除冷師煉太郎の約束 あらすじ1
(少年ジャンプ41号)
『除冷師煉太郎の約束』のネタバレ感想をレビュー。作者は眞藤政興。先週号というのか今週号というのか少年ジャンプ41号に掲載されていた読み切りマンガ。出版社は集英社。最近少年ジャンプは新人漫画家の登竜門として「ジャンプ金未来杯」を開催してるんですが、その中の候補の一つ。

作者の眞藤政興の年齢はまだ19歳らしく、そのこともあって『除霊師廉太郎』が話題になっているとか。確かに読んでみると「すごい」と自分も思いました。そこで今回は『除霊師廉太郎』が面白いのかつまらないのか簡単に考察してみました。いずれ作者がプロデビューしたら、単行本コミックスの末尾に収録されるはず。


除冷師煉太郎の約束のあらすじ内容・登場人物キャラクター


まずは『除霊師廉太郎の約束』の簡単なあらすじ登場人物を解説したいと思います。

ヒロインは女子高生の賀上郡(かがみ・こおり)。小学生の頃に右目が白くなった女の子。原因は不明だったが、特に身体に支障はなく今まで過ごしてきた。しかりある日、突然にして氷の化物(鬼)を見るようになった。

除冷師煉太郎の約束 あらすじ2
(少年ジャンプ41号)
そこへ颯爽と現れたのが本作の主人公・死島煉太郎(しじま・れんたろう)。鬼狩りを自称する除冷師。そして2人の物語が始まる。果たして何故賀上郡は鬼に狙われるのか。何故煉太郎は賀上郡を守りきることができるのか。そういった内容の読み切りマンガになります。


とにかく完成度が高い読み切りマンガ


シンプルに一言で『除冷師煉太郎』をまとめると完成度が高い。正直あらゆる点で素人やアマチュアの域を超えてる。不正でも働いてるんじゃないかと疑ってしまうぐらい、下手すりゃそこら辺のプロ漫画家よりも実力はある。

除冷師煉太郎の約束 バトル描写
(少年ジャンプ41号)
例えばバトル描写。コマ割りや構図などが工夫されており、色んな角度から描写することで飽きさせない。当然色んな角度から描写できるということは、何より画力が高いということ。

除冷師煉太郎の約束 前フリとなるコマ
(少年ジャンプ41号)
先程のあらすじに貼った画像直前には、しっかり前フリとなるコマを前ページに描いてる。画像左下のコマを参照。このコマがないと次のページでいきなり主人公なりキャラクターが必殺技を繰り出すことになるため、読者からすると「唐突感」が強くなる。もっと言えばピンと来ない。でも前ページに「これから殴るよ」というコマを一つ描くだけで読者の気持ちも盛り上げる前フリになる。

除冷師煉太郎の約束 見せ場の作り方 バトル
(少年ジャンプ41号)
他にも最終局面で主人公・死島煉太郎が「魔焼の腕」という必殺技を繰り出して大ボスを倒す場面でも、バトル漫画的なカッコよさを見事に表現されてます。もちろん改善点も多いものの、このネタバレ考察記事では割愛。

除冷師煉太郎の約束 見せ場の作り方
(少年ジャンプ41号)
死島煉太郎が賀上郡を救出する場面でも、キャラクターの表情も上手い。思わずグッと来てしまうものがあります。主人公のカッコよさ・安心さなどなど、王道バトル漫画的な「何か」がしっかり表情で表現できてるのではないか。

絵が上手いし、しっかり丁寧に隅々まで描けてるし、男キャラも女キャラもオッケー。必殺技となる「炎」の描写も、今の段階でも必要十分なレベル。表情を差し込むタイミングも上手い。あくまでアマチュアレベルとして考えるなら、アラを探すのが極めて大変。


ストーリーの組み立て方も丁寧でわかりやすい


ただ絵も上手いだけではなくて、ストーリー構成も上手い。本当に端的にまとまってて読みやすい。設定のオリジナリティーも含めて、独特の世界観を限られたスペースの中で伝えきれてるのがすごい。意外と誰もができないこと。

