『少年ジャンプ増刊 こち亀ジャンプ 9月21号』のネタバレ感想をレビュー。作者は秋本治。一応雑誌にカテゴライズされてますが、AmazonのKindleでもダウンロード購入可能です。

こち亀の連載40周年を企画して作られた総集編的な雑誌。このレビュー記事はデジタル版で応募こそできませんが、紙版だとWiiUやミニドローンなどアンケートに応えると抽選でもらえるそう。本誌ジャンプより発行部数が少ないはずなので当選する確率は高かったはず。


ジャンプ作家たちの寄稿イラスト

『こち亀ジャンプ』の内容はほとんど総集編。例えば本誌少年ジャンプで掲載されていた、ジャンプ作家たちが描いたイラストが収録されてます。200巻で収録されるのかなと思いきや、この『こち亀ジャンプ』でした。

こち亀ジャンプ 両津勘吉 鳥山明
例えば『ドラゴンボール』の鳥山明が描いた両津勘吉だとこんな感じのイラスト。この安定感。やっぱり上手い。

こち亀ジャンプ 両津勘吉 久保帯人
『BLEACH』の作者・久保帯人のは両津勘吉は黄昏(たそがれ)すぎ。どこ見つめてんねんって感じですが、きっと競馬で負けまくった直後でしょう。

こち亀ジャンプ 両津勘吉 尾田栄一郎 赤犬
『ONE PIECE』の尾田栄一郎が描いた両津勘吉は完全に赤犬(サカズキ)。

他にも『暗殺教室』の松井優征や『銀魂』の空知英秋、『ハイキュー』の古舘春一、『ブラッククローバー』の田端裕基、『食戟のソーマ』の附田祐斗と佐伯俊、『火ノ丸相撲』の川田、『磯部磯兵衛物語』の仲間りょうなど、基本的に2016年初夏頃まで連載してた連載陣がイラストを寄稿しているらしい。

珍しいところだと、初音ミクなどをデザインしたKEIなんかもイラストを寄稿しています。『こち亀』ではボーカロイドのネタが何回も登場してるので、きっとそれ繋がりだと思われます。

ちなみにデジタル版だと紙のポスターは付属してないということですが、電子版でもポスターの絵柄やデザインそのものは同梱されてます。


例えば尾田栄一郎が描いた「秋元麗子」と荒木飛呂彦が描いた「中川圭一」だとこんな感じ。麗子は足長すぎ。中川はこのクネクネ感が妙にマッチしすぎ。

こち亀ジャンプ 本田速人 森田まさのり
面白いのだと「本田速人」。『べしゃり暮らし』などの作者・森田まさのりが描いたんですが、リアルな本田速人がいたとしたらこんな雰囲気かも知れない(笑)

他のキャラクターだと島袋光年の海パン刑事、河下水希の麻里愛、松井優征の日暮熟睡男、岸本斉史の大原部長がいます。大原部長と日暮に至っては、ほぼ見た目が原作と変わらない。

尾田栄一郎や松井優征などが選んだ こち亀おすすめ回

『こち亀ジャンプ』の大半を占めているのが、尾田栄一郎などジャンプ作家たちが選んだ『こち亀』の面白かったおすすめ回。それらが作家の理由が追加されて、そのまんま掲載されています。

例えば尾田栄一郎だとパチンコネタ。両津勘吉がパチンコ球1個だけで大当たりさせる。そこで手に入れた景品が、まさかのワニ。しかも、このワニがやたらと器用で、両津勘吉と漫才のようなやり取りを繰り広げる。確かに尾田栄一郎が好きそうなネタではあります。

すごいよマサルさん』や『フードファイタータベル』のうすた京介だと、パクリ企業ネタ。激安チョロQを購入した両津。でも全然走らないので、裏を見ると「チュロQ」と微妙に違う。そこで「ものまね商事」という謎の企業に乗り込むというストーリー。このものまね商事がとにかくパクリまくり。

こち亀ジャンプ おすすめ回 うすた京介
例えば自動車だってパクります。ホンダ・シティという自動車に時代性をかなり感じさせますが、パクリ名が「ツティ」。言いづらくてしゃーない。メーカー名は「H・ONDA(音田弘)」。他にも「HITACHI」ならぬ「HI・TACH(ハイタッチ)」が笑った。

社長曰く、「大手の会社が我が社と似た製品を作るものでまぎらわしくて、不思議と我が社より早く売られるので産業スパイが紛れ込んでいるのでハナというウワサが」と言い訳するものの、最終的には…というオチ。

考えてみると日本も1990年代ぐらいまではパチもんばっかでした。自分も小学生の頃に遊びに行った遊園地で手に入れた景品が「アジダス(azidas)」というTシャツだった。てっきり本物だと思い込んででたので、中学生に上がってから本物の「アディダス(adidas)」を着ている友達に「なんやねんそれwww」と嘲笑した所、見事に返り討ちにあったのは懐かしい思い出( TДT)

僕のヒーローアカデミア』の堀越耕平おすすめエピソードだと、堀ゴタツネタ。作者名が堀だけに堀?ちょっとしたラッキー回が発生。婦警が「今コタツの中にタワシみたいなものが」と両津の頭を踏みまくるんですが、いやどう考えてもタワシにしてはデカすぎるやろwww

