つい昨日、甲子園が終了。2017年の甲子園は花咲徳栄高校が埼玉県初の優勝に輝いたらしい。ただ仙台育英高校という最低の野球部(サッカー部?)が途中まで勝ち上がるという珍事が起きたものの、何のペナルティーも下されていないとか。自民党の政治家と同じで悪いこともしても知らぬ存ぜぬで逃げられる日本ってどうなんだ…。

だから自分がリアルの野球(高校野球)にどこまで興味があるかは微妙ですが、とりあえず漫画ブログを運営してる身としては、今回は「野球漫画の描き方」を考察してみたいと思います。ピッチャーのボールの投げ方や打つ時の動作、走るフォームやコマ割り・構図の見せ方なんかも含めて、様々な野球漫画の野球シーンから多角的に考えてみたいと思います。

ちなみにおすすめ漫画考察ブログ「ドル漫」では「おすすめ野球漫画ランキング」「おすすめスポーツ漫画ランキング」などもいずれヒマがあれば執筆するつもりです。


打ち方・打者・打撃フォームの描き方【野球マンガのバッター】


まずは野球漫画で花形となる「打ち方(打撃フォーム)」の描き方を見たいと思います。いわゆるバッターの作り方。画像は主に少年マガジン(講談社)で連載中の『ダイヤのエース act2』からになります。

打ち方 打撃フォーム 野球漫画 ダイヤのエース act2 1巻
(ダイヤのエース act2 1巻)
「右打ちバッター」の描き方はこんな感じ。コマ割りからバットをはみ出させることでよりダイナミックな野球描写に仕上がってます。ただ強いて言えば、バットのカタチもそのまま真っ直ぐ描写するより、しならせた方がスイングの勢いが出るはず。あとバットにインパクト感も描くと良かったはず。

打ち方 打撃フォーム 野球漫画 ダイヤのエース act2 2巻
(ダイヤのエース act2 2巻)
逆に「左打ちバッター」の描き方はこんな感じ。体の捻り方がポイントか。意外と野球漫画でありそうでない、ピッチャーの足裏が見える構図の使い方も面白い。強いて言えば、バットのしなり方がやや不自然。スパイク底の模様はもっと丁寧に描いた方が良さそう。

打ち方 打撃フォーム 野球漫画 ダイヤのエース act2 3巻2
(ダイヤのエース act2 3巻)
続いても右打ちバッターの描き方になりますが、逆に「バットを振り終えた直後」の描き方。ここを丁寧に切り取ることで「打ってやった感」が表現できます。大胆にフルスイングしたのか、また流すように打ったのか、その違いも表現できます。強いて言えば、右コマはバット全体がもっと見える構図でも良かったかも知れない。

打ち方 打撃フォーム 野球漫画 ダイヤのエース act2 4巻2
(ダイヤのエース act2 4巻)
続いては「フォークボールを打った時」のバッター描写。下の方にインパクト音みたいなのを描くことで「フォークボール感」が表現されているはず。どの位置にインパクトを描くかでボールをわざわざ描かなくても読者には具体的に伝わります。

打ち方 バンドフォーム 野球漫画 MAJOR 2nd3巻
(MAJOR 2nd 3巻)
続いては「バント」の描き方。かなり地味ではあるものの、野球漫画の中では奇策として展開の重要どころで地味に描かれることが多い打ち方。

バントの描き方は「ボールの模様」がポイントになります。バントは打ち抜かないため、動きのないボールを描くことが重要。具体的には、敢えてボールの模様を丁寧に描くことで「止まった感」が表現できます。バットも丁寧に描いて、そこに小さめのインパクトを描くのはよりおすすめ。

打ち方 打撃フォーム 野球漫画 ダイヤのエース act2 5巻3
(ダイヤのエース act2 5巻)
最後は趣向を変えて「三振を取られてしまったバッター」の描き方。今までは「打つ」ばかりでしたが「打たれた後」の野球描写になります。少し仰け反らせてバットを振れてない感を出すことで、より「してやられた感」が演出されています。逆に思いっきりバットを振らせて倒れ込んだバッターを描くのも効果的でしょう。


