『ウメハラ FIGHTING GAMERS (ファイティングゲーマーズ)』1巻のネタバレ感想。原作は折笠格、作画は西出ケンゴロー。週刊ジョージア（角川書店）で連載中の自伝漫画。最新3巻は今月11月26日に発売だそう。

あらすじ

時代は1990年代。ストリートファイターⅡやキングオブファイターズ、ヴァンパイアセイヴァーなど、アーケード版格闘ゲームが流行った頃。主人公は大貫晋也（ヌキ）。ストⅡに関しては、地元では負け知らずの15歳。それ故に「たかがゲーム…本気でやるもんじゃねーわ」と、どこか冷めた目線で自分を俯瞰に見ていた。

ただある日、バケモノに出会う。それが梅原大吾（ウメハラ）。のちに日本で初めてプロゲーマーになった男。「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」としてギネスブックにも登録されているらしく、梅原大吾の書籍もバンバン売れてるらしい。

大貫晋也の目線で、梅原大吾という人物を描写してる自伝的なマンガ。YouTubeに梅原大吾が出演して語ってましたが、本人もガッツリ製作に絡んでるとか。「もっと邪悪な表情にしてくれよ」とか提案してたらしい。ちなみに、あとがきを読む限り、打ち合わせはほとんど酒を飲んでるらしい（笑）

梅原大吾の適応力

結論から先に書くと、大貫晋也が梅原大吾にフルボッコされまくり。最初は「ただのガン待ちかよ…あれで強いとか寒くね？」と梅原大吾を舐めまくってた。


（1巻）
ヴァンパイアセイヴァーで一番最初に二人が相見えたとき、「軽く捻るか」と余裕しゃくしゃくの大貫。画像のキャラクターはリリス。改めて見ると、スゲー衣装だなと。


（1巻）
でもカマを持ったキャラクターを操る梅原大吾にフルボッコされる。大貫の表情は、まさに負けが込んでいるギャンブラーのよう。これ以上、お金を溶かさないでー、みたいな感じ。


（1巻）
このあとも梅原大吾にほとんど勝てない。大貫の表情が悲壮感丸出し。画像は自分が編み出した必殺技「中足天雷（レイレイ）」を軽々と攻略されている時の画像。


（1巻）
梅原はビシャモンというキャラクターを使っていて、ガードキャンセルの連続。ガードキャンセルとは、ガードをしてる最中に特定のコマンドを入力すると相手に反撃できる技らしい。つまり梅原大吾を攻撃すればするほど、自分のゲージが減っていくという屈辱的な負け方。


（1巻）
そこで大貫は同じビシャモンを使って、梅原大吾に野良試合を挑む。同じ必殺技の掛け合いが行われると、「ぬるいわ！」の応酬。ちょっとしたコメディー。結果、大貫は勝利。歓喜の表情を浮かべるものの、すぐその後に行われた大会では、梅原大吾が圧勝。大貫の戦法はすぐさま対応される。

戦えば戦うほど梅原大吾は強くなっていく。最強にイヤなヤツ（笑）

将棋やチェスで展開される頭脳戦に近い

もう何やっても勝てない大貫。でも昔からストリートファイターだけには自信があった。前述の「ただのガン待ちかよ…あれで強いとか寒くね？」という梅原に対するセリフも、ストリートファイターに関して。

1998年に発売された『ストリートファイターZERO3』でガードクラッシュというシステムが導入される。防御する度にゲージが溜まっていく。ガードキャンセルとは逆に、一定程度それが溜まるとガードが崩れてしまうというもの。つまりガードで逃げ切ることは不可能。

そのガードクラッシュに目をつけたのが大貫。

（1巻）
そして「数あるキャラクターの中でリーチが長く、判定も強い。ゲーム中屈指の性能を誇る遠立ち大キック。ガードクラッシュ後の一瞬のスキに効果力のコンボを叩き込める」さくらで打開法を編み出す。

相手を倒すには自分はどうすればいいか？という試行錯誤は、将棋やチェスで展開される頭脳戦に近いものがあります。でもこういった試行錯誤を一瞬で打破してしまうのが、梅原大吾。さしずめ将棋でいう「羽生善治」といったところでしょうか。

総合評価

カプコンキャラクターなど実在するゲームキャラクターがたくさん登場するので、当時（現在も？）ハマっていた方は感情移入しやすいかも。自分はお金がなかったので友達のプレイをひたすら見てるだけでしたが。押切蓮介のマンガとは違って、きっと許諾は得ているはず。外野から見た「梅原大吾像」もアプローチとしては面白いと思いますので、ウメハラファンならどうぞって感じでしょうか。

ちなみに今更ですが大貫晋也は実在してるの？



◯展開★3.5◯テンポ★4
◯キャラ★4◯画力★4
◯全巻大人買い★3.5
◯おすすめ度…80点!!!!