『マンホール』全3巻のネタバレ感想。作者は筒井哲也。ヤングガンガン(スクウェアエニックス)で連載されてたパニック漫画。

あらすじ

ある日、爆発的な感染力を持った寄生虫によって、日本がパニックに陥れられるというストーリー。設定の掴みはかなり上手い。

マンホール1巻マンホールから1
(1巻)
初っ端からその感染源である男がマンホールが突如として現れる。画的に怖すぎ。考えてみると、マン+ホールを直訳したら人間+穴((((;゚Д゚))))ガクブル

マンホール1巻感染した男
(1巻)
この男がキッカケでどんどん感染していく。思わず「何故?どういうこと?」と一瞬グイーっと引き寄せられる展開。

出し惜しみが下手

ただ作者の筒井哲也は出し惜しみが下手。

マンホール1巻黒川宏
(1巻)
結構早い段階で、感染源の張本人・黒川宏が登場しちゃう。アフリカから致死率の高い寄生虫を持ち込んで、ヒトスジシマカを使って感染を拡大させる。日本でもデング熱が一時蔓延しましたが、まさにその感染源。

だからオチが見えてる状態でストーリーが展開していくので、ちょっと読み物としては退屈。大ドンデン返しがあると期待して最後まで行くんですが、何もなし。

良く言えば、闇雲に風呂敷を広げすぎないってことが言えるんですが、さすがに意外性がなさすぎる。ジャンルはサスペンスやパニックホラーにあたると思うので、もう少し含みや出し惜しみを増やして、良い意味で裏切って欲しかった。

感染描写はリアル

作者・筒井哲也の描写は他の作品でも言えますが、描写が緻密。

マンホール2巻防護服
(2巻)
某福島原発事故で彷彿とさせるような防護服。

マンホール2巻ヒトスジシマカ
(2巻)
ヒトスジシマカに大量に刺された女性の腕。作者が描く絵柄に派手さはないものの、思わずウワーっとはなる。これが原因かは知らないですが、長崎県では18禁扱いだそう(;´Д`)ハァハァ

総合評価

筒井哲也の作品は設定は面白いんだけど、展開が長続きしない。この『マンホール』もご多分に漏れない。最初こそ手応えは感じるものの、早い段階でその手応えはなくなっていく。全体的に下手さを感じないから、自分としても不思議。3巻しかありませんが、退屈さがちょいちょい顔を覗かせる。

主人公は溝口という刑事(キンドル版の表紙のハゲ)。途中で感染してしまうものの、結局は死にそうで死なない。挑戦的な設定を用いたはずなのに、完全にしっかり煽りきれてない。肝心な部分はご都合主義的。喜多嶋というハッカー刑事も3巻でそれっぽく登場するも、活躍するのは線香花火並に一瞬。


◯展開★3◯テンポ★4
◯キャラ★3◯画力★4
◯大人買い★3.5
◯80点!!!!