投げ方・投手・投法・投球動作の描き方【野球マンガのピッチャー】


続いてはやはり野球漫画で花形となる「投げ方(投球動作)」の描き方を見たいと思います。いわゆるピッチャー(投手)の作り方。

投げ方 投球 投法 野球漫画 MAJOR 2nd9巻
(MAJOR 2nd 9巻)
例えば「左投げピッチャー」の描き方はこんな感じ。画像の野球漫画は少年野球を題材としてるため、そこまで迫力みたいなもんは欠けていますが、それでも手先をブレさせることで「投げた感」が描かれています。

他にもバトル漫画のように腕を中心として「風」みたいなんを描いたり、野球帽をズレさせることで思っきり投げましたよということを伝えてる。キャラクターの表情だと「口をつぐませる」とより野球のリアル感が伝わります。普通投げる時は口を開けませんから。

投げ方 投球 投法 野球漫画 MIX10巻3
(MIX10巻)
先程のバッターの描き方でも触れましたが続いては「投げた後」のピッチャーの仕草やポーズの描き方

足を上げたままであったり、グラブを持った手を高く上げたままなど、そういった「ポージング的なカッコ良さ」があります。ユニフォームのシワ感も野球漫画には重要。野球のユニフォーム生地は独特なので、普通の服や他のスポーツとは違ったシワができやすいので注意しましょう。

投げ方 投球 投法 野球漫画 ダイヤのエース act2 5巻
(ダイヤのエース act2 5巻)
コチラの野球漫画では完全に「討ち取った後」の投げ終わったときの動作。当然ボールが飛んでこない以上、完全にガッツポーズする直前。もう完全に右手はガッツポーズしててもいいぐらい。キャラの表情の描き方としては口をとがらせて「しゃー」とでも叫ばせるといいでしょう。

投げ方 投球 投法 野球漫画 MIX11巻2
(MIX11巻)
また野球漫画では「投げる」と言っても、一コマで表現するのはさすがに大変。だから腕や足を振り上げたコマを描いてから、その後に足を地面につけて腕を振り下げるコマを続けて持ってくるパターンが大体は多いです。そこで動きを付ける。

この場合は2コマを使えるためセリフの使い方も重要。例えば「なめてんじゃ…」「ねぇッッ!!」みたいな感じでセリフも付けると、より投げた時の勢いが増します。ちょっとした「タメ」や「間」を作ることができるため効果的に活かしたい所。

投げ方 投球 投法 野球漫画 ダイヤのエース act2 3巻
(ダイヤのエース act2 3巻)
逆に野球漫画で投げる動作を描く場合、「ボールを一切描かない」という演出も何気に多い。敢えてボールを描かないことで「球速の速さ」なんかが表現されているんだと思います。まさに「描かないことで描く」ということ。

でもボールがないと分かりづらいため、そこは周囲の情報(バッターやキャッチャーの動き)で「討ち取った感」を表現しましょう。画像だとバッターの振り遅れ感と立って捕球してるキャッチャーで、ボールの速さが描かれています。

投げ方 投球 投法 野球漫画 ダイヤのエース act2 4巻
(ダイヤのエース act2 4巻)
逆にコマからはみ出すほどボールを特大級に描くことで、投げる時の迫力が思いの強さなんかを描いてる野球漫画もあります。読者も思わずハッとするはず。もっとボールの模様は丁寧に描いて、メーカー名も刻印させてても良かったはず。


