『賭ケグルイ』4巻のネタバレ感想。原作は河本ほむら、作画は尚村透。月刊ガンガンジョーカー(スクウェア・エニックス)で連載中のギャンブル漫画。


あらすじ

舞台は私立百花王学園。ギャンブルの強さだけが求められる高校。主人公はそこへやってきた謎の転校生・蛇喰夢子(じゃばみ ゆめこ)。とにかく「引きの強さ」がハンパなくて、百花王学園を牛耳る生徒会と対峙する!…みたいなストーリーのマンガ。

『賭ケグルイ』4巻では皇伊月(すめらぎ いつき)が再登場。「ダブル神経衰弱」を主人公・蛇喰夢子に仕掛けてた女子生徒で、そのゲーム負けた生徒の生爪を集めてるという悪趣味な女。某オモチャメーカーの社長令嬢だったが、蛇喰夢子にゲームで負けたせいで生徒会から追い出されてしまった。

賭ケグルイ4巻 皇伊月
(賭ケグルイ 4巻)
ただ「蛇喰夢子が生徒会長をギャンブルで負かせて生徒会を牛耳る」というウワサを耳にして、自分を再び生徒会役員にして欲しいと近づいてくる。とりあえず新しい仲間が増えた模様。そして蛇喰夢子と生徒会の本格的な戦いが始まりそうな気配。

賭ケグルイ4巻 夢見弖ユメミ1
(賭ケグルイ 4巻)
その最初に登場したのが夢見弖ユメミ(ゆめみて ゆめみ)。生徒会役員であり広報部に所属する学園アイドル。しかし、なんちゅう苗字や。面倒くさいので下の名前「ユメミ」で統一します。

賭ケグルイ4巻5蛇喰夢子がアイドルに?
(賭ケグルイ 4巻)
そして、このユメミが賭けの対象としたのが「自分とアイドルユニットを組む」こと。つまり主人公・蛇喰夢子がゲームに負けるとAKB48のようなアイドルになってしまうかもッ!?みたいな展開。

賭ケグルイ4巻5蛇喰夢子がアイドルに?2
(賭ケグルイ 4巻)
実際にゲーム最中の蛇喰夢子も「アイドルの正装」をして戦います。

てか、めっちゃパツンパツンやないかいッ!!男子的にも夢と希望がはちきれんばかりやないかいッ!よいこの皆さんはサイズの合った服装を購入しましょう。


夢見弖ユメミの表情変遷まとめ

今回登場したユメミも一見すると可愛らしい。というか完全なブリっ子。学園内とはいえ驚異的な人気を誇るので、最初は「天性のアイドル気質」の女生徒かと思いきや、やっぱり裏の顔を持ってました。ここからはユメミの表情が変遷していくさまをまとめてみました。

賭ケグルイ4巻 夢見弖ユメミ1
(賭ケグルイ 4巻)
改めてユメミの「表の顔」を貼っておくとこんな感じ。お目目もキラキラ。ただユメミはアカデミー女優になりたかった。厳密に言うと映画祭でよくやるレッドカーペットを歩きたかった。でもアメリカで一から挑戦するのは困難。アプローチとしては二度手間。そこでユメミは日本のトップアイドルを踏み台としてのし上がろうと考えてた。

賭ケグルイ4巻 夢見弖ユメミ2
(賭ケグルイ 4巻)
ユメミの「裏の顔」は実に冷酷。「夢のためならファンに媚びを売るのは屁でもないわ」とニヤリ。THE悪代官。顔の影が怖い。元AKB前田敦子も裏ではきっとこんな表情を浮かべてたに違いない。アカデミーゲット♪

賭ケグルイ4巻 夢見弖ユメミ4
(賭ケグルイ 4巻)
ただユメミの我慢にも限度があって、ファンが自分の歌を聴かずにオタ芸に没頭した後、そのまま自分の握手会に来ること。「何でお前らが一番汗をかいてるんだよ!」というツッコミが的確すぎて笑った。法令線がコレでもかってぐらい深く刻まれてます。

こんなゲスすぎるユメミですから、もちろん主人公・蛇喰夢子を「自分のパートナーとしてのアイドル」を求めてるわけじゃない。蛇喰夢子を企業のお偉いさん方に枕営業を散々させた挙句に、SOD落ちを目論んでた。おはガールの女の子も、こんなゲームに負けたんでしょうか?

ちなみに説明し忘れてましたがユメミが負けた時の代償は、こういった悪態が蛇喰夢子に全部録音されていて、オタクたちの前で全部公開される。さすがにユメミの本性を知れば、オタクたちもきっと幻滅するに違いない。ユメミのアイドル人生も終わりに違いない…ということ。


バトっていいとも!

