『スラムダンク』全31巻のネタバレ感想をレビュー。作者は井上雄彦。掲載誌は少年ジャンプ。出版社は集英社。ジャンルは少年コミックのバスケットボール漫画。

改めて説明するまでもなく、1990年代に爆発的に売れたバスケ漫画の火付け役。2013年に入ってようやく読んだんですが、まー面白い。そこで今更ですが改めて「スラムダンクが面白いかつまらないか」を考察してみました。


バスケ描写が秀逸!!

最初にバスケ漫画を開拓した先駆的な存在なので、試合描写であったりバスケをしてる一つ一つの動作や所作の見せ方が上手い。

スラムダンク29巻 桜木が走る時のコマ割り
(29巻)
例えば、主人公の桜木花道が走る場面のコマ割り。右の方を狭めることで、桜木が左に向かって勢い良く走る感じがアップしてる。他にも随所にテンポよく読みやすくなる配慮や工夫がされてて、それがバスケットというスポーツの躍動感を表現出来てて、「そりゃハマるわな」と思わず納得してしまう。

スラムダンク14巻 ボールと選手の構図
(14巻)
他にも、ゴールが決まった瞬間と選手の構図。こういう見せ方を開発したのは、井上雄彦が初めてじゃないでしょうか。普通ならシュートを放った選手のバックからボールがゴールに入った瞬間を同時に描くとか、そんなありきたりな構図になりがち。

スラムダンク14巻 牧のパス
スラムダンク14巻2
同じく14巻から、パスしたボール。コマからはみ出ることで、思わず読んでる方からすると迫力を感じる。

スラムダンク26巻  バスケ描写 ボールの周りが白い
(26巻)
シュートを放つシーンでもボールの周りを白く塗りつぶすことで、単純に見やすい。相手選手のシュートなので「やられた感」も出る。この場合は「当たり前に近い配慮」ですが、あるとないとでは全然違う。どうしても屋内競技である以上は屋根がすごく邪魔でかぶる。だからと言って、屋根を描かないと屋外感が出てしまうジレンマ。この配慮が出来てないバスケ漫画は、相変わらず多い。

スラムダンク27巻 山王戦の沢北
(27巻)
山王工高の選手・沢北にダンクを決められる場面は、何故かおしゃれ。同時にゴールを決められる湘北高校の絶望感も見事に描写。全員のキャラクターをいい按配にページの中に収めつつ、キャラクターの向きを全員変えることでそれを見てる位置の違いも現してる。構図も単調にならない。

これも全部作者・井上雄彦の「バスケを普及させたい」という『愛』に近い強い熱意から、色んな工夫が考え出され生み出され体現されてるんだろうなと。漫画を描きたい人には、ものすごくヒントになる描写が詰まってる。むしろ参考になる描写しか無いと言ってもいいぐらい。


山王戦が熱すぎる!神すぎる!

そして最後にして最大の佳境、25巻の山王戦ぐらいからスラムダンクのみんなが思い描くような熱さやカッコよさがやっと噴出し始める。スラムダンクのまさに本髄。およそ6巻分ぐらいの量があるんですが、もう一気に読めちゃう。

スラムダンク31巻 山王戦のラスト セリフが一切ない
最終31巻のラスト数話のセリフと吹き出しが一切なしの描写が圧巻。鳥肌モン。リアルタイムでつくづく読みたかったと思わず後悔。キャラクターの動きの描写だけで、ストーリー・展開を伝えるのはすごく難しい。しかもテンポよく読めるんだから、なおスゴい。HUNTERXHUNTERのメルエム編の終了直後にも同じような演出がありましたが、こういうことが描ける人はつくづく才能の塊なんだと思います。

スラムダンクが終了直後は周りが騒いでた記憶があるんですが、「こういう終わり方は確かに物議を醸すわな」と今更ながら確かに思った。ましてやインターハイの2回戦で負けるとか、ファン心理からすればもっと描けよとはなるよなーと。

しかも漫画の中の時間軸ではたった「4ヶ月間」の話なんですよね。つまり試合の長さが単行本に占めてる比重がいかに多いかが分かるはず。スポーツ漫画では「どれだけ試合描写が大事」であるかも如実に物語ってる。

最後の山王戦がなければ、スラムダンクと言えどもここまでチヤホヤされる漫画にはなってないはず。それぐらい神がかってた。最近のスポーツ漫画はすぐ試合が終わるので、相手選手の名前を覚えられない。どうしても物足りなさが残る。それがいつまでも過去の作品であるスラムダンクに勝てない理由の一つなのかも。


総合評価・評判・口コミ

『スラムダンク 全31巻』のネタバレ感想をまとめると、冒頭でも書きましたが今読んでも面白い。確か17年ぐらい前の作品ですが、絵柄も含めて全然「古臭さ」を感じさせない。桜木花道というキャラクターは、「熱い」まんまずっと生き続けてる。なにか不変的な面白さがあって、今年読んでも来年読んでも面白い漫画。スラムダンクはずっとバスケ漫画のお手本であり続けるだろうなと思った。

自分はバスケットボールが嫌いだった(今でもですが)。また子供時代は井上雄彦の絵柄が受け付けなかった。要するに食わず嫌い。ただ周りのみんなはスラムダンクを読んでて、アニメも当然視聴してた奴が多い。クラスでは軽く売国奴扱いを受けたのは懐かしい思い出。

だからある意味痛いファンのせいで、なおさら当時の自分は「何でバスケマンガごときにハマんねん…アホらし」と斜に構えてた。でも現在では、それが間違いだったとようやく気付いた。正直リアルタイムで読んでなくて後悔したマンガはスラムダンクが初めてかも。それぐらい面白かった。