『進撃の巨人』19巻のネタバレ感想。作者は諫山創。別冊少年マガジン(講談社)で連載中の漫画。面白いか否かの考察レビューもおヒマなら。


ウォール・マリア奪還作戦は成功するか?

ウォール・マリア奪還作戦の続き。ウォール・マリアは人類に残された領土の3割強ほどを占めていた。領土では作物を育てて食糧を確保したり、それだけ取り返すことには人類にとっては大きなメリット。更にはウォール・マリア内には、主人公・エレンの父親が遺した地下室がある。そこには世界の秘密、巨人の秘密が隠されているのではないかということ。

無事18巻ではウォール・マリアに開けられた穴をエレンの力で防いだものの、猿の巨人(ジーク戦士長)や鎧の巨人(ライナー)たちに襲撃を受ける。ライナーたちの目的は、エレンが保有する「巨人を操作する力」。

進撃の巨人19巻 ウォール・マリア奪還作戦の現状
(進撃の巨人 19巻)
一応、現状としてはウォール・マリア壁上を中心として、主人公・エレンやリヴァイ、エルヴィンたちが取り囲まれている状態。最初ライナーはエレンたちの馬を殺そうとする。足さえ奪ってしまえば、もう逃げ場はない。あとはジワジワといたぶるだけだった。

でもライナーたちの目的であるエレンが巨人化して、エレンだけが脱走(?)を試みる。そうすることでライナーの目標は馬からエレンに移さざるを得ない。もちろんエレンたちの罠であり、その狙いは成功する。

進撃の巨人19巻 エレン VS ライナー1
(進撃の巨人 19巻)
そして再びエレン VS ライナーが相見えます。ついに因縁の二人が決着を迎えるとき。


ライナーの鎧をぶち壊せ!!

進撃の巨人19巻 エレン VS ライナー2
(進撃の巨人 19巻)
相変わらずバトル描写は上手いです。コマ割りや構図など読みやすい。それでいて迫力があって、しっかり手に汗握らされる。『進撃の巨人』はストーリーが面白くなかったとしても、こういったアクションやバトルだけでも人気は出ただろうなと。

ライナーの「鎧の巨人」はとにかく防御力が強かった。全身が硬質化してしまってる。まさに鎧の巨人の名に相応しい。11巻で二人が戦った時も、エレンは打撃ではライナーにダメージを与えることはできなかった(腕ひしぎ十字固めといった関節技でライナーにダメージは与えることはできた)。

進撃の巨人19巻 エレンの硬質化パンチ
(進撃の巨人 19巻)
でもエレンも硬質化する能力を得た結果、コブシを硬質化させることでライナーの顔面を見事にバキバキに粉砕。ハンターハンターの念ではないですが、硬質化させる部分の面積が少ないほどより硬質化する。全身を硬質化させているライナーがまとう鎧は、もはや薄氷並。「お前にはここがどこだか分かるか?ここはオレたちの故郷があった場所だ!」と吠えるエレンが胸熱。

進撃の巨人19巻 エレンをぶん投げるライナー
(進撃の巨人 19巻)
ただライナーも負けず劣らず。今度は逆にエレンを投げつけるんですが、このシーンはヤバかった。今まで格闘漫画とかでありそうなシーンですが、意外に全くありません。どうしても人間同士で戦わせると、なかなかこういう発想に至らないんだと思います。

『進撃の巨人』の世界観はファンタジーと言ってもいいと思いますが、いかにもなアイテム(魔法など)を使わなくてもここまで魅力的なバトル描写を描くことは可能です。

進撃の巨人19巻 雷槍を食らうライナー
(進撃の巨人 19巻)
ただライナーにトドメを刺したのはエレンではなく、ハンジが開発した「雷槍(らいそう)」という武器。中央憲兵が隠し持っていた新技術を利用。電気的なパワーを使ってるのか、単なる火薬みたいなんが詰まってるのかは知りませんが、とにかくヤリを突き刺して安全ピンみたいなんを抜くと爆発するっぽい。

この雷槍を次々と刺されて、ライナーの頭が吹っ飛んでしまう。ついにライナーが死亡?


