『ケンガンアシュラ』が面白いかつまらないか考察したレビューを書いてみた。

この『ケンガンアシュラ』の情報を簡単にまとめておくと、作者はだろめおん(作画)、サンドロビッチ・ヤバ子(原作)。掲載誌は裏サンデーで配信中。出版社は小学館。ジャンルは少年コミックの格闘漫画。


あらすじ物語 ストーリー内容

平成の現代から遡ること300年前の江戸時代。商人たちが「御用達」という地位を巡って、日夜血で血を洗う争いが繰り返されていた。しかし暴力の連鎖が止まらず、治安は悪化。そこで徳川七代将軍・徳川家継が「争いを収めたくば、正々堂々と雌雄を決するが良い!」という命令を下す。

そして、始まったのが「拳願仕合」。拳願とは、「闘技者の拳に願いを託す」で拳願(けんがん)。自分の地位を賭けて、自らが選んだ闘技者同士を戦い合わせる。勝利した者が地位や権力を奪う。

つまり『ケンガンアシュラ』の意味としては「拳願試合の阿修羅」ってこと。修羅道や修羅場という言葉からも分かりますが、阿修羅は「戦闘の神さま」のこと。だから、要するに格闘トーナメントや出場者そのものを指していると考えられます。

時は流れて現代。片原滅堂を頂点とする「拳願会」は各々の企業に序列を付け、世界有数の企業たちが争っていた。そして今まさに拳願会会長の座を賭けた「拳願絶命トーナメント」が開催されようとしていた。

ケンガンアシュラ1巻 十鬼蛇王馬
(ケンガンアシュラ 1巻)
主人公・十鬼蛇王馬は乃木グループの総裁・乃木英樹の力を借りて、しがないサラリーマン・山下カズオと共に参戦。日本一、いや地球上最強を決める戦いが始まろうとしていた…みたいな内容のストーリー。

十鬼蛇王馬の名前は「逢魔が時(おうまがとき)」のアナグラムらしい。逢魔が時の意味は「魔物に出会うとき」みたいなこと。まさにこれから「様々な魔物(対戦相手)」と出会うことを予兆したかのような名前らしい。

ちなみにこの十鬼蛇王馬は徳川家(徳川吉宗)の血を引くらしい。陳腐な表現ではありますが、まさに「運命の歯車が動き出した」という煽り文が似合いそうです。


加納アギトなど個性的な登場人物たち

『ケンガンアシュラ』には様々な登場人物が登場します。そのキャラクターがいちいち個性的で面白い。

ケンガンアシュラ9巻 目黒正樹
(ケンガンアシュラ 9巻)
目黒正樹は幼少期から完全なシリアルキラー。やりたくてやりたくて震える(by西野カナ)。殺意のテンションがフルボッキすると血の涙を流す。集中力が上がりすぎて、目のためにハエが止まっても気付かないほど。

得意技は柔道。幼い頃から鬼と恐れられた父親に柔道を教えてもらってたものの、その自分の父親すらあやめてしまう。目黒の投技にかかれば全ての部位が拗(ねじ)じられてしまい、死体はそれはもう悲惨な姿だった。

ケンガンアシュラ14巻 加納アギト 大久保直也
(ケンガンアシュラ 14巻)
拳願仕合最強の帝王・加納アギト。今まで一度も負けたことがなく157連勝を誇る覇者。大日本銀行総裁の片原滅堂に雇われていることから「滅堂の牙」という異名を持つ。加納アギトが圧倒的に強いことは、画像の表情からも明らかでしょう。

ケンガンアシュラ7巻 呉雷庵
(ケンガンアシュラ 7巻)
呉一族の呉雷庵(くれらいあん)の表情は、まさに悪魔的な表情。「一方的な蹂躙が好きなんだよ!」というセリフからヤバすぎビンビン。

『ケンガンアシュラ』ではこういった登場人物の表情も上手い。

ちなみに呉一族は日本で古来から裏で暗躍する暗殺一族。「外し」という脳のリミッターを外すと、更に肉体が強大化する。その中でも画像の呉雷庵が現在の一族では最強。

ケンガンアシュラ13巻 坂東洋平
(ケンガンアシュラ 13巻)
坂東洋平は関節がうねんうねんに曲がる。画像だけ見たら、単なるホラー漫画。この坂東洋平は、893事務所を襲撃して素手で16名を殺.害。やはりシリアルキラーに近い性格を持っていて、「悪いが私は殺す以外の倒し方を知らないんだ」が口癖。

