『ライチ☆光クラブ』のネタバレ感想をレビュー。作者は古屋兎丸。掲載誌はマンガ・エロティクス。出版社は太田出版。なかなかマイナーなマンガ雑誌で掲載されていたコミックらしい。最近になって中村倫也、尾上寛之、加藤諒で舞台化もされたらしいので、何となく面白いかつまらないか考察してみた。


東京グランギニョルの演劇が原作

『ライチ☆光クラブ』の作者は古屋兎丸と書いたばかりですが、実は原作の元ネタがあってそれが1984年に旗揚げされた劇団「東京グランギニョル」が公演した演劇。主人公・ライチは嶋田久作が演じてたらしい。

作者・古屋兎丸は高校生の頃に、この『ライチ☆光クラブ』の演劇を見てかなり衝撃を受けたそう。そこからかなり時は経ちますが、あと次いでに作者の年齢も推察できますが、2000年代半ば頃になってマンガ化することを決意したそう。

衝撃が忘れられなかったこともありますが、当時、この劇団にスタッフとして参加しなかったことを後悔したこともあって、それが奮起に至った動機らしい。「やった後悔より、やらなかった後悔の方が強い」と一般的に言われますが、まさにそんな感じ。

ただオリジナルの演劇とはいろいろと違いがあって、この漫画版の『ライチ☆光クラブ』ではかなり脚色を加えてるらしい。だから厳密にはオマージュ作品と言えそう。


あらすじ物語・ストーリー内容

主人公は「光クラブ」のメンバーとなった少年たち。廃墟と化した工場に秘密基地を設立し、夜な夜な集まっては何かを目論んでいた。リーダーは「ゼラ」と名乗る少年を頂点として、1番がニコ、2番が雷蔵、3番がカネダ、4番がデンタク…といった具合にピラミッド形に形成されている組織。

ライチ☆光クラブ ライチ1
その少年たちの目的は人間型ロボットの製造にあった。そして目論見通りに成功させる。ロボットの名は「ライチ」。その名の通り、ライチをエネルギー源にしてる。そして光クラブのメンバーはロボット・ライチに何をさせたかというと、もちろん悪事。

ライチ☆光クラブ カノン カギを握る少女と予言される
美少女・カノンを誘拐してくる。果たして、光クラブの少年たちはどこに向かうのか?その狂気が行き着く先に一体何が待っているのか?…みたいなストーリー。基本的に設定はいろいろと荒唐無稽ではありますが、世界観的にはコレでも問題はなく細かいツッコミは無粋。


グロ描写連発

最初にネタバレしておくと、『ライチ☆光クラブ』はグロ描写が多め。時代背景も色濃く反映されてるのか光クラブ内での内ゲバなど、子供染みた無邪気な残虐性が暴走して、内臓がブリーン。お乳もブリーン。BL描写もあったりなかったり。

1970年代1980年代の世間に対する挑戦的な空気感が反映されてる感じ。古屋兎丸の絵柄も相まって、インパクト感は満載。言っちゃえば、悪趣味なレベル。まさにアングラ系といった様相で、大嫌いな人は大嫌いだと思います。だから今回の記事は画像は少なめで安心して閲覧してもらって結構ですが、実際のマンガを読もうとする方は注意。


最終話はこんな完結を迎える

『ライチ☆光クラブ』の最終回は比較的キレイにまとまったオチでした。

あらすじで説明したようにロボットであるライチは、少年たちに「可愛い女の子」をラチってくることを命令される。でも「可愛い」の定義を認識できないライチは、便器ですら曲線だから可愛いと認識してしまう。

ライチ☆光クラブ ライチ4
そこでライチは「自分は人間である」とプログラミングされることで、徐々に人間としての感情が芽生えることで人間の少女・カノンをようやく連れて来る。光クラブの少年たちは喜ぶものの、ライチの中にはカノンに対する「恋心」も同時に芽生えていた。

ライチ☆光クラブ ゼラとジャイボ
そしてライチに人間の感情が植え付けられたが故に、最終的には悲劇…いやハッピーエンドに繋がっていく。

ライチ☆光クラブ ライチ2
ライチから見える世界がドット絵という演出も面白かった。未来感があるロボットを使いつつも、当時のレトロ感も同時に表現されてるというギャップ感が面白かった。

光クラブのリーダー・ゼラの周囲で起きる裏切りの首謀者は誰なのか?といったサスペンス仕立ての展開に、「ロボットの感情」という設定を上手く落とし込んで、独特の世界観と狂気に満ちたストーリーが構築されていた気がします。

序盤のほうで光クラブを調べに来た世界史の女教師の醜い臓器を取り出す。それを見て少年たちは嫌悪するものの、「もっと自分たちの内臓は美しい」と豪語してみせる。でも最終的に同じようにゼラは、一番隊だったニコに便器で体をぶち破られてしまう。当然、ゼラの体内にある臓器は女教師と同じく醜かった。

光クラブの少年たちは自分たちの若さが永遠に続くと思い込んでいて「成長を否定」してみせるんですが、所詮は幻影に過ぎない。ローマ皇帝・エラガバルスの死に関しても、序盤の伏線というか前フリがオチでキレイに回収されていました。

荒唐無稽なライチの存在にしても、最終回まで読むと歳を重ねないロボットには強い意味性も感じさせます。秘密基地がある廃墟と化した工場も、時代背景を考えたら「経済成長に対する否定」という青臭さも込められている気がしなくもないです。

少年たちが必死に築き上げた「閉じた世界」が崩壊していく圧倒的な現実には美しさも読み取れ、カノンを救い出すことで人間になれたロボット・ライトも含めて、最後のラストは余韻の残る結末でした。


総合評価・評判・口コミ

ライチ☆光クラブ (f×COMICS)
古屋 兎丸
太田出版
2006-06-01

『ライチ☆光クラブ』のネタバレ考察をまとめると、割りきった内容なので面白いかどうかは読者によって評価や好みがかなり分かれそう。基本的にグロい描写が連続するので、そういう漫画が苦手な人にはまずおすすめしません。ストーリーが面白いか以前に、途中で萎えちゃいます。

でも作者・古屋兎丸が描きたかった狙い and したかった試みは成功してる気がします。設定の荒唐無稽っぷりも含めて、古き良きアングラマンガを見事に体現してるんではないでしょうか。学生時代に参加したかった劇団「東京グランギニョル」にも、きっと20年以上遅れて無事参加できていたはず。

ちなみに「光(クラブ)」の意味は、メンバー(たみや・ひろし、たぶせ・かつや、かねだ・りく)の下の名前の頭文字からそれぞれ取って命名したとのこと。特に深い意味はなさそうなので覚えなくても大丈夫そうなのであらすじでは割愛してみました。