてみましょうよ。アメリカで起きた事件の犯人が、普通日本にいる?そして日本人がわざわざ事件を犯すためにアメリカに行く?しかも決定的な犯行の瞬間が映像に残ってるならまだしも、フワッとした情報しか映像に残ってない。いくらなんでも無理やりだろぉ。

ストーリー展開は行き当たりばったりな上に、ご都合主義的。最終回の結末は敢えてネタバレするほどのもんでもありませんが、ミステリー漫画としては一応それっぽく完結してるのかなーとは思いました。ただそれでも質感的には「平凡なミステリー」の域を超えず。ありがちで陳腐なラノベ。

それっぽい流行りのAR(仮想現実)といった設定や情報をいろいろと盛り込んでみました、というだけ。ストーリーの後半にかけるにつれてそのSF要素も減っていくなど、本当に構成力がないというのか自ら作った膨大な設定に振り回されてるだけ。これじゃあ、わざわざ原作者を付けた意味を感じない。


キャラクターの設定や動かし方もいまいち


そして登場するキャラクターもいまいち面白くない。

誰が賢者を殺したか1巻 登場人物 ゾロ 溝呂木一馬1
(1巻)
例えば最初は真犯人と思われた溝呂木一馬は、いかにもそれっぽく登場する。ただ元パーティーのメンバーだったとはいえ、基本はイケメンキャラではないリアルでは友達が一人もいないネクラなコミュ障。公園で遊んでる小学生に粋がるのが関の山。

誰が賢者を殺したか1巻 登場人物 ゾロ 溝呂木一馬2
(1巻)
しかも溝呂木一馬はコミュ障のヘタレくせに、自身を捜査するFBI捜査官に対してカウンター的に急襲する。まあ割りと悪くないベタな演出ではあるものの、そんな大胆不敵なことができたらリア友の1人や2人ぐらいできてるやろと。

いかにもしょうもないラノベの主人公にいそうな薄っぺらさ。行き当たりばったりなキャラ設定。とりあえずネクラで不遇なパッとしない人生を歩んでるけども、不意に見せる男っぽさや主人公っぽさが唐突過ぎて「ん?」みたいなね。

誰が賢者を殺したか1巻 登場人物 ゾロ 溝呂木一馬3
(1巻)
そして、まさかの1巻のラストで溝呂木一馬はそっこー死んでしまう。あんだけ仰々しく登場しておいて、まさに悪い意味で「え?」

しかも溝呂木だけではなく他のキャラクターも次々と死んでいくため、本当に意味が分からない。前に面白い漫画考察ブログ「すごないマンガがすごい」【考察】テラフォーマーズが面白くない理由【SFマンガ】も書きましたが、根本的に「キャラが死にさえすればいい」と勘違いしてる人ってつくづく多いんだなぁと。大事なのは「死に方」だろ。

ギャグ漫画家のシビアすぎる名言一覧の中でも触れてますが、やはり漫画はキャラクターが重要。ストーリー性も大事ですが、肝心のストーリーを動かすのはキャラクター自身。そのキャラをポンポン消えていくと、物語そのものが展開できなくなる。実際、『誰が賢者を殺したか?』は小説のように漠然と俯瞰的にストーリーが進むため、特定のキャラクターに感情移入することができない。

誰が賢者を殺したか3巻 ノエル
(3巻)
肝心のメイン主人公のノエルも完全に空気キャラと化してるため、ページを読み進めるのが苦痛でしんどい。勝手にキャラも死んでいく展開にしても、読者的には「意外感」よりも「置いてけぼり感」が強くなるだけ。何よりノエルの田舎っぺ感も必要性を感じず、不快ですらある。


誰が賢者を殺したかの総合評価・評判・口コミ考察まとめ


数日前にどっかのブログで『誰が賢者を殺したか?』の感想を読んだ。その感想では同じようにネガティブなレビューが書かれていたものの、「序盤の3話あたりまで面白かった」という一文があった。でも、正直最初からそんなに面白くはありません。

あらゆる点でゴチャゴチャしててまとまりがなく、一体どこに期待感を抱く部分があったのか解せずにイラッと来た。だから特にこの漫画をレビューするつもりもなかったんですが、その感想記事を読んで変に触発されてしちゃっただけというのは内緒。

とりあえず描きたい目的や狙いは何となく伝わりますが、設定を無意味に広げすぎ。命を奪われた賢者は自然大好きのアーミッシュの集落で育ってるくせに、何故か世界を救うほどネットをバリバリ駆使できたり、そもそもパーティーの元メンバーは賢者以外は全員日本人。じゃあ何故世界観をアメリカまで広げたかなど、展開に細かいツッコミどころや設定の穴が満載すぎる。

読後感としては「本当に一つの作品にまとめるだけで手一杯だったんだろうな~」というのが個人的な感想。もっとハッキリ言えば「この世界観と設定」を描き切るには、どっちの作者も力不足感はありあり。もっと自分ができる範囲内のところから、作品を一つ一つ作り上げる経験を積み重ねるべきではないだろうか。

以上、面白いかつまらないかの総合評価でした。