その後死刑囚として25年の間に45回の絞首刑が執行されるものの、強靭な肉体のせいで90分以上も生き延びる。まさに法律すら敗北させた男。

ケンガンアシュラ13巻 坂東洋平の関節
(ケンガンアシュラ 13巻)
あまりに関節が柔らかいので、対戦相手の英はじめが首を攻撃しようとしても、そのまま自分の頭蓋骨と頚椎に挟んで英の指を折る。

ただ相手の英はじめ(はなぶさ・はじめ)も中々のイカレポンチ。自分の骨を削って刀剣に仕上げる。そして体内に仕込んで対戦中に使うなど、まさに飛び道具全開で戦ってくる人体を解体することが大好きの闇医者。

ケンガンアシュラ11巻 賀露吉成
(ケンガンアシュラ 11巻)
賀露吉成(かろよしなり)。職業は普通の漁師ですが、一人で銛(もり)だけでクジラを倒すこともある。また毎日船に揺られているせいか、圧倒的なバランス能力を持つ(画像参照)。それ以前に圧倒的な体幹の強さ。アモーレの長友佑都なんて比ではないでしょう。

しかも頭部を攻撃されて平衡感覚が狂えば狂うほど、むしろ賀露吉成の脳みそが平常時に戻って強くなる。つまりダメージを負えば負うほど、本来の力を発揮する。まさに手が負えない。

ケンガンアシュラ8巻 因幡良
(ケンガンアシュラ 8巻)
因幡良(いなばりょう)だと自分の髪の毛を自在に使って攻撃してくる。この画像の場面はアングルや構図が上手い。『ケンガンアシュラ』は格闘漫画ではありますが、因幡のようにネタに走ってる感もあります。

ただ漫画の登場人物はそれぐらいで大げさでちょうど良いのかも。基本的に違和感は感じることは少なく、素直に「面白さ」に繋がっている気がします。


格闘描写がシンプルに面白い

『ケンガンアシュラ』のジャンルは格闘漫画なので、言うまでもなく一番重要な要素は「格闘描写」そのものと言えます。そこがダメなら格闘マンガとしては面白くない。

でも結論から書くと「格闘描写がすごい」部類に入ると思います。

ケンガンアシュラ7巻 阿古谷清秋 河野春男
(ケンガンアシュラ 7巻)
例えば潔癖なまでの正義感を持つ、警官の阿古谷清秋とデブオタの河野春男が戦った場面。阿古谷が河野に膝蹴りをボーンと入れると、河野のぶっ飛んだ顔がすごすぎて笑う。打点のインパクトの位置が河野の顔と離れていることで、それだけ衝撃が強かったことも表現されています。

ケンガンアシュラ5巻 今井コスモ
(ケンガンアシュラ 5巻)
今井コスモの絞め技だと、背景に巨大なアナコンダのような蛇が描かれている。アナコンダといった蛇の絞め技は強烈ですから、そういったデフォルメ的な描写も表現として面白く魅せられる。

ケンガンアシュラ8巻 若槻武士 室淵剛三
(ケンガンアシュラ 8巻)
若槻武士(わかつきたけし)と室淵剛三の対戦では、若槻のパンチが思い切り室淵にめり込む。室淵の背中がほぼくの字型。これほどの表現は『ドラゴンボール』以来でしょう。

殴った側の若槻武士は常人の52倍の筋繊維密度を持つ男。出生児の体重はなんと12150グラム。見た目は普通の赤ちゃんサイズなんですが、それだけ異様に筋肉の密度が高い。その若槻武士が本気で殴ったら、そりゃあこんな結果になります。

ケンガンアシュラ16巻 十鬼蛇王馬 呉雷庵
(ケンガンアシュラ 16巻)
主人公・十鬼蛇王馬と呉雷庵との一戦だと、十鬼蛇のサッカーボールキックが見事。最初の足の甲と呉雷庵の顔面がヒットしたコマを持ってくるのも良かった。展開の流れが分かりやすいし見やすい。

ケンガンアシュラ10巻 関林ジュン 鬼王山尊
(ケンガンアシュラ 10巻)
プロレスラー・関林ジュンと最強横綱・鬼王山尊の対戦では、関林が思いっきり鬼王山を持ち上げて地面でズドーン。この鬼王山の無様な感じがステキ。何も出来ない無防備さが、それだけ関林の投技の豪快さに見事に繋がっています。

このシーンは衝撃的で面白かった。大げさにネタに走ってないから、他の格闘漫画でも見られても良さそうですが意外に皆無に近い。

ケンガンアシュラ9巻 ムテバ 目黒正樹
(ケンガンアシュラ 9巻)
前述の目黒正樹と盲目のムデバが戦った時は、目黒がお得意の投技でムデバの左足を掴んで一本背負い。そのまま床に叩きつけて殺.そうとするものの、ムデバはそのまま勢いを付けて右足で目黒の首元を踏みつける。

