『黒子のバスケ』全30巻のネタバレ感想をレビュー。作者は藤巻忠俊。掲載誌は少年ジャンプ。出版社は集英社。ジャンルは少年コミック向けのバスケ漫画。

少年ジャンプのバスケ漫画といえば『スラムダンク(井上雄彦)』が想起されますが、割りとそれに負けないぐらい面白かった。そこで面白いかつまらないかという考察記事を書いてみました。


あらすじ物語・ストーリー内容

主人公は、黒子テツヤ。誠凛高校バスケットボール部の一年生。「存在感が薄い」ことが武器。相手選手に気付かれないようにパスを出したり、受けたりするサポート役。スポーツ漫画の主人公としては奇をてらってる。当時「ジャンプ史上最も影の薄い主人公」という売り出し方をされてた気がする。

黒子のバスケ15巻黒子テツヤ
(15巻)
でも内に秘めた熱さがあって、むしろ王道主人公的な存在感がある。一見、水と油的な関係かと思いきや、実はすごくマッチしてた組み合わせ。

黒子のバスケ19巻火神
(19巻)
ポイントゲッターの火神の女房役で、コンビとしてはハマってた印象。

またお互いがしっかり役割分担ができてて、読みやすい。


キセキの世代という永遠のライバル

黒子は全国一強い帝光中学のバスケ部に所属してた。そこには更に選りすぐられた「キセキの世代」と呼ばれる天才5人組がいた。黒子はキセキの世代ではなかったが、その5人に一目を置かれれる「幻の6人目」という異名が付いてた。

その5人はそれぞれ違う高校に入ったので、キセキの世代はバラバラになる。結果、中学時代では仲間だった5人が、黒子のライバルとして目の前に立ちはだかる。だからストーリーの軸としては、結構読みやすい。

スポーツ漫画はキャラクターが大勢必要だからやや難しいんですが、個性的なリーダーを「チームの顔」にすることで、モブキャラが増えても特に問題なしか。さすがに11人必要なサッカーだと厳しいかも知れませんが。

黒子のバスケ6巻青峰
(6巻)
キセキの世代には青峰という天才プレイヤーがいる。身体能力などは超高校級。「俺に勝てるのは俺だけだ」という恥ずかしいセリフも平気で豪語したりする。


セリフ力が地味に高め?

そういうキザったい(こそばゆい)セリフが結構見所?

例えば、緑間(みどりま)というキセキの世代の場合。3Pシュートをどこからでも決めちゃうような選手。それが黒子のパートナー火神が散々止める。その時に放ったセリフが、「オマエが飛べなくなるまで撃てばいいだけの話だ!たとえそれが万でも億でもな!(10巻)」。

キセキの世代・紫原(むらさきばら)は2メートルぐらいある巨漢。コイツが放ったセリフではないですが、周囲の選手たちが「紫原からは逃げられない!3Pラインより内側はすべて奴のテリトリーだ!(17巻)」と恐れおののく。ちょっと口にするのは恥ずかしいですが、マンガorアニメだったら自然と聞ける。

いかにも女子は好きそうで、こういう部分が腐女子さんたちを刺激したのかも知れない。


キセキの世代 VS キセキの世代が熱い

キセキの世代は黒子と試合で戦うだけじゃなく、キセキの世代同士で戦うことも多い。スポーツ漫画では主人公以外の第三者同士の試合も描かれることが多いですが、基本的に感情移入が難しい。しかも、作者のお気に入りか知らないですが、ボリュームが長めで退屈させられる。

でも「キセキの世代」というブランドを作り上げてることで、黒子のバスケではそういった弊害はなく読めた。敵として魅力的かどうか?事前に丹念に作り上げてるかどうかが大事ということ。

黒子のバスケ20巻赤司
(20巻)
特に強かった赤司(あかし)のラスボス感を印象づけるため、他のキセキの世代たちは「噛ませ犬的」な役割もしっかり担えてた。


必殺技(テクニック)がカッコいい


黒子のバスケ22巻必殺技
(22巻)
試合ではリアリティーがなさすぎないレベルで色んな『必殺技』が登場。要所要所の見せ場を作るという意味では、結構大事な役割を担えてた。

ただ反面、幼稚さが際立つのも確かに事実ですが、個人的にはそこまで気にならず。「少年誌」で連載されてた部分が大きいんだと思いますが、他の漫画家もそこまで敬遠する必要は無いと思う。そのまま黙ってシュートを打ったりするより、必殺技のようなことを叫んだ方が様になりそう。


王道スポーツ漫画を体現

結構腐女子と呼ばれる女の子読者が好きなマンガだったらしい。そこからナヨナヨした感じのマンガを想像してしまったんですが、ただいざ読み始めるとそういう雰囲気はほとんどなかった。

スラムダンクレベルとまでは言わないですが、実はそこに匹敵する王道バスケ漫画。「必殺技」の設定があるので異論があるかも知れないですが、そういう部分を引っくるめたとしても試合展開はしっかり描けてる。

黒子のバスケ8巻試合描写
(8巻)

黒子のバスケ11巻試合描写
(11巻)
試合描写はこんな感じ。コマからはみ出させるなど迫力あり!

黒子のバスケ21巻緑間
(21巻)
いつもクールだったキセキの世代・緑間が負けた後の涙は思わず胸熱。特に女子はキュンキュン?

修行(合宿)の展開もシンプルで及第点。選手たちのどこをどう成長させたかも分かりやすくて、その理由にも納得感があった。修行はバトル漫画にも通じる面白さもあるので、スポーツマンガにおいても実は重要な部分。


総合評価・評判・口コミ


『黒子のバスケ 全30巻』のネタバレ感想をまとめると、意外としっかり王道バスケ漫画で面白い。赤司率いる洛山高校との決勝戦が終わった、まさにテンションMAX状態のまま完結。帝光中学校時代の回想編はやや長かった感じもありますが、それでも近年稀に見る潔さ。終わり方だけ見ると、ちゃんと全国優勝を果たす最終回はスラムダンクより完成度は高い。

だから個人的にはもう少し余韻を残して、あと数話なにか選手たちの「その後」を描いても良かった感じはする。ここまで読んだファン読者に対して、ご褒美をくれても罪じゃなかった。

とはいえ、人気漫画だから続きを描いてほしいと思っても、やはり全国大会(作品ではウィンター大会)優勝後の展開を描く難しさもある。

スポーツ漫画の多くは部活漫画でもあるので、どうしても次の大会をやろうとするとキャラクターの学年が上がってしまう。当然三年生は必然的に引退して、逆に新一年生が強制的に加入させざるを得ない。つまり一からキャラクターを作り直さなきゃいけない。既に人気が定着したキャラも多い中、それはゼロからマンガを描き始める以上に難しい作業。

黒子のバスケでは「キセキの世代」以上のライバルを作ることは不可能に近い。むしろそういう『ライバル』を作ったからこそ、黒子のバスケは成功した。「キセキの世代」という制限や足かせがあったからこそ、ムダなキャラを作らずに済んでそれぞれのキャラが機能して生きた。

黒子のバスケファンブック冨樫義博との対談
(ファンブック)
そういえば公式ファンブックでは冨樫義博と対談。クラピカの絶妙な口角・表情について語られてたり、なかなか面白い。敵キャラクターの作り方など、マンガ家を目指してる人には結構ヒントになる情報が書かれてるかも。プロにも役立つ?

ちなみにファンブックによると作者・藤巻忠俊は将来ゴルフ漫画を描きたいそう。次作品も少し奇をてらって、キャディーさん目線で描いたりするんでしょうか?