マルコ・ボットは見てしまった

…ってところで回想。1巻でウォール・ローゼが襲撃された場面まで戻ります。鎧の巨人であるライナーと超大型巨人のベルトルトが首謀者だったことは言うまでもありませんが、
進撃の巨人19巻 マルコ・ボット1
(進撃の巨人 19巻)
この二人の会話をマルコ・ボットが偶然聞いてしまった。しかも「俺の巨人ってなんだよ?せっかく空けた穴とか言ってなかったか?」と、ちゃっかり核心部分を聞いていた。ライナーとベルトルトの表情が場の緊張感を膨らませます。お前らホンマ、ドジっ子やねんから!!

この時は当然「巨人化できる人間がいる」というのは周知の事実ではなかったので、ライナーは冗談やがな(苦笑)と誤魔化す。マルコは「状況を考えろよ!気は確かか!」と激怒。多少疑問に思いつつも巨人駆逐のためにその場を離れる。

ただ直前にエレンが巨人に変身済みだった。マルコは考える。「超大型巨人は突然現れて突然消える。もし巨人が人間だとしたら、どこかに人の姿をした敵の巨人がいるってこと。それは…
進撃の巨人19巻 マルコ・ボット2
(進撃の巨人 19巻)
ってところで、マルコはライナーによって捕縛されてしまう。「お前は察しが良いからダメなんだよ」と鬼気迫る表情に、マルコも思わずは「ひっ…誰かァァァ」。そこへ女型の巨人であるアニが到着。マルコは「ライナーがおかしいんだ!助けてくれ!」と叫ぶものの、アニはマルコを敢えて無視してライナーを「あんたらの不始末だ。私は関係ない」と責め立てる。

しかし、そこへ巨人が襲来。ライナーやアニは巨人化できるものの、巨人に襲われないというワケではない。ライナーは秘密を知られた以上、マルコを生かしておくわけにはいかない。人的な殺傷痕があればバレてしまうので、アニに立体機動装置を外して巨人に食わせようとする。でもアニは拒否。仲間としてマルコと過ごした日々から情が湧いていた。

進撃の巨人19巻 マルコ・ボット3
(進撃の巨人 19巻)
それに対して、ライナーは「この悪の民族に情が移っちまったからか!?お前とお前の帰りを待つ親父が穢れた民族と違うって言うんなら今すぐ証明しろ!」と激怒。

進撃の巨人19巻 マルコ・ボット4
(進撃の巨人 19巻)
巨人が至近距離まで近づいてきたこともあって、アニはマルコの立体機動装置を外す。絵的なグロさはないものの、マルコの叫びに吐き気を覚えます。アニも目がイっちゃってて、一心不乱にマルコの立体機動装置を外す様に狂気を覚えます。

マルコの「まだ…ちゃんと…話し合ってないじゃないかぁぁ」という最期の叫びが切ない。マルコはライナーやアニたちの目的や正体を何も知らないまま、巨人に食べられてしまう。マルコはかなり序盤に死んだんですが、何気に切なすぎるキャラクター。

進撃の巨人19巻 マルコとライナー
(進撃の巨人 19巻)
そしてライナーがやっぱり現実逃避。自分でマルコを追い詰めておいて、「オイ!なんで…マルコが…食われてる」と涙目。ライナーは見た目こそ厳つい風体をしてますが、中身はトップクラスの気◯い。ライナーのズタズタになった精神状態が回復することはあるんでしょうか?いずれこの設定も展開の中で活かされる気もします。


ベルトルト・フーバー降臨!

