『聖☆おにいさん』が面白いかつまらないか考察レビューを書いてみた。作者は中村光。モーニング・ツーで連載中のギャグマンガ。出版社は講談社。マンガタイトルの読み方は「せいんと☆おにいさん」です。「ひじり☆おにいさん」とかではありません。

「このマンガがすごい! 2009(宝島社)」のオトコ編で1位だった漫画。また同年2009年には手塚治虫文化賞を受賞したこともあるらしい。とりあえず『聖☆おにいさん』は人気漫画らしいんですが、果たして面白いのかどうなのか?


あらすじ物語・ストーリー内容

主人公はブッダとイエス。もちろん、あの神様のブッダとイエス。この二人が何故か東京都の立川へ降り立って、風呂無しの安アパートで一緒に暮らし出した場面からストーリーが始まります。

聖人(神様)だけあって二人とも苗字は「聖(せい)」を名乗ってる。この設定からも分かると思いますが、内容的にはかなりフザけたギャグマンガ。でも年齢を考えたら、お兄さんより「おじさん」の方がピッタリ来る気もしますが。

だから登場人物は基本的にイエスとブッダの二人だけ。

聖☆おにいさん8巻 ミカエルなど大天使たち
(8巻)
ただ「部下」と表現していいのかは知りませんが、イエスだとミカエルやラファエル、ガブリエルといった守護天使たちがちょいちょい絡みに登場します。ブッダだと梵天や帝釈天や弁財天、アナンダといった守護神が登場します。

他にもマーラやルシファー、ユダやヨハネといったキャラクターも登場したり、考えてみると意外と登場人物は多めか。だからサブキャラクターたちのスピンオフ漫画で「エンジェル☆おにいさん」とか「ぼんのう☆おにいさん」とか描いても面白いかも。


ブッダとイエスへの容赦ないイジり

内容としてはブッダとイエスのイジりが容赦ない。もはや強烈なディスりにしか見えない。これらが神に対する冒涜か否か自分には判断ができません。

聖☆おにいさん2巻 オヤジギャグのイエス
(2巻)
イエスはオヤジギャグ好き。「神のみぞ知る」をかけて「神のみそ汁」。いやイエスの場合はオヤジギャグではなく「父さんギャグ」と表現すべきか。

聖☆おにいさん10巻 エゴサーチするイエス
(10巻)
そしてまさかのエゴサーチの常習者。イエスはドラマのレビューブログを運営してる。公平さに定評がある神様だけど割りと参考にならないらしい。ちなみに自分は一度も自分のハンドルネーム(ドルジ露瓶尊)で調べたことはありません。

このイエスより、特にブッダの扱いがヒドい。

聖☆おにいさん1巻 ブッダいじり1
(1巻)
初っ端から「近所の小学生にデコのところめっちゃ押されるんだけど」。このあと酔っぱらいのサラリーマンにも押されまくります。急所かどうかは知りませんが、いきなり他人の身体的特徴をまさぐってはいけません。ちなみに3巻では小学生に聖人ではなく「ボタン星人」呼ばわりされるブッダ。

聖☆おにいさん11巻 変顔のブッダ
(11巻)
変顔に至ってはもはや原型を留めてない。というか小学生が写実的な絵を描くとこんな感じになるヤツー!!

聖☆おにいさん10巻 ウンコを描くブッダ
(10巻)
しまいにはリアルすぎるウソコまで描き始めます。作者・中村光が熱心に描いてる光景を想像しただけで胸熱…もとい股間熱です。

聖☆おにいさん8巻 イエスの母マリア
(8巻)
ブッダやイエスだけではなく、イエスの母マリアもイジることも多々あります。マリアは単なる氷川きよしの追っかけファン扱い。「ペンライトとウチワが欲しいのなら今目覚めよ」って、お前がコンサートに行きたいだけやろっていう。ネタ的に扱いやすいのか、モーセいじりも意外と多いです。

『聖☆おにいさん』のジャンルは宗教漫画だから一見すると「取っ付きにくそう」な感じがしますが、「Twitter」や「最新のAV機器」といったタイムリーなネタと組み合わせたボケが多い。いわゆる「ガジェット系」というのか、そういうIT系の小ネタが多い。

聖☆おにいさん11巻 頭文字D
(11巻)
またしげの秀一の『頭文字D』といった他の漫画作品もネタに使われてます。他だと諫山創の『進撃の巨人』のリヴァイや尾田栄一郎の『ONE PIECE』のチョッパーなどが登場。講談社以外の作品も多いので、果たして許可的なことがどうなってるかは不明。


宗教知識がないとつまらない?

