『先生の白い嘘』1巻から6巻のネタバレ感想をレビュー。作者は鳥飼茜。掲載誌はモーニング・ツー。出版社は講談社。ジャンルは青年コミックのレ◯プを扱った漫画。AmazonのKindleでもダウンロード購入・試し読みが可能です。

『先生の白い嘘』の内容こそショッキングですが、別にB地区などが露出するようなこともないのできっと実写ドラマ化や実写映画化しやすいはず。おそらく『先生の白い嘘』は玄人好みの内容なので個人的に業界の方におすすめしておきます。

そこでいずれ実写化される日を願って超ロングパス的に、今回も『先生の白い嘘』という漫画が面白いかおすすめかつまらないか考察したいと思います。是非この感想レビューを読んで購入の参考にして下さい。

ちなみに本来は『先生の白い嘘』の記事はもっと早くに書き上げたかったんですが、おすすめの人気ハイブリッド車ランキング| くるまン。日産セレナの自動運転した場合の実燃費| くるまン。など自動車記事に時間が取られてしまって、ここまで遅れてしまいました。


ハングレ集団・DeNAが掲載した「先生の白い嘘」の記事が面白い

そういえば話がかなり脱線するのでスクロール推奨ですが、最近何かと悪い意味で話題のDeNAのスパムまとめサイト「puul」でも、この『先生の白い嘘』も記事化されてました。現在は公開停止中ですが、なかなかツッコミどころ満載。

DeNA puul パクリ 先生の白い嘘 イメージ画像
「orange」という馬鹿ライターが作ったゴミ記事を読んでると、初っ端の『先生の白い嘘』の登場人物の紹介に、まさかの「イメージ画像でお送り致します」から盛大に笑わせてもらいました。それこそ最初実写化でもされるのかと思ったら、全然関係ないモデルの女性(いわゆるフリー画像素材)。

どうやら主人公・原美鈴を説明してる場面らしいんですが、共通点はメガネだけ。せめて髪型をポニーテールにするとか、もっと似せたモデルを探してこいと。他の登場人物も全然似てないモデルの画像ばかり貼ってある。

案の定、DeNAはネット上から薄っぺらい情報をかき集めてるだけなので、『先生の白い嘘』について大した情報も書かれてない。コイツラはマンガの内容を読んでないのは当たり前。これで検索上位に表示されるんだから迷惑千万。

しかも随分前に自分が『テラフォーマーズ』が面白いかつまらないか考察したんですが、その記事のコメント欄にpuulの記事のリンクを貼りつけて「もっと勉強しましょう」と説教を垂れてきやがったDeNAのアホ社員がいました。

コイツのすごいところが、そのpuulの記事が俺の『テラフォーマーズ』の記事をそのままパクってるということ。さすがに爆笑しました。同人作家がオリジナル漫画を描いてる作者に「俺の作品をパクるなよ」と抗議してるようなもんですから。

たまに自分のブログに批判的なコメントも頂いたりしますが、それにしても俺の記事をパクッておいて俺に直接説教を垂れるかねと。もちろんそのコメントはすぐ削除しちゃいましたが、さすがにこんな堂々とした宣戦布告を初めて見ました。

meryやwelqなど、DeNAのような社会の何の役にも立ってないゴミ企業の社員が「先進的でクリエイティブな企業活動してます」とドヤ顔してるのが本当に失笑もの。所詮は渋谷ヒカリエで残飯と空き缶集めするしか能がない、ホームレスまがいの分際ですから何をか言わんや。

きっと横浜ハジシラーズ球団を運営する企業のことでから、いずれスパム記事を再掲載してくると想像されるので、それまでに自分が『先生の白い嘘』のまともな考察記事をレビューしたいと思います。伏せ字が多いのはご愛嬌。


先生の白い嘘のあらすじ物語 ストーリー内容

少し話が脱線しましたが、『先生の白い嘘』の主人公は原美鈴(はらみすず)。桜丘高校で働く24歳の女教師。見た目は地味で性格も内気だったため、生徒の誰もが原美鈴のことを恋愛に疎いと思っていた。ただ原美鈴は冴えない見た目とは反して、誰にも言えない過去を抱えていた。