再び現代。ライナー(鎧の巨人)が倒されたということで、ベルトルト・フーバー(超大型巨人)の出番がやって来ます。

進撃の巨人19巻 ベルトルト・フーバー1
(進撃の巨人 19巻)
どこに隠れてるのかと思ったら、まさかの樽の中。猿の巨人に思いっきり投擲されるカタチで、ウォール・マリアの外から飛んでやって来る。斜め上すぎんだろ。

でもベルトルトは即座に超大型巨人化したわけではなく、まずライナーの生存確認。そうすると死んだと思ったライナーですが、実は生きていた。ただライナーは瀕死状態であることに代わりはなく、そこでベルトルトの中で何かが変わった。前述の回想シーンも然り、これまでナヨナヨクヨクヨしてたベルトルトが「覚悟」という武器を手に入れた。

進撃の巨人19巻 ベルトルト・フーバー2
(進撃の巨人 19巻)
アルミンが説得(揺さぶり)するものの、「もう君たちを前にしても大丈夫。君たちは大切な仲間だからちゃんと殺そうと思ってる。君たちは誰も悪くない。でも全員死ななきゃいけない。もうダメなんだ」と全く意に介さず。

ちなみに背後にいるのがミカサ。躊躇なく攻めてくるところがステキ。ベルトルトの淡々とした表情とそれに相反するような残酷なセリフと相まって、場の緊張感が途切れない。

進撃の巨人19巻 ベルトルト・フーバー3
(進撃の巨人 19巻)
ベルトルトは全てを達観。「すごく変な気分だ。恐怖もあまり感じていないし、周りがよく見える。きっとどんな結果になっても受けいられる気がする。誰も悪くない。全部仕方なかったんだ。だって世界はこんなにも残酷じゃないか」。

そしてベルトルトは空中で超大型巨人化。いよいよ初めの発端を作った男・ベルトルトとの最期の戦いが始まる。俯瞰的なアングルがステキ。絵的に飽きない。ここでそれを持って来ることで、超大型巨人の大きさも体感的に改めて伝わってきます。


総括


『進撃の巨人 19巻』の感想としては、うーん、安定して面白かった。別冊少年マガジンをリアルタイムで読んでしまったので若干冷静に読めた節もありますが、バトル描写は熱い。アングルや構図が単調ではないし、大振りにブンブン振り回す感じとかも巨人らしさが出てます。投げ技も使いこなしてて、全体的にそつなく上手い。

あとはキャラクター表にずっと掲載されていたマルコの謎もようやく解明されました。お互い相容れない立場だけれども、それまで過ごした日々を考えると簡単に割り切れない、そんな複雑な心理描写も巧みに描かれてました。特に思春期の少年たちってことで、そういう不安定に揺れ動く様は切なさを誘いますし、それ故に現実の残酷さが同時に浮かび上がって来ます。

それにしてもライナーの情緒不安定っぷりは相変わらず見てられませんが。いつもベルトルトに偉そうな態度を取ってるくせに、結果としてはベルトルトの方が精神的に安定してて大人という。そして『進撃の巨人 20巻』の発売日は8月9日です。そのベルトルト・フーバー(超大型巨人)との戦いが始まって、予告を見る限りは何かしらの決着が付けられるんだと思います。

進撃の巨人19巻 ドラえもんパロディー
(進撃の巨人 19巻)
ちなみに、いつものウソ予告ですが、まさかの「ドラえもんパロディー」だった件。

何よりジャンボ(ジャイアン的なキャラ?)は行方不明だよ?僕の四次元胃袋の中でね(笑)」ってセリフがただただ怖ーよッ!!更に言うと、一つ前のコマでは「安心しなよ。僕を裁く法律はないし、君が罪に問われることもない」って知能がムダにたけーよ!巨人が知能まで身に付けたら手に負えないだろ。

前巻に続いての登場ですので余程評判が良かったのかは分かりませんが、とりあえず諫山・F・創センセーはこの「デカ(巨人)えもん」をシリーズ化する気満々ですやん!20巻以降も絶対登場する勢いですやん!しずかちゃんのお風呂を覗いてるシーンは想像しただけでゾッとします…というか、しずかちゃん役は一体誰になるんでしょうか(笑)