走塁・走者・走り方フォームの描き方【野球マンガのランナー】


続いては走塁・走る時の動作の描き方。いわゆるランナーの描き方。仙台育英のカンフークソボーイも是非参考にして下さい。

走り方 走者 野球漫画 MAJOR 2nd8巻
(MAJOR 2nd 8巻)
ベースにスライディングする時の描き方はこんな感じ。片足を曲げて、もう片方をベースに向ける。スパイクの裏はポイントとなるため、基本的にはもっと丁寧に描くのがベター。野球に限らず、スポーツで履く靴は全部バラバラ。その違いを描くだけで、より野球感を作り出すことが可能です。そのおすすすめの描き方は更に後述。

走り方 走者 野球漫画 MIX10巻 描き方2
(MIX10巻)
そこで別の野球漫画のベースに走って滑り込むシーンを見てましょう。画像は少し見えにくいかも知れませんが、スパイクの模様がしっかり描かれています。

走り方 走者 野球漫画 ダイヤのエース act2 7巻
(ダイヤのエース7巻)
別の野球漫画から似たような走り滑り込むシーンを見ると、こちらは逆にスパイク裏の模様がほとんどありません。腕や手の向きも微妙に違うことも影響してますが、どっちがより野球の走者としてリアルな描写かというと前者の描き方かなーと個人的には思います。あだち充>>>寺嶋裕二。

走り方 走者 野球漫画 MIX10巻 描き方1
(MIX10巻)
ファッキン育英のサッカー野郎は多分一度も見たことがない技だと思うんですが、ヘッドスライディングの描き方はこんな感じ。例えば足を上げる、ヘルメットが取れるといった部分に「勢い」を演出することが可能。画像だとそこまで迫力はありませんが、構図の工夫によってもっと面白くなるはず。ちなみに何気に直前のボールだけのコマも重要。

実は人気野球漫画でも「投げる・打つ」がメインになりがち。だから、こういった走るシーンが逆に手薄になってる野球漫画も多い。仙台育英のカンフークソボーイは悪い意味でしか目立ってませんが、野球漫画ではヘッドスライディングなど「見せ場」として効果的に使えると思うので、是非体得しておきたい描き方。


捕手・捕り方・捕球動作の描き方【野球マンガのキャッチャー・野手】


ラストは野球漫画ではほとんど意識せず読んでることが多そうな「ボールを補給する時の動作・フォーム」。いわゆるキャッチャーや野手の描き方を考察してみたいと思います。

捕り方 捕球動作 野球漫画 H2 34巻 描き方
(H2 34巻)
例えば、勢いがついた打球を補給するシーンの描き方。さすにがグラブが飛んで行くというやや大げさな表現ではあるものの、しっかり「グラブに収まったボール」を描くことが重要。グラブに入るまでの軌道、グラブの向きや構図なども分かりやすく表現することが重要。

捕り方 捕球動作 野球漫画 MIX3巻 描き方
(MIX3巻)
他にもキャッチャーがピッチャーが投げたボールを補給する場面の描き方がコチラ。やはりボールがミットにしっかり入った瞬間が描かれています。より分かりやすく表現するために、ミット(グラブ)とボールの対比が効果的。グラブはを丁寧にヒモの向きまで描かれていますが、一方のボールは白い丸で模様はなし。

捕り方 捕球動作 野球漫画MAJOR 2nd3巻 描き方
(MAJOR 2nd 3巻)
同じくキャッチャーの捕球シーンですが、こちらはミットにボールが入ってるか見えないためやや微妙。左手で捕球してるので構図的にボールを描きづらかったことも影響してそうか。

捕り方 捕球動作 野球漫画 MIX11巻 描き方
(MIX11巻)
ラストは野手が捕球する動作の描き方。画像だけだと分かりづらいかも知れませんが、ノック練習を何回も受けてる場面。色んな角度と構図からキャッチしてるので参考になると思いますが、基本的にグラブとボールを描けば大体オッケーだと分かります。


野球描写が描けなくても面白い漫画は作れるらしい


以上、様々な役立つ野球描写を見てきたわけですが、じゃあ画力が高くなけりゃダメなのか?実はそんなこともありません。既に人気の野球マンガをチェックすると、言うほど野球描写が上手くない作品も数多い。

