『うみべの女の子』全2巻のネタバレ感想。作者は浅野いにお。マンガエロティクスエツで連載してた青春漫画。掲載誌名が掲載誌名なだけに、内容は「いかにも」と簡単に想像はつきそう。一応青春のホロ苦さを描きたいのかなーと思われますが、表現はエグいので読むのは注意が必要。

あらすじ

主人公は中学生の磯辺。佐藤小梅という同級生に惚れていた。ただ佐藤小梅はイケメンの先輩が好きでアプローチをかけていたものの、結果的には身体を少し許した後にフラレてしまう。

そこで失恋の傷や後悔の念を癒やすためか、佐藤小梅は磯辺と何となく付き合うようになる。磯辺も雰囲気でそれを察しつつも、そこからは怒涛のように二人は肉体的に過激に絡み合っていく。ただ佐藤小梅は磯辺に惹かれつつも、逆に磯辺は佐藤小梅から気持ちが離れていく。

そのすれ違いの中から男女の恋愛観や考え方の違いが読み取れそうなマンガ。

女子にとってのキスとは?

あらすじでも説明しましたが磯辺は、結果的に好きだった佐藤小梅と付き合うようになる。

うみべの女の子1巻 磯辺のキスを拒否する佐藤
(1巻)
そこで磯辺は付き合った証拠としてキスをしようと迫るものの、佐藤小梅はそれを拒否。「やっぱキスはやだ…あたし磯辺のこと好きじゃないし…」というセリフが一つのポイントか。

そして前述の通り、佐藤小梅は磯辺を好きじゃないとは言っても、お前は女優さんか!?というぐらいすごいプレイをこなしていく。

でも佐藤小梅と磯辺はキスだけはしてない。言われて気付くかなというレベルなものの、確かに二人のキス描写が描かれることはない。ネタバレすると結果的に二人は別れてしまう。

うみべの女の子2巻 佐藤がキスをおねだり
(2巻)
ただ佐藤小梅は磯辺のことがまだ好きだったので、別れる直前の最後で最初に拒否していたキスをおねだりする。

じゃあ佐藤小梅は磯辺はすごいプレイの最中にキスを要求しなかったのか?その答えはノー。
うみべの女の子2巻 キスがしたい佐藤
(2巻)
厳密には佐藤小梅は磯辺に対して、行為の最中に遠回しに要求してた。

ただ最初に「好きじゃないからキスはイヤ」と言った手前、また多分心から好きになった磯部相手だからこそ「本心」を打ち明けるのが恥ずかしかった。だからこそ最後の最後の別れる直前でしか、自分の本心を打ち明けることができなかった。同時に佐藤小梅は嫌々磯辺と付き合ってたのではなく、途中の時点から磯辺のことが大好きだったことが分かります。

つまりこういった描写から「女子にとってのキスとは何か?」という考え方や価値観が読み取れるかも。

うみべの女の子2巻 磯辺は佐藤のキスを拒否
(2巻)
でも磯辺は最終的にキスはしない。佐藤小梅の心理状態や気持ちの揺れ動く軌跡を理解することはできずに、ただのワガママにしか思えなかった。

こういうった思春期の二人の違いから、男女では愛を見出す場所が違うことが分かります。男は行為そのものに興味がある生き物で、女は行為以前の行為に興味がある生き物。そういった男女の対比的な表現がされてて、何故男女がお互いがすれ違うのか?ということを描きたかった漫画かも知れない。

性描写がどぎつい

ただやはり冒頭でも書きましたが、この記事ではヌルい画像しか貼ってないので伝わりづらいのがもどかしいですが、とにかく性描写がフルスイング状態。雑誌が雑誌なだけに躊躇といった配慮が一切ない。主人公・磯辺が自分のおしりの穴をイジイジしてみたり、いちいちマニアックでインパクトが強すぎる。しかも浅野いにおの画力はトップクラスなので、ひたすらムラムラしかしない。

うみべの女の子2巻 キスの描写
(2巻)
例えばキス描写一つとってもこのレベル。画像は佐藤小梅ではないです。ほとんど大人向けとしか思えず、もし『うみべの女の子』を購入してしまった場合はベッドの下に隠しておきましょう。親に発見されたら怒鳴られるレベル。

だから前述の肝心のストーリーに目が行かない。磯辺と佐藤の二人の行動やセリフに意味性があるのか、またその背景に作者の意図や演出があるのかなんてのは、どうしても目先の表現ばかりに気を取られがちで、多くの読者はこれを読んでも「キスの価値は?」といった考えには頭がめぐらない。

おそらく女性読者が読めば何か感じることができるのかも知れませんが、男の読者はそれにまず気付くのは無理でしょう。確かに言われりゃ何となく気付きますが、女の子が髪の毛を数センチ切ったとか正直知らねーよ。男子はきっとボヤきたくなるぐらいレベルの周りくどさ。この演出方法がどこまで成功してたかは不明。もちろん巧妙といえば巧妙。

総合評価

「キス」を軸に話を展開するのであれば、もっと性描写は抑えた方が良かった気はする。ただキスがメインだったからこそ敢えてどぎつい表現に終始したとも察することができるので、一概にどうこうは言えないのも事実かも知れない。

ただストーリーか行為の描写か、どっちがメインなのかは全体的に分かりづらい。またストーリーの内容としても難解というか、キャラクターの心理描写は伝わりづらく、結局何を伝えたかったのかを知るのは読者に力量が求められそう。だから何をもって良しとするのか悪しとするのか、一般的に評価することは難しく評価そのものも分かれそうなマンガ。

でも「抜き」目的で…という側面でやや高めに採点してみました。

うみべの女の子(1)
浅野 いにお
太田出版
2013-10-16

◯展開…★3.5◯テンポ…★4
◯キャラ…★3.5◯画力…★5
◯全巻大人買い…★4
◯おすすめ度…85点!!!!