ケンガンアシュラ』12巻13巻のネタバレ感想。原作はサンドロビッチ・ヤバ子、作画はだろめおん。裏サンデー(小学館)で配信中の格闘漫画。1巻から7巻は既にレビュー済み最新14巻は来月10月9日に発売。ちょうどジープレネゲードが日本初導入される時期。


ケンガンアシュラ12巻13巻までの展開

日本経済をウラで牛耳ってるのが「拳願仕合(けんがんじあい)」。大企業の会長が一人の格闘家を雇い、そして企業同士の名誉をかけて戦う異種格闘技戦。仕合で勝てば、企業の序列が上がり、様々な権益や権利を得ることが可能。つまり利益がガッポリ儲かる。逆に仕合で負ければ、企業の利益がダダ下がり。当然、拳願会トップの会長になれば、日本経済を牛耳ったも同じ。

そこで拳願会会長の座をかけた戦いが繰り広げられる…というシンプルイズベストな展開。主人公は十鬼蛇王馬(ときたおうま)。その十鬼蛇を雇用するのが、何故か冴えない一介のサラリーマン・山下。この二人が果たして会長を目指せるのか?!

更なる詳細はケンガンアシュラが面白い理由を考察したレビューを参考にしてみてください。


底知れぬバケモノ桐生刹那の覚醒

拳願仕合はトーナメント戦。展開も特に変化球はないので、一つ一つの試合が順序良く処理されています。今どき珍しいといえば珍しいですが、その一人の一人の選手が個性的。全試合をレビューすることはしませんが、4試合ほど。

まずは桐生刹那(皇桜学園グループ)。主人公・十鬼蛇王馬の因縁の相手。孤影流の使い手。日本から古くある柔術の一つ。

一方、対戦相手の二階堂蓮(白夜新聞)もこれまで拳願仕合の裏で暗躍してきた手練(天狼衆)。天狼拳の使い手。中国式拳法の一つで、高速移動からの攻撃が得意。

でも桐生刹那は、二階堂のそれを全て上回る。ゆら~りと移動してるだけなのに、高速移動の二階堂を圧倒。そして例の衝撃をねじり込む打撃を打つ。
ケンガンアシュラ12巻 桐生刹那にやられる二階堂蓮
(12巻)
二階堂のギュルンギュルンに負傷した左腕の描写は、思わず目を背けたくなるほど。一体どんな回転力を加えたらこんなんなんねんっていう。

ただ二階堂には秘策がある。それが超強力猫騙しからの、相手の耳に呪詛を吹き込んで催眠術をかけ、完全無防備状態からの発勁。ある意味、飛び道具以上の飛び道具。
ケンガンアシュラ12巻 桐生刹那の覚醒
(12巻)
でも結果、桐生刹那の二重人格(正確には素だそう)を呼び覚ましてしまう。これまででも強くて凶暴なのに、更に強烈な阿修羅が覚醒。当然二階堂が太刀打ちできるわけもなく、最後はねじり込む打撃を心臓に打たれる。ちょっとカッコいい曙的な倒れ方。

天狼衆の動きは今後も続くようなので、二階堂は今後も登場する模様。ただ桐生刹那のトラウマで廃人っぽい役回りになるのかも。


噛ませ犬・理人の足掻き

厳密には順序は逆ですが、続いて理人(りひと)と黒木玄斎との戦い。理人は主人公・十鬼蛇王馬と同じく因縁がある相手。ただ理人は噛ませ犬的な役割が強くて、黒木玄斎戦でもそれは変わりません。要はドラゴンボールでいうところのヤムチャ。最初はいかにも強そうなキャラで登場したものの、基本的に誰かに勝った試しがないw

特に対戦相手の黒木玄斎がめちゃめちゃ強い…という設定。例えば試合が始まるまでヒマなので、壁に仁王像を素手で彫ったりする。何巻だったかは忘れましたが、それを可能としてるのがめっちゃ堅い手刀。
ケンガンアシュラ12巻 黒木玄斎2
(12巻)
作中では「魔槍(まそう)」という表現。ファイナルファンタジーで例えるならグングニル、ドラゴンクエストで例えるならメタルキングのヤリといったところか。

ケンガンアシュラ12巻 黒木玄斎
(12巻)
ただ二人のそもそものポテンシャルが違うので、理人は黒木玄斎に何度もこんな風にこかされまくり。ハンターハンターでもヒョウのようなキメラアントが同じことされてブチ切れてましたが、これは格闘家としては屈辱的にも程がある。自分の豪快なハイキックが思いっきり空振るどころか、豪快に地べたを舐める。二人の動きの大小のギャップ感が良い。

ケンガンアシュラ12巻 理人の根性
(12巻)
でも意気込みだけは負けなくて、理人が見せる格闘家としての誇り・足掻きは胸を中々熱くさせます。もちろん結果は言うまでもありませんが。


