『魔法使いの嫁』5巻のネタバレ感想。作者はヤマザキコレ。月刊コミックガーデン(マッグガーデン)で連載中のファンタジー恋愛漫画。コミックブレイドでも配信中。1巻から4巻までは既にレビュー済み。人間と人外との恋愛が描かれています。


リャナン・シーの恋心

5巻は吸血鬼のリャナン・シーがジョエルという男に取り憑いた(好意を抱いてしまった)続きから。吸血鬼は愛した男に文才を与える代わりに、最終的にはその男を食べてしまう。だから元来吸血鬼はいわゆるヤリマ…ゲフンゲフン…男性に惚れやすい体質なんだそう。

ちなみに、ずっと自分はリョナン・シーだと思ってたのは内緒(*ノω・*)テヘ

魔法使いの嫁5巻 リャナン・シーとジョエル
(魔法使いの嫁 5巻)
でもリャナン・シーはジョエルを愛しすぎたが故に、「だって愛してしまったら、あたしたちは、その愛を通さなきゃいけないの」と自らの恋心を無意識的に否定してるのが切なポイント。もし恋していたら(実際に恋してるんですが)、ジョエルを食べなきゃいけなくなる。ジョエルを傷付けたくないけど一緒にいたいという、裏腹な気持ち。

主人公・チセはジョエルを助けるために来たものの手遅れ。そこで妖精の塗り薬を作ろうとする。これを人間のまぶたに塗れば、これまで見えなかったリャナン・シーが見えるようになるから。

魔法使いの嫁5巻 ジョエルの願望
(魔法使いの嫁 5巻)
「ああ、あの赤いスグリのような目の人を願えるならまた」と死を間際にしたジョエルも考えていた。

魔法使いの嫁5巻 エリアスの人間版
(魔法使いの嫁 5巻)
途中でエリアスが空気の読めなさを全開するクダリにイラッと来る部分もありますが、貴重な人間バージョンのエリアスを見ることができます。

魔法使いの嫁5巻 ジョエルの願望2
(魔法使いの嫁 5巻)
最終的にリャナン・シーとジョエルが再会するんですが、「それが幻だったとして、幻ではなかったんだけども、僕の人生は惰性ではなくなったんだ」とジョエルはこれまでの感謝を述べる。このことで更にリャナン・シーはジョエルへの想いをますます強くしたものの、直後にジョエルが霧散してしまう。

恋が結実した瞬間に、その恋が終わった。自分の思いを告げることはできなかったリャナン・シーは思わず「人間って本当にわがまま」とポロリ。そしてリャナン・シーはジョエルへの想いを貫くため、もう愛する恋人を探さないと決意した場面で終わります。

ボリューム的には短かったですが、人外と人間との恋愛を上手くコンパクトにまとめられていた気がします。愛し合っていても結局ハッピーエンドを迎えることはできない部分に、こういった奇をてらった恋愛漫画の醍醐味があるのかも知れません。


チセの身体はもう限界よ

ただチセは「妖精の塗り薬」を作るために大量の魔力を消費。魔力は血管や神経を通して肺や心臓をめぐる。この時に魔力を過大に放出し過ぎると、当然肉体へのダメージは大きい。

魔法使いの嫁5巻 チセの吐血
(魔法使いの嫁 5巻)
結果、チセは吐血。肉の裂けるが音もプチプチ。それほどまでにチセはリャナン・シーとジョエルのために動いてた。リャナン・シーもそこまでしてくれるチセに対して、自分は吸血鬼だからこそ「チセは所詮は人間。人間を食べるものを人間は怖がるものじゃない?」と質問。

でもチセは「生き物が息をするみたいに、貴方たちは誰かを好きになる」「怖いけど怖くないって言えばいいのかな。私は怖い人も怒鳴る人もすごく苦手。だから私は私に笑ってくれた人たちには、私のために笑ったままでいてほしいだけ」。アカーン!この子、めっさええ子や~ん(´;ω;`)

そしてエリアスはチセを担いで大急ぎで妖精たちが集まる蟻塚へ向かいます。

魔法使いの嫁5巻 シャノン
(魔法使いの嫁 5巻)
その妖精の蟻塚にはシャノンという女医がいた。人間の子供と取り替えられて人間の両親に育てられた妖精・チェンジリング(妖精の取り替え子)だった…みたいな話。この蟻塚でチセは改めて「生きていこう」という決意が生まれる。

魔法使いの嫁5巻 エリアスと妖精王
(魔法使いの嫁 5巻)
理由はやはりエリアスの存在。エリアスはチセに「人間として生きて欲しい」と願ってる。「僕を恐れるのは人間たちだけど、僕を受け入れたのも人間だった」と語ってるんですが、後半部分はチセのことを指してるんだと思います。

結果的に二人の愛は更に深まるみたいなオチ。

魔法使いの嫁5巻 シルキー・絹女給
(魔法使いの嫁 5巻)
チセとエリアスが蟻塚へ行ってる最中は、シルキーというキャラがお留守番してたんですが、このシルキーの過去編が少し語られます。何故かリャナン・シーが登場したりしますが、シルキーは元々バンシー(泣き女)だったそう。しかし世の中には色んな妖怪や妖精がいるんですな~。

魔法使いの嫁5巻 エリアスとチセのキス
(魔法使いの嫁 5巻)
冬至(ユール?)がやって来て、ヒイラギの木の実やオークのヤドリギを集めに行った後、チセとエリアスはキス。ヤドリギの下ではキスしてもいいという風習があるそう。

とんだナンパ師野郎って感じですが、エリアスは「なんだろう…背中かな腰かな、ムズムズする」という反応。こ、これは、男子中学生が女子に触れただけで股間がピコピコピーンしてしまう的なアレでしょうか?(笑)

魔法使いの嫁5巻 古い神
(魔法使いの嫁 5巻)
ちなみにヒイラギのクダリで、古い神とやらが登場します。何故かご懐妊中。いずれ再登場するんでしょうか。RPGでいうと中ボスぐらいの匂いがしますが果たして。


ちなみに『魔法使いの嫁 6巻』の発売日は9月10日となってます。そして『魔法使いの嫁 7巻』は2017年3月10日、『魔法使いの嫁 8巻』は同年9月10日に発売されます。どんだけ先までAmazonで予約できるんだ(笑)