『千と万』全3巻のネタバレ感想をレビュー。作者は関谷あさみ。掲載誌は月刊アクション。途中まではコミックハイ!という漫画雑誌で連載していたらしい。出版社は双葉社。ジャンルは青年コミックの育児漫画。AmazonのKindleでもダウンロード購入は絶賛可能です。

先月2016年9月に『千と万』の最終3巻が何年かぶりに発売されたらしので、全巻まとめて『千と万』が面白い漫画かどうかを考察してみました。


「千と万」のあらすじ物語 ストーリー内容

主人公は中学一年生の詩万(しま)と、その父親・千広(ちひろ)。現在の日本ではどこにでもいるような、とある父子家庭。ただ詩万は中学生に上がったばかりということで、まさに絶賛お年頃の女の子。

千と万1巻 詩万の生理
(千と万 1巻)
でも千広は父親特有の空気の読めなさがあって、詩万が初めて生理を迎えた瞬間も「よかったなーおめでとう」と笑顔で祝福しちゃう始末。男子的には初めて迎えた精通に対してママンから褒められるような感覚か。

千と万1巻 詩万の表情 お小遣い
(千と万 1巻)
他にもブログで勝手に娘のことを書いてみたり、お小遣いをせびってきた詩万にも「お父さんの肩たたきしてくれたらあげよう」と逆要求。思わず詩万の表情は「うわ…」。労働して何かを得るという発想や価値観が女子中学生にあるはずがありません!そう考えたら円光少女は実に社会人的で大人びているのかも知れません(違)。

千と万1巻 父の日 嫌な顔の詩万
(千と万 1巻)
その結果、父の日のプレゼント購入で盛り上がる友達に対して「あげなきゃだめかな?」と露骨に嫌そうな表情を全開。果たして不憫すぎる父・千広に明日はやって来るのか!?…といった、どうでもいい二人の日常を追ったような内容の漫画。

つまり漫画タイトル『千と万』の意味は、父・千広と娘・詩万の一文字をそれぞれ取って組み合わせたタイトル。「父と娘」といったタイトルに言い換えると分かりやすいかも知れません。登場人物も基本的にこの二人だけになります。

だからエロ漫画家・関谷あさみが連載してた漫画だからつい期待してしまいますが、いかにも卑猥な内容は一切ありませんのでご注意を。「万」は「万」でも変な意味の「マン」ではありません。父娘モノということで変な展開を想像してしまったHENTAI読者さんは、今すぐGET OUT HERE(不倫ベッキー風)であります。


詩万が生意気でかわいい

あらすじで説明したように主人公・詩万が生意気だけど、なんか可愛らしい。

千と万3巻 詩万のふーふー
(千と万 3巻)
例えば誕生日でロウソクを吹き消すシーンだと、ちょっと必死な感じで息をフーフーしてる仕草が可愛い。

千と万3巻 詩万の誕生日 喜びのダンス
(千と万 3巻)
13歳の誕生日を迎えた時にはベッドの上で謎のダンスを踊り出す。自分の中ではすっかり記憶がありませんが、確かに中学生にとっては12歳と13歳の間では大きな意味があるのかも知れません。次は15歳と16歳、17歳と18歳に小躍りしそうです(笑)

千と万2巻 借りてきた猫の詩万
(千と万 2巻)
だから詩万は何やかんやで子供。お祭りに父・千広と一緒に行った時も、混雑した中で自分のかき氷を前にいた男性にぶつけてしまう。男性の背中がグッショリ。それを素直に謝ることができずに、父・千広が代わりに謝罪。この時の泣きそうな詩万の表情が何ともかわいらしいです。

千と万2巻 詩万の青春
(千と万 2巻)
基本的に登場人物は詩万と千広だけなんですが、詩万の学校生活が描かれることもしばしば。画像は勇気を出して好きな男の子年賀状を交換しようと話しかけてる場面。今の子供はメールやLINEじゃないのか?というツッコミはさて置き、確かに自分も女子と初めて年賀状を出し合ったのは中学生でした。

でも詩万が好きだった男の子は別の女子と付き合ってしまう。別に中学一年生の恋愛なので何が起きるかってワケでもないし、別にこっぴどくフラれたわけでもないんでしょうが、やはり別の女子と付き合った事実は中1の女の子にとってはショック。
千と万3巻 失恋 詩万の表情
(千と万 3巻)
思わず詩万は涙を流す。この表情も上手い。口の描き方がポイントなのかも知れませんが、心の底から泣いてる感じが伝わります。

だから詩万は生意気だけど愛嬌がある。まさに思春期真っ盛りでトンガッてるけど、同時にしっかり「無垢さ」も残ってて良い。関谷あさみの柔らかい絵のタッチと中学一年生の女の子らしさもマッチしてる。さすがロリ漫画を描いてるだけありまっせ。どやさどやさ。


父・千広と娘・詩万の距離感がなんか良い

『千と万』は詩万のキャラクターもそうですが、父・千広との関係性が絶妙に良い。詩万は父・千広のことを疎ましく思っているものの、一方で父のことが大好きということもしっかり端々から伝わってくる。前述のお祭りにしても、父と一緒に行動することが多い。本当に嫌いならとことん避けるはずなんです。

