『もやしもん』全13巻のネタバレ感想。作者は石川雅之。イブニング(講談社)で連載されてた農業マンガ。何年か前に、フジテレビ系列でアニメ化もされてました。だから結構タイトルぐらいは聞いたことがある人も多そう。

細菌のデフォルメがかわいい

もやしもん4巻巨大な菌
(4巻)
とりあえず可愛らしい細菌たちが登場。しかも口々にしゃべりだす。主人公は、そんな細菌たちが見える・話せるようになった沢木という農大生。

もやしもん3巻納豆菌
(3巻)
同級生が納豆などを食べると口から菌がブワーッ!悲惨っていうレベルじゃねーぞ。臭いの元はやはり飛び回ってる菌。これより更にすごい描写があって、それが1巻のアザラシの腐乱死体を掘り出した時。この時はちょっとした爆弾テロ。

もやしもん7巻三国志風の菌
(7巻)
何故か細菌たちもノリが良くて、急に三国志風の寸劇が始まったりする。

もやしもん12巻ダンディーな細菌
(12巻)
可愛らしいだけじゃなく、時にはリアル三次元っぽい最近も登場。でもここまで来ると、ただのホラー。戦闘力がムダに満ち満ちてる。

こういうデフォルメは菌の毒性によって描き分けられるらしく、O-157なんかは結構ドギツいデザインだったりします。

農業に関する御託が多い

ただ上の画像だけ見たら可愛らしい細菌たちがいっぱい登場するので、一見ゆる~いコメディータッチな展開が始まるのかと思いきや、「農業」がテーマのガッツリしたマンガだったりする。

もやしもん3巻農家うんちく
(3巻)
結構の頻度で色んな農業知識を披露。画像はアジアにおける、納豆の仲間を解説してくれてる。これが良くも悪くも、ヘビーな質と量。

もやしもん9巻農家うんちく
(9巻)
9巻では、日本の地域別の食料自給率を解説。東京と大阪は思った以上にヒドく、北海道に至っては200%近い数字。荒川弘も言ってましたが、北海道に独立されたら日本ピーンチΣ(´∀`;)

最終的には、本格的な日本酒作りを開始。ゆるいっちゃゆるいが、「農業の実態を伝えてやろう!」という意気込みも熱く感じる。だから専門知識もバンバン登場するので、読んでてて頭を結構使うので疲れる。

その割にストーリーの大きな軸も見えず、細切れなショートオムニバスな展開が多い。Amazonのレビューを読むと、「え?これで終わったん?」という意見も散見されますが、読後感としてあまり強く残るものは少なかった。

オチはキレイな終わり方

でも最終13巻は、比較的キレイにまとまってた気がする。

もやしもん13巻1
(13巻)
主人公・沢木を取り合って、女装っ子と女子高生がワチャワチャ揉める。良い感じに、今後も楽しそうな学生生活を送るんだろうなーと想像させる。

もやしもん13巻2
(13巻)
美里という笑い飯・西田と長谷川が付き合いそうな雰囲気になったり、青春マンガの終わり方としたら上手かった印象。

『もやしもん』の良さを上げるなら、後半にかけての青春チックな展開。10巻あたりで主人公・沢木の兄貴が登場。性格はチャランポランで、勝手に渡米したりしてフラフラした生活を送ってる。でも結構良いセリフを吐く。「お前のいる処(ところ)が、お前の世界の中心なんだ!(だから)お前が回すんだぞ!」とかも良かった。

総合評価

オチはマシだったと言いましたが、シンプルにネタ切れだったから最終回を迎えた感じ。途中何度も休載期間があったらしく、9年という年月で13巻というボリュームは明らかに少ない。

「菌が見える主人公」というせっかくの設定を、あまり上手く使いこなすのは難しかったんだろうと想像。主人公そのものが登場しなかったりするなど、自分が描きたいと事と描ける事とにギャップもあったのかも。設定自体はそれなりに面白かったからこそ、それに自縄自縛に陥ってた印象。

平たく言えば、普通の農業マンガだと思って買うならアリ。ゆる~いギャグマンガだと思って買うと失敗する。何故、そこまで意味なく売れ続けたかと考えると、限定版が工夫されてて色んなオマケが付いてたからだと予想。

ちなみにキャラクターの評価が★3.5の理由は、女性キャラクターが全員同じに見えたのが残念。女性キャラは比較的多く登場したものの、あまり効果的には活かせてなかったかも。決して画力がない作者だとは思わないですが、キャラを描き分ける力は平凡並。


◯展開★3.5◯テンポ★3
◯キャラ★3.5◯画力★3.5
◯全巻大人買い★3
◯80点!!!!