『カツラアキラ』のネタバレ感想。原作は鳥山明、作画は桂正和。ジャンプスクエアとヤングジャンプで掲載された読み切りマンガ。『ドラゴンボール』の作者・鳥山明が原作ネームを描き、それを『ゼットマン』の作者・桂正和が作画。二人の対談はラストで後述しますが、意外に親和性が高いかも。

さちえちゃんグー!!

カツラアキラ さちえちゃんグー!!1
主人公は百地さちえ。どこにでもいる女子高生かと思いきや、忍者の末裔。性格はアッケラカンとしているものの、おしり付近にあるアザを男子からからかわれて悩んでいた。ある日、オクト星に住むという宇宙人と出会い、自分たちの星を救って欲しいという依頼を受ける。

カツラアキラ さちえちゃんグー!!3ミル一味
なんでもオクト星はミルという3人の盗賊に侵略されそうになっていた。オクト星人たちが見せてくれた成功報酬が載っているカタログに「アザやシミをなくす美肌レーザー」に釣られて、百地さちえは快諾してしまう。

オクト星人たちの宇宙船に乗り込むと、格闘ワールドカップのジュニアクラスチャンピオンのザリドも乗船していた。ちなみに百地さちえは百地二十太夫という格闘チャンピオンの娘。だからザリドは当然さちえは強くて、忍術も使えると思っていた。でも百地さちえは「まっさかー忍術なんか使えるわけないじゃん」とケラケラ。

カツラアキラ さちえちゃんグー!!3
つまりミル退治はザリド一人の肩にかかっていた!?!?プレッシャーで苦しむザリド!果たしてオクト星人たちを救えるのか!?という展開。

結論から書いてしまうと、さちえがミルたちを倒す。意外に実は強かったのかと思いきや、爆力丸というポパイでいうホウレン草を食って戦闘力アップ。ただ爆力丸は苦いので、ラーメンにして食べるという設定。さちえがそれを食べ終わった後、思わずプハー。

カツラアキラ さちえちゃんグー!!6鳥山明的バトル描写
結果、ミル一味をコテンパンにするさちえ。敵の頭を上からドンと両足で蹴る描写は、いかにも鳥山明的。それだけ相手が自分を見失ってる感があって、視覚情報以外からも伝わるスピード感を演出できます。

でもバトル描写がメインというより、どちらかと言えばオチがメイン。オクト星人から成功報酬としてカタログから選択するわけですが、さちえが最後に選択した「モノ」が感動的。

実はさちえと同行したザリドの村は、年中砂嵐が発生するような不毛の地。ザリドは一先ずの食糧を選択するものの、あくまで一時しのぎにすぎない。当然食糧を確保しようにも、緑が一切ない荒廃した土地で食物は育たない。さちえが成功報酬を選択したのは、ザリドのあと。だからザリドの村が困窮してることは身に沁みて知っている。

カツラアキラ さちえちゃんグー!!7オチ
さちえが最終的に選択したのが、カタログ表紙に載っている「緑あふれた風景」。結果ザリドの故郷は救われるというオチ。前述の「プハー」も地味にラストで生きます。結構感動的なオチなんですが、湿っぽく終わりたくない鳥山明に対して、しっかりドラマチックに終わりたい桂正和が対立してそこそこ揉めたそう(笑)

宇宙パトロールが地球へやって来た!

カツラアキラ JIYA2
主人公は宇宙パトロール・ジヤ。今まさに地球へやって来たところ。

理由は、先に地球へやって来たステスという同僚が行方不明になっていたから。しかもステスの直前の報告では「地球は救いようがない劣悪な環境」ということだったものの、実際に地球に足を運んでみると自然は豊富でキレイだった。違和感だらけの中、地球はナゾの生物・バンパに侵略されていた。果たしてステスはどこへ消えたのか?はたまたジヤは地球を救えるのか?という展開。

ちなみに画像のジヤは水を飲んでいる場面。もっと言うと、これは単なる戦闘型のスーツ。このスーツの動力源が水だけ。なんというエコなスーツ。

カツラアキラ JIYA5
じゃあ、ジヤの本体がどんなんかというと小さいクリオネみたいな浮遊生物。かなり頼りない見た目ですが、人間にも寄生することが可能。そうすると人間に潜在する最大限のパワーを使え、10メートル以上もジャンプすることが可能。

キャラクターはジヤ以外にもいて、それが金持ちお嬢様・紅谷楓と、その使用人である十文字幸男。序盤、ジヤはこの十文字に取り憑くことでナゾを解明していきます。

というかクリオネ風のジヤのセリフが既にネタバレしちゃってますが、行方不明になっていた宇宙パトロール・ステスが謎の生物・バンパに寄生してる状態。バンパは名前の通り、バンパイア。人間の血を吸って生きてる。宇宙パトロールは清廉潔白な存在。どんな欲望も悪と認識し、質素に生きる高貴な存在。でも人間やバンパに取り憑くことで「欲望」「快感」の魔力に取り憑かれてしまう。結果ステスは人間狩りを楽しんでいる状態。

カツラアキラ JIYA4
もちろんジヤも十文字に寄生したとき、夜のお姉さんにお世話になって快感のトリコになってしまうことも。掲載誌がヤングジャンプだけあって、鳥山明もまさかのド下ネタをぶっこんでくる!このあとフィニッシュまで行くものの、ジヤの場合は理性が勝って暴走することはありません。

他にも味気ない飲み物や食べ物しか口にしたことがない。だからお嬢様・紅谷楓がお酒を飲んでいるのを知ると、
カツラアキラ JIYA3
「これは水じゃないじゃないか!」と激怒して、ジヤが思いっきりド突く。鉄拳制裁にも程がある。というか、このマッスルスーツで殴ったらアカン。よく楓の頭もパッカーンしなかったなと。

ストーリーとしては言うまでもなく、ジヤがバンパに寄生したステスと戦う。ただスーツの動力源である水を補給し忘れた。そこで紅谷楓のお酒をスーツに投入。
カツラアキラ JIYA7
一瞬スーツが壊れるのかと思いきや、酔拳でステスを倒すジヤ。ベタっちゃベタなオチ。

カツラアキラ JIYA8
ジヤの攻撃の避け方が完全にコミカル。ただ画力は★5にしてますが、ちょっと効果線が多めかも。

とりあえず「さちえちゃんグー!!」よりバトル描写がメインな感じ。

総合評価

アクション+笑い+少しばかりの感動がバランス良くミックスされた読み切りマンガ。意外に絵柄が合っていて、ネームと作画が逆パターンでもイケるかも。鳥山明と桂正和がタッグを組んだ試み自体が面白かったので、大体+3点4点ほど加点した上での点数になります。だから内容的には「そこそこ」といったところ。

カツラアキラ 鳥山明と桂正和の対談1
ただ、あとがきに鳥山明と桂正和の対談が載ってるんですが、これがなかなか貴重。昔から二人は仲がめっちゃ良いらしく、例えば少年ジャンプで連載していた現役時代も、2時間以上ずっとお喋りしてたこともあったとか。こういったエピソードトークもファン読者からしてみたらヨダレもの。

『カツラアキラ』を読んで思ったのが、もっと大物マンガ家同士のコラボレーションを見たいということ。出版社同士の垣根を超えるとなると更に難しいんでしょうが、大物漫画家だからこそ「鶴の一声」を発してほしいなと(笑)



◯展開★4◯テンポ★3.5
◯キャラ★4◯画力★5
◯おすすめ度…85点!!!!