『テガミバチ』1巻から18巻のネタバレ感想。作者は浅田弘幸。ジャンプスクエア(集英社)で連載中のファンタジーマンガ。テガミバチ19巻が発売される直前の今年4月に旧ブログでアップした記事。

あらすじ

舞台は夜が明けることがない国・アンバーグラウンド。ただその上空には煌々と照らす「人工太陽」だけがあった。

テガミバチ3巻 ラグ・シーイング
(3巻)
主人公はそのアンバーグラウンドに住む、ラグ・シーイング。通称「テガミバチ」と呼ばれる国家公務郵便配達員(BEE)。人々が思い込めて出した「テガミ」を各地に配達してる。基本的に対象物はなんでもよくて、紙の手紙以外に届けることも多い。

テガミバチ9巻 鎧虫
(9巻)
ただアンバーグラウンドには鎧虫(がいちゅう)と呼ばれるモンスターがたくさんいる。人間の心が大好物で襲ってくるんですが、逆に人間の心を急所に打ち込まれると弱い。そこでテガミバチたちに用意されているのが「心弾銃(しんだんじゅう)と呼ばれる武器。ここに自分の思いを込めることで強力な攻撃を放てる。

テガミバチ6巻 赤針・心弾銃
(6巻)
主人公のラグ・シーイングの必殺技は「赤針(アカバリ)」<。この赤針が当たった場所に込められた人々の記憶や思いを具現化できる。他の心弾銃とは一味違って、この特殊性を利用したストーリーの展開も多い。

とはいえテガミバチの戦闘能力はそれでも知れてるので、相棒(ディンゴ)が必ず一人ぐらいは連れ添ってる。
テガミバチ1巻 ニッチ
(1巻)
ラグ・シーイングの場合は、ニッチと呼ばれる伝説の生物『摩訶(まか)』と人間のハーフ。元はといえばテガミとして運ばれていた。

自分の髪の毛を自在に操ることが出来て、ほとんど敵なしというぐらい強い。何故か基本的にノーパンで、ラグ・シーイングにはデカパンツをほぼ強制的に履かされてる。5巻では特撮映画風にシャキーンとデカパンツを履くシーンは笑った。

だからバトルマンガ要素があると言えば大げさかも知れないですが、結構アクション描写が展開されることも多いマンガ。

心を揺さぶる展開

作中に登場する「テガミ」は「人々の心や思い」をカタチにさせたものとして描かれてる。テガミを出すモブキャラたちが何故テガミを届けたいのかという強い思い、またそういった背景や因縁をストーリーとしては重点的にオムニバス形式風に展開。

テガミバチ4巻 泣けるオチ
(4巻)
だから結構感動できるオチやクダリも多い。主人公・ラグシーイングの「思い」を映像化できる必殺技・赤針を利用した展開が上手い。

テガミバチ9巻 泣けるオチ
(9巻)
例えば9巻だとラノワという男はテガミを受け取ろうとしなかったのか、そして何故ラストは涙をながすほどラグ・シーイングに感謝をしているのか。読めばきっとグッと来るかも。17巻だと捨てられた野獣豚・ぽんたのクダリも好きだった。

そして中盤ぐらいまでのストーリーの大筋は、ラグの師匠・ゴーシュとのクダリが描かれる。ラグをテガミとして運び、ラグにテガミバチになりたいと思わせた重要人物。
テガミバチ5巻 ゴーシュことノワール
(5巻)
ただゴーシュは優しく気高かったんですが、ある時を堺に「こころ」を失って悪の道に走る。テガミバチと反目するリバースという組織のノワールとして暗躍しだす。

最終的にゴーシュとしての心を取り戻して、ラグと再び仲が良くなったかと思いきや…みたいな切ないストーリーが展開されて、特に女性読者層は涙しそう。

人工太陽というナゾ

最新のストーリーとしては冒頭にも書いた「人工太陽」がメインになる。

テガミバチ12巻 人工太陽とは?
(12巻)
ゴーシュ(ノワール)たちリバースが暗躍する理由や背景には、この人工太陽の破壊がある。

テガミバチ16巻 人工太陽とは?
(16巻)
人工太陽は人々を明るく照らしてたんじゃないの?ってことなんですが、実は人々の心を奪っている生き物。もっと厳密に言えば、冒頭にも書いた鎧虫の一種。ゴーシュの心が奪われたのも、この人工太陽が原因。

政府はその人工太陽に人々から奪った心を注入し続けてる。その親玉である女帝が、ラグ・シーイングの母親でもある。
テガミバチ18巻 ロレンス「人工太陽を倒す」
(18巻)
そんで現時点では、人工太陽と女帝であるラグの母親を倒すか倒さないか、というクダリが始まってる。

敵意を向ける対象が不明?

ただ誰に敵意を向けていいか分からない。

最初は政府に反抗するリバースが悪者かと思いきや、実はリバースの目的には正当性があった。そのリバースが反目する政府が最終的な悪玉かと思いきや、またその背後に鎧虫・スピリタス(人工太陽)という巨大な悪玉がいる。

むしろ人工太陽こと鎧虫・スピリタスの羽化を阻止してる。「人工精霊計画」と呼ばれる計画を進め、リバースのロレンスやジールといった多くの犠牲は出しつつも、目的自体はそこまで不当とも言えない。基本的にやろうとしてることは、リバースとあまり違いない。

ラグ・シーイングといったテガミバチも、リバースのロレンスやジールとも戦うのかと思いきや、結局18巻まではグズグズしてて一切何も起きない。ボスっぽく煽るんだけど結局戦わずじまいというのも多くて、設定してややスッキリしない。

ここ5~8巻程度は人工太陽という大オチに至るまでをひたすら淡々と説明してるだけで、盛り上がりや山場は少なくてもったいない感じはした。後半の展開や遅いのか逆に駆け足なのか分かりづらいですが、ややモヤモヤする部分もある。

総合評価

『テガミバチ』は絵柄やノリ、世界観も含めて、全体的に女性読者が好きそうなファンタジーマンガ。作者の浅田弘幸自身も5巻で「毒なし」のストーリーを目指してると発言してるだけあって、「うわっ」となることは少ない。

でもしっかりしたアクション描写が多いので、男性読者も普通に楽しめる。豊富なアクション描写のおかげか、全体的にテンポ感もあって良い。また一つの展開をしっかりシンプルに描き切って、読んでて混乱することはファンタジーマンガとしては少なめ。ムダに出し惜しみもしないので読後感は悪くない。惜しむらくは後半の展開であり、最終ボスの存在。モヤモヤ。

ただそれでも画力やキャラ作りや一つ一つのエピソードなど、全体的にはクオリティーが高いマンガだと思いました。


◯展開…★4◯テンポ…★5
◯キャラ…★4◯画力…★4
◯全巻大人買い…★4
◯おすすめ度…87点!!!!