『この美術部には問題がある!』1巻から6巻のネタバレ感想をレビュー。作者はいみぎむる。掲載誌は電撃マオウ。出版社は角川書店。ジャンルは少年コミックの学園ギャグ漫画。

最近アニメが始まったらしいので面白いか、つまらないマンガか考察してみた。ちなみにマンガタイトルは「この美術部は問題がある」ではありません。「に」は必須。


あらすじ物語 ストーリー内容

場所は月杜中学校の美術部。主人公は部員の宇佐美みずき。中学二年生の女の子。同じ部員である内巻すばるのことが好きだった。内巻は絵の才能に恵まれて、とにかく非凡だった。女子は自分にはない能力を持つ男子に惹かれる傾向があるらしい。

この美術部には問題がある1巻 内巻すばる
(この美術部は問題がある 1巻)
ただ内巻の夢は、まさかの「最強の二次元嫁(美少女)を描き出す」こと。残念ながら三次元の女子には全く興味がなかった。宇佐美さん、残念!!!

後輩部員のコレットさんや、常に居眠りしている部長など、少し問題がある美術部員たちのちょっと残念な日常が描かれているようなストーリー。他にも登場人物には、顧問の教師・立花夢子は脅威のドジっ子、転校生の伊万里まりあは中二病などがいます。

だから、あらすじ的にはゆる~い感じの内容。ちなみに背表紙の煽り文を読むと、内巻すばるが主人公っぽいですが、個人的には宇佐美さん推しです。


宇佐美みずきはかわいい?こわい?

唯一「問題がない」と思われる宇佐美みずきのキャラクターが良い。

この美術部には問題がある1巻 宇佐美みずき 暴力
(この美術部には問題がある 1巻)
大好きな内巻すばるに「僕が二次元好きだと何か困るんですか?」と訊かれた時は、恥ずかしさの余りに何て答えたらいいか分からず、「私はただ美術部員としてオタク絵が嫌いなだけ」と思いっきりパンチで穴を開ける。思わず「ぎゃああ」と叫ぶ内巻が哀れ。

その内巻がある日 ラブレターを一通貰った。それに対して部長に「複数の女子から好かれるとか立派なリア充」とやっかみ。ただ内巻は「一通だけですよ」と改めて否定。
この美術部には問題がある2巻 宇佐美の暴力
(この美術部には問題がある 2巻)
そこで部長が「いやいや他にもいるじゃないか。なぁ宇さ…」と全てを喋る間もなく、部長の頭をズドン。反射神経の早さがパない。

この反射神経を活かしたツッコミも冴える。
この美術部には問題がある2巻 宇佐美のツッコミ
(この美術部には問題がある 2巻)
内巻からの電話を届けに来た母親に対しては「出てけ」。シンプルに一言。シレッと娘の部屋に居残ってる母親も笑えます。

この美術部には問題がある1巻 宇佐美のツッコミ
(この美術部には問題がある 1巻)
好きなはずの内巻すばるに対しても、謎のヲタクこだわりを披露する場面では「捨ててしまえ、そんなこだわり」とピシャリ。好きな男子からこんなこと言われる女子の身になって考えたら、確かに怒りたくなるのも頷けます。

この美術部には問題がある6巻 宇佐美のツッコミ
(この美術部には問題がある 6巻)
また女友達と一緒にラブレターを書こうというクダリでは、友達が悪ノリして「こういうのは素直に書けばいいのよ、ピュアさよピュアさ」と言いつつ思いっきり官能小説みたいな文章を書こうとする。それに対しては「おいぶっ飛ばすぞ」とドスを効かせたツッコミ。

この美術部には問題がある5巻 ひどい言われようの宇佐美
(この美術部には問題がある 5巻)
だから宇佐美の部屋にみんな遊びに来た時には、幼い頃の宇佐美の写真を見た他の部員からはひどい言われよう。

コレットさんからは「あはは先輩なのに小さい」と笑われ、愛しの内巻には「宇佐美さんにもこんな頃があったんですね」。部長にも「心優しかったんだろうな、この時は」と普段の宇佐美を一体どんな風に見てるんだと。無碍(むげ)に扱われる、本来は何も問題はない宇佐美が笑えます(笑)

普段こそ少しツンケンしてますが、宇佐美は進路先に「お嫁さん」と書いてしまうぐらい中身は乙女。だから恋愛にはすごく興味しんしん。だからそういった行動も可愛く見える。


内巻すばるが普通に大胆

内巻すばるは二次元にしか興味がないと言いつつ、意外と宇佐美に好意があるように接してくる。実際、内巻も宇佐美のことが好きと思わせる描写がチラホラ散見します。例えば、平気で間接キッスとかしてくる。

この美術部には問題がある2巻 宇佐美 内巻
(この美術部には問題がある 2巻)
風呂あがりの宇佐美に対して「すごくいい匂いがするなーと」と笑顔で褒めてくる。何気に女子って匂いを褒められるの嬉しいんでしょうか?ただ自民党の石破茂センセーみたいな方が頬を赤らめながら言えばアウトになりそうですが。

この美術部には問題がある3巻 宇佐美 内巻 嫁
(この美術部には問題がある 3巻)
他にも「もし宇佐美が嫁だったら」みたいなことも平気でサラッと言ってくる。お嫁さんが夢なので、当然反応しまくり。宇佐美としても、どんどん好きになっていかざるを得ない。

この美術部には問題がある6巻 宇佐美 素直じゃない
(この美術部には問題がある 6巻)
だから宇佐美も宇佐美で、意外と自分の方からグイグイ来ちゃう。画像だと「ウサミというアニメキャラが好き」と言った内巻に対して、「宇佐美さんが好きって…私が好きって…どうゆこと?」と自分の方からアレコレと聞きに行ってしまう。本人に訊いちゃダメだよ。内巻のダイソン並みの吸引力に吸い込まれていく。