肝心のゲームですが、どっかで聞いたことがある名前ですが「バトっていいとも」。決してグラサンハゲは出てきませんが、ざっくり言うとマルバツゲーム。9つのミニゲームで勝利した側がマークを付けていき、最終的に一列揃った側が勝利するシンプルな内容。

ミニゲームが凝ってるのかと思いきや、歌唱対決があったり基本的にはフツーの内容。ユメミの策略として自分が追い込まれてから劇的に勝ちを収める「逆転劇」を演出したかったこともあって、今回の『賭ケグルイ』4巻ではゲーム性そのものに面白さはさほどありません。

賭ケグルイ4巻 ワザと負けるユメミを見透かす蛇喰夢子
(賭ケグルイ 4巻)
だからユメミは露骨に負けていくんですが、それを見過ごさないのが蛇喰夢子。蛇喰夢子はギリギリで勝利するのが気持ち良い。意図的に勝たされるゲームほど退屈なものはない。画像は「うちブチ切れましたで…」的な表情。

だからゲームの状況的には、ユメミがピンチ。蛇喰夢子が一度でも勝てば一列が揃ってしまう状態。いわゆるダブルリーチ。ただユメミは残りのゲームで全て勝てる見込みがあった。その一つが「利きファン」ゲーム。10面ダイスを2回振って、その番号の人物を会場からランダムで選んで、そいつの誕生月を当てるという内容。

ユメミはファン全員の誕生月をまる覚え済み。会場もチケットが高騰したこともあって、会場内のほとんどがユメミオタクばかり。つまり会場の誰が当たっても、ユメミはそいつの誕生月を当てられる状態。

賭ケグルイ4巻 早乙女芽亜里の誕生月を当てる
(賭ケグルイ 4巻)
ただ蛇喰夢子は10面ダイスを自在に操ることができた。そこで早乙女芽亜里を選択。だから蛇喰夢子は早乙女芽亜里の誕生日を知っていなければいけないんですが、実は蛇喰夢子は知らない。その結末までことさらネタバレするのは忍びないので割愛。

賭ケグルイ4巻 蛇喰夢子のアヒル口
(賭ケグルイ 4巻)
結果、蛇喰夢子の勝利した時の表情が今までにないぐらいヤバイ!!!目を見開きすぎというか、黒目がちっちゃくなりすぎ!!!

ちなみに蛇喰夢子の口をよく見ると「アヒル口」をやってる。普通はアヒル口をやると可愛くなるはずですが、むしろ恐怖しかない。こういったホラー的な場面でも使える演出とは思いませんでした。勝手に不気味の谷現象ならぬ「キャンドルの広末涼子現象」と呼ぶようにします(笑)

賭ケグルイ4巻 夢見弖ユメミのオタク
(賭ケグルイ 4巻)
完膚なきまでに倒されたユメミはもうアイドル人生が終わりかと思いきや、オタクたちが「僕達がユメミちゃんを好きなんだ!」と擁護。これまで以上にユメミはアイドル街道を邁進するという、まさかの大団円。「エッチだってしたのに!ふざけんなよ!」という元カレ宛のメールがバレて、何故か更に人気に火がついた指原莉乃的な大逆転を見せる。

だから『賭ケグルイ』4巻のオチはツッコミどころ満載なんですが、むしろリアルにこんなオタクたちがゴロゴロといる以上、自分としては一概に否定もできない。アイドルの不祥事が起きても頑なに支持し続ける、AKB48・柏木由紀オタクのよう。また何度も自民党に裏切られても支持を止めない、肉屋を支持する豚さん(ネトウヨ)のよう。

彼ら彼女らの不屈の精神には思わず自分も感涙してしまいます。きっと懐の深さは、かのマザーテレサも真っ青でありましょう。


総合評価

賭ケグルイ 4巻 (デジタル版ガンガンコミックスJOKER)
河本ほむら
スクウェア・エニックス
2015-12-22

先程も書きましたがゲーム性・ギャンブル性という点ではややトーンダウン感は否めませんが、キャラクターという点では『賭ケグルイ』4巻も引き続き良かった気がします。思考力・頭脳性を少し横において読めば、それなりに面白かった気がします。

ただユメミは天然キャラでも良かった気がする。どうしてもジャンルがギャンブル漫画ということもありますが、「悪い顔」を見せるだけではキャラ作りが通り一遍のような気もしました。ま、ユメミはかなり弱かったので噛ませ犬感を出すには、妄(みだり)と似たようなキャラクター性で良かったんでしょうが。

そういえば3巻までの発売時点で『賭ケグルイ』の発行部数が100万部を突破したらしい。河本ほむらが作るゲーム性やキャラクター性、尚村透の画力や表情力が見事にコラボした結果でありましょう。『賭ケグルイ』4巻の発売で更に発行部数を伸ばせること間違いなし?

ちなみに『賭ケグルイ』5巻の発売日は来年2016年6月頃になると思います。