『ぐらんぶる』7巻のネタバレ感想。作者は吉岡公威と井上堅二。グッドアフタヌーンで連載中の青春漫画。漫画「ぐらんぶる」が悪ノリしすぎて面白いという考察レビューも参照。ちなみに漫画『ぐらんぶる』はスパム企業DeNAが運営する「グランブルーファンタジー」とは一切関係ありません。ただしスパムとパクリで稼いだお金は横浜ベイスターズのクソ選手の年俸に使われています。


総括古手川奈々華という鬼神

ダイビングショップ「グランブルー」で留守番をする主人公・北原伊織と古手川千紗。そこへオタイケメンの今村耕平とケバ子こと吉原愛菜がやって来る。時間帯的にそろそろ夕ご飯ということで、4人は一緒に食卓を囲む。

そこで吉原愛菜が伊織と千紗が二人きりで留守番してて、変な間違いは起きないのかと効いてくる。伊織は「良い尻の持ち主だが妹のよう」と語る。オタクの今村耕平は「つまり手を出す気満々だと」と盛大な犯行予告。おまわりさんが近くにいなくて良かったです。

そこで伊織の実妹・栞(しおり)の話が話題にのぼり、栞に送るための写真を選別し出す4人。ただいつも脱ぎ三昧のサークルでは、ロクな写真が見当たらない。

そして千紗と愛菜が浜岡梓と古手川奈々華のパイオツぽろりんちょなお宝写真を発見。慌ててポッケにしまう千紗。何故なら、梓と奈々華のことを性の対象としてしか見てない北原伊織が聞いていたから。ただ北原伊織は「見せろなんて言わない」と意外な返答をしたので、少し呆気にとられる二人。

ぐらんぶる7巻1
(ぐらんぶる 7巻)
もちろん北原伊織の心の中では「超見てぇぇーーーー!!!!!」と『デスノート』のキラばりの迫真っぷり。さっき平静を装えたな、というレベル。やはり女子共に見せろと要求したところで素直に見せてはくれない。女子との夜のプロレスでは消灯が必須。

そこからお宝写真をめぐる週刊誌記者とタレントばりの攻防が始まる。

ぐらんぶる7巻2
(ぐらんぶる 7巻)
でもやはり女性の感は鋭いというのか、北原伊織より古手川千紗の方が一枚上手。シャワーだけ流してお風呂に入ったと見せかけて、そのまま潜伏。千紗がお風呂に入ったとシャワーの音で確信した北原伊織は潜入するものの、見事に看破。

この無言の間とテンポ感が見事。

ぐらんぶる7巻3
(ぐらんぶる 7巻)
お前の脱いだ服が欲しかっただけなんだ」と伊織は言い訳してみせるものの、むしろ自ら不利な状況を更に追い詰めるだけ。千紗も「もっと高度な変態なんだけど」と思わずツッコミ。

最終的に二人は『ハンターハンター』ばりのバトル描写を展開するものの、実力的には拮抗してるのか両者が自滅。そのままベッドの上で二人は気絶してしまう。すぐに意識を取り戻せれば良かったものの朝を迎えてしまう。

ぐらんぶる7巻4
(ぐらんぶる 7巻)
しかも運が悪いことに妹・千紗をガチで愛しすぎている姉・古手川奈々華が帰宅してしまい、その光景をガッツリ見てしまう。「どういうことかなぁ?」とフツーの問いかけをしているように見えて、壁をつかむ手がえらいことなってる。へぇ~壁を握りつぶしたらこんな音するんだ~(;・∀・)アハハ。左腕全体をムキムキマッチョに表現しても良かったか。

ぐらんぶる7巻5
(ぐらんぶる 7巻)
伊織は懸命に言い訳するが、その前に奈々華に対する恐怖感が勝ってしまう。「やってないと神に誓って…やっぱ怖ぇぇ」と逃げ出す。人間あまりに恐怖すると心の声がフツーに出てしまうらしい。しかも逃げ出したところでソッコー捕まる。奈々華の笑顔がやっぱ怖ぇぇ(笑)

ぐらんぶる7巻7
(ぐらんぶる 7巻)
しかもこの鬼神、洞察力もハンパない。伊織のシャンプーが切れていたので、運悪くたまたま千紗のシャンプーを借りただけ。ただ状況が状況だけに、一緒に行為後に洗いっこしたとしか思えない。それを一瞬で見抜かれる((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

「鬼に金棒」ということわざがありますが、鬼に一番持たせてはいけないのが実は知性らしい。でも奈々華は北原伊織が「良い子」だということで、千紗が結婚するなら今の状況を許してあげる。きっと伊織がお婿さんに来てくれたら、そのまま千紗は家に残ってどこにも出て行かずに済むという奈々華の腹黒判断があるからか。

ぐらんぶる7巻6
(ぐらんぶる 7巻)
だから千紗ちゃんを幸せにしてくれるなら【八つ裂き】にはしません」と手打ち。ただ「八つ裂き」という表現を使っていいのは、地獄のエンマ大王かデーモン小暮閣下だけだぞ。

一歩間違えたら大惨事というお話でした。


ブラコン北原栞の本性とは?陰謀とは?

