『ラジエーションハウス』1巻のネタバレ感想。作者はモリタイシ(作画)、横幕智裕(原作)。掲載誌はグランドジャンプ。出版社は集英社。ジャンルは青年コミックの医療漫画。紙コミックだと売り切れ状態らしいですがKindleでダウンロード可能です。


あらすじ物語 ストーリー内容

病院には診察室とは別の場所がある。患者の体の中を「X線(放射線)など」で写し出し、そのレントゲンやCTやMRI画像から病気を診断するスペシャリストたちがいる部屋。一般的に目にすることがないものの、そこは「ラジエーションハウス」と呼ばれる世界。

このマンガはアメリカでは「医者をリードする医者(ドクターズドクター)」と尊敬されるなど、陰ながら患者の命を支える放射線科医・放射線技師の物語である。

ラジエーションハウス1巻 五十嵐唯織2
(ラジエーションハウス 1巻)
主人公は五十嵐唯織(いがらし いおり)。天才的な目と天才的な執念を持ち合わせ、CT写真などから瞬く間に病気を見つけ出す天才的な放射線技師。ありとあらゆる手段を駆使して、徹底的に病巣を発見するまで手を止めなかった。その才能は世界中から読影を依頼する画像が集まってくるほどだった。

ただいかんせんCT画像などは読めても、周囲の空気が読めず病院を何度も解雇されることもしばしば。そこへある時、大好きだった幼なじみ・甘春杏(あまかすあん)が働いている病院で放射線技師の求人募集されていることを知る。

ラジエーションハウス1巻 甘春杏が好きな五十嵐2
(ラジエーションハウス 1巻)
五十嵐は幼い頃に甘春と「イオリは放射線技師になって、私のお手伝いをするんだよ」と約束をしていた。五十嵐は20年近く前の約束を律儀に守るために放射線技師に…いや、正確には医師免許も持つ放射線科医になっていた。しかし甘春の約束を果たすために、敢えて「放射線技師」として活動する。

果たして五十嵐は患者を救うことはできるのか?甘春杏との恋路は上手くいくのか?みたいなストーリー。


検診あるあるなど

『ラジエーションハウス』は割りと面白い医療漫画。主人公・五十嵐の性格は偏屈そのものですが、仕事や患者に対するひたむきさは素直に共感が持てる。そして病気が明らかになる、また逆に健康であったことが明らかになるだけで、読後感としてもスーッと気持ちの良いものが流れます。

またCT検査やMRIあるあるも知れます。

ラジエーションハウス1巻 金属アーチファクト
(ラジエーションハウス 1巻)
例えば、銀歯が原因でMRIをうまく撮影できないことがあるらしい。この現象を「金属アーチファクト」と呼ぶそうですが、まだタトゥーとかだったら理解できる。でも銀歯程度で無理だったら大体の日本人ヤバくね?っていう。マンモグラフィーの話などは女性読者は必見。

ラジエーションハウス1巻 検診難民
(ラジエーションハウス 1巻)
また検査したからといって病気が完治するわけでもない。都知事選挙で鳥越俊太郎が「がん検診受診率100%」を謳ってましたが、何故なら「病院まで親切に紹介してくれるわけではない」から。結局自分が病気かも知れないと分かった所で、どの病院を探すかは自分次第(笑)

最近でこそインターネットが発達しているから多少は便利になったんでしょうが、それでも患者に対する負担は大変。検査したにも関わらず、再びその病院で何度も検査検査の繰り返し。ムダもいいところで、これじゃあ国民の医療費も上がっていくはず。これを作中では「検診難民」と呼ばれています。


甘春杏が好きになれない

でも残念ながら、ヒロインであるはずの甘春杏がとにかく嫌なオンナ。放射線科医として働くものの、どこが傲慢。だからこそ五十嵐のひたむきな仕事に対する姿勢に嫉妬心も抱く。

ラジエーションハウス1巻 甘春杏
(ラジエーションハウス 1巻)
結果とんでもない表情を浮かべる。マンモグラフィーのクダリでは「どうして医師でもないアナタが、そんなことする必要があるのよ!」と五十嵐に吐き捨てた表情は、眉間をゴリゴリにシワを寄せるなど筆舌に尽くしがたいものがあります(笑)

一応ストーリー的には甘春杏は五十嵐のことを覚えてないという設定。また五十嵐が医師免許を持ってることを知らないので、どうしてもこういったすれ違いが起きる。それにしても甘春が嫌なキャラクターすぎるやろ。さすがにデフォルメをきかせすぎ。


総合評価 評判 口コミ


『ラジエーションハウス』1巻のネタバレ感想をまとめると、割りと面白い。放射線技師・放射線科医というマイナーな職業にスポットライトを当ててるんですが、しっかりその「らしさ」を発揮。一つの作品として完成度はそれなりにあった。

そこまで長期連載作品になるとは思いませんが、それでも普段は日の目を見ない職業だからこそ同じお医者さんに読んで欲しい漫画かも知れません。内容としてはすっきりしててテンポ感も◯なので、普段は漫画を読まない人でもサクッと読めるはず。

惜しむらくはやはりヒロイン・甘春杏のキャラクターが残念。