『ワンパンマン』1巻から10巻のネタバレ感想をレビュー。作者は二人。原作がONE、作画が村田雄介。となりのヤングジャンプで配信中。出版社は集英社。内容は少年コミックのヒーロー漫画。

2016年7月現在で発行部数は1000万部超えの大人気漫画。2015年末にアニメ化されたこともあってか、海外でもそこそこ知名度がある模様。気になる方はYouTubeで「ONE PUNCH MAN」と検索してみると良いかも。ただ集英社がその知名度の高さをしっかり収益に繋げられてるのかは不明。結局、日本の出版社は街の本屋さんで引きこもるしかないんでしょうか?

…ということで今回はヒーロー漫画「ワンパンマン」は面白いかつまらないか考察してみました。『ワンパンマン』を購入するときにでも参考にして下さい。


あらすじ物語・ストーリー内容

世界は悪の怪人たちが溢れ、市民たちは日夜恐怖に脅かされていた。

そんな悪がはびこる世界で一人の青年が立ち上がった。それが主人公のサイタマ。念を押しておくと、あくまで人名。無職で就職活動中だったが、ひょんなことからヒーロー活動に目覚める。そして3年ものあいだ修行を重ねることで、サイタマは圧倒的なパワーを身に付けた。

ワンパンマン9巻 アンパンチ
(ワンパンマン 9巻)
しかしサイタマはあまりにも無敵になりすぎて、いつも全ての敵や怪人をワンパン(一発のパンチ)で倒してしまうようになった。アニメで戸田恵子が「ワーンパーンチ!」と叫んでるかは不明。ちなみに修行を重ねたストレスで、サイタマは25歳という若さにも関わらずハゲ頭に。やなせたかしはあの世で何を思う?

当然、一撃でいつも怪人を倒してしまうため、市民たちは誰もサイタマが懸命に戦ってる姿を見たことがない。そんな状況でサイタマがヒーローとして支持されるワケがなく、いつも何とも言えない充実感のなさや空虚感がサイタマを襲う。

果たして趣味でヒーローをやっている、このハゲマントが報われる日はやって来るのか!?ついでに世界に平和が訪れるのか!?…みたいな感じのあらすじ。

もちろんオチはアッサリと怪人を一撃粉砕してしまうので、基本的に展開は引っ張るだけ引っ張るスタンス。だから読後感としてこれほど余韻が残らないマンガも珍しい。ただギャグテイストとは真逆のシリアス展開が前フリとして生きてて、結果としては笑いもアクションもと全部良い所取りなマンガだったりもします。


怪人など登場人物のキャラデザ

『ワンパンマン』はヒーロー漫画ってことで、色んな怪人・モンスターが登場する。原作・ONEのキャラクター原案が優れてるのか、作画・村田雄介が最大限以上に紙の上に落とし込んでるのかは分かりませんが、ヒーロー漫画好きの食指はグイグイ動くでしょう。

奇をてらわず分かりやすい定番なデザインだからこそ、怪人の「敵感」がすんなり伝わる。またヒーローの名前も含めて、見た目や能力のイメージをまんま体現した名前。最近は変に凝ったキャラ名が多いからこそ、温故知新的な良さを改めて実感できます。外国人が注目するのも頷けます。

ワンパンマン2巻 阿修羅カブト
(ワンパンマン 2巻)
阿修羅カブトは、まんまカブトムシ風。ただ表情があまりに極悪すぎ。ついでに角も太すぎ。身体なんて、もっとゴツいですからね。

ワンパンマン6巻 天空王
(ワンパンマン 6巻)
天空王だと天狗風。ちなみにすぐ死んじゃいます(笑)

ワンパンマン5巻 深海王とソニック アングル
(ワンパンマン 5巻)
深海王だと半魚人風の出で立ち。王と名乗ってるだけに冠を被ってフザけた格好をしてますが、速い上に強い。割りと最強の部類に入る怪人。あまりに速すぎて輪郭がブレまくり。

ワンパンマン2巻 無免ライダー
(ワンパンマン 2巻)
逆にヒーローのキャラデザに至っては「ヒドい」の一言。画像は無免ライダーというC級ヒーローですが、近所の不良にも負けそうな勢い。運転免許すら取得できないヤツが、逆に一体何ができるんだと!?最近はこんな売れないユーチューバーがいそう。

