『ジンメン』1巻のネタバレ感想をレビュー。作者はカトウタカヒロ。掲載サイトはサンデーウェブリ。出版社は小学館。ジャンルは少年コミックのサバイバル漫画。絶賛AmazonのKindleでもダウンロード購入・無料で試し読みが可能です。

昨年末にようやく自分はスマートフォン(XperiaXZ)に機種変更しました。今更パズドラというスマホアプリにハマってたりします。つい先日、そのパズドラが少年サンデーとコラボしてたんですが、そこで知ったのが『ジンメン』という漫画。衝撃的なバナー広告だったので、少し気になってたものの買うことはありませんでした。

ただ一日100~200PVかそこらの某漫画ブログで『ジンメン』が紹介されてたので、お恵み(カンパ)の意味も込めてポチッとしてあげました。いつの間にか、自分よりアクセスが多い漫画ブログがすっかり見当たらなくなりましたが、そこらへんは暗黙の持ちつ持たれつ(ギブアンドテイク)の関係ですよね?(笑)

ということで少し前置きが長くなりましたが、『ジンメン』が面白いマンガなのかつまらない漫画なのか軽く考察してみました。楽天KOBOや楽天ブックス、eBookなどで購入する時の参考にしてみてください。


ジンメンのあらすじ物語 ストーリー内容

主人公は神宮マサト。どこにでもいる高校生だったが、たった一つ秀でた能力があった。それがどんな動物からも好かれること。

マサトは両親の仕事の都合で引っ越したが、幼い頃は不二動物園に足繁く通っていた。でも不二動物園近くの高校に進学したことを機に一人暮らしを始め、再び懐かしの飼育員・中田と交流を始める。中田はマサトが特に可愛がっていた象のハナヨを飼育していた飼育員だった。

ジンメン1巻 あらすじ1
(ジンメン 1巻)
そしてマサトは同級生だったヒトミと共に久しぶりに再開し、再びかつてのように不二動物園に遊びにやって来た。ヒトミは幼い頃とは違って、すっかり大人の女性に成長。マサトは少しデートめいた気分で浮足立っていた。

ただ、マサトのルンルン気分もすぐに終わる。何故なら動物園には人っ子一人おらず、動物すら檻(オリ)の中に一匹もいなかったからである。いぶかしがる間もなく、絶叫する声。目の前には動物たちに襲われる飼育員の姿。動物たちは脱走したのか?

そこでマサトは助けを求めるために、馴染みの飼育員・中田の元へ向かう。

ジンメン1巻 あらすじ2
(ジンメン 1巻)
しかし、そこに立っていたのは中田と同じ顔をした象のハナヨ。暴れまくるハナヨの傍らには、何故か意識を失って倒れている中田。なんとか命からがら中田を助け出し、不二動物園からの脱出を試みるマサトとヒトミの二人…

ジンメン1巻 あらすじ3
(ジンメン 1巻)
…だったが、その背後には人間の顔をした無数の動物たちが襲い掛かってくる。果たしてマサトとヒトミは中田を連れ出して無事不二動物園から脱出することはできるのか!?という内容のマンガになります。だから『ジンメン』のジャンルはさしずめサバイバルホラー的なところか。


「人面」というアイデアは面白い

『ジンメン』を一言で表現するなら、まさに「人面」に尽きます。

ジンメン1巻 カンガルー
(ジンメン 1巻)
例えば人面カンガルーだと、画像のように驚異的な跳躍力で飛びかかってくる。カンガルーは腕も意外と使えるので人間を掴みながらもオッケー。

ジンメン1巻 シカ
(ジンメン 1巻)
車内に入り込んでこようとする人面シカだと、もはや顔面アップすぎて何の動物かパッと見分からない(笑)

ジンメン1巻 ヤギ
(ジンメン 1巻)
人面ヤギだとノソっと横から登場して、「うるせぇな」と一言。個人的にはこのシーンが地味に一番が良かった気がする。この不意打ち感と何でもない一言の、合わせ技一本でインパクトが大きかった。

