『ミスミソウ』全3巻のネタバレ感想をレビュー。作者は押切蓮介。ジャンルは青年コミックのサスペンスホラー漫画。インターネット上で随分前から話題になってる「恐ろしい漫画」。

作者・押切蓮介の『ハイスコアガール』裁判が決着(和解)したらしいので、このタイミングで『ミスミソウ』が面白いかつまらないか全巻まとめて考察してみたいと思います。結論から書くと胸クソ悪いという点では面白いです。

ちなみに押切蓮介の裁判の和解内容は明らかになってませんが、おそらく強気一辺倒だったスクエニ側が折れたんでしょう。「マンガ内にキャラを使うのは引用」理論を突き詰めていけば、結果的に多くのゲーム作品を抱えるスクエニには不利に働くでしょうから。

だから既に連載は復活してるものの、既刊済みの作品は『ハイスコアガールCONTINUE』に改題されてかなりのキャラクターが変更されています。気になる方は復活「ハイスコアガール CONTINUE」の変更点や違いをあとでチェックしてみて下さい。


あらすじ物語 ストーリー内容

主人公は、野咲春花。もうすぐ中学卒業という間近になって、父親の仕事の都合で廃校寸前の大津馬中学校へ転校せざるを得なくなった。でも野咲春花は親思いの素晴らしい子供で、文句をいうことは一切なく、むしろ前の小学校ではイジメられていた妹・しょーちゃんが早く学校に慣れてくれるかを心配するほど。

でも大津馬中学校は閉鎖的でサイテーな中学だった。今度は野咲春花がイジメの標的にされてしまう。

ミスミソウ1巻相場みつると野咲春花
(1巻)
ただ、そこで出会った少年が相場みつる。この少年だけが野咲春花に優しく接してくれた。そして、相場みつるは野咲春花をある花に例えて言った。それが「はにかみや」という花言葉を持つ三角草(みすみそう)。この三角草が漫画タイトルの「ミスミソウ」になってます。

ただ相場みつるの助けとは裏腹に、野咲春花に対するそれは凄惨さを極めていく…というストーリー。


とにかく胸クソが悪い漫画

あらすじからも何となく分かると思いますが、とにかく胸クソが悪くなるマンガ。内容が常識の範囲内を超えてて、言葉にするのも中々難しい。

例えば娘がボロボロになって帰ってくるので怪しんだ、野咲春花のパパが中学校に抗議に行くものの、女教師もグルだから知らぬ存ぜぬを貫かれる。しかも中学校に来たパパの背中をドンとイジメっ子たちが蹴り飛ばす。野咲春花に関する相手だったら、もはや誰でもいい的な勢い。これがちょっとした布石にも繋がってはいます。

ミスミソウ1巻 全焼
(1巻)
何故なら、最終的に野咲春花の家を燃やす。普通の展開だったら「誰も家の中にはいませんでした」となるんですが、野咲春花以外の家族が全員家の中にいた。結果は特に言及するまでもないでしょう。

ミスミソウ1巻 妹しょーちゃん
(1巻)
妹しょーちゃんはこんなにも可愛らしかったのに、『ハンターハンター』のネテロVSメルエム戦後のメルエム状態。真っ黒焦げ。両親は亡くなったんですが、しょーちゃんはその状態でまだ生きてる。しかも作者・押切蓮介はここで終わらない。そりゃあSNKプレイモアだって怖くない。

ミスミソウ1巻 佐山
(1巻)
佐山というイジメっ子が野咲春花を更に追い詰めるため、「バーベキューの焼き具合はどうだったの?」というセリフを直接浴びせかける。あまりにヒドすぎて一周回って笑ってしまう。

ミスミソウ2巻 イジメっ子
(2巻)
こんなセリフを吐く野郎も。

じゃあ野咲春花はやられっぱなしなのか。もちろんそんなことはありません。放火の犯人は特定するのが状況的に難しいらしいですが、今回の場合は誰が考えたってイジメっ子たちしか可能性はない。野咲春花からしてみたら、ある意味、もう何も失うものはないわけですから(実際には祖父がいる)、そこからは復讐の鬼と化す。
ミスミソウ1巻 復讐の鬼と化す野咲春花
(1巻)
鬼と化した野咲春花の表情がヤバイ。冒頭に貼った相場みつると仲良く語り合ってた表情はどこへやら。


