『カラダ探し』1巻から8巻のネタバレ感想。原作はウェルザード、作画は村瀬克俊。少年ジャンプ+で配信中のホラー漫画。出版社は集英社ですが、エブリスタで配信してる同名の原作小説をコミカライズ化したマンガらしい。

今回は『カラダ探し』が面白いかつまらないか考察レビューを書きたいと思います。内容が結構怖いので苦手な方は注意。


あらすじ・ストーリー

主人公は普通の高校生6人。ただある日、遥という同級生に「私のカラダを探して」と頼まれる。でも言葉の意味を全く理解ができない6人。確かに遥は五体満足で普通に生きてるので、セリフと状況が合致してない。

そこで翔太という男子生徒がある怪談話を思い出す。それが放課後の校舎に現れる『赤い人』の話。『赤い人』を見た者は校門を出るまで決して振り返ってはいけない、もし振り返った者は肉体を八つ裂きにされて校舎に隠される。

そして八つ裂きにされた者は翌日みんなの前に現れて、自分のカラダを探して欲しいとお願いする。頼まれた側は拒むことはできない。カラダ探しの最中にも『赤い人』は現れる…というもの。つまり既に遥はこの世のものではない。

不気味なまま一日を過ごす6人だったが、深夜12時を迎えた瞬間、気付くと全員が校舎の外に集まっていた。そして、遥と思しき隠された肉体を全て見つけるハメになるものの、その間にも『赤い人』が襲ってくる。全ての体の部位を見つけるまで、延々と同じ日がループするという展開。


とにかく遥の表情が怖い

とにかく遥が怖い。肉体は一日で発見することは不可能なので、何回も何回も「昨日」という一日をループする。つまり毎日のように遥が「ワタシのカラダを探して」と懇願してくる。これが夜中学校へ強制的に集めるための一種の合図になってたりもします。

だから、みんな学校にいるときはビクビクしまくり。そこで明日香というキャラクターが教室で前の方に座ってる遥をチラッと見る。ちなみにクラスの同級生なので、こういう状況ではあっても一緒に授業を受けてる。
カラダ探し1巻 遥
(1巻)
そしたら遥は首だけグルンと曲げてコッチを見てくる。何回かあって、時には髪の毛がフワッと浮くぐらい勢いよく首を回す。コエーよ!!「だるまさんがころんだ」やったら絶対勝てへん。しかも明日香以外の生徒も教師も気付いてないのが尚怖い。

そこで6人は考える。遥が話しかけてくるから悪いんだ。つまり遥をヤっちゃえばいいんだ。そして翔太というキャラがその役割を負う。結果的には屋上で遥を…
カラダ探し2巻 遥
(2巻)
でも全然余裕で依頼しに来ちゃいまーす!全く焦点があってませんけど問題ナッシングでーす!

一応ループするとは言っても、肉体の一部を発見するごとに状況が少しだけ変わって、厳密には「昨日」ではない「昨日」が始まります。後述しますが『カラダ探し』はストーリー性もあって、意外に見所はホラー要素だけではありません。

だから今までは教室内で遥が「ワタシのカラダを探して」と話しかけてきたのが、ある時を境にパタッと止まることがある。じゃあ学校内で話しかけない日は、遥は一体どうするのか?
カラダ探し3巻 遥・布団の中からこんにちわ
(3巻)
布団の中から現れちゃいまーす!!THE神出鬼没でーす!あるキャラクターにはお風呂に入ってる最中に遥が登場することもあります。とりあえず黒目デケーよ、っていう。普通は黒目をデッカクしたら可愛くなるもんなんですけどね。


背筋が凍る赤い人との隠れんぼ

でも遥は所詮案内役に過ぎない。本番は学校内に隠された遥の肉体を探すこと。ただ前述のとおり、肉体を探してる間に明日香といったキャラクターを襲ってくる存在が「赤い人」。厳密には「赤い少女」。

カラダ探し1巻 赤い人
(1巻)
少女とは言っても、めっちゃ怖い。そして、めっちゃ強い。武器は持っておらず、ひたすら素手で引きちぎっていく。この「赤い人」は何か喋るわけではないものの、いつも同じ歌を歌いながら襲ってくる。この歌詞も怖い。一応この歌を歌い終わるとゲームオーバー。「口」の描写を見ると、やたらと楽しそう。

カラダ探し2巻 赤い人
(2巻)
キャラクターが部屋に閉じこもっていたとしてもすぐ発見して、ドアをガチャガチャやりまくり。コエーよ。やたらと身体能力も高いので全然逃げられる気がしない。

