『少女不十分』全3巻のネタバレ感想をレビュー。作者は西尾維新(原作)とはっとりみつる(作画)。掲載誌はヤングマガジン。出版社は講談社。ジャンルは青年コミックのサスペンス漫画。絶賛AmazonのKindleでもダウンロード購入が可能です。

『少女不十分』は西尾維新が2011年に発表した小説なんですが、それを2015年にはっとりみつるがヤングマガジンでコミカライズしたらしい。その漫画版にあたる『少女不十分』がつい先日完結、単行本コミックスの最終3巻も数週間ほど前に発売されました。

そこで漫画版『少女不十分』が面白いかつまらないか全巻まとめて考察してみました。ちなみに私事ですが「新型セレナ VS ステップワゴン」や「パッソ VS イグニス」といった車種比較記事を何個か増やしていくつもりなので、再び自動車ブログ「くるまン。」に時間を割くようになるかも知れません。


「少女不十分」のあらすじストーリー・登場人物

主人公は小説家の「僕」。10年前に起きた出来事を回想する、という形式でストーリーが進行されます。

少女不十分1巻 あらすじ1
(少女不十分 1巻)
この「僕」は10年前はどこにでもいる小説家志望の大学生だった。文章を書くのはスラスラと早いものの、そこから出来上がる内容は毎回至って平凡なものばかり。

まさに「いかにも小説家志望が書きそうな薄っぺらい内容」しか書けず、つまりはプロの小説家が紡ぎ出す『物語』を作れなかった。当然出版社に現行を持ち込んでも、持ち前のコミュ力のなさも手伝って「良い返事」を貰えることはなかった。

そんな小説家志望としてくすぶっていた僕が偶然出会ったのが、当時小学4年生だった「U・U(仮名)」という少女。少女自身は自らの名前を名乗っているが、あくまで『物語』ではなく『事件』や出来事であるから公開するわけにはいかない(という設定)。

この「UU」と「僕」が出会ったのはまったくの偶然だった。

少女不十分1巻 あらすじ2
(少女不十分 1巻)
いつものように出版社に持ち込んで良い返事がもらえなかった帰り、僕の目の前でランドセルを背負った二人の女子小学生がトラックに巻き込まれる交通事故が発生する。一人の少女は身体が完全にバラバラに損壊。誰が見ても死亡したのは明らかだったが、一人の少女だけは無傷で生き残った。

あまりに衝撃的な事故だったことも手伝って、すぐには動けずに呆然とする僕。そこで生き残った方の少女をふと見ていると、更に異様な光景を目の当たりにした。

少女不十分1巻 あらすじ3
(少女不十分 1巻)
何故なら生き残った少女は遊んでいた携帯ゲーム機を一度セーブ。更にそのゲーム機をランドセルの中に丁寧にしまってから、亡くなった友達の元へ駆け寄ったのだ。明らかに常軌を逸した順番。見ようによれば冷静沈着な判断、いや一種の演技とも思える行動の意図は何だったのか。

少女不十分1巻 あらすじ4
(少女不十分 1巻)
つまりこの不気味な少女こそが「U・U」である。ちなみに画像で持っているのは友達の首ですから、この時点でも常軌を逸してるといえば常軌を逸してる。

もちろん『事件』はここで終わらない。何故なら僕がUUという少女を見てしまったように、UUも僕という大学生を見てしまったからである。「見てしまってはいけない」ものを見てしまったように、「見られてはいけない」ものを見られてしまったのだ。

少女不十分1巻 あらすじ5
(少女不十分 1巻)
そして僕はUUによって監禁されてしまう。「こうするしかないんです。閉じ込めて飼うしか」とポツリ。そこから「女子小学生」と「男子大学生」の異様な監禁生活が始まる。何故少女は監禁しなければいけないのか?その目的は?何故少女は友達を見捨てるような行為を取ったのか?

『少女不十分』はそういうサスペンス仕立てな内容のマンガになります。


最終回はキレイにオチてる

『少女不十分』のボリュームは全3巻ということで、最終回のネタバレについては割愛します。西尾維新の原作小説のストーリーがそもそも短いのか、正直『少女不十分』の中身はそこまで濃い or 長いものではありませんでした。なおさら最終話に関するネタバレは避けた方が良いと考えます。

ただ一切何も触れないというわけにはいかないので、『少女不十分』の最終回についての簡単な感想を書いておくと「ラストのオチは一応きれいにまとまっていた」と思います。さすがに西尾維新が原作ということで大きく「外し」てくることはしてきてません。

少女不十分3巻 最終回
(少女不十分 1巻)
最終話では主人公の僕がU・Uのためにたくさんの「物語」を即興で作っては読み聞かせしてあげる。このことがキッカケで小説家として欠けていた「何か」を見つけ、僕は小説家として必要な「何か」を手に入れることとなる。言ってしまえば小説家としての本質に気付く。

そして「事件」を機に小説家として成功した僕は10年後…という終わり方。小説好きの読者や西尾維新好きの読者なら、どういったオチが待っているか簡単に予想が付きそうですが、何の意外感もなく想像通りのベタなオチが待っていると思います。でも『少女不十分』の読後感は決して悪いものではありません。


「少女不十分」の総合評価 評判 口コミ


ただ『少女不十分』全3巻のネタバレ感想をまとめると、そこまで駄作でもありませんが正直そこまで面白いとも思いません。読み切りマンガ的なテイストが強く、内容はやや薄っぺらい。わざわざ全3巻まで費やす必要性があったとは感じなかった。もっと全1巻2巻程度のボリュームで完結させることはできなかったのか。

特に『少女不十分』で致命的だったのが「緊迫感のなさ」。主人公・僕の語りで緊張感を作ろうとはしているものの、大げさな表現や口ぶりに空々しさを感じざるを得ない。もちろん『少女不十分』1巻1話の出だしではある程度成功していた気がしますが、サスペンス漫画として読むなら「じりじり感のなさ」は読み味として全然物足りない

また物語としての起伏に乏しく山場となりそうな場面も少なく、下手にダラダラと読めてしまう分だけに緊迫感のなさがより際立ってしまったカタチ。やはり「僕」に敵意(?)を向けてくる対象が「女子小学生」だったので設定的な難しさがあったとは思いますが、だからこそサクッと1巻程度で完結すべきだったのかも知れません。

やはり『少女不十分』は小説やラノベだから成立している・していた作品と言えそう。西尾維新の原作を読んでないのでその論評は避けますが、小説を読む「ゆっくりとしたスピード」だから成立する世界観だったのかなと思います。どうしても漫画やコミックだと読むスピードが早いので、正直テンポ感がやや遅く感じた。

また漫画はキャラクターなどを視覚化・ビジュアル化する以上、どうしてもツッコミどころもチラホラと目立った。

例えばU・Uと友達が二人で歩いていた横からトラックが横断してきた冒頭シーン。おそらく原作小説の『少女不十分』だったら文字情報だけなので読者はそこまで気にならなかったはずですが、二人はガッツリと横並びで歩いてた。じゃあ何故U・Uだけが完全に無事だったのは解せない。

他にも最終回のオチを読むとわざわざ仮名にする必要なかったやんなど、そういった部分はテンポ感で誤魔化してくれれば良かったんですがそれについては前述の通り。西尾維新が好きで原作小説しか読んだことがないという読者ならおすすめか。全22巻もある『めだかボックス』と違ってサクッと買い集めやすいでしょう。