最近グーグル検索で死を連想させるワードで検索すると、悩み相談に乗ってくれる電話番号が表示されることが話題になってましたが、今回はおすすめの『鬱マンガ』BEST9をまとめてみた。まあ「憂鬱」になるマンガにオススメという表現もいささか変ですが、基本的には自分が過去にレビューしたマンガの中から選んでます。

1位はミスミソウ

ウツ漫画の一位は『ミスミソウ』。作者は押切蓮介。

舞台は廃校寸前の大津馬中学校。主人公は、その中学へ東京から転校してきた女の子・野咲春花。ただ閉鎖的な田舎社会だったせいで、野咲春鼻はイジメの標的にされてしまうというストーリー。

このイジメ描写がとにかくエグい。自分はネットで評判だったので読んでみた口ですが、その評判以上の内容でイジメの範疇を超えてる。何故ならそれが学校内だけでは収まらず、野咲春花の家族にも標的が向かう。

ミスミソウ1巻4
(1巻)
その結果、野咲春花の家がもやされる。でもここで押切蓮介のペンは終わることはない。

ミスミソウ1巻5
(1巻)
家族がどういう被害を負ったのかという描写もしっかり描く。野咲の妹はまるでハンターハンターでネテロのローズ爆弾でやられたメルエムを彷彿とさせる。漫画が発行された時期的なことを考えると冨樫義博がパクった可能性も。とにかくショッキング!

そして、野咲春花がクラスメイトたちに対して復讐に走るんですが、つくづく陰惨。唯一の仲間だと思ってたイケメンの相場くんもラストでは豹変したり、イジメに加担していた女教師のラストも救われない。最期は「誰もいなくなった」という表現がピッタリでまさに終始絶望。

個人的にはダントツ一位。個別記事で詳しくレビューするのがためらわれるほど。

2位が失踪日記

鬱漫画の2位は『失踪日記』。作者・吾妻ひでおの自伝マンガ。漫画家として働きすぎた結果、ガチでうつ状態になっちゃって現実逃避した色んなエピソードが載ってる。

ただ可愛らしい絵柄には反して、壮絶なエピソードばかり。酒へホームレスへ転落しまくり。淡々とした語り口やテンポ感から問答無用で体験の悲惨さが伝わってくる。ちょっとコメディータッチで仕上げようとしてる感じが、更に切なさを倍増させる。

3位は新ブラックジャックによろしく

三位は『新ブラックジャックによろしく』。佐藤秀峰が描いた医療マンガ。実写ドラマなどにもなって知ってる人も多いと思いますが、『ブラックジャックによろしく』の続編。

主人公は斉藤という新人医師。ストーリーは、その斉藤と赤城という看護婦との話がメイン。実は、その赤城は腎不全を患ってる。
新ブラックジャックによろしく8巻
(8巻)
そこで主人公の斉藤は自分の腎臓を移植させようと動く。

でも、その斉藤の究極の献身は「一体どういった感情から来てるものなのか?」という部分にストーリーの焦点が当たってる。一人の医師として斉藤は腎臓を移植したいのか、また赤城という一人の異性が好きだから腎臓を移植したいのか。斉藤の動機は純粋なのか?不純なのか?

だから最初は赤城は拒否する。究極の恩を売られることに躊躇をしつつも、「生きたい」という強烈な願望もあって、その狭間で揺れる。しかも、斉藤には皆川という付き合ってる彼女がいて、その制止も無視。この斉藤の暴走っぷりに色々と考えさせられる。

グロい描写やセリフはなにもないんだけど、気持ちがズーンと沈む。鬱は鬱でも、他の列挙したマンガとは次元が違う。深い鬱。この胸のゾワゾワ感は読まなきゃ分からない。ただオチは希望が見える少し明るい終わり方。

そういえば作者・佐藤秀峰が運営してるマンガサイトで、確か無料公開されてたはず。あれ?前のブラよろシリーズだけだったかな…まあ、いつかこの『新ブラックジャックによろしく』はレビューしたいと思います。

4位が不能犯

うつ漫画の4位は『不能犯』。作者は宮月新と神崎裕也。

主人公は宇相吹(うそぶき)と呼ばれる殺し屋。相手に思い込ませて洗脳することで、実際にそんな反応を起こさせる。例えば熱いだったら熱い、眠いだったら眠い…という具合に。

不能犯2巻1
(2巻)
基本的に宇相吹の対象となる奴はゲス。画像は円光大好きな刑事。

ただゲスとは言っても、心の弱さから来る下劣さということも多い。追い込まれて追い込まれて、また勘違いしたが故の殺意。だから全ての真相を知る宇相吹が事実を打ち明けたら、その復讐の連鎖が止まることも多い。

でも宇相吹は淡々と依頼を実行。
不能犯2巻2
(2巻)
だから被害者側(依頼者側)が最終的に救われることは少ない。実は「そこまで悪いやつじゃなかった?」というフリがあるにも関わらず、淡々と宇相吹の餌食になる。シンプルに救いがないマンガ。宇相吹の「愚かだね人間は」という締めのセリフで毎回終わるんですが、これが嫌な読後感だけを残す。