先生の白い嘘1巻 あらすじ 原美鈴 レイプアングル
(先生の白い嘘 1巻)
それが初めて処女を喪失したのがレ○プだったということ。しかも相手は原美鈴の友人・渕野美奈子の彼氏である早藤。タイミングも美奈子の引っ越しを2人で手伝っている日に、美奈子が少しだけ外出した一瞬。実は早藤は処女ばかりを狙うレ○プ常習犯。

ただ原美鈴は早藤への憎悪を抱くというより、自分の弱さに幻滅した。そして「私が女のせいでこんな目に遭う」と自身の『女性という性別』に対する嫌悪感が増大していく。はてには原美鈴は「女性である自分を幸せにしていいはずがない」と強固な考えを築き上げる。

先生の白い嘘1巻 あらすじ 新妻祐希
(先生の白い嘘 1巻)
そんな原美鈴の前に現れたのが新妻祐希(にいづま)という一人の生徒。新妻はバイト先の社長の奥さんからホテルに連れ込まれて、無理やりセクロスさせられてしまう。そのトラウマから女性のアソコが怖くなり、男性機能が一切働かなくなった。

原美鈴は普段から生徒たちにやや下に見られていたが、「先生」という立場から優劣を比較しあう様をどこか冷めた目で見ていた。当然先生を演じるために、自らの感情を吐露する経験もなかった。

しかし、この時だけは違った。

先生の白い嘘1巻 あらすじ 原美鈴
(先生の白い嘘 1巻)
新妻に対して涙を流しながら「アンタが怖いのは女のアソコじゃない…男に生まれてしまった自分自身によ」と本音全開で問い詰める。

「アンタはホテルで男と女が平等じゃないって知ったのよ。女から正しさを奪って、女から自由まで奪ってしまえる不条理な力を持ってることを誰かに許されたいだけ。男であることを許してほしいだけ」。

「でも大丈夫。そのうちすぐ慣れる。これから沢山の女をみにくく汚して生きていくのだから。そういう風にしか男は生きられないの。そんなの誰も許してくれるわけがない」と辛辣そのもの。何故同じレイプ被害者であるにも関わらず、立場が男と女というだけでこうも反目し合うのか。

そこには男と女が生まれ持って抱える「性の不平等」があった。『先生の白い嘘』とはまさに「性差の絶対的不均衡」をテーマにした漫画になります。レ○プされた女性は一体何に苦悩し、どんな問題に直面するのか。性をめぐる罪と罰、許すべき傷と許されざる蛮行、ほじくられる過去と穴。セ○クスとは何か、人を愛するとは何か、女の価値とは何なのか。

被害者が抱える透明の傷跡が語りかける残酷な現実を深く描写した内容には、思わずムナクソ悪くなる部分も多くてやや閲覧注意ですが、色んな示唆に富んでる漫画でおすすめ。いわゆる「魂の殺人説」が事実なのかも含めて読んでみることをおすすめします。


「このマンガを読め!」でおすすめされた漫画

ちなみに『先生の白い嘘』は2015年に「このマンガを読め!」で8位に選ばれた漫画らしい。世の中には色んな漫画の賞レースがありますが、割りと有名な「このマンガがすごい」ではありませんのでご注意を。


エロいシーンが全然エロくない理由

『先生の白い嘘』ではレイフ゜描写にハッとさせられることが多い。

ただいかにも下世話なエ口漫画のように直接描写せずに、とにかく「男のヒドい描写」を間接的に描く。あらすじだと自分の股間から流れ出た血液越しに早藤の背中を描く。背中を描くことで主人公・原美鈴の孤立感が余計に際立ちます。

先生の白い嘘4巻 レイプ描写 原美鈴 早藤
(先生の白い嘘 4巻)
早藤の背中の別パターンですが、コチラは明らかにガッツリとハメてると思しき場面。原美鈴の「あれに捕らえられた私が幸せになっていいわけがないじゃない」というセリフが何とも印象的。

先生の白い嘘2巻 レイプ描写 原美鈴 早藤
(先生の白い嘘 2巻)
他にも原美鈴の髪の毛をブチブチ。改めて確認しておくと『先生の白い嘘』の作者・鳥飼茜は女性。男性マンガ家でも「髪の毛」というアイテムを使った人は少ないんじゃなかろうか。