こち亀ジャンプ おすすめ回 古味直志
ニセコイ』の古味直志おすすめエピソードは自分も笑った。両津の誕生日を盛大に祝おうと中川圭一が準備してたのに、一向に両津が来ないので全ておじゃんになってブチ切れるというネタ。


こち亀ジャンプ おすすめ回 久保帯人
久保帯人のおすすめエピソードは、漫画家・乙姫菜々がパソコンでマンガを描き始めるというネタ。

データが良いのか紙が良いのかと議論する両津たちに対して、乙姫の担当編集者・竜千士が放った「消えるのは仕方ない。データでも紙でもない。作品を残す場所は読者の心だ。絶対に消えない」というセリフがバチコーンとハマったらしい。井上雄彦あたりに是非聞かせたい名文句であります。

ちなみに両津は乙姫が原稿をアップロードしたサーバーに不正ログインしてデータを盗む。そして「ネットで売るとデータが残るから、コミケ会場で現金で売ろう」と画策する。マジで最低の悪徳警官であることを実感させられます(笑)

でもマンガの中だけだったらいいんですが、兵庫県警だと拾得現金100万円以上をネコババしたり、夫が自殺した女性宅で検死をしている最中に200万円の現金を盗むなど、両津勘吉が可愛く見えてしまうリアル事件が多発してるのがワロエナイ。

岸本斉史や古舘春一は何故か似たようなゴキブリネタ、松井優征だと両津が神さまにケンカを売ったネタがおすすめらしい。全部はメンドーなので割愛。

こち亀ジャンプ 巻末
ちなみに巻末の目次を見ると全部こち亀。当然っちゃ当然ですが、印刷ミスにしか思えないぐらいのインパクトwww


岸本斉史と矢吹健太朗の描き下ろしストーリー

だから『こち亀ジャンプ』の内容は先程も言った通り、ほとんど総集編であることが分かってもらえたと思います。ただ新しく短編の描き下ろしも収録。それが岸本斉史と矢吹健太朗とのコラボ。

こち亀ジャンプ 描き下ろし 岸本斉史
岸本斉史の描き下ろし作品だと、ナルトと両津が夜店の射的でバトります。螺旋丸と鉄砲で打ち合ったら、どんなオチが待ってるかは言うまでもないでしょう。

ちなみに矢吹健太朗のおすすめ回は「こち亀最終回ネタ」。1989年頃に一度あったドッキリネタ。自分もリアルタイムで読んだ記憶があって、子供ながら軽くショックを受けました。オチには『ドラゴンボール』のフリーザなどが登場します。

ただ作中では「13年間の長期に渡り…」という文言が書かれてるんですが、今になって見ると「いや全然短いやん」と思っちゃうのは、それだけ長期連載漫画が増えた証拠。というか、そこから『こち亀』は3倍以上の年月を立ってるんだから当然といえば当然(笑)


日暮熟睡男復活エピソード

そういえば今年2016年はオリンピックイヤー。『こち亀』でオリンピックイヤーにだけ登場する名物キャラクターといえば、もちろん日暮熟睡男(ひぐらしねるお)しか想起されません。でも少年ジャンプ本誌を読んでても、今年2016年になってから日暮熟睡男は一切登場してませんでした。

ただ日暮の新作エピソードも掲載されています。おそらく、この『こち亀ジャンプ』のためだけに話を温存してあったんでしょう。

ざっくりネタバレしておくと、中川圭一が居場所を把握しやすいように日暮にGPSを付けてた。その電波を辿ると、何故か日暮はアメリカのNASAにいた。
こち亀ジャンプ 日暮ねるお熟睡男 エピソード

そして日暮はなんと宇宙飛行士になっていた。理由は「寝るのに飽きた」から。前々から宇宙に興味があったにしても、キャラクターが180度変わりすぎやろwwwせっかく40年ずっと維持してきた根本的な設定をここでぶん投げたらアカンwww

オチのネタバレは控えますが、部長の「太陽行って燃えれば良かったのに」という最後の発言から何となく察してください。日暮熟睡男ファン(がいるかはさておき…)なら是非ダウンロードしておきたいところ。


総合評価 評判 口コミ

こち亀ジャンプ (未分類)
週刊少年ジャンプ編集部
集英社
2016-08-16

『こち亀ジャンプ』のネタバレ感想をまとめると、充実してるといえば充実してる。「こち豆(こちかめ豆ネタ)」と称して、サイドには「40年間のジャンプの総重量はBMW・ミニクーパーよりちょっと重い」など小ネタも満載。

こち亀ジャンプ おそ松さんコラボ小説
『おそ松さん』などとのコラボ小説の一部が試し読みできます。ちなみにこれはアニメ作品から人気が出たらしいんですが、意外とマンガ版の『おそ松さん』が面白かったのでいつかレビューするかも知れません。

でも内容は何度も言うように総集編やファンブックの延長線上。『こち亀』のコミックスを買い集めてる人は特に買う必要はないでしょう。ただジャンプ本誌で寄稿イラストを見たことがないって人は買う価値がありそう。また一度にまとまってるので、そういう点では資料的な価値もありそうです。

そして、このまま普通に200巻をレビューしようと思ってたんですが、まさかのその巻を以って『こち亀』が完結してしまいました。まさに風雲急。ニュースにもなるぐらいですから、よほどの衝撃的な出来事でした。この『こちら葛飾区亀有公園前派出所』200巻のラストレビューもお暇だったら読んでみてください。