『彼方のアストラ』1巻2巻のネタバレ感想をレビュー。作者は篠原健太。少年シャンププラスで配信中。出版社は集英社。ジャンルは少年コミックのSF漫画。絶賛AmazonのKindleでもダウンロード購入や試し読みが可能です。

作者・篠原健太といえば学園ギャグ漫画『スケットダンス』で有名なマンガ家さん。個人的にも面白い漫画だった印象が強いです。その篠原健太の新連載漫画ってことで自ずと期待も高まるってもんです。そこで今回は『彼方のアストラ』が面白いかつまらないか簡単に考察してみました。

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彼方のアストラのあらすじ物語 ストーリー内容

時代は宇宙旅行が当たり前となった近未来。主人公は高校生のカナタ・ホシジマ。カナタの夢は、誰も踏み入れたことがない惑星に探検すること。いわゆる冒険家。SF漫画とは一件相容れない夢のようにも思えますが、人類にとって地球以外にも未知の世界が広がったからこそ少年たちは冒険家に憧れる。

ある日、カナタはアリエス・スプリングなど他の同級生たちと共に惑星マクパへキャンプに向かうこととなる。惑星キャンプとは高校で出された特別課題の一つで、5日間を生き抜くという内容。

彼方のアストラ1巻 あらすじ1
(彼方のアストラ 1巻)
しかし惑星マクパで待ち構えていたのは謎の球体。お調子者のルカが手を突っ込むと全身が吸収されて消滅。明らかに危険な異物。次々と呑み込まれていく生徒たち。

彼方のアストラ1巻 あらすじ2
(彼方のアストラ 1巻)
そしてカナタたちが気付くと、そこは地球から5000光年以上も離れた場所だった。果たしてカナタたちは無事地球に帰還することはできるのか。だから『彼方のアストラ』はSFサバイバル漫画といった内容になります。


SF漫画として一応そつなくまとまってる

『彼方のアストラ』はSF漫画としては一応そつなくまとまってる。

彼方のアストラ2巻 宇宙船内で事故
(彼方のアストラ 2巻)
例えば無重力空間や宇宙空間でプカプカ浮遊する感じは上手い。『彼方のアストラ』は少年ジャンプ+で一部無料配信されてるわけですが、描き込みやトーンなど絵の完成度の高さは週刊誌バリと言えます。

また宇宙船内で次々と起こる事故など、SF漫画にありがちな展開も割りと描けてて、それぞれの少年少女たちが必死に生き抜こうとする様を描こうとする意気込みは伝わってきます。

彼方のアストラ2巻 グルッピー
(彼方のアストラ 2巻)
他にも地球にはいない宇宙生物と戯れるといった描写も。画像はグルッピーと呼ばれる二足歩行の鳥類っぽい生物。


彼方のアストラの総合評価 評判 口コミ


ただ結論から書くと、『彼方のアストラ』はさして面白くない漫画。例えば初っ端からキャラクターがゴチャゴチャ。異世界に生徒たちが全員飛ばされるという展開のため、どうしても都合上新キャラなどが途中参加できないとはいえ、この時点で読む気が失せた。

彼方のアストラ1巻 何故か推理
(彼方のアストラ 1巻)
そして作者・篠原健太はサバイバル要素だけだと満足できなかったのか、何故か推理展開が始まる。

謎の球体に飛ばされた直後、運良く見つけた宇宙船に生徒たちは逃げ込む。しかし誰かが通信機を壊してしまったため更にピンチへ…という展開が待ってる。しかも実は惑星キャンプそのものが「誰かをころす」ために仕組まれたものだったらしい。

でも、これもストーリーがゴチャゴチャしただけ。書きたいこと詰め込みすぎて、てんこ盛りの設定にお腹いっぱい。別に話の軸はサバイバル要素だけで十分のはず。まだ1巻の段階でコレですから、読者としてはどこを読めばいいか戸惑うのではなかろうか。

彼方のアストラ2巻 笑いが中途半端
(彼方のアストラ 2巻)
更に言えば、個人的に期待した笑いやボケもいかんせん中途半端。ツッコミもあるにはありますが、いまいちパッとしない。『スケットダンス』だともっと面白かった気がするのに何故。

せめてボケるならボケる、ボケないならボケないとハッキリさせて欲しい。よく分かんない紛らわしい笑いが多い。

彼方のアストラ1巻 絵の意味がない ギャグ
(彼方のアストラ 1巻)
例えば画像の「毒の可食性テスト」を行ってる場面だと、一瞬笑いを探したものの、残念ながら何も発掘できず。せっかく変なキャラクターの絵を用いてるのだから、何かしらの笑いを作れたような気がします。

カナタの登場シーンなど序盤はムダにボケが渋滞したかと思いきや、その後は基本的にはシリアスな展開が続くなど、つまるところ『彼方のアストラ』とは一体何を描きたいのかよく分からない。ストーリーにしてもキャラにしても笑いにしても。

随分前に少し批判的な感想を書きましたが、これだとまだ完全にギャグ路線に割り切ってた畑健二郎の『アド・アストラ・ペル・アスペラ』の方が面白い。もちろん必ずしも作品の路線を一つの方向性のみに割り切る必要性はありませんが、『彼方のアストラ』の場合はハッキリさせた方が良いかも。

しかも前述のように『彼方のアストラ』は、一応SF漫画として大きな欠点もないから余計に厄介。何故なら技術的に何か足りないのであれば、その部分を一つ二つを改善すれば漫画全体の印象や評価も変えられますが、根本的にストーリーや設定がつまらないなら何も変えようがない。

『彼方のアストラ』は若干ハードルを高めに期待して読んだとはいえ、もう少し漫画を描くのが上手い作者だと思ってただけに、読後感としては残念感がひとしお。作者・篠原健太が「SF漫画を前から描きたかったら、とりあえず描いてます」という域を出てない内容。