ただ『聖☆おにいさん』は「つまらん」や「つまらない」という声も根強くあります。それはいかんせんコアな宗教用語をボンボンと放り込んでくるから。ゆるいギャグ漫画なんですが、実は宗教知識にガッツリと基づいてる。

似たようなギャグ漫画に『ニーチェ先生(松駒)』がありますが、こちらはニーチェに関する知識を気にせずバンバンとボケ倒してる感じ。それとはテイストが似てるようで、全く肌感は違います。

聖☆おにいさん4巻 世紀末をネタバレ
(4巻)
まだイエスが「世界の終末のことをガンガン予言(ネタバレ)してくるんだよ」といった程度なら、多分キリスト教を知らなくても何となく伝わる。世界の終末に対する予言と漫画や映画のネタバレをかけてる。いわゆる黙示録ってヤツ?

聖☆おにいさん6巻 ダンテの神曲
(6巻)
でも、例えばダンテが編纂した『神曲』を「うるるん旅行記」扱いしてるんですが、そもそもの『神曲』ってなんだっけ?もちろん名前ぐらいはフワッと聞いたことがありますが、中身がどんなもんか知るワケがない。

部屋を探しにした来たブッダが不動産屋との一幕で、イエスが「昔ひとりでこういうとこに住んでたよね?」と5SL2DKDENという物件を指して言う。そしてブッダは「3K4万D7MONのこと?」と返答。ワケが分からない不動産業者。
聖☆おにいさん3巻 宗教ネタ 祇園精舎 3K4万D7MON
(3巻)
その答えが「3宮殿4万ダンサー7門」。なんのこっちゃ分かりませんが、「祗園精舎」のことを指してるそう。もちろん祗園精舎という単語はは聞いたことがありますが、この意味を正確に理解できてる人が世の中にどれだけいるのかは疑問。

(ちなみにこの賃貸物件探しのクダリで、空中浮遊したブッダが「床というデッドスペースを使った見せる収納」という小ボケは面白かったです)

だから『聖☆おにいさん』でも最も頻繁に使われている宗教用語の「ラーフラ」や「アガペー」などは未だに理解不能。どうしてもこれぐらいの宗教用語は知ってるよね?という前提でボケてくるので、あまり知識が身につかないのもネック。

また先程は最新の流行アイテムが取り入れられて…と擁護したばかりですが、コチラもアップルウォッチなど逆にタイムリーすぎて付いていけない側面も少なからずあります。だから意外と不親切で、そういった部分が「面白くない」と評価される一因だと個人的には推察してみます。

聖☆おにいさん9巻 競輪 五体投地
(9巻)
ただ「五体投地」と呼ばれるもののネタだと競輪選手のフォームとかけてるんですが、絵的にパッと何を言ってるかが分かりやすい工夫はされてます。5巻の「四面六臂(しめんろっぴ)」など意味こそハッキリ理解できませんが、それでも「雰囲気」は何となく伝わることが多い。

それがあくまで読者にはカチッとハマらないというだけ。逆に言えば、宗教に対する造形が深ければ笑いが大爆発する可能性は高そう。


総合評価・評判・口コミ


『聖☆おにいさん』の感想をまとめると、仏教やキリスト教に詳しくなくてもそれなりに面白い。逆に元ネタが分からないこそ「シュールな笑い」に繋がっててクスクスできるかも。何となく「エラいとされてる神さま」がイジられてるなーと雰囲気で伝わるし、絵だけで笑えることも多いです。また文字数が少なくて意外と読みやすい。そのスパっとした物言いは漫画としてテンポ感が良い。

でも「神がかり的に面白い」ってほどではないと思います。もちろん面白くないってことでもないんですが、やはり宗教知識がネック。ここが一般受け or 万人受けするか微妙にさせているハードルでしょう。未だに、どういう読者層が読んでるのか全然想像がつかない。逆に信仰心が篤ければ篤いで受け入れられない笑いも目立つような気もします。なんせブッダはボタン星人ですからね(笑)

一応、FC2ブログで運営してる漫画ブログ「すごないマンガがすごい!」でも随分前に『聖☆おにいさん』をレビューした時も同じ批判をしてたんですが、その時は「案外常識でっせ」「みんなそれぐらい知ってるよ」というコメントをちょいちょい頂きました。

そういえば自分の同級生も土日になると毎週わざわざ隣県の教会まで足を運んでました。当時はなかなか遊べなくてイライラした記憶がありますが、日本人は政治的な話や宗教的な話をしないだけでキリスト教や仏教を信仰してる人も割と潜在的に多いのかも知れません。

ちなみにア◯ーさんは登場しませんので悪しからず。現人神であらせられる天皇イジりを描いても面白そうですが…って今はただの優しいお爺ちゃんか。だから創価学会の池田◯作さんなんかも登場しません。