読後感がモヤッとする理由

じゃあ読後感はスッキリするのかといえば、そんなことはない。普通、復讐モノの作品は加害者や犯人たちをバッタバッタと倒していくので、読後感としては比較的スッキリしがち。実際、野咲春花は加害者たちを次々と倒していく。

でも『ミスミソウ』の読後感は何故モヤッとするのかというと、野咲春花自身に良心の呵責があるから。いくら相手がクソ人間だとしても、自分も同じダークサイドに落ちたようなもの。また復讐を遂げたとしても、亡くなった両親は帰ってこない。だから終始野咲春花の表情は冴えない。

またイジメっ子たち目線の心理描写も多い。所詮は言っても中学生。精神的にも未熟。だから死に際になって反目してた両親が頭の中に浮かぶ。そして「会いたいよぉ」と涙を流したりする。

前述の鬼畜なセリフだって、自分が犯した罪の重さに耐えられず現実に向きあえず、加害者は恐怖心をごまかすために敢えて虚勢を張ってるにすぎない。佐山が元イジメられっ子だったことからも伺えます。実際こういう非行少年も多いんだと思われます。

ミスミソウ3巻 佐山とママ
(3巻)
その佐山は野咲春花の復讐を返り討ちしてやろうと決意するものの、直前で母親に「何があってもお母さんは味方だから」と優しい言葉をかけられる。そこで初めて両親の無償の愛の深さに気付く。しっかり愛情を表現しない親も悪いと言えばそれまでですが、基本的に思春期は大人を信用しない。でもちゃんと大人を介在させてれば、ここまで大事にならずに済む。

つくづく加害少年少女達の未熟さを見せつけてくる。クソ虫をクソ虫としてしっかり描いてくれないので、読者も復讐心を抱くことに躊躇感を覚える。これが後味の悪さの要因。


そして、誰もいなくなった

そもそも野咲春花に対するそれも、家庭での些細な悩みからストレスのはけ口として行ってた側面も強い。実際、首謀者だった小黒妙子は進路で悩んでた。

また相場みつるに対して恋心を抱いてて、相場と仲良くしてる野咲春花が標的になったのもそれ。それを知った野咲春花は最終的に小黒妙子だけ許す。小黒も改心して真人間になろうとする。

そこで「唯一の救い」みたいなんが描写されるんですが、
ミスミソウ3巻 佐山と小黒が殺し合い
(3巻)
まさかの佐山VS小黒の新旧イジメっ子対決が展開される。結果、小黒も亡くなってしまう。

ミスミソウ3巻 相場みつる
(3巻)
しかも後半では野咲春花の理解者で救世主と思われた、また首謀者・小黒が恋心を抱いてた相場みつるが豹変。実は母親にDVで愛情を示す、歪んだ性格の持ち主だった。野咲春花は世界中で誰も味方がいない状態。ここまで描写されると、ただの悪趣味。

ラストのオチは「そして、誰もいなくなった」という表現がまさにピッタリ。つまり結果的に誰も救われてない。一つ一つの描写も救いようがないし、ラストのオチも救いようがない。だから読み終えても何の達成感もなく、読み終えた読者に唯一残ってるのは「後味の悪さ」だけ。


ミスミソウ全3巻の総合評価 評判口コミ


『ミスミソウ』全3巻のネタバレ感想をまとめてみると、インターネット上で評判だったから読み始めた口ですが、まさに評判以上の内容でした。これは「トラウマ」という表現を使っても問題はなく、学生さんが読む場合は閲覧注意。良くも悪くも『ミスミソウ』はとても万人にはおすすめできないサスペンスホラー漫画です。

敢えて好意的に解釈するとしたら「イジメをした方も、された方も傷つくだけ。何も得るものはない」といったテーマ性を読み取ることができなくはありません。そんな考え方を究極的に体現した漫画だとも言えそう。まあ、それでも胸クソ悪い結末であることに違いはなく、作者・押切蓮介はムダにこういう展開や空気感の漫画を描かせると上手い。これを面白いと思えるかどうかは好みが分かれまくるでしょうが(笑)