だから『ジンメン』は、シンプルイズベストなアイデア勝利。動物の顔に人間の顔を持ってくるという発想は、まさに違和感の象徴。1990年代に流行ったものの、今だからこそ新鮮な不気味さがある。意外と穴場だった「掘り出し物」と呼べるのではないか。

またジンメンに噛みつかれた動物は、更にジンメン化していく。今流行りのゾンビ漫画テイストもあって、売れ線要素はビンビン丸。リアルでも人面疽や人面竹など実際にありますが、意外と無機物にも応用できるか。

ジンメン1巻 クソ警察官
(ジンメン 1巻)
人面動物の襲撃だけではなく、警察官の裏切りといった展開もあります。


ジンメンたちがフツーにめっちゃしゃべる件

画像からも分かるように、人面動物は見た目のルックスがおどろおどろしい。ただジンメンたちがちょっと変に喋りすぎ。黙ってたらそれなりに不気味で怖いものの、途端に喋りだすとマヌケに写る。

ジンメン1巻 ハナヨ めっちゃ喋る
(ジンメン 1巻)
例えば、主人公・マサトが可愛がっていた象のハナヨは特に喋る。「そんなことどうでもいいわ。わたし頭が最高にハイなの。こうなってから今までにない感覚がいっぱい出てくるの!」と、ちょっとした中二病全開。しかもハナヨのお喋りはまだまだ続いて、このあと合計見開き2ページ分もある。

お前、どんだけしゃべんねん!!!…と思わずツッコミを入れてしまった(笑)

もちろん人面化してる以上、別に喋ること自体は構わないと思うんですが、所詮ベースは動物。まだ人間→象に変化したなら分かりますが、これだと「人間の顔」が「人間の言葉」を発してるだけ。もっと動物だからこそ話せるような、ちょっとしたギャップ感があるセリフが欲しい。そこで更に得体の知れない不気味感を演出できたはず。

進撃の巨人』の巨人たちを見てると、もっと「人語にならない人語感」があるセリフはセンスがいるよなーとつくづく思います。『ジンメン』の人面動物は単にセリフを平仮名にしてるだけで、アイデアが足りない。


ジンメンの顔が全部同じに見える

『ジンメン』にもう少しダメ出しをしておくと、ジンメン動物たちの顔が全部同じに見える。前述の『進撃の巨人』を例にすると、巨人たちは執拗なぐらい顔が全部別人。全部同じ顔だとさすがに飽きてくる。

【人間】と【野生動物】の顔の違いは色々とあると思うんですが、最たる部分が実は「白目」。

実際、野生の動物は天敵に襲われないように、白目が露出してない。何故かと言えば、視線の動きで自分の動きが天敵に把握されるから。逆に人間はコミュニケーションの生き物だから、相手に自分の感情を伝えるためにも白目部分が多い。

つまりジンメン動物を描くにあたって、最も強調すべき部分があるとしたら白目。『ジンメン』に登場する動物たちはもちろん白目がないってことではないものの、意外と白目部分が充血してくすんでることが多い。ホラー漫画的な描写ではあるものの、今作ではしっかり白目を描くべきだと思います。

あとジンメンたちの「顔感」を出すのであれば、もっと「鼻」はクッキリ描いてほしい。鼻ぺちゃばっかり。他にも「睫毛(まつげ)」や「髪の生え際」も人間と野生動物を大きく分ける部位なのかなと。

また逆に人間の顔なのに動物の要素を前面に出しても面白そう。例えばキリンだと、人間の顔なのにやたらと舌が長いとか。


設定は面白いものの、ちょいちょい残念

だから『ジンメン』の設定は面白いと思うんですが、ちょいちょい残念な部分も散見されます。

ジンメン1巻 要らないコメディー
(ジンメン 1巻)
例えば、最初にマサトとヒトミが人面化したハナヨに遭遇した場面。うろたえるヒトミにマサトがビンタするものの、何故かちょっとしたコメディー要素を入れる。場の雰囲気を壊すだけで、このシーン明らかに要らない。

ジンメン1巻 キリン1
(ジンメン 1巻)
そしてマサトとヒトミがリヤカーに乗せた中田を引いて逃げてる場面では、隣の庭木のような樹木から「おーい」と話しかけてくる人。嫌な予感しかしないベタな前フリ。これは良いと思うんです。高さ的には牛とか馬あたりかな?