S級ヒーローでもゴリゴリのゲイや運だけで勝ち上がってきた強面素人など、むしろ今までこんなメンツでよく街を守ってきたな!!ってぐらい可哀想な面々ばかり。だからサイタマだけが残念キャラだと思いきや、ほぼヒーロー全員が残念。


サイタマのすかし芸キャラが笑える

だから既にあらすじにも書いてますが、『ワンパンマン』の作風はゆる~い。

例えば地球に落下してきた巨大な隕石をやはり一発で粉砕するサイタマ。この時点で展開としてはかなりゆるいですが、隕石を粉々にはできなかったので小隕石みたいなんが街中に降り注いでしまう。

ワンパンマン4巻 のんきなサイタマ
(ワンパンマン 4巻)
それをバックにして、サイタマはまさかの「一件落着」。シムラー!後ろ後ろー!!これほど往年の掛け声が似合うシチュエーションもないでしょう。

ワンパンマン2巻 サイタマとジェノス1
(ワンパンマン 2巻)
ある時、仲間のジェノスが前述の阿修羅カブトにやられてしまう。身体のプラプラ感がハンパないですが。

ワンパンマン2巻 サイタマとジェノス2
(ワンパンマン 2巻)
サイタマは仲間がやられて怒るものの、「ジェノスを現代アートみたいにしやがって」と例えが何か変。むしろ秀逸な例えか。

ワンパンマン3巻 サイタマとジェノス
(ワンパンマン 3巻)
このジェノスとサイタマのコンビっぷりがステキ。やる気のない天才とやる気がある秀才の凸凹コンビ。だから二人のテンションの差が面白い。そして怪人とサイタマのテンションの差は更にエグい。

ワンパンマン1巻 獣王
(ワンパンマン 1巻)
獣王という怪人と戦った時は、サイタマは地面に埋められた状態で「貴様の両目を潰す」と恫喝されるんですが、あっさり脱出。あまりに呆気なさすぎて、獣王の視線がサイタマに付いてこれてません。

ワンパンマン7巻 ボロスとサイタマ
(ワンパンマン 7巻)
ボロスという最強すぎる宇宙人が主人公・サイタマに敵意を剥き出し。「このボロスと互角に戦えるものはお前が初めてだ!」とフルテンションで盛り上がってる最中。

ワンパンマン6巻 ボロスとサイタマ
(ワンパンマン 6巻)
でもサイタマは「そうか」と一言。全然気乗りしてねー!テンションゼロ!!恐怖すら微塵も抱いていない、まさに「無」。背景も真っ黒で、いかにも雑。

ワンパンマン5巻 深海王とサイタマ
(ワンパンマン 5巻)
前述の深海王と戦った時も、深海王が「私が深海王、海の王。海は万物の源であり母親。つまり海の支配者である私は世界中の全生態系ピラミッドの頂点に立つ存在…」と長々と講釈を垂れている最中に、「うんうんわかったわかった。雨降ってるから早くかかってこい」と目線すら合わせず。

サイタマはお母さんに人と話すときは目を合わせなさいと教えられなかったのか!?…って別に敵は人じゃないからいいのか(笑)

サイタマのやる気の無さは筆舌に尽くしがたいもんがありますが、ヒーローを目指すだけあって、実は芯が熱い人間だったりする。そのサイタマ自身のギャップ感、周囲との温度差がキャラクターとしての魅力を最大限発揮させてる。


村田雄介とONEの圧倒的バトル描写がかっこいい!

ただ、そのゆる~い空気感をズバンと吹き飛ばすのが、圧倒的なバトル描写。原作・ONEが創る飽きない構図や練られたアングル、そこに作画・村田雄介がエフェクトや緻密な描き込み、または背景の奥行き感などを肉付けしていく。まさに絶妙のコラボ。

ワンパンマン3巻 バトル描写 アングル
(ワンパンマン 3巻)
ソニックという敵が手裏剣を投げて攻撃してくる場面。奥で小さく写ってるのがサイタマですが、俯瞰的なアングルとコマからはみ出してるソニックが迫力たっぷり。ソニックが良い感じに浮き上がってる。ちなみにソニックは中二病をこじれすぎてる忍者としても有名(笑)

