『Whim(ウィム)』のネタバレ感想をレビュー。作者は黒木渉。掲載誌は少年ジャンプ。少年ジャンプ8号に掲載された読み切り漫画。

『Whim(ウィム)』はなんでも第92回手塚賞準入選を果たしたマンガらしい。そこで審査員だった漫画家さんや編集者さんたちの目に狂いはなかったのか?簡単にこの感想をレビューしてみました。

トランプ大統領がTPP脱退する影響ちきりんの日本の自動車産業に対する批判が間違いだらけな件といった自動車コラムも書いてるので良かったらどうぞ。別の漫画ブログでは「乙嫁語り9巻のネタバレ感想」や「七つの大罪24巻のネタバレ感想」もレビュー済みなのでご覧ください。


あらすじ物語 ストーリー内容

主人公はどこにでもいる高校2年生・神宮春。クラスでは一人本を読むなど比較的大人し目の男子。それ故にどこか斜に構えた性格をしている。

ある日、「こいつらは自分が今日死ぬなんて夢にも思ってないんだろうな。今日死ぬと分かったらどんなに瞬間を大切に生きるのだろうか。今夜8時きっかりに巨大な隕石がこの辺り一面に降り注ぐ」と中二病丸出しの終末論的な妄想を全開…かと思いきや違う。

Whim ウィム1
(Whim ウィム)
何故なら、神宮春は「神様」だったから。あくまで神宮春は何十度目かの転生で生まれ変わったにすぎない、いわば仮初の姿。もちろん神様は未来を見通す力があり、当然隕石を簡単に止める力もある。

ただ神宮春は一切誰も救う気がない。このままこの街の人間が滅びたとしてもいいや、どうせ別の生物に俺生まれ変われるし…と、別に憎しみの感情があるわけではないものの、まさに現代人特有の「無関心」から来るもの。

Whim ウィム3
(Whim ウィム)
しかし隕石が襲来する直前、神宮春は朝原ミキという同級生に「今の超能力?もしかして神様?」と見抜かれる(?)。果たして神宮春こと神様は、その後一体どういう行動を取るのか?…みたいな内容の読み切りマンガ。

ちなみに漫画タイトルの「whim」は英語で「気まずい」という意味。神様こと神宮春が今まさに置かれてる状況を示してるタイトルらしい。別に新しい外国人のミュージシャン名とかではありません…って、このボケ伝わるかな。


ストーリーの構成力が高い

『Whim(ウィム)』はTwitterでも既に触れましたが、ストーリーの構成力が高い。

話の軸が一本あるので読みやすい。起承転結、主人公・神宮春が朝原ミキに翻弄されながらも、徐々に「生きたい」と思わせる流れがちゃんと表現できてる。読み切り漫画という尺度や長さを理解してる手練感すらあります。

限られたページの中でしっかりストーリーをまとめ上げる力が評価され、「手塚賞準入選」に至ったことは容易に想像されます。設定もオリジナリティがあって、会話のテンポ感も小気味良い。絵柄はさすがに独特すぎる感じもしますが、コマ割りも割りと工夫されていて絵的に飽きさせない。

Whim ウィム2
(Whim ウィム)
序盤、神宮春が超能力を使ってツッコんでくる乗用車を浮かせるシーンがある。車体下部や影の感じなど違和感は少なく、作者・黒木渉は意外と画力もある。今後は少年ジャンプで連載を持つのかどうかは知りませんが、バトル漫画など幅広いジャンルに対応できそうな漫画家さんかも知れない。

Whim ウィム 朝原 可愛くない
(Whim ウィム)
強いて言えば、やはりやや劇画チックな絵柄的に女子キャラクターがあまり可愛くない点。こういった部分が少年ジャンプ読者にどう評価されていくのか。作風的にヤングジャンプあたりの方が活きそうな感じもします。『ワンパンマン』のONEのように原作者として活動するのもアリか。