ただそこから飛び出してきたのは…

ジンメン1巻 キリン2
(ジンメン 1巻)
まさかの人面キリン!!!さすがに身長差ありすぎるやろッッッ!!!しかもキリンは人間の腕らしきものをくわえてる始末。これでどうやって喋ったんだと!!

表現したいネタは理解できるものの、ちょいちょい詰めが甘い。前述の人面シカにしても、最初のコマでは顔の大きさが中田の両足サイズなのに、2コマ目ではシカの顔が巨大化してる。

ジンメン1巻 中田
(ジンメン 1巻)
『ジンメン』のストーリーのカギを握ってそうなのが、中田(ナカタ)。主人公・マサトと仲が良かった飼育員。象のハナヨと同じ顔であり、ハナヨたちの気持ちに同調を見せる。これも伏線や前フリとして悪くないと思います。

ジンメン1巻 独立国家 動物公国
(ジンメン 1巻)
でもジンメン動物たちは最終的に独立国家「動物公国」を樹立しちゃう。百歩譲って人間たちから独立するのはオッケーだと思うんですが、不二山という市一帯に巨大な穴ができあがる。もっと言えば、関東一円ぐらいの規模を取り囲むほどの穴。さすがに突拍子がなさすぎるやろ(笑)

似たような展開に『ハカイジュウ』という突拍子もない漫画がありますが、コチラはSF漫画だからまだ許容できる。巨大な宇宙生物や進化した宇宙人が巨大な穴を作ったとしても、そこに違和感はありません。

でも『ジンメン』はオカルト要素が強いゾンビ漫画に近いわけですから、スケール感が全く合ってない。ジンメンたちが健気に穴を掘ったのか?というツッコミを入れたく成る。正直、作者は編集者は何も考えてないとしか思えませんでした。


北海道あたりで独立国家を樹立すればよかった

もしアドバイスできるとしたら、例えば既に周囲というか本州から隔離されている北海道や四国をジンメンたちが支配する方が合理的で自然でした。北海道だとオットセイやクジラといった海の生物も人面化できる上、人間化したことで冬眠動物も真冬でも動けるようになる。

流行りの中国やロシアも巻き込んで、ジンメンが各国に飛び火しないように世界が北海道を完全に武力で封鎖してしまう。まさに主人公・マサトたちは四面楚歌の隔離状態。そこでジンメンたちを相手にしながら、どうやって脱出するかを模索。これぐらいの規模の展開だとリアリティーがあって面白い。

そしてストーリーを更に進めていけば、小魚やプランクトンまで人面化してしまって、ついには本州や中国ロシアにも魔の手が及ぶ。そうすれば(商業的に)展開を更に引き伸ばすことも可能。正直、いきなり街中に巨大な穴ができて、そこにジンメン動物が国を作る…なんてのは話が飛びすぎてチンプンカンプン。

1990年代のブームを合わせて考えると、結局人面動物の面白さや魅力は「身近感」が根本にあると思うんです。例えばドラゴンやアフリカのライオンが人面化しても、そこまで怖くない。だから日常生活の範囲内の狭い世界感で展開した方がリアリティーがあるはず。


ジンメンの総合評価 評判 口コミ

ジンメン(1)
カトウタカヒロ
小学館
2017-01-12

『ジンメン』のネタバレ感想をまとめると、アイデアや設定の面白さと展開の面白さが比例してるとは個人的に評価しづらい。まだ設定の新鮮さもあって1巻では大きくハズレとも言いませんが、2巻3巻以降は微妙かな。

全体的に少し雑。個人的には「惜しい」という感想に尽きます。とはいえ一巻程度ならどんなもんか読んでみて損はしないと思います。