ワンパンマン9巻 バトル描写 分かりやすい
(ワンパンマン 9巻)
サイタマがフブキというB級ヒーロー(超能力者)と戦った時は、フブキが地面を隆起させてサイタマを閉じ込める。この場面の何がスゴいかというと、わずか3コマで表現してしまう表現力。村田雄介の描き込みも緻密ですが、ONEのネーム力の賜物と言えましょう。

ワンパンマン10巻 金属バット バトル描写
(ワンパンマン 10巻)
触手で攻撃してくる怪人とS級ヒーロー・金属バットが戦った時も、触手と金属バットの動きがダンスを踊ってるように軽やかで美しい。

ワンパンマン3巻 バトル描写 高速移動
(ワンパンマン 3巻)
ジェノスがサイタマに向けてキックを入れようとする場面。あまりに高速移動すぎて砂煙感がハンパない。ジェノスの表情を間に差し込んでくるのもカッコいい。

ワンパンマン7巻 バトル描写 ボロス
(ワンパンマン 7巻)
似たような場面ですが、ボロスがジャンプしてサイタマにキックを入れてる場面。行間とでも言うんでしょうか、この2コマに流れる「間」のテンポが良くてステキ。敵ながらボロスの両足を揃えてのドロップキックもカッコいい。少年ジャンプのスポーツ漫画『ハイキュー!!』でも言及しましたが、足の裏をしっかり描くことで時間が止まってるのが効果的に表現される。

ワンパンマン7巻 バトル描写 ボロス2
(ワンパンマン 7巻)
同じくサイタマとボロスのバトル描写ですが、こちらはサイタマが月からボロスの宇宙船に飛んできた場面。宇宙船が崩れていく感じがヤバイ。最初のサイタマの衝撃もヤバイ。小さい展開から大きい展開まで、村田雄介は何を描かせても上手い。

ちなみに一体何を言ってるか分からないと思うが…というAAを使いたい気分ですが、ここに至るまでの状況を説明しておくと、ボロスが思い切りサイタマを蹴りあげたら月まで飛ばされてしまう。サイタマは宇宙空間だとさすがに死んでしまうかと思ったら、ただ息を止めてるだけでオッケー。正直ツッコミどころ満載ですが、ゆる~い空気感や設定がそれを許します。

このサイタマとボロスのバトルはまさに圧巻です。

ワンパンマン8巻 バトル描写 アングル
(ワンパンマン 8巻)
キングというS級ヒーローのマンションでゲームをしてる最中、巨大な鳥の怪人が襲ってくるんですが、部屋越しからの怪人がヤバイ。ONEだからこその発想力であり、村田雄介だからこの具現化力。巨大なビルに突き刺さる巨大な怪人を下から描いた、次のコマも秀逸。


総合評価・評判・口コミ


『ワンパンマン』の考察レビューをまとめると、良い意味で内容がないので誰でも面白い。ストーリーに変なひねり(捻り)がないのでシンプルで読みやすい。また飽きさせないバトル描写とキャラデザは、きっとヒーロー漫画好きにはたまらないはず。デザインだけでもまあまあ面白い。

圧倒的な画力が魅せるアクション描写と圧倒的な呆気無さ笑いが作る、圧倒的な落差。ゆるい空気感からのシリアスなバトル展開ズドン!は、まるでバンジージャンプのようにクセになる。ただその振り幅が広すぎるので、この漫画を面白いと感じるかは少しハッキリと分かれてしまう作風でもあるか。

個人的に『ワンパンマン』の頂けない点が唯一あるとしたら、紙雑誌への読み切り出張が多くて、肝心のストーリーが一向に進まない点。別にコメディーベースのゆるいマンガだから構わない部分もありますが、ボロス編など物語が佳境に入ってるタイミングでの連発はさすがにイラッと来ました。下手すりゃコミックスの半分が読み切りなんてこともあるので、そこはスピンオフ単独で短編集としてまとめても良い気がする。

ちなみに、この考察記事をアップした時には『ワンパンマン』はKindleなど電子配信されてなかったんですが、2016年7月現在は配信済み。いやぁ~見開きいっぱいの迫力あるアクション描写など、絵がキレイな漫画だったので良かったです。この数ヶ月で一体何があったんでしょうか、はてさて。とりあえず今後はレビュー記事では電子コミックのキレイな画像を使えそうです。