先生の白い嘘1巻 原美鈴 レイプ 表情
(先生の白い嘘 1巻)
他にも被害にあった女性の「表情」も抜群。画像は原美鈴。ズレた眼鏡具合などもリアル。

先生の白い嘘2巻 早藤と山田玲菜 トイレで立ちバック
(先生の白い嘘 2巻)
山田玲菜という女性の表情もヤバイ。相手はやはり早藤という男。合コンで知り合ったSJの山田玲菜に対して、いきなり居酒屋のトイレで立ちバック。おいおいおい。文字にしただけでも割りと強烈。

女性はことごとく「暴れない」のもミソ。いわゆる「ワーキャー」と叫んだりしない。いざという時は「男の威圧的な暴力」に大人しく屈服するだけ。これが妙にリアルに映る。見事に女性の心情が投影されてるとしか思えず、嫌なゾクゾク感しか覚えない。

特に注目したいのが「鼻の穴」。意外と女性の恥部とも思える部位だと思うので、そこを惜しげもなく表現したがるのは女性マンガ家ならではの視点ではなかろうか。だから逆に言えば、漫画的にエロいシーンになるであろうエロいシーンはエロくない。鼻の穴なども、かえって男読者からしたら冷めてしまうシーンでしょう。


早藤という最強のクズ男

何度も既に登場してきた男が早藤(はやふじ)。この早藤がとにかくクズ。男の自分から見てもクズ。

早藤には美奈子という婚約者がいる。でも早藤が性のはけ口にしてるのは、美奈子以外の女性ばかり。この時点でなかなかのクズですが、美奈子が迫っても「疲れてる」の一点張り。

先生の白い嘘2巻 早藤 最低発言
(先生の白い嘘 2巻)
挙句の果てには「俺そういう迫られるとかされると余計に引く」とバッサリ。男でも同じことを言われると傷付くかも知れませんが、特に女性は勇気を出して自分から誘ったのにこんなこと言われたらトラウマものでしょう。

先生の白い嘘6巻 早藤イズム2
(先生の白い嘘 6巻)
前述の山田玲菜から別れのメールが来たときは、「うわキンモ!要らね」と連絡先を消去。「キンモ」っていう言い方が最高すぎます。作者・鳥飼茜がきっと自分が言われたら嫌なセリフをまんま早藤に言わせてる感があり(笑)

『先生の白い嘘』の最新ストーリーをネタバレしておくと、原美鈴と新妻という男子生徒が最終的に仲良くなる。あらすじでは対立してるかのように書きましたが、同じ傷を抱えてるからこそ徐々に理解し合う。これについては更に後述。

先生の白い嘘6巻 早藤イズム
(先生の白い嘘 6巻)
二人が仲良くしてる光景を見た我らが早藤はどうしたか。原美鈴と一度ハメドリした映像をチラつかせて「二人のプレイを見せろ」などと脅してくる。いわゆるリベンジポルノの最凶版。

他にも早藤は前述の山田玲菜を山へ捨てようとしたり、もう手がつけられない。「女なんかバカで口答えできないくらいがギリギリ相手してやれてんのに、余計な知恵つけて体は劣化ってソレどこに需要あんの?」など最低なセリフも満載。これを女性のマンガ家が考えてるってのがまた面白い。


女性キャラクターもクズばかりだが…

ただ早藤だけクローズアップしてみましたが、意外と女性もクズ。むしろ『先生の白い嘘』はそこがポイントになりそうな漫画。

先生の白い嘘5巻 山本玲菜
(先生の白い嘘 5巻)
例えば山田玲菜。SJ喪失が早藤の立ちバックだったわけですが、そこから何故か早藤にベタ惚れ。山を捨てられそうになった時には、首を絞められながらも「馬鹿かもしれないけど愛してるから」と涙ながらに好きでいさせてと懇願。最終的に山田玲菜は妊娠した早藤の奥さん・美奈子に中絶薬を飲ませようとしたりする。おいおいおい。

「お前ら女は全員馬鹿なんじゃねぇの?」「人間以下の扱いされてんのにヘラヘラ笑って済まそうとしやがって幸せだ?」「頭と腹ん中怒りと絶望で真っ黒なくせにそれでも自分だけは幸せなはずだってか?」という早藤の最低すぎるセリフも思わず腑に落ちます。

