『新コータローまかりとおる!柔道編』全27巻のネタバレ感想。作者は蛭田達也。少年マガジン(講談社)で連載してた格闘漫画。

あらすじ

新コータローまかりとおる柔道編3巻
(3巻)
主人公は新堂功太郎。鶴ヶ峰学園高校の4年生。ケンカもスケベ心も最強。極端流空手部主将を務めるものの、空手道場の敷地が第一柔道部に奪われてしまう。そこで新堂功太郎は極端流柔道部を結成。敷地奪還を賭けたトーナメント戦が始まる。

往年のキャラクターである応援団長・後百太郎や、新堂功太郎の彼女(?)渡瀬麻由美、そして今回からは新キャラクターである西郷三四郎や三船久美など個性的な仲間たちが登場。伊賀稔彦が率いる第一柔道部や監督・鮫島敏樹が率いる第十三ケンカ柔道部など、敵キャラクターも個性的。

お色気描写もたまーにありつつ、派手な格闘描写で楽しませてくれる柔道漫画。

格闘描写が秀逸!

とにかく格闘描写というか柔道描写が秀逸。

新コータローまかりとおる柔道編18巻 投げ描写
(18巻)
投げ描写だとブレ具合で動きを見事に表現。足の払いのスピード感が伝わってくるし、帯も右にフワッと流れることで全体の動きを細かく伝えてる。柔道着が掴まれてる感じも上手い。

新コータローまかりとおる柔道編21巻 押される醍醐の感じ
(21巻)
ブレ具合を巧みに使い分けることで、右側の醍醐が西郷三四郎に「グイッと押されてる」情報が一発で伝わる。厳密に言うと、西郷三四郎が醍醐のパワーを利用しながら、どんどん上下に揺さぶってる場面。そして西郷三四郎がこんな巨体相手に山嵐という技を最後にかけようとする。

新コータローまかりとおる柔道編20巻 柔道着を掴む感じ
(20巻)
柔道着を描写するのは簡単かと思いきや、実は結構複雑。相手に掴まれるエリの部分は言うまでもなく、そこからチラリと見える肌。また帯の周辺が面倒くさい。ギュッと締めた時のシワや揺れる帯など。

新コータローまかりとおる柔道編13巻 雑な柔道感
(13巻)
画像は後百太郎だと空手家出身ということもあって、基本的に投げ方が雑。でも「固さやぎこちなさ」みたいなのが忠実に表現できてて、それでいて迫力ある豪快さも両立させてるのがすごい。

あらすじでも説明したように第十三柔道部は「ケンカ」を前面に押し出してる。
新コータローまかりとおる柔道編19巻 天狗投げ
(19巻)
だから柔道は柔道でも危ない投げ方とかしよる。画像は醍醐の天狗投げ。目線の使い方が上手い。投げられてる側のどこを見ていいか分からない感じや、醍醐の床に叩きつけてやるぜ!と言わんばかりの下に向けられた視線。

新コータローまかりとおる柔道編22巻 蹴り描写
(22巻)
例えば柔道には必要な足の払い方も、ただの上段蹴り。ローキック(足払い)に見せかけてからの頭部に目掛けてのキック。このときの後百太郎の目線の使い方も何気に上手い。

実は「柔道」をテーマにしてる漫画ですが、作者・蛭田達也はどんな格闘描写を描かせても上手い。柔道部編以前には『コータローまかりとおる!』として59巻分ほど、ジャンルにとらわれずにオールマイティーな格闘場面を描いてたので、その経験値の高さは伊達じゃない。

流れるようなコマ割りを使った格闘描写はテンポ感が最強。柔道というジャンルを考えるとまさにピッタリ。漫画を読む上ではワクワクさせられる。

キャラクターが個性的!