弱者・金田の生き様

13巻では金田末吉(義伊國屋書店)が登場。対戦相手はタイのガオラン・ウォンサワット(八頭貿易)。色物選手を嫌っているので、純粋に強い正統派ボクサー。一方、金田は基本的に特徴がない選手。
ケンガンアシュラ13巻 金田VSガオラン
(13巻)
だから金田はガオランに近づくことすらできず、当然のようにガオランにボッコボコにされる。でもガオランは実力差がありすぎる故に、金田へ最後のトドメは刺さない。それにブチ切れたのが金田。

ケンガンアシュラ13巻 金田の叫び
(13巻)
「ふざけんなよ!手を抜いたのか?俺が弱者だから?」
「才能がないことなんて分かってんだよ!」
「どいつもこいつも勝手に決めつけてんじゃねえよ!」
「弱者が最強目指して何が悪いんだよ!?」


この心の底からの金田の叫びにガオランは心を打たれる。戦いの場での同情は侮辱でしかない、と全力で金田を叩き潰そうとする。前述の理人と同様に熱い展開。

ただこれは金田の計算も含まれてた。

金田は相手の動きを先読みするのが得意。それプラス古武術を併用することで、圧倒的なカウンターで相手を倒すことが可能。ガオランは最後まで攻めてこないが故に、そのカウンターがおそらく使えなかった。ガオランは本気を出すとは言え、やはり金田はもう打つ手なしと侮っているはずですから、それがどういった結果をもたらすのか?

この続きは最新14巻で。


解剖魔VS解体魔

以上の三試合は圧倒的な戦力差があるもの同士の戦いでしたが、一試合だけ拮抗した展開も。それが坂東洋平と英はじめ(はなぶさ・はじめ)の戦い。

坂東洋平は、日本犯罪史上稀に見る凶悪犯。名前も見た目も普通のエリート医学生だったものの、893事務所に乗り込んで素手で全員…しちゃった。坂東洋平は死刑が何度も執行されるものの、首に縄が全然締まらず失敗が続いていた。

ケンガンアシュラ13巻 英はじめ
(13巻)
一方、英はじめ(はなぶさ・はじめ)。これまで度々登場してる医師ですが、こちらも解剖マニアという筋金入りの変態同士。実はネタバレしておくと日本政府から送り込まれた暗殺者。坂東洋平を執行台ではなく、この拳願仕合で処理するように命を受けてる。

英はじめは見るからにヒョロそう。ただ動きはすばしっこい。そして最大の武器は経穴・秘孔を打つ。言っちゃえば、北斗の拳。これだと体格差は関係なく、相手の動きを制限して仕留めることが可能。

ケンガンアシュラ13巻 死刑囚・坂東洋平
(13巻)
ただ坂東洋平、全く意に介さず!!ケンシロウのように経絡秘孔を何個も突かれているものの、それがどうかしたの?状態。例えば、英はじめは首の経穴を突くものの、却って自分の指が折られてしまう。経穴付近は基本的に鍛えようがない。何故?!

ケンガンアシュラ13巻 死刑囚・坂東洋平2
(13巻)
それを可能としたのが、圧倒的な軟体体質。厳密には関節の可動域がハンパない。軽くグロ。だから英が首の経穴を突こうとした瞬間、坂東洋平が首の骨を後ろにギュイーンと曲げたのでへし折られた。この直後の坂東洋平のセリフが怖い。「悪いが私はころす以外の倒し方を知らないんだ」。

ケンガンアシュラ13巻 英はじめ2
(13巻)
でも英も負けてない。何故なら、体内に鋭利な刀を収めてる。しかも、これらは元々自分の骨。それを削って削って磨き上げた。一体何なんだ!?w

結果なんやかんやがあって、勝負自体は坂東洋平が勝利を収める。ただ英が体内に保有しているウイルスに感染したことで、坂東洋平は瀕死の危機。これぞ試合に勝って勝負に負けた状態。ただオマケページの説明を読む限り、どうやら坂東洋平はギリギリ耐え忍んで生き延びる模様。トーナメント自体には勝利してるので、今後も坂東洋平はなんとか試合に出るのかも?

総括


『ケンガンアシュラ』12巻13巻のネタバレ感想ですが、実力差があるもの同士の戦いが多かったかも。ただ実力差があるならあるなりに、むしろだからこそドラマみたいなんを描けてたかも。もちろん格闘描写も悪くなかったですが、少し趣向を凝らしてみました的な部分もあったのか。

ケンガンアシュラ13巻 乃木グループ会長・乃木秀樹1
(13巻)
乃木グループの初見泉(はつみ・せん)と義武不動産の千葉の戦い終わりでは、企業のトップ同士の争い・裏工作も垣間見れます。主人公を拳願仕合に参加させるように仕向けた張本人の乃木グループ会長・乃木秀樹がどんどん渋くなってるのは気のせいか。

ちなみにマンガおすすめブログ「ドル漫」【漫画考察】ケンガンアシュラが面白いなども併せてご参照ください。

ドル漫では『ONE PIECE』や『HUNTERxHUNTER』など有名漫画の考察記事もたっぷり執筆してるので、「ドル漫」などでググってみてください。