そもそも主人公・原美鈴からしてどうしようもない。何故ならSJ喪失後も早藤に何度も関係を迫られても拒否しない。

先生の白い嘘2巻 原美鈴の喘ぎ表情
(先生の白い嘘 2巻)
嫌がるどころかむしろ気持ち良い。表情からして紅潮しまくり。「アソコはやる気マンマンだよ-」とスマホでパシャパシャ撮影されても表情はあながち満更でもなかったり。

先生の白い嘘4巻 原美鈴 すぐ感じるー
(先生の白い嘘 4巻)
というか、すぐ感じちゃう。どんだけ敏感やねん。早藤に服をぐいっとされただけ。

先生の白い嘘3巻 無様な美奈子を見下す
(先生の白い嘘 3巻)
ただ早藤との行為は気持ち良いだけではなくて、原美鈴にとって行為そのものが早藤のお嫁さんであり、自分の親友である美奈子に対する「当てつけ」や「復讐」になってるから。

美奈子はいわゆるモテ女。ただ自分を引き立たせるためだけに、地味な原美鈴を隣に置いてた。このことが苦痛だったものの、皮肉なことに早藤に犯されることで立場は逆転し、「早藤に抱かれる女(原美鈴)」と「早藤に抱かれない女(美奈子)」という図式が完成。

原美鈴は美奈子を見下せる立場が与えられ、しかもこの上下関係を知らないのは美奈子だけ。そのことが更に原美鈴に優越感に浸らせる。「あの吐気がするような悪魔から、私は美奈子を見下す座席を与えられたのだ」というセリフが何とも印象的。


救いようがない女たちの快楽という膿

まさにクズ女ばっかり…と言いたいんですが、結局何が問題かと言えば「女のアソコはどうやっても気持ち良くできてる」ということ。誤解を恐れずに言いえば、どうやってもレイ○されたとしても女性のアソコは気持ち良くなるようにできあがってる。

先生の白い嘘1巻 早藤「何故逃げないの?」
(先生の白い嘘 1巻)
逃げないでそこに居続けたのはなんで?」という早藤のセリフにも代表されるように、少なくとも早藤の暴力的なセ○クスから女性たちの多くは逃れようとしない。それはひとえに「恐怖」で支配されてるというより「快楽」で支配されてしまうから。

先生の白い嘘1巻 原美鈴 自分のアソコに嫌悪感
(先生の白い嘘 1巻)
だから原美鈴も自分の股間を見ながら「最低死ねばいいのに」と、どちらかと言えば早藤というより自分自身(の股間)に敵意を向けてるのはそういう理由。『先生の白い嘘』の作中の表現を借りるのであれば、まさに「快楽という膿」があふれ出て止まらない。

普通は嫌いな食べ物を無理やり食べさせられたら、多くの人間は気持ち悪くて吐いてしまうでしょう。でも無理やり白い液体を体内にぶち込まれたとしても、残念ながら女性の体は強制的にそれを吐き出してくれるような仕組みにはなってない。

つまりセ○クスそのものに罪はなく、あくまで罪作りな存在は女性の体。だから原美鈴はいくら暴力的であっても、快楽を感じてしまう自分の肉体の理不尽さに罪悪感を感じる。また早藤はイケメンのエリートサラリーマンだけあってか、これまで男にモテなかった原美鈴からしたら「女性として求められる」ことに精神的に満たされてる部分も少なからずあって、そのことがよりいっそう悩ませる。

先生の白い嘘4巻 原美鈴 名言
(先生の白い嘘 4巻)
原美鈴が「暴力なんかじゃなかったら良かったのに」と新妻とのキスシーンで本音を語ってる場面からも分かるように、あくまで大きな違いは「プロセス」でしかない。サラッとヒドいことを言えば、結局入れちゃったら一緒。

『先生の白い嘘』を読むと女性の被害者が「自分自身を嫌いになるプロセス」がよく分かります。本来は唾棄すべき・批判すべき行為であるにも関わらず、被害者である自分自身が強烈な快楽を感じてしまう。そこに強姦という犯罪が圧倒的な矛盾を抱えてる。