…と話は終わらない。何故なら肝心の古手川千紗的には看過できない話。そして、『ぐらんぶる』6巻のネタバレ感想でも少し触れましたが、主人公・北原伊織の妹・栞(しおり)がこの場面で登場。

最初はどうやって北原栞を登場させるのかと思ってましたが、しっかり古手川奈々華という鬼神を前フリに使って上手に導入させることができてました。『ぐらんぶる』はギャグ漫画ですが、ストーリーの流れや前フリが丁寧で読みやすい。

妹・栞は兄の伊織のことが好きなブラコンで通ってる。当然兄が千紗と結婚することはありえない。しかも栞は聡明な女子中学生だったので、伊織と千紗の中で昨晩起きた出来事をもれなく推理してみせる。

ぐらんぶる7巻 北原栞1
(ぐらんぶる 7巻)
ただ何故か主人公・北原伊織は妹・栞の訪問を歓迎してない様子。「死ぬほど迷惑だ」ときっぱり切り捨てる。

それもそのはず、栞は北原伊織が中学時代に作曲したノートを何故か持ってくる。そのノートの名前が「いつかのBOKUのために」。無駄にアルファベットを使いたがる性質が実に恥ずい。しかも「僕」という一番意味もない場所をアルファベットにする感性が絶妙にダサい。

自分も中学時代に作詞ノートを作ってましたが、まさに定番すぎるほどの黒歴史の中の黒歴史と言えましょう。このネタバレ感想を読んでる中高生がいたら、今すぐアーティストぶるのは止めなさい。絶対4年5年後後悔するから!!!!

ぐらんぶる7巻 北原栞2
(ぐらんぶる 7巻)
しかも栞は家族全員にそれを披露した上で、父親に歌わせた音源CDもわざわざ持参してくる。伊織の見事なまでの昇竜拳が笑ってしまった。なかなかの破壊力。ちなみにCDは燃えるゴミらしい。

まさに兄の恥部を躊躇なくえぐり出す妹・栞。本当に兄のことが好きなのか疑問がわきますが、結論からネタバレすると兄・伊織のことは一切好きではない。北原家は旅館を経営してるので、兄・伊織には何としても立派な跡取りとして大学卒業後は実家に戻ってもらわないとダメ。

何故なら後継者不在だった場合、妹の栞が旅館の跡取りとして責任を押し付けられる可能性があるから。栞は表面上は「良い子」を演じているため、両親に責任を押し付けられるとノーとは言えない。

ただ兄・伊織は大学に入学してから、「信じられないことに、この兄、進学して更に頭が悪くなった」という現実にぶち当たる栞。「この就職難の時代に、その頭でまともに就職できるとでも?貴方の就職先は実家以外に存在するわけない」と分析しているものの、栞の謀略の数々は見事に失敗し続ける。

そして朝食後は、伊織のダイビングのライセンス講習の続きが始まる。栞は「てっきり形骸化した只の飲み団体かと思ってました」と的確な分析をするものの、言葉遣いの悪さがしれっと漏れ出てるよ。

栞は兄・伊織がダイビングにハマってしまうことで、実家の旅館に戻って来なくなる可能性を不安視。ただ公然とダイビングを批判するわけにもいかず、一緒に潜らない?と誘われてもやんわりと断る。

ぐらんぶる7巻 北原栞3
(ぐらんぶる 7巻)
ただ空気が読めない伊織は「サイズが合わないよな」と栞の胸をツンツクツン。こんな真っ平らなお胸とはいえ、栞は花の中学三年生。こんな正々堂々としたセクハラはうらやまs…けしからん話。

ぐらんぶる7巻 北原栞4
(ぐらんぶる 7巻)
さすがに「この人、何してくれてんの?」と栞の表情からは強烈な殺意と本性が漏れ出てしまう。パンパースのサイドギャザー付きの紙オムツでも対応できないぐらいの、殺意が漏れ出てしまっているよー!!!

栞の表情が笑っちゃいますが、慌てて平静な表情を取り戻すものの、怒りの感情だけは抑えることができなかったのか、「もう兄様ったら…殺しますよ☆」とつい本音をポロリと漏らす場面も笑えます。

ぐらんぶる7巻 北原栞5
(ぐらんぶる 7巻)
その後も何やかんやがあるんですが、叔父(古手川千紗の父親)には全てお見通し。「栞ちゃんには一度潜ってほしい。頭が良い子にこそ貴重な体験。大自然の中で頭空っぽにできる時間ってのはさ」と助言。

そして結末をネタバレしておくと、兄・伊織のこと嫌いとは言いつつも、実はやっぱり栞は兄のことが好きというベタなオチが悪くない。いやベタなオチだからこそ読後感は悪くない。今後も妹の栞が見たいかというと別ですが、もし再登場させるとしても北原伊織の実家帰省編あたりか。

ぐらんぶる7巻 脱衣麻雀
(ぐらんぶる 7巻)
『ぐらんぶる』7巻では脱衣麻雀のクダリが描かれてます。伊織と今村耕平の視線のギラツキ感が笑えます。詳細なネタバレは避けますが、まあオチはいつも通りのオチで内容は推して知るべし。

『ぐらんぶる』8巻へのフリとしては、実は主人公・北原伊織とヒロイン・古手川千紗には血のつながりがなかったことが発覚。考えてみると従兄妹同士でも「血のつながり」は少なからず存在します。

どういう意味でつながりがないのか7巻時点では一切不明ですが、姉・奈々華が妹・千紗を無性に愛しすぎているのも、もしかすると血のつながりがないのも原因なのかも知れません。


ぐらんぶる7巻の総括


簡単に『ぐらんぶる』7巻の総括をまとめておくと、ボケの応酬にしても一つのネタを広げてるので読みにくくない。ギャグ漫画に限らず、たたみかけるようにボケが連続する展開ってありますが、一つ一つに脈絡がなかったりしてものすごくクドくなりがちなんだよなーと。でも、この『ぐらんぶる』7巻ではそういうのがないのは良い。