『わにとかげぎす』全4巻のネタバレ感想。作者は古谷実。ヤングマガジン(講談社)で連載してた青春漫画。

あらすじ

わにとかげぎす1巻/主人公・富岡
 (1巻)
主人公は夜間警備員のバイトをしてる富岡。年齢は32歳の非モテ男。女性にモテる以前に、友達すら一人もいない寂しすぎる男。ただ普段は「独りでもこのまま構わない」と強がってるものの、やっぱり内心では友達ぐらいは欲しい。画像はそこで夜中屋上で半裸になって神様にお願いしてる場面。

ある日、そんな富岡が住むアパートの隣の部屋へ羽田というスタイル抜群で若い女の子が引っ越してくる。そこから富岡の人生は急展開。

夜間警備員のバイトが暮らせるアパートだから当然ボロアパート。壁が薄いからお互いの部屋の音が聞こえる。富岡はたまたま出会った借金まみれのオッサンの負債を肩代わりしてあげる。富岡は常に独りだったから、少し喋っただけで友情に近い感情が芽生えた。そのオッサンがヤクザから命を狙われてたこともあってポーンと数百万円払ってあげた。

わにとかげぎす1巻/ヒロイン・羽田
 (1巻)
その一連のやり取りをビクビクしながら聞いていた羽田は、まさか富岡にベタボレ。

わにとかげぎす3巻/主人公
 (3巻)
最終的には羽田主導で付き合っちゃうという羨ましすぎる展開。富岡は最初「友達が欲しい」願望を意識しすぎて、女性と付き合うという発想が全くなかった。そこで羽田がやたら猛プッシュしてきて、ふと「もしかして俺?女の子と付き合える?」と気付いた時の富岡の反応が笑う。何故、こういう男はいちいちお見合いのように段階を踏みたがるのか不思議。

次々と起こる事件

もちろんこんな幸せな展開だけで終わるはずがなくヘビーな事件が間で起きる。

わにとかげぎす2巻/2
 (2巻)
まずはヤクザの事務所から大金が入った金庫を持ち逃げしようと画策する、元ヤクザの女の話。その女と富岡の同僚二人が共謀して手伝う。ただパクってきた金庫を開けて、さあ今から逃避行!…という瞬間に何故かそこへ猟銃を持った強盗刹人犯が登場。

この後の展開は多くの読者さんが想像できる範囲のことが当然のように起きる。そこへ富岡も巻き込まれていくんですが、
わにとかげぎす2巻/主人公・富岡
(2巻)
これぞガクブル状態という表情であり状況。

他にも夜中デパートに侵入してきた若者と、富岡は半ば強引に仲良くなる。ただその若者たちがヤクザの車を盗んだりする不良。しかも、そのヤクザの車の荷室にはハダカの東南アジア系女性が。また羽田の元カレが行為中の写真をたてに恐喝してきたり、どんどん色んな事件に巻き込まれていくというストーリー。

誠実な人間は救われる?

でも、それらは全て何事も無く解決する。結果的には富岡と羽田の間で大きなハードルにはならない。だから肩透かし感はハンパない。ただ「それでいい!」んじゃないかと思われます。

この「わにとかげぎす」の読み方としては「なんでもない展開」をどう捉えるか。主人公・富岡を見ていると、どんなにダメだった人生を歩んできても、どんなにダメ男でも、いつの日か『幸せ』は誰のもとにも訪れるということを伝えてくれてる。またサスペンス要素を盛り込むことで、そういうさり気ない日常こそが幸せ。

実際、富岡の同僚・花林などは欲望を剥き出して犯罪に走った結果、人生が破綻した。でも富岡だけは普通のなんでもない人生を歩んでるだけ。ただ無意味に見える「誠実さ」を持ち続けることこそが、いつか『幸せ』として自分の元に舞い戻ってくることを教えてくれる。

わにとかげぎす4巻/3
(4巻)
また一方、そんな『幸せ』な日常は簡単にもろくも崩れる「か弱い存在」であるとも伝えてくれてる。幸せはいつも際どい崖の上に立っているようなもん。だから、もし幸せな日常を手に入れたら大事にすべきであり、常日頃から噛みしめようという教えも込められてる。

全体を通して非モテ男や非リア充に対して「人生腐るなよ!」というメッセージが読み取れて、「腐りきった人生こそ楽しい人生への最初のステップである」みたいに前向きに捉えることも可能。

総合評価

最近の古谷実の作風そのものなマンガ。

さえない主人公が美女と出会ってハッピー的な展開を迎えるものの、そのハッピーな日常にドス黒いサスペンス要素が食い込んでくる。こういう展開には古谷実ファンを筆頭に賛否両論があるようですが、個人的には稲中卓球部のようなギャグ漫画よりかは好き。特に女性キャラクターのモデル体型で美形なのに、やたら友達感覚でフランクっていう女性像がメインになりがちなので。

ただオチが意味不明。最終的に誰が襲われたのかモヤモヤするので点数は少し低めに採点してみた。


◯展開★3◯テンポ★4
◯キャラ★4◯画力★3.5
◯全巻大人買い★3
◯おすすめ度…79点!!!!