一般的なありがちなミスとしてあるのが、設定だけは膨らむだけ膨らむこと。漫画家である以上、アイデアが膨大に出てくることは素晴らしいことではあるものの、特に読み切りマンガの場合は一話完結で描ける内容・情報が限られる。全部を描写しようと詰め込んだ結果、何も伝わらないパティーンが多い。

でも『除冷師煉太郎の約束』の場合は真逆。主人公とヒロインだけで基本的にストーリーが展開するため、誰でも読みやすい内容に仕上がってるのがほぼプロ仕様と唸らせる理由でありましょう。欠点らしい欠点が一つもないのが最大の魅力。確か19歳でこのクオリティーはすごい。

正直、このコンパクトにまとめる力はプロの漫画家も見習うべきでしょう。


「除霊師廉太郎の約束」のダメ出し評価


ただ問題点や欠点もあるので簡単にピックアップしておきたいと思います。

除冷師煉太郎の約束 終わり 腕が小さい
(少年ジャンプ41号)
例えば大オチ。主人公は「手」を使って攻撃するため、そこが印象的な要素となる。でも画像を見る限り、中途半端。見せるならもっと大胆に「手」を見せるべき。ヒロインが恋心を抱いているのであれば、主人公の手を握らせても良かったでしょう。あらすじに貼った初登場時の画像でも、もっと手が見えるように描けると良かったはず。

絵に関しては特段のツッコミどころは少ないものの、やはり「手」の印象が弱い。バトル描写に関しても、もっと印象付けることができるはず。

あとはストーリー。基本的に問題はないものの、亀坂黒真という同じく鬼狩りの男が後半になって登場する。ただヒロインの右目の謎を解明させるためだけに登場したキャラに過ぎず、言ってしまえば完全に不要なキャラ。この亀坂を描かずに展開させられる力がないと連載を始めるのは厳しいかも知れない。意味もなく新キャラを登場させてしまうと、この処理が大変だから。

あとは主人公が「魔焼の腕」という大技を繰り出して、一発逆転気味に大ボスを倒したこと。一応ネタバレしておくと、かつて倒せなかった鬼がヒロインの右目に封印されていた。そのケジメを付けるために主人公は何年も修行して力を身に着けて、最終的に封印した鬼を解呪して…というオチ。

でも既に実力を身に着けてたんであれば、正直ヒロインの目の前に現れた時点で最初から封印した鬼を倒しとけよって話。「わざわざ」の意味が分からない。もちろんストーリーは違和感なく最後まで読めるものの、冷静に考えるとツッコミどころが割りとあります。


除冷師煉太郎の約束の総合評価・口コミ・評判レビューまとめ


以上、『除冷師煉太郎の約束』のネタバレ考察評価でした。端的に結論付けると、今回のジャンプ金未来杯は『除冷師煉太郎の約束』でほぼ決定でしょう。他の候補作品の方はドンマイと言いたくなる差がありそう。

強いて言えば、19歳の時点でここまであらゆる点で完成度が高いと、逆に伸びしろがどこまであるの?という穿った見方もできそう。連載を考えると、どこまで画に時間を掛けたのかも重要になってくる。サッカーや野球でも少年時代は天才と呼ばれていたプレイヤーも、いざプロのフィールドにあがると途端に名前を聞かなくなる選手も多い。眞藤政興にはそういったパティーンにならないことを望むばかり。

ちなみにおすすめ面白い漫画ブログ【ドル漫】ではいずれ【漫画制作】読み切りマンガの作り方・描き方もまとめたいと思います。今回の作者・眞藤政興は自然と身に着けたのか勉強して身に着けてたのかは知りませんが、そのハウツーが身体に染み付いていたはず。

他にも【マンガ制作】眼鏡の描き方【マンガ制作】口の描き方【マンガ制作】鼻の描き方【マンガ制作】眼・目の描き方といったマンガ制作の記事も時間ができれば作りたいと思います。