『高台家の人々』1巻から4巻のネタバレ感想。作者は森本梢子。YOUで連載中のラブコメ漫画。出版社は集英社。ちなみに『高台家』の読み方は「こうだいけ」です。

個人的に面白かったマンガなので『高台家の人々』はいずれ実写ドラマ化されるかも…と思ってたら、今年2016年5月に綾瀬はるかで実写映画化されるそうです。ということで面白いか面白くないかの考察レビューを書いてみた。


あらすじ

主人公は平野木絵(ひらの・きえ)。30歳目前の冴えないOL。口下手で周囲からは無口と思われていたが、趣味は妄想。脳内では色んなヘンテコな情報が駆け巡っていた。もちろん、そんなことは誰も知る由もないので、平野木絵は平凡なOL生活を送っていた。

ただある日、ニューヨーク支社から高台光正(こうだい・みつまさ)が転勤してきた。高台光正はイケメンのエリートサラリーマン。名門家系の血を引く、イギリス人のクォーター。まさに非の打ち所がない完璧な27歳。

全く接点がないだろうと思われた二人だったが、何故か高台光正からアプローチを受ける平野木絵。徐々に関係を深めていく中で、平野木絵が妄想するタイミングと高台光正が笑うタイミンが何故か一緒。そう高台光正は人の「思考が読めるテレパス」だった。

口下手すぎる妄想アラサー女子と、他人の心が読めすぎるイケメンエリートの恋愛はどう展開していくのか!?みたいなストーリー。


平野木絵の妄想がマジでくだらない

『高台家の人々』の面白さは、とにかく平野木絵の妄想にあります。それがとにかく下らない。

高台家の人々1巻 高台兄妹はバンパイア?
(高台家の人々 1巻)
高台光正の弟(和正)や妹(茂子)と初めて会った時は、あまりの美しい相貌に「1000年近く生きているヴァンパイア一族に違いない」と妄想。まだ、この程度だったら誰にでも経験はあるかも知れない。例えば美輪明宏や黒柳徹子あたりを見ると、ただの日本を裏で牛耳る妖怪の類いにしか思えません。

高台家の人々1巻 平野木絵の妄想
(高台家の人々 1巻)
でも、変なモンスターがちょいちょい登場。画像は初めて高台光正に自分の名前を呼ばれた平野木絵が、「え?もしかして画像のようなモンスターが告げ口したに違いない」と妄想してる場面。でもその告口の内容が色々とヒドい。「平野、平凡の【平】に、野グソの【野】で平野でゲスよ」と、少女マンガでまさかの「野グソ」が例えで使われる。

高台家の人々2巻 ビョーン
(高台家の人々 2巻)
ビョーンとか誰やねん。

高台家の人々3巻 くだらない妄想
(高台家の人々 3巻)
あるときは中国拳法の女師匠に格闘技を習う。このBBA、ぜってータオパイパイ並に強そうだぜ…ゴクリ。ただ男の子的な発想すぎて女子的にはどう?こういう突拍子がない妄想ばかりなので、それまでの前後の流れを口頭で説明するのがなかなか大変(笑)

高台家の人々2巻 マッチョ化した平野木絵
(高台家の人々 2巻)
だから高台光正も平野木絵と久しぶりに会ったら「え?肩幅が…今度は一体何の妄想をしてるの?」とチンプンカンプンなこともしばしば。

一応、画像の説明をしておくと平野木絵は自分がフラれるのではないかと思い込む。「確かに私は本当に勉強もスポーツもダメダメだから仕方ないのかも。いや、小さい頃はスイミングスクールで平泳ぎは得意だった」

「よーし平泳ぎで遅咲きのメダリストを目指すぞー。そりゃ最初は笑いものでアホ扱いされる。でもデンマークの名コーチ・イヤン=ヤッケに恐ろしいほどの潜在能力を見出され、私の筋肉が覚醒するんだ…」みたいな妄想の流れがあって、平野木絵の驚異的な肩幅に繋がります。

高台家の人々4巻 くだらない妄想
(高台家の人々 4巻)
最新4巻に至っては、平野木絵が漁師となってやはり筋骨隆々なんですが、もはや性別すら変わる。つか、肩に乗っけてる魚もキメーな、おい。実写版の綾瀬はるかもボウズ頭にハチマキをこさえるんでしょうか((((;゚Д゚))))