野球漫画 描き方 おおきく振りかぶって25巻
(おおきく振りかぶって25巻)
例えば『おおきく振りかぶって』。随分前にこの野球マンガをディスったら、ちょっとだけコメント欄が荒れてしまった記憶があります。画像は投げて打ってのシーンですが、どっちも棒立ち。背景でごまかされてますが、正直ヒドい部類に入ると思います。

野球漫画 描き方 グラゼニ東京ドーム編2巻1
(グラゼニ東京ドーム編 2巻)
他にも『おおきく振りかぶって』ほどではありませんが、『グラゼニ』というプロ野球マンガの描写力はこんなレベル。決して下手とまでは言いませんが、至って平凡。「スポーツ漫画としての演出」は乏しく、あくまで試合を情報として伝えてるだけ。

野球漫画 描き方 グラゼニ東京ドーム編2巻2
(グラゼニ東京ドーム編 2巻)
『グラゼニ』のバッティング描写はこんな感じ。もちろん画力が下手とまで評価するのは難しいかも知れませんが、それでも野球描写は淡々。だから人気野球マンガを作る場合、実は「描き方という武器」を最低限の最低限の水準さえあれば、内容によって全然面白い野球漫画を描けるということらしい。

例えば、前述の『ダイヤのエース』という野球漫画も、基本的に「投げる」「打つ」しか描かれてません。他の「走る」みたいな動作フォームはほとんど存在せず。「投球シーン」にしても「軌跡」を使ってフォークやカーブなどを描くなんてのも少なく、野球描写は意外とワンパターン。それでも人気の野球漫画ですから。

だから野球描写をそつなく全般的に描けてる野球マンガは、そもそも本当に少ないことが分かります。この記事で取り上げた野球漫画家の中では、せいぜい「あだち充」ぐらい。同業者にもディスられがちな野球マンガ家ですが、実は幅広い野球描写を描けてる。またグローブやスパイクなど緻密に描かれてる。

他だと「川三番地」の野球漫画も絵柄は古くさいものの、勉強になる全般的な野球描写が多いはず。打つ、投げる、守るの三拍子が平均的に高いレベルで表現されてる気がします。強いて難を言えば、巻数が多い野球漫画が多いことぐらいか。


フォーム動作より「野球道具」を描くのが一番重要?


以上、野球漫画のそれぞれのフォームの描写法まとめでした。

ただざっくり一言でまとめるなら、「グローブやバット・スパイク・ベース」といった道具類を綿密に描写すれば、それっぽい野球マンガに仕上がります。この記事は「動作やフォームの描き方」に関する内容のため全否定も甚だしいんですが、やっぱり野球を野球たらしめてるのは所詮は「道具」。先だってのあだち充にしても何故ずっと人気なのかと言えば、この道具の描写がしっかり丁寧であり、野球の試合で効果的に使えてるから。

少年ジャンプのサッカー漫画がつまらない理由でも考察しましたが、結局選手の動きだけで「試合の核」を伝えるのはしんどい。何故なら野球漫画に限らず、似たような動作を強いられるスポーツも多い。野球にしろサッカーにしろ陸上にしろ、所詮は走る姿なんてどの角度から切り取っても大差ない。

だから自分が今回引用させてもらった野球描写も参考にしていただきながらも、そういった方法論・マンガ論も意識しながら野球漫画(その他スポーツ漫画)を作るといいのかなーと思います。是非おすすめ人気野球マンガを描いてみてください。

ちなみに既に野球漫画のおすすめストーリー構成・話の作り方も考察済みなので良かったらご参照下さい。この記事ではあくまで「野球描写」にとどまってますが、地方大会・予選大会のストーリーの進め方、甲子園・全国大会に進んでからのストーリー構成など、それぞれの違いなどを考察してます。