千と万1巻 詩万と千広のじゃれ合い
(千と万 1巻)
例えば詩万がマンションのベランダで家庭菜園(ハーブの栽培)していると、そこにイモムシが発生。面倒くさい絡み方をしてくる父に対して、そのイモムシを食わそうとしてくる。

千と万3巻 詩万と千広のじゃれ合い
(千と万 3巻)
またある時は詩万が傘を学校に持っていくのを忘れたことに対して、父・千広がなじっているとガチで(∩ ゚д゚)アーアーきこえなーい状態

千と万2巻 詩万のかわいい表情
(千と万 1巻)
洗面台でオシャレしている時に「早く空けて」と入ってきた父に対して、詩万は軽くぶつかって軽くにらみ返す。もし本当に嫌いだったらドンとぶつかってこないはず。特に女性に限って言うと、肉体的な接触を避けたがると思うので、これは一種のコミュニケーションと言えるのではないか。

だから詩万がナマイキな言動を取ったとしても、思わず「くぬくぬ」と頭をクシャクシャワシャワシャしてやりたくなる衝動にかられてしまう可愛さがある。

これが女子高生ぐらいだと少しあざとい部分も見えてしまうのかも知れませんが、詩万の年齢が中学一年生というのがまさに絶妙。大人として肉体的精神的に成長しつつも、何やかんやで「子供っぽい部分」がベースにあるからこそ成立する関係性。

この遠すぎず近すぎずという関係性に、今現在シングルファザーで頑張っている父子家庭は思わずホッコリさせられて、同時に勇気付けられもするのではないか。あくまで『千と万』は日常漫画としてのテイストは強いものの、それでも育児漫画として読むことも十分に可能だと思います。

また女性視点で読めばこの関係性がどう写るかは分かりませんが、『千と万』は父娘という関係だけではなく「兄妹」といった関係性で捉えることも可能。「中学一年生の娘」という設定だと読者の年齢層がかなり上がりがちですが、まだ「中学一年生の妹」という設定であれば10代半ばから20代後半の男読者が読めば十分そういう見方ができるはず。

だからそういう意味では『千と万』は割りと幅広い読者層が読んでもそれなりに楽しめそうです。


最終回はいつもの日常のまま完結

ここからは『千と万』の最終回をネタバレするので知りたくない方はズバッとスクロールするのをおすすめします。

最終話直前の回で、父・千広は自動車のテレビCMを見て購買意欲がそそられる。何故ならクルマがあった方が詩万と買い物するや遠出する時に便利だから。だから、ふと詩万と海水浴に行った光景を頭に思い浮かべる千広。

ちなみに管理人は自動車総合ブログ「くるまン。」も運営してるので良かったらどうぞ。「セレナ VS ノア・ヴォクシー」などミニバン車種同士の比較記事も書いてたりします。

そして休日に80万円前後の中古車を購入する。多分エクステリア的には軽自動車でしょうか。そのまま中古車に乗って帰宅中、詩万と千広は色んな会話を繰り広げる。千広の妹・那由と一緒にBBQに行こうなど、本当に他愛もない話。

千と万3巻 最終回
(千と万 3巻)
その中で最初に思い描いていた海水浴を今年は行こうと千広が誘うと、詩万は満面の笑顔で「行く行く!ねー友達も呼んでいい?」と快諾。そのまま帰路に着く二人の前には青空。きっとこれからも幸せな未来が待っているだろうことを彷彿とさせた状態で最終回は結末を迎えます。

本当にいつもの二人の日常が描かれたまま物語が終わっている感じで「これが終わり」と言われなければ気付かないような最終話。ちょっとシンミリもさせるような、やや余韻の残る終わり方で良かったんじゃないでしょうか。日常漫画としては王道っぽい最終話か。


「千と万」の総合評価 評判 口コミ


『千と万』全3巻のネタバレ感想をまとめると、意外にそこそこ面白かった。とにかく詩万という中1女子のキャラクターが絶妙なポイントを付いてくる。大笑いするってこともありませんが、地味にホッコリさせられて地味にクスッとさせられる。

父子家庭ということからも分かるように、どうやら母親は病気か事故で亡くなっている。詩万の誕生日に遺影に手を合わせたり、最終回の自動車の件にしても「母親が亡くなったから前のクルマを手放した」ことが遠回しに伝わってきます。

でも敢えてその詳細が描かれることはなく、あくまでふんわりとポジティブに二人で生きていく様が描かれるので、ストーリーに湿っぽさや暗さがないのも良い。もちろん『千と万』が面白いと言っても日常漫画的な面白さってことなので、そういう意味では基本的に内容は薄いです。

それでも独特のホッコリ感やゆる~い空気感が分かる読者さんだったら買っても損はしないでしょう。強いて言えば、テレビを中心とした世界観がやや古臭さもありますが、それはそれでノスタルジックさにも繋がってるので「良し」としておきます。