ノホホンとした平野木絵のキャラクター

ネタバレしておくと、平野木絵は高台光正がテレパスだということに薄々気付いてる。でも平野木絵の性格がのほほんとしすぎてて、「どっちでもいっかー」みたいな感じで設定としてはゆるゆる。それが高台光正が平野木絵にホレた理由。

高台光正の兄妹(茂子と和正)と初めて会った時も、ちなみに茂子と和正も同じくテレパス、平野木絵は「もしかして三人とも人の考えてることが分かるテレパスなの!?」と驚愕し疑うものの、高台光正に「二人とも変人だから気にしないで」と優しく否定されると、「そ…そうか…じゃあ気にしないことにしよう」と再びのほほんモード炸裂。軽ッ!!天使のブラぐらい軽ッ!

高台家の人々3巻 人の醜い心の中
(高台家の人々 3巻)
普通の人間だったら、いくら上辺で良いことを喋ってても、心の中ではドロドロ。「ビッチ!死ねやァァ!」とか、さすがに画像のブスは特別ヒドいだけって感じもしますが。

高台家の人々1巻 平野木絵が口下手すぎる
(高台家の人々 1巻)
でも平野木絵は真逆。茂子に「自分の古臭い名前は見た目と合ってない」と愚痴られると、「いいと思うけど」と素っ気なくポツリ。ただ平野木絵の心の中では「青い目 白い肌 すばらしいプロポーション。その外見で茂子という古い感じの名前の意外性がすごくチャーミングだと思う」と饒舌に褒め称える。評論家か。


高台家の人々3巻 平野木絵が口下手すぎる
(高台家の人々 3巻)
高台光正の祖母・アンと出会った時とか、特に口下手っぷりがヒドい。でもだからこそテレパスの「高台家の人々」にとっては、平野木絵の性格の良さが身にしみる。平野木絵にしてみても、会話でモゴモゴと口ごもったとしても自分の真意が伝わる or くみとってくれるのでコミュニケーションが円滑に行える。

だから一見すると凸凹カップルにしか見えない二人ですが、これほど相性の良いカップルもいない。二人の関係性は読者としても見ていて心地が良い。それだけ作者・森本硝子が「しっかり本音に見えて、しっかり悪意がなくて、しっかり面白い」というセリフ作り・キャラ作りを実現しているからでありましょう。

高台家の人々4巻 平野木絵の祖母
(高台家の人々 4巻)
平野木絵だけではなく、平野木絵の祖母も高台光正に初めて会った時は、思わず心の中で「ヨッシャァ!!」とガッツポーズ。これでハーフの可愛い赤ちゃんが産まれるでぇー!みたいな感じ。いかにもゲスいBBAって感じですが、しっかり平野木絵の血筋を感じるのが不思議(笑)


総合評価


『高台家の人々』の感想をまとめると、しっかり「人の心が読み取れる」という設定を活かせてて面白い。キャラの良さ、セリフの良さも相まって、思わずクスッと来ます。

高台家の人々2巻 祖母アン
(高台家の人々 2巻)
「高台家の人々」も心が読める悩みを抱えつつも、平野木絵の存在のおかげでネガティブに走り過ぎないので読後感は上々。

マンガ表紙だと高台家のイケメンキャラしか登場しませんが、基本的には「平野木絵の奇天烈な妄想」にマンガのポイントを絞ってる。だからどうしても笑いだけがメインかと思いきや、意外にしっかり恋愛面にも活かした展開も作れてるのでギャグだけで終わってないのが好印象。

何となく笑えて、何となくキュンキュンもできて、ときたま切なくもなれる、コスパが高いラブコメ漫画。森本梢子作品全般に言えるかも知れませんが、『高台家の人々』は男読者でもそこそこ面白い。もし少女漫画に挑戦したいと思ってる男は巻数も少ないので一度挑戦してみては?

ちなみに『高台家の人々 5巻』の発売日は不明。冒頭でも触れましたが、作者・森本梢子は他にも色んな連載を抱えてるので発行ペースが遅い。今のところ6ヶ月から8ヶ月程度の間隔で新刊が発売されてるので、もしかすると5月ぐらいに発売されるかも?…ってぐらい曖昧なので6巻以降も読者は忍耐を強いられそうです。