この美術部には問題がある3巻 宇佐美 内巻
(この美術部には問題がある 3巻)
他にも肌が白いと言われた内巻が「宇佐美さんだって」と言い返す。宇佐美は「私は女子だからいいの」と開き直る。でも一つ間があった後に「え?いいよね?(内巻くんは肌が白い女子が好きだよね?)」と聞き返してしまう。もうバレバレ(笑)

前述のラブレターのクダリでも、内巻はラブレターを出したことない宇佐美に対して「でしょうね」とニマニマと軽く煽る。それに対して宇佐美は「いつか叩きつけてあげるんだから覚悟してなさいよね!」と、もはや軽い告白。どんだけ白状しまくるんだ、という描写が多すぎて笑えます。犯人だったら一瞬で完落ちでしょう。


意外と王道でピュアな青春恋愛要素も

でも胸キュンな恋愛要素も割りと多い。

この美術部には問題がある4巻 宇佐美 内巻
(この美術部には問題がある 4巻)
例えば宇佐美と内巻が部屋に閉じ込められて、恋愛の一触即発状態なんてパターンにはコッチもドキドキ?

この美術部には問題がある6巻 部長とののか
(この美術部には問題がある 6巻)
他の登場人物でも、部長と「ののか」という幼なじみの恋愛描写もあったりします。

この美術部には問題がある5巻 青春感
(この美術部には問題がある 5巻)
青春要素も意外とあって、幅広い年齢層の心をがっちり掴みそう。画像は空き缶を集めて何かを作ってる場面で、一つの目的のために頑張る若者たちの姿は大人でもグッと来ます。さり気なく空のシーンを持ってくるなど、雰囲気感や空気感の作り方も地味に上手い。


コレットさんの傍若無人

他にもキャラクターが良かったのは、コレットさん。ロシア系のロリ風美少女。

この美術部には問題がある2巻 コレットさん
(この美術部には問題がある 2巻)
例えば、自動ドアをさも魔法を使ったかのように開ける仕草など可愛らしい。でもコレットさんが初っ端からひどくて、いろいろとぶっ飛んでる

例えば写真などを入れるロケットを紛失したコレットさんは、先輩の内巻に一緒に探してもらうように頼む。当然どこで落としたかが重要なので「昨日はどこへ行ったのか?」など探りを入れてくる内巻。それに対してコレットさんは…
この美術部には問題がある1巻 コレット
(この美術部には問題がある 1巻)
内巻先輩…そんなに私の行動パターンを調べてどうするつもりなんですか?」とガタガタ震えだす。さすがの優しい内巻も「手伝うのやめますよ」とちょい怒り。

その後の態度もひどい。一向に見つからないロケットに対して、部長や内巻がパクったと考えて「今 私の中でお二人へのしんようが揺らいでますよ」と平気で疑いの眼差しを向けてくる。

この美術部には問題がある2巻 コレット 宇佐美を疑う
(この美術部には問題がある 2巻)
他にも宇佐美に対しては本屋に書かれてある「万引き不正行為は犯罪です」という張り紙を見て、「宇佐美先輩、やっぱりやめておいたほうが…」と暗に宇佐美を万引き犯扱い。書店員が聞いてたもんだから、なおさらドギマギする宇佐美が哀れ。

この美術部には問題がある5巻 コレット
(この美術部には問題がある 5巻)
ある失敗をした教師の立花夢子に対しては、「自分だけを責めないでください。確かに先生がちゃんとやってれば防げた事態だったと思いますけど、全然どんまい」と追い打ちかけてくるる。全然ドンマイできてねー。コレットさんの悪口センスが面白くて、宇佐美に対しては「宇佐美センパイの一方通行」という悪口は笑った。

でもたまに空気も読める。画材を買いに行く内巻に対して、「私お留守番してますので」と宇佐美と一緒に買いに行かせようとする。
この美術部には問題がある2巻 宇佐美とコレット
(この美術部には問題がある 2巻)
そこで二人はアイコンタクトで「ありがとう」「どういたしまして」の合図…でもお互いしすぎで訳わからん(笑)


総合評価 評判 口コミ


『この美術部は問題がある』のネタバレ感想をまとめると、割りと良質な学園日常マンガで面白い。まったりした空気感、独特のテンポやリズム、キャラクターも意外と濃い。そして登場人物のどうでもいいやり取りに思わず癒される。

多少エロに走ってる部分もなくはないですが、決して女子が不快になるそれではなく性別に関係なく楽しめるはず。むしろ宇佐美と内巻のもどかしい関係性は、女子読者こそ好きかも知れない。男子は不憫すぎる宇佐美に愛おしさを感じ、女子は素直になれな宇佐美に共感や同情を覚えるはず。

この美術部には問題がある6巻 すれ違いコント
(この美術部には問題がある 6巻)
すれ違いコントのような意外と笑いのレベルの高いこともしてて、日常漫画独特の空気感が嫌な人でもまぁまぁ楽しめるかも。画像は宇佐美さんがピンクの手紙を落としたんですが、何故か伊万里やコレットさんは「斧」を探してると思ってるという。

作者・いみぎむるの前作『サイトーくんは超能力者らしい』はつまらない漫画でしたが、このマンガはほぼ一話完結のオムニバス形式なので読みやすい。キャラクターも多くは登場しないので、ゴチャゴチャせずに読んでて疲れない。安定して絵も上手いので、それだけでも購入して満足を得る読者も少なくないはず。アニメ化されるのも、しやすいのも頷けます。