『左門くんはサモナー』1話のネタバレ感想。作者は沼駿。少年ジャンプ43号から始まった新連載漫画。

あらすじ

ヒロインは天使ヶ原桜(てしがわらさくら)。学級委員を務める優等生の女の子。名前からも分かるように優しい。社会科見学の授業でバスで移動中、クラスメートが気分が悪くなったとき、
左門くんはサモナー1話 天使ヶ原
(1話)
まさかのゲロを自分の手でキャッチ。そこから男子からは「マジ天使」や「確実に仏」と影で人気。

そして主人公はそんな天使ヶ原のクラスにやってきた、転校生・左門召介(さもんしょうすけ)。
左門くんはサモナー1話 左門1
(1話)
趣味はまさかの悪魔召喚。実際ことあるごとに色んな悪魔を召喚してくるわけですが、当然そんな左門は「良い人」は嫌い。

左門くんはサモナー1話 左門2
(1話)
だから左門が転校早々、天使ヶ原に対して「君みたいな人は大っ嫌いでさ」と宣戦布告。心の中で天使ヶ原に対して舌打ちした回数は100回以上。センセー、相当キレてます、この子。

左門くんはサモナー1話 左門3
(1話)
果たして、天使ヶ原は左門の魔の手から逃れることができるのか?…みたいな話。

天使ヶ原を欲望まみれにしたい件

ただ左門が天使ヶ原を直接的に攻撃するわけじゃなく、悪魔たちを使役することで天使ヶ原が自分の欲望剥き出しの行動を取ることを誘う。何故なら、左門は善人や偽善者が嫌いだから。

でも左門は何故か他の悪魔に嫌われていて、凶悪な悪魔が次々と襲ってくる。
左門くんはサモナー1話 天使ヶ原がピンチ
(1話)
すっかり左門にまとわりつかれている天使ヶ原は、哀れにも巻き添えを食らってしまう。まさにピンチ。そこで何故か左門が助けに来てくれる。あれ?天使ヶ原のことが嫌いだったんじゃ?

そう嫌い。だからこそ「天使ヶ原みたいな良い人がただの暴力で死んで何が面白い?」。「『好感』の持てる最低最悪の人間になってくれるまで死なせはしない」んだそう。性格が屈折して一周してるだけ(笑)

だから展開としては松井優征の『脳噛ネウロ』に近そう。まさに二人はヤコとネウロの関係性。左門は性格がネジ曲がっていて天使ヶ原をイジメつつも、実は最終的にいつも助けてくれる救世主は左門。画像にはありませんが、天使ヶ原に対する悪魔召喚とは違って、そういう場面で召喚する悪魔がめちゃめちゃ強い(笑)

2話では天使ヶ原の友達が悪魔の被害に合う。でも左門は「善意からの人助けなんて偽善の極み」と救ってくれない。ただ天使ヶ原が「自分が善人とかどうでもいい!それでも助けて欲しい!」と叫ぶ。そこで左門は「やっと欲が出たね」とニヤリ笑顔を浮かべる。

つまり天使ヶ原が欲望を出せば左門は喜んで助けに来るものの、天使ヶ原の欲望は所詮「善き欲望」なわけです。だから結果は「人助け」に繋がるオチになる。天使ヶ原が一見すると欲望剥き出しの人間に成り下がっていくのかと思いきや、むしろ真逆。左門の本心は読み取れませんが、周囲が幸せになるので読後感としては悪くない。

総合評価

最初は絵柄を見て期待はしてなかったものの、いざ読み始めてみると意外に面白かった。コマ割りや構図など含めても見やすくて、キャラの表情も実は豊かで立ち止まることは少なかった。「自分の欲望に従う=人助けに繋がる」というギャップ感ある展開を作れてるのも大きい。

今後はストーリー物として展開することもありそう。とはいえ基本はオムニバス展開が続くはず。作者・沼駿にどこまで引き出しというポテンシャルがあるのか、またそれをどの程度まで持続できるかにも寄りますが、きっと長期連載マンガになる可能性は秘めてると思いました。

◯展開★4◯テンポ★4
◯キャラ★4◯画力★4
◯おすすめ度…86点!!!!