この「赤い人」も神出鬼没。基本的に走って襲ってくるものの、放送室の中の人が指示した場所へ瞬間移動することも可能。逆に言うと、放送室から流れてくる音声を頼りに「赤い人」の現在位置を把握することも可能。
カラダ探し2巻 放送室の中の人・伏線
(2巻)
じゃあ「放送室で喋ってる奴は誰なの?」というのもストーリーの伏線としてはあります。『カラダ探し』というゲームの首謀者に近しい人物であることに違いはなく、明日香というキャラクターは見覚えがあるという前フリもあるので、今後の展開には期待したい所。

カラダ探し2巻 赤い人・放送室
(2巻)
ただ放送室の中の人を暴こうとしたら、速攻で赤い人を背後に瞬間移動させちゃうわよ(笑)

赤い人はコッチが振り向きさえしなかったらしがみついてくるだけ(それでも怖いw)なんですが、振り向いたらめっちゃシバカれる。それにも関わらず、放送室の中の人は「振り返って確認してください」という無慈悲な命令を明日香に与える。

「赤い人」との鬼ごっこはひたすらスリリング。特別新しい設定を用意してるわけでもなく、展開としてありがちなものの、キャラクターたちの「追いつめられてる感」を描くのが上手い。遥も然り、怖い描写がシンプル。見開きページいっぱいを使った、顔ドーンとかヤバイ。あまり遥や赤い人をゴチャゴチャと装飾させてないのが良いのかも。


背景にある事件とは?

でも闇雲に襲ってくる→逃げる→探すという展開じゃなく、これらの背景には「ある事件」が関係している。

カラダ探し3巻 赤い人・小野山美子
(3巻)
それが50年前に起きた、小野山美子という少女が被害に遭った事件。誰が見ても赤い人が小野山美子。

この少女・小野山はバラバラにされて、その肉片は学校に隠された。でも実は奇怪な事件だった。犯人と思しき山岡泰蔵は知的障害者。しかも事件後に自分で命を絶った。動機や目的も不明。

そもそも小野山という少女がバラバラになったとしても、結果的に探してる肉体は遥のカラダ。整合性が取れない。世の中に対する復讐を兼ねてるのだとしても、ちょっと分からないことが多すぎる。それに放送室にいる人物が誰なのか?という疑問も解消されない。

カラダ探し4巻 健司
(4巻)
最新4巻では、仲間だった健司も「赤い人」化して襲ってくる。まさに四面楚歌状態。ただ二人はタッグを組むのかと思いきや、健司は赤い人にヤラれてしまう。だから赤い人化したとはいえ、健司は赤い人の仲間ではない。

この理由はまだ不明ではありますが、やはり小野山美子の事件が関係してる。犯人と思しき山岡泰蔵には、雄蔵という兄がいた。むしろ弟・泰蔵は温和な人間で、兄・雄蔵に毎日ひどく虐げられていた。だから兄・雄蔵に弟・泰蔵は暴行の末にころされ、小野山美子は偶然その場面を見た。結果、口封じのためにバラバラにされた。

つまり、兄・山岡雄蔵が全ての真犯人。そして、この山岡雄蔵が実は健司の祖父。だから健司が赤い人化して壊れたのも理由があった。だから上質なホラー漫画にありがちなストーリー性もあるので、意外にグイグイ読めちゃう。


総合評価


『カラダ探し』の感想をまとめると、とにかく怖い。むしろ「怖すぎる」のが欠点なぐらいで、小学生が見たらきっとトラウマモノ。遥は案内役は分かったから、いちいち登場するなと言いたい。わざわざ学校へ毎回連れて行ってくれる親切心が激しくウザい(笑)

だからと言って、意外にストーリー性やサスペンス要素があるので飽きずに読める。
カラダ探し3巻 八代先生
(3巻)
八代先生という謎の人物が絡んできたりもするんですが、誰が見ても遥と「同じ目」をしてる。果たしてウラで手を引いてる敵なのか?赤い人の謎を知る味方なのか?という前フリもベタ。それでも不思議に読めちゃう。

カラダ探しというゲーム性と謎解き要素が同時に進行してることが大きく、しっかりゴールに向かってる感じがイライラもやもやさせずに読める原因かなと勝手に推察します。

ただ7巻以降は第二夜・第二章が始まる。ネタバレしておくと遥のバラバラになったカラダを全部集めることはできたんですが、今度は森崎明日香が呪いにかかってしまう。そして森崎明日香のカラダ探しが始まる。相島美雪という新キャラと共に伊勢高広が…ってことなんですが露骨に引き伸ばし感が強い。最近の展開が少しダレて「つまらない」と思わなくはありません。