『山賊ダイアリー (リアル猟師奮闘記)』1巻から5巻のネタバレ感想。作者は岡本健太郎。イブニング(講談社)で連載中の狩猟漫画。最新6巻は今月6月23日に発売。

あらすじ

主人公は作者・岡本健太郎。この岡本健太郎が実際の狩猟体験をそのままマンガにしてるだけ。だからタイトルも「山賊ダイアリー」というより、『狩猟ダイアリー』と言い換えた方が語感的にもピンと来る。でも何故かタイムリーなネタではなく2009年頃からの話。

山賊ダイアリー1巻 鳩を食べる
(1巻)
ただハトを生け捕りにして食ってみたり、岡本健太郎が体験したエピソードがなかなかえぐい。

カラスの味は美味いのか?

ここからは岡本健太郎のすごかったエピソードを何個かまとめたいと思いますが、特に個人的に引いたのがカラス。

山賊ダイアリー1巻 カラスの体表は白色
(1巻)
ベテラン漁師も基本的に食ったりしないんですが、岡本健太郎は羽をむしりむしり。羽は抜きづらいそうですが、実はカラスの体表は真っ白。なんか知りたくなかったー!(;´∀`)

で、肝心のカラスの肉の味ですが、なかなかコリコリと歯ごたえがあって美味しいんだそう。しかもカラスの体は大きいので、さばくとボリュームたっぷり。いずれカラスが日本人の食卓に並ぶ日は来るんだろか(;´Д`)

他にはイノシシ。アイツラは実は肉食っぽいですが、ガッツリ草食系。要するにドングリとか葉っぱとかそんなんを食料にしてる(厳密には肉をあまり食わない雑食系)。だからイノシシを解体したらかなりヤバイことになる
山賊ダイアリー2巻 イノシシの内臓
(1巻)
どうヤバイかと言ったら、めちゃめちゃ内臓が飛び出てくる。草食系は消化するのに時間がかかるので、どうしても消化器系の内臓が長くなる。だから大型バケツからハミ出てるぐらいの量

山賊ダイアリー2巻 イノシシに涙
(2巻)
ちなみにこんな岡本健太郎ですがイノシシにとどめを刺す時には思わず涙も。

他にも目の玉に枝が刺さったり、鳥類だけに飽きたらずマムシを食べてみたり、エピソードには枚挙にいとまがない。

笑いやホッコリ

ただ衝撃的エピソードを羅列してるだけのマンガというより、基本的には空気感はゆるい。日常漫画にありがちなストーリーに目的がなく、まさに意味がない展開が淡々と続いていく。

山賊ダイアリー3巻 ヌートリア
(3巻)
でも、だからこそ、そこでホッコリしたエピソードを持ってくると、そのホッコリ感が増す。画像は岡本健太郎はヌートリアを食べようとしてたんですが、狩猟仲間が一目惚れしちゃって最終的には逃がす。もちろん逃したからといって特に新たな展開が生まれるわけでもなく、ひたすらホッコリしたよねーって感じで終わる。

山賊ダイアリー3巻 狩猟試験
(3巻)
狩猟免許試験も一見すると取得するのに難しそうですが、ハッキリ言って原付免許を取得するより簡単。小学生でも合格しちゃいそうなレベルで、猟銃を持たない側からすると不安しか覚えない。でも、だから笑っちゃう。

他にも岡本健太郎と狩猟仲間とのセリフの軽妙な掛け合いなどそこそこ面白い。ひたすら日記のように淡々としてるので、漫画としては全体的にはテンポ感がある。悪く言うと終始単調なのでもう少し工夫も欲しいところですが、下手にそこで工夫を付け加えると「読みづらさ」だけが加わりそうな不安もあるので多分これでいい。

総合評価

基本的に作者が体験したことをそのままマンガにしてるだけ。マンガ大賞かなにかに一度のノミネートされてた気がしますが、そんな大層なマンガではない。発行ペースは1年に1冊程度と遅く、わざわざ新刊を待つような漫画でもない気はする。

やはり中国嫁日記みたいに可愛い女性が主人公だったらいざ知らず(現実の顔は知らん)、所詮は長髪ロン毛のオッサン。キャラクターとして魅力的とは言いづらい。少なくとも読者はかなり選ぶはず。特に女性読者は狩猟に興味がないと思うので60点台ぐらいの採点もありえそう。ただ最近は狩猟免許をAKB48の誰かが取得したというネットニュースが話題になってたので、女性読者=狩猟興味ないという発想も安直かも知れませんが。

でも個人的には面白かった。正直絵は下手くそ。蛭子能収より少し上手い程度。ただ、だからこそエピソードに真実味みたいなんを帯びてる。挿絵程度と割りきれば、それなりにスラスラ読める。テンポ良く読めたということは、むしろ「これがヘタウマ」と呼べる絵なのかも知れない。テンポ感があるからこそ、もう少しボリュームがあってもいい気がするという読後感が生まれるのは少しジレンマ。

先日『海街ダイアリー』のネタバレ感想を書いたので何となくタイトルが似てるマンガをレビューしてみた。特に後悔はしてない!



◯展開…★3◯テンポ…★4
◯キャラ…★3.5◯画力…★3
◯全巻大人買い…★3
◯おすすめ度…80点!!!!