『善悪の屑 全5巻』のネタバレ感想。作者は渡邉ダイスケ。ヤングキングで連載中。出版社は少年画報社。AmazonのKindleコミックランキングで上位に入ってたのでレビューしたいと思います。

記事タイトルに「胸糞」と煽ってみましたが割りとマジで胸糞な内容ですので、特に女性の方は閲覧注意です。このレビュー記事の文章を読むだけでも色んな意味で怖いかも。


あらすじ物語・ストーリー内容

主人公は鴨ノ目武(カモ)と島田虎信(トラ)。見た目が厳つさには反して、街中で小さな古書店(カモメ書店)を営んでいた。

善悪の屑5巻 鴨野目武
(5巻)
しかし、その実態は「復讐屋」としてウラで、被害者の代わりに加害者たちに天誅を下していた。後に開成奈々子も加わり、世の中のクズたちに制裁を加えていく。

善悪の屑1巻 イジメ教師
(1巻)
果たしてそこに正義はあるのか?被害者はそれで本当に救われるのか?未だかつてない勧善懲悪マンガが面白いのかつまらないのか考察してみたいと思います。


実在する元ネタ事件をモチーフに天誅

『善悪の屑』というマンガは、とにかく犯人たちに対してひたすら天誅を下していくだけの内容。極論にも聞こえますが、まさにこれだけのマンガ。

善悪の屑1巻 イジメ中学生をバン
(1巻)
こんな風にイジメ加害者の男子生徒たちに対しては、トヨタのハイエースでバン!(笑)

このテンポ感は痛快ですっきりしますが、内容は凄惨なので画像は割愛します。もちろんここで終わることはなく、後に相応の鉄槌が下されます。まさにTHE勧善懲悪劇。

更にこの漫画のすごいところは、ほぼ全てのストーリーを「モデルとなった事件」を元ネタとして使っている点。要は実在した事件をモチーフにしてる。

善悪の屑1巻 女子高生コンクリート事件
(1巻)
例えば、コチラだと女子高生コンクリート事件。いわゆるコンクリ事件ってやつです。他にも顔がパンパンに腫れ上がった被害者女性の描写などがあるので注意。

他にも同じ1巻だと山口母子事件。2巻では兵庫で起きた尼崎連続変死事件のオバちゃんが登場します。4巻の金子という犯人は、江東マンション神隠し殺人事件が元ネタだったりします。これを覚えてる方がどれだけいるか知りませんが、ヤフー知恵袋か何かのネットで処理の仕方を検索して、被害者をみじん切りにしてトイレに流した事件です。

善悪の屑3巻 早稲田スーパーフリー
(3巻)
他にも軽めの事件(?)だと、早稲田大学のサークル「スーパーフリー」が元ネタになってたりします。いわゆるスーフリ。自民党の某大臣が「集団レ◯プする人は、まだ元気があるからいいという失言を言って集中砲火を浴びたのも懐かしい思い出です。

ただ犯人はジェイク堀尾という男で、実際の首謀者だったWさんではありません。だから実在した事件がモチーフにされてるものの、その元ネタが何だったかは直接的に分かりづらい配慮をされています。普通ニュースというかテレビの大半は聞き流すので、覚えてない事件も多く一見すると気付きづらい。

直接的に書いたらいいやん?とつい思ってしまいますが、この理由はおそらく裁判対策。割りとこういうのって元加害者や元被告から訴訟を起こされやすい。出版社の少年画報社が連載許可を出したのは「絶対元ネタが分からない」ことを前提にしてるはず。

例えば前述の女子高生コンクリート事件だと、実はオチとしては加害者の方がコンクリートに埋められて復讐される。スーパーフリーのジェイク堀尾だと「挿れるしかないでしょう?」と何故か林先生風。

善悪の屑5巻 大阪付属池田小
(5巻)
他にも大阪教育大学附属池田小学校事件、いわゆる大阪附属池田小事件をモチーフにした話だと、某元死刑囚のルックスとは見ての通り似てもにつきません。