男側が悪意を持とうが善意を持とうが、その行為そのもので得られる肉体的な快楽は同じ。きっと後者の行為の方がもちろん気持ち良いのでしょうが、それでも「セッ○スの本質」にグッサリと切り込んだという点で『先生の白い嘘』は価値がある。

世間が「犯して気持ち良くなる加害者」を批判すればするほど、被害者は同じように「侵されて気持ち良くなる自分自身」に対して強烈な自己嫌悪や罪悪感が生まれる。これだとどうやっても自分自身を嫌いにならざるを得ない。レ○プも単なるエッチと同じに過ぎず、もし「気持ち良くなることが悪」なのであれば加害者も被害者も同様に罪。

それゆえに何故「愛した上で抱いてくれなかったのか」という強い後悔が女性の中では生まれるものの、つまり裏を返せば「白」で傷付けられた傷は同じ「白」で塗りつぶす以外に方法がない。結局セッ○スで傷ついた穴は、愛あるセック○で埋めていくしかない。

もちろんそんな簡単な話ではなく、そこに気付けない、あえて気付こうとしない被害女性も多い。そこで何の対策もしようがなく、女性は更に苦しんでいくという負のスパイラル。

先生の白い嘘4巻 早藤 妊娠 ゲロ
(先生の白い嘘 4巻)
ただ逆に早藤にとってはセッ○スは暴力の手段・女性を屈服させるためだけのツールに過ぎない。だから美奈子が妊娠した時に恐怖感や強烈な拒否感でえづく。白い液体に愛が込められてようが愛が込められてなかろうが、問答無用で「神聖な赤ちゃん」が作られてしまう。

セッ○スは「極めて単純化されてしまう快楽」であるがゆえに、いかに人間が人間を愛することが重要かってことを作者が問うてるような気がしました。では早藤は一体どんな過去やトラウマを抱えているのか?…というのが『先生の白い嘘』の最終ゴールに向かうストーリーのカギと言えそうです。


先生の白い嘘の名言

「逃げないでそこに居続けたのはなんで?」「暴力なんかじゃなかったら良かったのに」などサラッと本質を付いてくるキャラクターのセリフが多いので、ここからは『先生の白い嘘』の名言を簡単にまとめてみました。

まずは早藤の名言。

「もしこれが暴力だったら傷付くのが誰か自分が一番わかってんじゃん」
「ホントは暴力された女になんか成り下がりたくないだけなんだろ?」
「私は求められた女なんだって思い込めば楽になれる」
「暴力も愛も自分の思い込み次第って」
「女ってそういうエゲツない生き物だろ」

(2巻)

「与えられたものが何であれ死守しようとする」
「たとえそれが暴力だとしても強欲に幸せであろうとする」
「そのためなら自分を捻じ曲げてでも掴もうとする」

(5巻)

早藤が自分が犯した女性たちに対して吐きかけたセリフ。もはや自分を逆に詰ってほしいと言わんばかりの逆ギレ的なセリフですが、女性の愚かしさを痛烈に批判してる名言ではなかろうか。

他にも三郷佳奈(ミサカナ)という女子生徒は、実の兄から昔イタズラされていた。そのことで男全体に対する復讐心を目覚める。ミサカナは美女だから男が寄ってくるものの、中途半端に焦らしては最後まで行為をさせない。

ミサカナにとって「自分の処女を守ることが復讐」という位置づけになってて、そこで出た名言が「アンタ達全員コントロールしてやる。今度は私の番よ」。何とも弱々しいそれが女性の置かれてる立場の弱さも彷彿とさせて泣かせます。

先生の白い嘘3巻 ミサカナ 名言
(先生の白い嘘 3巻)
他にも「買うのはアンタたち男でしょ?一生に一人のお嫁さん。新品の方が高く売れるに決まってるじゃない。私のこと中古にしちゃったら、その責任取れないでしょ?」という名言は、男が読むと思わずグサッと刺さります。

悲惨な強○被害がクローズアップされてる漫画ですが、実は『先生の白い嘘』の本質的なテーマは「じゃあ女性の価値とは一体何なんだ?」ということを問うてる内容と言えます。