あとはキャラクターが個性的。

第一柔道部の伊賀稔彦だと清廉潔白、多古清海だと熱いタコ、美杉留美子は高飛車なお金持ち。第十三柔道部だと監督・鮫島敏樹が極悪。
新コータローまかりとおる柔道編20巻醍醐
(20巻)
醍醐に至っては暴走列車。

最近の漫画家さんはムダに複雑な名前にしがち。それだけで読者に覚えてもらえると勘違いしてるんでしょうが、しっかり「名は体を表す」ようなキャラ名を作れてる。

また見た目の個性だけじゃなくて、喋り方とかを一つ取っても「この人だからこういう言動をするんだろうな―」としっかり納得させる。怒りっぽいキャラは怒りっぽく、熱苦しいキャラは熱苦しい、それぞれのカラーがしっかり見えるのでマンガを読んでても戸惑うことは少ない

特にトレードマークを作れてるのも大きいか。例えば、主人公・新堂功太郎だとお下げ髪がトレードマーク。尻尾のように自由自在に扱って戦ったり、ムフフなイタズラをしてみたり、あり得ないっちゃあり得ないんですが、良い意味でマンガ的な大げさ。

新コータローまかりとおる柔道編11巻太刀根コユリとレスラー久停
(11巻)
個人的にツボったキャラクターが太刀根コユリ。左の奴ですが、こんな見た目でも女の子。名前から何となく察してください。お前はヘビか?というぐらい長い舌を使ってペロンチョペロンチョ。リアルタイムで読んでたんですが、変な性壁が目覚めちゃって大変だった。

『新コータローまかりとおる!柔道編』は1990年代に連載されてたこともって、お色気描写もかなり多め。確かに今読み返してみるとギョッとする描写も合って、少年マガジンで連載されてたにも関わらずB地区も余裕で見えちゃいます。

新コータローまかりとおる柔道編18巻 海外版
(18巻)
『新コータローまかりとおる!柔道編』は韓国や台湾でも発売されてたらしく、ガッツリとそういったお色気描写は規制される。それを面白おかしく作者は伝えてるんですが、日本もいつの間にか気付くと台湾や韓国並に後退(追い付いてた?)という皮肉。

テンポ感ある展開

キャラクター作りにしても格闘描写にしても、あまりムダがない。またストーリーも脱線することが少なく、1巻から最終27巻までスラスラと全巻一気読みしてしまう。最近の漫画は「ムダ」を増やしてやっとページを埋めてる感じがありますが、それがない。

新コータローまかりとおる柔道編22巻 スッキリした醍醐
(22巻)
ストーリーとしても醍醐のクダリなど読後感が良い終わり方もする。おちゃらけた展開のまま終わるばっかりじゃない。

ただ後半はややバタバタとしてた感じ。醍醐がいる第十三柔道部で展開を引っ張りすぎて、肝心の第一柔道部が最後まで脇役に追いやられてたというか、最後の最後まで出し惜しみした結果、ちょっと中だるみ感がないと言えばウソになるか。

総合評価

あらゆる角度から楽しめる。キャラ良し、バトル良し、お色気良し、笑い良し、画力も高く、ストーリーもシンプルなのでポンポンと読める。後半の展開はやや失速気味だった気もしますが、本当に言うことがなく、これぞ商業漫画。

最近こういうマンガは少なく、むしろ下手に読者が妥協させられてる印象すら受けてしまう。笑いでも格闘描写(画力)でもお色気でも、何でも良いですが「読者が楽しめるポイント」を一つでも作って欲しいなーとつくづく思います。

特に格闘マンガということで、「必殺技」の使い方が効果的。山嵐、竜巻投げ、天狗投げ、どれも印象的な技ばかりで、この必殺技同士をぶつけ合うことで印象的なバトルを展開させられた。改めて格闘マンガというか、バトルマンガでは必殺技の存在が重要だと気付かされます。

ちなみに続編に当たる『コータローまかりとおる!L』は現在も作者・蛭田達也の病気で休載中だそう。この柔道編の後半はお色気展開がやや封印されてた感じですが、『L』ではガッツリと復活。テーマは「VSアメリカン忍者」ということもあって格闘描写も更に派手になってて面白かったんですが、ハンターハンターの冨樫義博と同じで復活する兆しが全くないのが残念(笑)



◯展開…★4◯テンポ…★5
◯キャラ…★5◯画力…★5
◯全巻大人買い…★5
◯おすすめ度…90点!!!!