『地獄先生ぬ~べ~』全31巻のネタバレ感想をレビュー。作者は真倉翔(原作)と岡野剛(作画)。掲載誌は少年ジャンプ。出版社は集英社。ジャンルは少年コミックの妖怪漫画。

ぬ~べ~スピンオフの『霊媒師いずな』の記事にリクエスト(?)みたいなコメントを頂いたので、何となく面白いかつまらないかを全巻まとめて考察してみた。色んな意味で有名なマンガなので考察はアッサリめに仕上げました。


あらすじ物語・ストーリー内容

舞台は、童守小学校5年3組。その担任・鵺野鳴介(通称ぬ~べ~)の左手は鬼の手だった。立野広、稲葉郷子や細川美樹など生徒たちを襲ってくる妖怪たち。それをぬ~べ~は鬼の手で蹴散らし生徒たちを身を挺して守る、という学園妖怪もの。基本的に一話完結のオムニバス形式で読みやすい漫画。


ホラー描写が怖い!

やっぱり『地獄先生ぬ~べ~』の見所と言えば、ホラー描写の怖さ。妖怪というのか悪霊というのか、そのデザインや造形が真に迫ってる感じで当時リアルタイムで読んでて震えた。

地獄先生ぬ~べ~2巻 トイレの花子さん
(2巻)
例えば、有名なトイレの花子さんだとこんな感じ。

こ、こえーよ!((;゚Д゚))ガクガク

ここまで色んな意味で強そうだったら、トイレの扉ぐらい簡単に開きそうですけどね。

地獄先生ぬ~べ~9巻 飛頭蛮
(9巻)
飛頭蛮という妖怪は、人間の頭が寝てる最中に勝手に外を飛び回る。電灯に群がる蛾といった虫を食ってる描写がエグい。オッサンがゴリゴリに禿げてるのが更にエグい。ただ基本的にあまり害はない?ちなみに中国版のろくろ首にあたるそう。

地獄先生ぬ~べ~4巻 Aという人間殺人鬼
(4巻)
「A」という仮面を被った奴に細川美樹などがどんどん襲われるんですが、実は人間。ぬ~べ~が歯が立たないぐらい怪力の持ち主でめっちゃ強い。妖怪だったらまだしも、実在する人間だからこその恐怖。逆に言うと、お祓いをしても消滅しないわけで「だったらどうせえっちゅーねん」とリアルタイムで読んでて震えた。

個人的に一番怖かった妖怪が、2巻で登場する「はたもんば」。輪っか状の刀を回して襲いかかってきて、ぬ~べ~の鬼の手も真っ二つにされそうに。シンプルに「コイツつえー」と震えた。

地獄先生ぬ~べ~22巻山女
(22巻)
山女(やまめ)という妖怪の回だと結構しんみり泣けたりする話もあります。

他には22巻だと目競(めくらべ)という妖怪。ゲームを挑んでくる妖怪で、それに負けると魂を人間は吸い取られる。平安末期の平清盛も襲われたという話があるぐらい古い妖怪のようですが、落ちゲーという当時流行っていたゲームと掛け合わせて、ある意味、最先端と呼べる妖怪。読者層を考えると面白かった。

他にもパソコン内のCGキャラクターが自我を芽生えたり、実は時代を先取ってる感もある『地獄先生ぬ~べ~』。今でこそ定番のベタではありますが、当時としては最新の要素が取り込まれていた気がする。


お色気展開は意外に少ない?

地獄先生ぬ~べ~8巻 お色気描写
(8巻)
『地獄先生ぬ~べ~』の見所といえばホラー描写以外では、やはりセクシー描写。グーグルの画像検索を使うと、それこそポロポロと落ちてるはず。

例えば強烈だったのが、55話の妖怪あかなめ。銭湯から女教師リツコ先生や稲葉郷子や細川美樹がスッポンポンで飛び出てくるシーンは今でも鮮明に覚えてます。「少年誌でここまでやるんかい!?」というレベル。

ただ改めて読み直してみると意外にセクシー描写は少ない?
地獄先生ぬ~べ~6巻 お色気描写
(6巻)
コミックス一巻分にこの程度のお色気はあるか?ないか?程度。思い出補正が強烈に効きすぎて、またネット情報で過度にハードルが上がって無意識に期待感が高まってたのが原因だと思いますが、やや拍子抜けする程度。

前述の銭湯シーンは7巻目に載ってる。この7巻前後が特に強烈にお色気要素が強かっただけで、それ以前も以降も基本的にはコメディーベースの王道ホラー。あとで後述しますがストーリーが脱線することも少ないので、それに比例して唐突にお色気描写がドーン!みたいなことは少なめ。

個人的にツボったシーンをピックアップしておくと16巻。中島法子という女生徒がボディコン姿で男子生徒を誘惑する場面。色んな部位がピチピチとパツパツ。アソコが隠せてへんやん?というスカートの短さ。同巻の濡子という妖怪とか悪くなかった感じはします。


テンポ感テンポ感テンポ感!

展開に関して言うと、ものすごくテンポが良くて読みやすい。極端な話、一巻5分ぐらいで読めてしまうぐらいのテンポ感。変に話を引っ張り過ぎないし、コマ割りやセリフも大きくて、良い意味でゴチャゴチャしてない。

地獄先生ぬ~べ~2巻 玉藻
(2巻)
妖狐・玉藻との友情など、敵がいつの間にか心強い仲間になってた的な王道展開も熱い。

ただそれ故に物足りなさも残ることも。それだけ最近のマンガが良くも悪くも手間暇かかってるという裏返しでもあるんですが、『ぬ~べ~』に限らずですが、この当時のマンガを読み返してみると「アッサリしすぎてる」印象も拭えない。

そして後半は、いわゆるマンネリ化。妖怪の造形やデザインがやや平凡化したというのか、序盤ほどの新鮮さは感じなかった。話のネタはシンプルで終盤まで読みやすいものの、ややネタ切れ感も否めない。

地獄先生ぬ~べ~24巻 絶鬼
(24巻)
そこで絶鬼など強力なボスとのバトル展開に走るものの、個人的にリアルタイムで読んでてもイマイチでしたが、変にスケール感が大きくなりすぎて却って「違うんだよなー」と感じさせる。でも王道バトルに走った割に、コメディータッチな笑いもちょいちょい差し込んでみたり、当時からも思ってましたが方向性や狙いがイマイチ不明だった。


総合評価・評判・口コミ


『地獄先生ぬ~べ~ 全31巻』のネタバレ感想をまとめると、今読んでもそれなりに面白いです。やはり展開がシンプルなオムニバス漫画なので非常に読みやすい。

ただ意外にお子様向けの内容です。それだけ最近の少年ジャンプの内容が大人向けに進化してるという裏返しでもあるので、だから逆に年齢が若い読者だとつまらないと感じるかも。何となくコロコロコミックあたりを読んでるような感覚なので、どうしても物足りなさを感じるのも事実か。うーん、そう考えると今の漫画家志望者は大変だ。

でもそれゆえに「古き良きベタ」を垣間見ることもできて、逆に今の時代に足りない「読みやすさ」の有り難みも感じます。絵の描き込みや話をガッツリ詰め込むだけが全てじゃない。そう考えると自分はアレコレ批判したりもしますが、『暗殺教室(松井優征)』はそのバランスが絶妙に両立されてるマンガと言えます。やはりベタや定番は何やかんやで面白い。