『寄生獣』全10巻のネタバレ感想。作者は岩明均。掲載誌は月刊アフタヌーン。出版社は講談社。ジャンルは青年コミックのSFバトル漫画。別ブログの「すごないマンガがすごい!」で2013年11月ぐらいに更新した記事を再編集を加えて移植したレビュー記事。

『寄生獣』は1990年代に流行ってた漫画で、ちょうどその頃の自分は中学生ぐらいだった。友達の兄貴が持ってて、たまたま読ませてもらったらめちゃくちゃ面白くてハマった。ただその時の鮮烈な記憶が残っていたから、大人になってから読み直すと「そーでもないかなー」という感想が。

そこで『寄生獣』が面白いか面白くないか改めて考察してみたいと思います。


あらすじ物語・ストーリー内容

寄生獣1巻/
(1巻)
内容をざっくり説明すると、地球にナゾの寄生生物が現れる、そして次々と人間たちの体を乗っ取っていき、人間たちをどんどん食べていく。何が怖いのかというと、いきなりブワッと襲い掛かってくるんではなく、その寄生生物たちは普通の生活を送りつつ、ジワジワと人間社会に浸透しつつ襲ってくる部分。なんでもない日常の中に描かれる強烈な違和感に中学生ながら震えた。


右腕に寄生したからミギ―

主人公はフツーの高校生・泉新一。ある日、新一に寄生生物が襲ってくる。その寄生生物は右腕から侵入するも、新一は腕を縛り上げることで防ぐ。結果どうなったかと言うと…
寄生獣1巻/ミギー
(1巻)
右腕が寄生生物そのものになる。ちなみに名前はミギー。意味はシンプルで右腕に取り付いたから。安直すぎる名前ですが、だからこそ覚えやすくてすぐハマった要因の一つかも。

この生物は人間に寄生しないと生きていけないので、ずっとこのまま。何故か知性を持ってるので、新一と会話できる。この生物は無感情で冷酷。それ故に二人の間に生まれるギャップ・掛け合いが笑いを誘う。

ただ分かりあえてなかった二人の間に徐々に生まれていく友情が少年マンガ的でGood。後藤という最強の敵との戦いで、二人が別れるシーンは切ない。まさに「ここは俺が止めた!お前が先に行け!」状態でしびれる。


アクション展開が多め

寄生獣5巻
(5巻)
だからアクション展開が多め。画像の二手に分かれてるのがミギー。めっちゃ強い。最初ミギーを気持ち悪い生物としか思えなかったのに、次第に確立していく「相棒感」がハンパない。だから友情も芽生えやすくて、少年マンガ的でGood。

ストーリーはごくごくシンプル。広川という人間をトップに同じ寄生生物たちの集団が襲ってくる。それに何故かミギーも加勢して、新一と一緒に戦うという流れ。だから絵柄や内容も含めていかにも青年漫画なのに、中身はむしろ少年マンガ的で読みやすい。ただ人間の部位が頻繁に切られたりして、グロ描写が多数なので注意。

寄生獣5巻/2
(5巻)
その寄生生物のデザインが「ありそうでなかった」感じもクセになる。作者・岩明均の無機質な感じの絵柄とまた相まって、絶妙な不気味さを醸し出してる。でもミギーを筆頭にどこか愛嬌も残してるので変に見入ってしまう不思議。


オチは賛否両論?

ただ内容…というかオチについては結構賛否があるよう。とりあえず個人的な総括に入ります。ラストの方で自衛隊と寄生獣とのバトルがある。その時に寄生獣側に付いてる広川(人間)が「人間どもこそ地球を蝕む寄生虫!いや寄生獣!我々は間引きをしてるだけ」みたいなこと演説する。

そこで同じく寄生獣の田宮玲子(コイツがまたよく分からないキャラで、だからこそ魅力的だったりする)は、頻繁にこういう発言をしてるのを思い出す。

 寄生獣10巻/か弱い
(10巻)
我々はかよわい、それのみでは生きていけないただの生命体だ、だからいじめるな

つまり言いたいことととしては、「畏怖する寄生獣も人間と変わらない」みたいなこと。結局、人間も傍若無人に地球で振る舞ってこそいるが、実はか弱く単独では生きていけない。だからこそ謙虚にならなければいけないという強烈な戒めが含まれてる。そしてミギーと他の寄生獣同士の戦いは、つまり人間と人間とが殺しあう戦争みたいなもんを表現してる。言葉にすると陳腐ですが、「争いは争いしか生まれない」みたいなことをフワーッと思った。


総合評価・評判・口コミ


『寄生獣』のネタバレ感想をまとめると、シンプルに面白い。最後のオチや結末こそ難解で哲学的だったりしますが、全体的には割りと読みやすくてそこまで深く考えて読まなくていいと思います。今だと『進撃の巨人(諫山創)』みたいな「よく分からないけど面白い」っていう先駆け的な漫画。

20年近く前の漫画ですが、今でもそれなりに読める。来年に映画の第1弾が公開されるようですが、復習の意味も兼ねて読んでもいいかも。深津絵里ふんする田宮玲子はまさにピッタリの配役でしょう。普通に動いてる映像が想像できます。