でも「どうせ大人になったらオレの年収より高い給料稼いじゃったりするんでしょ?」というセリフからも分かりますが、セリフは主張に関しては全く同じ。他にも「残念だったなぁ。ガキまで殺されて仇も取れねぇでボコられて、お前らあんなイイとこ学校にガキ入れて、学歴や年収じゃオレより上かも知れんが、最終的な人生レースじゃオレの勝ちなんだよ」というセリフもあります。うーん、良い胸糞ですね~(池上彰風)。

善悪の屑4巻 櫻井志津馬1
(4巻)
この櫻井という男の犯行場面がなんといっても衝撃的。手前の子供たちは「ヤバいヤバい」と言って逃げるんですが、当然逃げきれるはずもなく…。

善悪の屑4巻 櫻井志津馬2
(4巻)
そして行為後はテレビを観ての談笑。櫻井はずっと粗末で貧しい生活を送っていて、テレビを観てても一切笑顔はなかった。だからテレビの内容が面白いから笑ってるんではなく…みたいなこと。

果たして櫻井はどういった天誅が下されるんでしょうか?(笑)


最終話はこんな結末

この記事タイトルでも書いたように「全5巻」で既に完結してるらしい。

善悪の屑5巻 島田虎信 最終話 最終回
(5巻)
だからどんな最終回を迎えたか気になるところですが、カモとトラたちが単に焼き肉を食ってるだけ。そこで一種の肉バトルみたいなんが展開されるというコメディー要素満載のオチ。呆気なさすぎて思わず「え?」。

理由はシンプル。第2部『外道の歌』(げどうのうた)が同誌にて2016年8号から連載中らしく、コミックス化するための帳尻合わせの一話、または一種の箸休めみたいなもん。次作へ続くための前フリもないので、この最終話に特に深い意味はないでしょう。第二部が連載中なので打ち切りってことでもないと思います。

善悪の屑3巻 園田夢二
(3巻)
だから「園田夢二」という編集者の事件は第二部へ持ち越し

この園田夢二は未解決の世田谷一家事件をモチーフにしてるせいか、次作以降で天誅をくだすのか、このままリアルで犯人が逮捕されるまで出し惜しみするのかは不明。かなりもったいつけてる感じはしますが、単に陰惨な場面を描きたいだけという印象も。


総合評価・評判・口コミ


『善悪の屑』のネタバレ感想をまとめると、これぞ勧善懲悪漫画。便所の落書きの2chやクソ掃き溜めのヤフコメで一日中たむろって日頃の鬱憤や憂さ晴らしするなら、まだこの『善悪の屑』を読んですっきりする方がよほど健全と言えるかも。

ただ元ネタが実際の事件ということもあって、作者・渡邉ダイスケの「オリジナリティー感」はさほどありません。ダイジェスト的にクズキャラをポンポンと紹介して、そいつらに天誅をひたすら繰り返すだけ。まさに展開もワンパターン。だから決してマンガとしてクオリティーが高いとは言いません。

でもここまで内容を割り切られると「逆にアリ」と思わせる面白さがある。また意外に展開に緊張感があって張り詰めた空気感、にじり寄ってくる嫌なジリジリ感も読んでて何とも言えません。似たような漫画を探すと、栗原正尚の『怨み屋本舗』や真鍋昌平の『闇金ウシジマくん』あたり。いやそれらを足して2で割ったような漫画という表現が適切か。そういう漫画がお好きなら是非。

…とはいえ天誅そのものも、かなり凄惨。だから、どうしても後味は悪さが残ります。カモやトラも身内を殺された被害者遺族という設定があるものの、それでも痛快さの中に「清々しさ」は思うほどありません。まさに「悪もクズなら、善もクズ」というスタンス。だから「善悪の屑が好き」という人とは正直友達になりたくありません(笑)

売ってないという声もありますが、そういう時はKindleなどインターネットで購入しましょう。