『魔王城でおやすみ』1巻のネタバレ感想をレビュー。作者は熊乃股鍵次(くまのまたかぎじ)。掲載誌は少年サンデー。出版社は小学館。ジャンルは少年コミックの日常ファンタジー漫画。絶賛AmazonのKindleでもダウンロード購入が可能です。

少年サンデーといえば「老害の墓場」と本当にろくなヤツがいないヤフコメで批判されていましたが、割りと最近は新人漫画家の発掘に力を入れているらしい。その中の一つが『魔王城でおやすみ』。『魔王城でおやすみ』の連載は2016年24号から開始した比較的新しい作品で、他には『古見さんはコミュ障です。』などがあります。

そこで記事タイトルに「面白い」と既に結論を書いちゃってるんですが、『魔王城でおやすみ』が面白いかつまらないか簡単にレビューしてみました。『魔王城でおやすみ』の購入を考えてる方は参考にしてみてください。


あらすじ登場人物 ストーリー内容

人間と魔物が入り混じっていた平和な時代。しかし地底から凶悪な魔王が現れて、突然そんな時代が終わりを告げる。そして魔王の手によってスヤリス姫が魔王城に連れ去られてしまう。国中は怒りと悲しみに暮れていたが、勇者たちは「必ず姫を魔王城から救い出すぞ!」と気勢を上げる。

魔王城でおやすみ1巻 あらすじ1
(魔王城でおやすみ 1巻)
一方その頃、連れ去られたスヤリス姫は何をしてるかというと猛烈にヒマだった。そりゃあ監禁された少女がスマホでポチポチYouTubeを見漁ってるなんて話は聞いたことがありません。「ヒマ」も含めての仕打ちなのである。

しかも困ったことに「安眠」できた試しがない。日夜おどろおどろしいモンスターがスヤリス姫の監視や観光にやって来る。まさに動物園に囚われのパンダのようである。ただスヤリス姫は重大な事実に気付く。

魔王城でおやすみ1巻 あらすじ2
(魔王城でおやすみ 1巻)
「これってもしかして枕の質が悪いからじゃね!?」。そりゃあモンスターのお肌はゴツゴツ。スベスベで肌感に優れた寝具を用意できるはずがない、用意しようという発想すら湧かなくても当然である。そしてスヤリス姫は「もう自分で安眠寝具を作ったらいいやん」と思い立つ。

魔王城でおやすみ1巻 あらすじ3
(魔王城でおやすみ 1巻)
そこで最初に狙われたのが「でびあくま」というモッフモフモンスター。アカーン!姫が完全に悪人の目してるー!!女子中学生が夏休みについデパートで万引してしまう時の顔してるー!!人が追い詰められるときっとこんな顔するー!!

…というグロシーンはさすがに描かれません。スヤリス姫はブラシを使って、でびあくまの背中をワシワシしてあげることで体毛を優しくむしり取る。

魔王城でおやすみ1巻 あらすじ4
(魔王城でおやすみ 1巻)
ただ、でびあくまは気持ち良さのあまり何度もブラシを要求する。つまりは形勢逆転。再びスヤリス姫がわっるい顔して「牢屋を脱出するためのカギ」も要求する。何という策士。よっしゃ!これで魔王城から脱出できるやん!

…と思いきや、スヤリス姫は快眠枕を作るために色んな素材を魔王城から集めまくる。そして快眠枕を完成させた姫がすることと言えば、もちろん。
魔王城でおやすみ1巻 あらすじ5
(魔王城でおやすみ 1巻)
つまりは爆の睡。気持ち良さそうにしてる顔がひたすら愛おしいけど、コイツめっちゃアホー!アホの子!こんなアホすぎる姫様を待っている国民たちが不憫でならない。だから『魔王城でおやすみ』の内容はそんな感じでかなりゆる~い日常ファンタジー漫画になります。


「眠る」というテーマだけで広げる展開力は面白い

この『魔王城でおやすみ』は基本的に話の軸はシンプル。本当に「眠る」というテーマにだけ絞られていて話が展開されるので非常に読みやすい。

魔王城でおやすみ1巻 ベッドの安眠シーツ
(魔王城でおやすみ 1巻)
例えばあらすじで触れた枕があれば、当然ベッドシーツも必要。そこでスヤリス姫は「おばけふろしき」というモンスターを襲う。そのハサミで顔と手を部分をハサミでジョキッと切ってしまう時の表情が悪魔。冷静に考えると怖すぎる。

魔王城でおやすみ1巻 毒キノコの胞子
(魔王城でおやすみ 1巻)
他にも毒キノコの胞子を布団にして寝ることも。思わず魔王も「もしかしてバカなのか?」とツッコミを入れるものの、もしかしなくてもスヤリス姫は完全アホです!!残念!!