5位は空が灰色だから

5位は『空が灰色だから』。一話完結のオムニバス形式。独特の阿部共実ワールド全開で、主人公たちの多くはコミュニケーション障害。

不器用な生き方をシュールに描いてて、幸せになれないオチが切ない。またホラーマンガチックな展開もあって、その薄気味悪さもなんとも言えない。顔面が真っ黒になる表現とか、作者の病的な性質が現れてるとしか思えない。

6位は切子

ウツ漫画の6位は『切子』というホラーマンガ。作者は『ハカイジュウ』を連載してる本田真吾。

切子2
あらすじは、クラスのマドンナだった奥村切子の17回忌から場面は始まる。当時のクラスメイトたちが母校に同窓会的に集まるものの、そこへこの奥村切子が得体の知れない存在と成り代わって襲ってくるというストーリー。

切子3
設定では「マドンナ」のはずなんですが、画像を良く見ると切子の腕に変なアザがあることからも分かるように、一位の『ミスミソウ』と同じようにイジメ問題が関わってくる。

実は同窓会メンバー(主人公だけ?)の中では奥村切子が美化されてただけで、後々に明らかとなる切子のルックスが相当エグい。「ここまでヒドいルックスを描かなくていいやん」と思いつつも、それと同時に「こんなルックスだったらイジメられても仕方ない?」とも思わせるのが非常にイヤ。

だから『ミスミソウ』とは異なり、切子に対しては素直に同情できない部分がある。一読者として、また一人間としてイジメ問題に素直に立ち向かえない不甲斐なさを感じさせる。その点も含めての鬱マンガ。

最終的なオチは突拍子もない展開で終わる。『ハカイジュウ』でも作者・本田真吾が真剣に描いてる展開でもギャグに写ることが多い。でも『切子』はホラーというジャンルに救われてるのか、その奇想天外なオチが更なる恐怖感に繋がってる。

7位は葬送

『葬送~2011.3.11 母校がイ体安置所になった日~』が7位。タイトルからも分かるように、いわゆる東日本大震災で起きた被害を克明に描いてる。

津波に流されてボロボロになった遺体の状況など、テレビや雑誌メディアだと隠される部分も絵でしっかり表現されてる。一応全部事実ということで、結構気分が沈みがちになる。

ただオチは希望が見えるような終わり方だったので、順位的にはややランクを下げてみた。

8位は不安の種

8位はホラー漫画である『不安の種』。作者は中川昌亮。

不安の種3巻
(3巻)
とにかく絵的なインパクトがすごい。血が出たり骨が剥き出しになったりする展開的なグロ描写は描かれないにも関わらず、ひたすらジワジワ来る気持ち悪い画を描く。

画像だと見た目が人間っぽい女に見えますが、言うまでもなく明らかに人間のそれではない。いかにもグロい画像だったらすぐ目を覆えばいい話なんですが、一見すると「幽霊っぽくない?」とすぐ思わせない描写が憎い。変に目を留めさせて、じっくりと読者に凝視させる仕掛けがある。

また一話完結のオムニバス形式。しかもページ数も短いからテンポが良い。変にポンポンとどんど読みやすいという点でかなりテンションを下げさせるホラーマンガ。

9位は闇の声シリーズ

9位は同じくホラーマンガである『闇の声』。作者は伊藤潤二。

例えば、「グリセリド」という回では、一日中サラダ油を飲んでるような家族の話。
闇の声・グリセリド
兄貴は顔中ニキビだらけなんですが、画像は妹に対してニキビから思いっきりグニューっと体内の油を絞り出そうとしてる画面。説明を書いてるだけで萎えてくる。他にも世にも奇妙な物語で前田敦子が主役を務めた「自縛者」や、死刑囚が毎晩生霊となって遺族の前に現れるストーリーがあります。

ただ『不安の種』とランクに差がついたのは、見た目のグロさがシンプルに追及されてる点。どうしてもパッと見で「うわっ」となって読者は絵をじっくりと見ない傾向にあるのかなと。精神的にズーンと来る気持ち悪さで言えば、『不安の種』の方が上だと判断しました。

週刊プレイボーイ15年14号 伊藤潤二と楳図かずお
(プレイボーイ14号)
ちなみに作者の伊藤潤二は左の少し爽やかなオッサン。こんな人があんなグロテスクな画を描いてるとは全く想像できない(笑)

番外編に怨み屋本舗シリーズ

番外編としては『怨み屋本舗シリーズ』。作者は栗原正尚。ひたすらクズい人間が登場して、クズい言動を展開させるので、ずっと読んでるとテンションは下がる。

テイスト的には4位の『不能犯』と似てなくもないですが、こちらはややギャグテイストな雰囲気もある。どちらかと言えば、憂鬱というより不快さやイライラが勝る。また勧善懲悪というシンプルなスタイルも取っているので、ラストの読後感は良くも悪くも後を引かないということで、一応番外編にランクさせてみた。