『葬送 -2011.3.11 母校が遺体安置所になった日-』のネタバレ感想。作者は村岡ユウと石井光太。出版社は秋田書店。

あらすじ

『葬送~2011.3.11 母校が遺体安置所になった日~』というタイトルから分かるように、東日本大震災がテーマのマンガ。その中でもリアルな…もはや残酷といってもいいぐらい「悲惨な被害」に焦点が当たってるマンガ。

主人公の貴子は、歯科医院の助手。それが体育館にたくさんの遺体が集められて、検死の作業に当たる。この場面はえげつないぐらいリアルで残酷。画像は貼りませんが、死後硬直で口が開かない。何故被害者が口を閉じてたかといえば、津波の濁流を飲み込まないため。

葬送 悲惨な現実
他にも胴体しかない場合は、タオルか何かで頭部を作ってあげる。思わず、なんとも言えない気分になる。絵柄は派手じゃないからこそ、真に迫る「現実」があって、どんなマスコミ報道より価値はある描写。

思わず胸が詰まるセリフ

そういう悲惨な被害を克明に描いたからこそ、キャラクターの内からあふれるセリフに思わず胸が詰まる。

葬送 泣ける1
主人公の貴子は昔お世話になった社長を発見して、「私が知ってる社長は…こんなに老けてないもん…」というセリフには、生前どれだけ親交があったか想起させる。それゆえに悲しみがこちらにも伝わってくる。

葬送 泣ける2
また貴子が現在働いてる歯科医院の院長は、歯型で個人を特定してる。逆に歯型以外の情報では個人を特定できない状態。そこで昔からの親友を発見する。

その時、貴子に思わず言う。「友達100人できるかなって歌あるだろ?俺子供の頃はそんなにいらねぇって思ってたんだ」
葬送 泣ける3
でも、やっぱり友達100人…いたほうがいいな
それだけ友達や知り合いを多く一瞬で亡くした事実が伝わる。

総合評価

マスコミでは絶対報道できない、マンガだからこそ描ける現実がここにはある。いかに東日本大震災が悲惨だったか、いかに普通の一般市民が犠牲になったのか、それがよく伝わる。

葬送 メールの有り難さ
だからこそメール一つでもすごく心が温まって安心できる、というクダリはものすごくリアル。メールは冷たいコミニュケーションツールと言われがちですが、文字情報だけとはいってもその先には確実に血の通った人がいる。そういった当たり前のことにも改めて気付かせてくれる。


◯展開…★4.5◯テンポ…★4.5
◯キャラ…★3.5◯画力…★4
◯おすすめ度…88点!!!!