当然毒に耐性があるはずがないので、こんな風に頻繁にスヤリス姫は死んでしまう。そこで「あくましゅうどうし」というモンスターが姫をたびたび生き返らせてくれる。

魔王城でおやすみ1巻 棺桶1
(魔王城でおやすみ 1巻)
でもスヤリス姫が蘇るのは棺桶の中。スヤリス姫は最初愕然とするものの、あくまで驚いてるのは「なんだこの寝床は…安眠要素ゼロじゃないか」と寝る視点。やはり考えるのは、いつも眠れるか眠れないかの二点。

だからこそスヤリス姫は最悪だと感じた棺桶に対しても、すぐ「あれ?これ使えそうやん?」と見方を変えることが可能。何故なら棺桶の中は密閉されているので、周囲の騒音が入ってこない。しかも常に真っ暗。これほど眠るのに適した環境も実は存在しない。

魔王城でおやすみ1巻 棺桶2
(魔王城でおやすみ 1巻)
もちろん質が悪い一面があるのは確か。木の表面や角はゴツゴツしてる。そこでスヤリス姫が目を付けたのがあくましゅうどうしの角。「いやあ…君のツノ…ギザギザして良いツノだね?」。もう嫌な予感しかしませんが…

魔王城でおやすみ1巻 棺桶3
(魔王城でおやすみ 1巻)
やっぱり、またまたDIY精神キタ━━(゚∀゚)━━!!

人の頭は意外と重いはずので、特にモンスターとなれば尚の事だと思われますが、それを左右にゴリゴリと華麗に動かすスヤリス姫の腕力の強さが意外とヤバイ。もしガチンコで殴り合えば、普通に魔王も倒せそうです。そもそも悪魔修道士は自分を生き返らせてくれたわけですから、これほど「恩を仇で返す」というシチュエーションが似合う場面もないでしょう。

魔王城でおやすみ1巻 棺桶4
(魔王城でおやすみ 1巻)
そしてラストは「なめらかグミ」というモンスターで研ぎまくる。まさかのツヤ出しのためのワックス代わり。なかなかのグロテスクな場面ですが、作品に対する徹底したこだわり、作り込みや意気込みに感服・敬意の念しか浮かばない。まさに日本の宮大工も真っ青の職人芸を発揮させるスヤリス姫。

他にも「風の盾」や「サンダードラゴン」などファンタジー要素を活かした設定も巧みで面白い。話の構成に窮屈感や無理がなく、ストーリーや展開作りに余裕感すら感じさせます。そのことからきっと『魔王城でおやすみ』がすぐさま失速やネタ切れを起こすことはないと思います。

またファンタジーならではのアイテムを巧みに使うことで、しっかりマンガの世界観を崩すことなく読者が没入できるのも良い。『ダンジョン飯』といった漫画が好きな読者なら多分面白いと感じるかも知れません。


魔王城でおやすみの総合評価 評判 口コミ


『魔王城でおやすみ』のネタバレ感想をまとめると、日常漫画としては割りと面白い部類に入る気がします。

主人公・スヤリス姫のキャラクターが良い意味でヒドい。見た目は可愛らしいものの、中身は意外と腹黒くてドス黒い。囚われの身であるはずなのに、全くもって切迫感や緊張感に欠けたゆる~い空気感。それと相反するような必死なモンスターたちとのギャップ感も面白く、日常漫画好きならきっとハマりそう。

展開力という点でもアイデアが豊富。スヤリス姫の眠りに対する執念を見ていると、つい魔王城からの逃亡に活かせよとツッコミを入れたくなります。一話目が面白くても二話目で急激に失速してしまうガッカリ漫画も世の中には多いですが、少なくとも『魔王城でおやすみ』は1巻の最後まで失速することはなかった。つまりは自ずと『魔王城でおやすみ』の2巻目以降への期待感も膨らみます。

作者・熊乃股鍵次の画力も割りと高くて、細かく端々まで描き込まれてる。同じ少年サンデーのギャグ漫画だと『だがしかし』が先に人気が出ましたが、絵的には未熟でした。でも『魔王城でおやすみ』は全体的に絵の完成度も高く、『だがしかし』よりも間違いなく絵は上手い。トーンも多用されているなど、漫画としてのコスパの高さも際立ちます。

でも強いて言えば、しっかり仕上がっているが故に「ガチのゆるさ」は意外に乏しく、ややテンポ感の悪さは感じるかも。日常漫画として本気で読むなら、もっとテキトーに描く部分を増やしてもいいのかもとは思った。どうしても色々描き込まれていたら、無意識的にジッと見てしまう。

ただ今後の期待値の高さも含めて、現段階では『魔王城でおやすみ』を高評価したいと思います。もしこの感想レビューを読んでビビビッと来た方なら、とりあえず1巻だけは読むことをおすすめしておきます。さすがにジャンルは日常ギャグ漫画なので長期連載はしんどいかも知れませんが、それでも3巻4巻ぐらいまでは面白さは持続しそうです。