一本背負いからの首筋キックカウンターというのも、アイデアたっぷりで面白い。

ケンガンアシュラ11巻 鎧塚サーパインと賀露
(ケンガンアシュラ 11巻)
他にも前述の賀露吉成とビルマ拳法の使い手・鎧塚サーパインの一戦では、鎧塚サーパインが賀露の腹に足裏で蹴りを入れると、その鎧塚の足を掴んで賀露が上空へ振り上げて、そこから思いっきり地面に叩きつける、このテンポ感が見事。

右ページの一番最後の影のコマが「一瞬止まった」かのような錯覚を与えてくれて、そのことが良い間を生んでる。また左ページの威力や破壊力の強さを伝えるタメとしての役割を果たしているのかも知れない。

ケンガンアシュラ15巻 エロいシーン 檜山春花(しゅんか)
(ケンガンアシュラ 15巻)
『ケンガンアシュラ』は男キャラクターしか戦わないものの、女性の登場人物もいるのでたまにセクシーでエロいシーンもあります。画像は檜山春花。前述の阿古谷清秋の雇い主兼ペット(笑)さすがに少年コミックなので行為的なことは少ないですが、割りと脱がし系が多い。

例えば前述の呉一族の一人・呉カルラ(迦楼羅)だと、主人公・十鬼蛇王馬に一目惚れしてちょいちょいアプローチをかけてくるんですが、やたらと露出が高い。もちろん『ケンガンアシュラ』ではいかにもな美少女キャラクターは登場しないので、こういったエロいシーンは実用性が高いかどうかは他の読者諸兄に判断を任せます。


意外に絵が下手な箇所が残念

でも『ケンガンアシュラ』にも難点があります。これまでに貼った画像を見てもらったら「絵が上手い部類」に入ると思われると思うんですが、意外に作画・だろめおんの絵が下手な箇所がチラホラと露見します。

ケンガンアシュラ3巻 絵が下手
(ケンガンアシュラ 3巻)
その代表的な部分が「足」。

何故かリカちゃん人形ばりに両足がピチっと閉じている。画像は割愛しますが、足先もピシっと真ん前に向いてる。でも普通は足先が「ハの字型」になってるのが正常。実際に立ってみたら分かるので、これを読んでる方は今そこで立って自分の足先を確認してください。

どうやら作画のだろめおんは美大出身者らしいんですが、少し「マジで?」と思わず疑いたくなるレベル。美術大学は入学試験で、こういう基本的な技術が問われるもんなんじゃないですか?真っ先に磨くべき技術なんじゃないんですか?

漫画家の藤沢とおるも足を描くのは下手クソですが、それ並。いつか上手くなるのかなーと期待しながら『ケンガンアシュラ』を読んでましたが、一向に絵が上手くなる気配がないのでここだけは残念でした。まだ学園マンガだったらスルーできますが、格闘マンガだと致命的。

もちろんこの一点をもって、『ケンガンアシュラ』が面白くないつまらないとまで判断するつもりはありませんが、作画・だろめおんさんにはもっと絵の練習をして欲しいと思いました。


総合評価 評判 口コミ


『ケンガンアシュラ』の感想レビューをまとめると、普通に格闘マンガとしては面白い部類に入るはず。もちろん上を見ればキリがありません。さすがに心理の読み合いなど展開に単調さは否めないなど、個人的に面白い格闘漫画と評価している『喧嘩稼業』と比べると見劣りします。

ただ、それでも個性的なキャラクターや派手なアクション描写は『刃牙道』に面白さは負けていない気がします。実際5巻の帯ではバキ作者の板垣恵介が「公認」と宣伝してくれているなど、実際の漫画家さんも『ケンガンアシュラ』を評価している模様。

『ケンガンアシュラ』の展開も良くも悪くもシンプル。トーナメント制で一つ一つ対戦していく形式を取ってるので、下手に奇をてらった展開を描写しないので読みやすい。キャラクターの豊富さなどを考慮したら、きっと一年二年以内に『ケンガンアシュラ』はアニメ化されるのではないかと予想してみる。

ましてや裏サンデーで『ケンガンアシュラ』は最新話が無料配信されている。漫画っていうのは大人よりも少年少女たちにあるべき存在だと仮定したら、誰でも読めるという価値は何よりも重いと言えます。無料で読めるなら、格闘漫画好きは一度は『ケンガンアシュラ』を読んでおきたいところであります。