他にもそれが分かる名言が、『先生の白い嘘』2巻。美奈子と一緒に合コンに行った原美鈴は、当然冴えない格好から男たちから「ないわー」と陰口を叩かれる。そこで出た名言が、やはり「女の価値とは何なのか?」という本質をついた名言。

「私には最初から選択権さえ与えられていない」
「見も知らぬ男に、ある日、突然値札を付けられる」
「ある日突然、見も知らぬ男に何食わぬ顔で強奪される」
「それが底値で買い叩いたものであろうが、あるいは強奪したも同然であろうが」
「価値なんてあってもなくても同じこと」
「何度も何度も買い叩かれては擦り切れる」
「いつからかその擦り傷にはこの世で最も醜い膿が溜まるようになった」
「【快楽】という膿があふれてしまう」


この名言で伝えたいことは『先生の白い嘘』で一貫して描かれている、結局は「男の価値観」で「女の価値」が決まってくる現実に対する痛烈な皮肉。性行為にしてもそこに愛があろうがなかろうが、女性は平たく快楽を感じてしまう。つまり女性の意思は後回しで、結局男性の意志だけが最終的に物を言う。その男だけに与えられた圧倒的な「主導権」に対する批判や絶望が込められてる名言でありましょう。

この変えようがない厳然たる現実に向き合って絶望を抱くか、大人しく現実から逃げて幸せであろうと思いこむのか。『先生の白い嘘』を読んでる限り、女性たちに残された道はこの2パターンしかない。ストーリーとしては、登場人物たちがそれぞれの女性が傷付きつつも自問自答しながら、それぞれの幸せや自分の存在のあり方を模索していくわけですが、じゃあ「女性にとっての幸せとは何か?」も色々と考えさせられたりもします。


先生の白い嘘の総合評価 評判 口コミ


『先生の白い嘘』の最終的な評価感想としては、正直何とも言えないです。これを面白いと言ってしまうと、正直人間性が問われそうで怖いです。それだけ女性の心の傷をグリグリとほじくり返す描写が上手く、まさに「レイ○被害」の本質に切り込んだ漫画と言える気がします。

普通であれば殴られたら殴り返せばいいんですが、「殴り返す」という行為は結局は「自分も相手も気持ち良くなる行為」にしかならない。つまり強姦で女性が傷付けられたとは言いつつもそこに大きな矛盾を孕んでて、女性にとって復讐の方法は現実的に何も用意されてない

だから冒頭で問いかけた疑問に答えると、つまらないマスコミは強姦を「魂の殺人」などと煽ったりしますが大きな間違い。むしろ女性の魂はビンビンにイキイキしてる。ただ亡霊のように魂が歪んで地縛霊のように、ずっとそこにとどまっている状態。つまるところ「価値観が壊れる」といった方が表現としては適切でしょうか。

実際『おそ松さん』というアニメが好きな「下痢ラ豪雨」というツイッターアカウントの持ち主は、割りと大きなレ○プ事件の被害者だったらしいんですが、そのことがキッカケで色んな男に股を開く女性に悪い意味で開眼したらしい。「下痢ラ豪雨」はかなりクレイジー女性なので、詳細を知りたい方は勝手にググってください。

こういった被害の本質を理解してアプローチしなければ、現実の被害者女性も救われないことが分かります。要は被害女性が「暴力の被害だけに合ってる」という発想そのものが大きな「白い嘘」。だから漫画タイトルの『先生の白い嘘』の「白」は言うまでもなく「男の精液」のことを指してるのだと考えられます。

先生の白い嘘6巻 早藤の暴力トラウマ
(先生の白い嘘 6巻)
『先生の白い嘘』の最新刊をネタバレしておくと、ついに早藤が暴走。

これまでの感想を読んでも分かるように、どこか女性に怯えていた早藤。レ○プにしても「女性より優位の立場に立つ」という手段でしかなかった。必要以上に女性を貶めるという背景には、早藤の過去に何かがあった。きっと『先生の白い嘘』7巻以降は「男の弱さ」みたいなもんも描かれるのかも知れません。

でも個人的には原美鈴も早藤も全員救われないまま完結を迎えて欲しい。それでこそ胸糞漫画ってもんでしょう。以上、高畑くん、おときたくんに是非おすすめしたい漫画『先生の白い嘘』の感想レビューでした。