『ピューと吹くジャガー』全20巻のネタバレ感想。作者はうすた京介。掲載誌は少年ジャンプ。出版社は集英社。ジャンルは少年コミックのギャグ漫画。何となく面白いか、つまらない漫画か考察してみたそぉい!


あらすじ物語・ストーリー内容

主人公は酒留清彦(通称ピヨ彦)。ギターリスト志望の高校3年生。就職活動もせず受験勉強もせず、アーティストを目指すため、スター養成校・ガリクソンプロダクション(通称ガリプロ)に入る。まさに今の時期、まだ進路に悩んでる高校3年生も多い?

ピューと吹くジャガー3巻 ジャガージュン市
(3巻)
そのガリプロの寮で同居することになったのが、ジャガージュン市という謎のオトコ。ひたすら笛だけを吹いてる。ピューと吹くジャガーは、このジャガージュン市が「周囲のいろんな人達を巻き込んでわんわんにゃーにゃー言う」漫画(作者談)。

ピューと吹くジャガー3巻 関西弁
(3巻)
ちなみにジャガーは関西弁はしゃべりません。てか、つくづく関西弁ってバカにされてるよなーと。ホンマ腹立ちまくりの原辰徳やでぇ。ワイらのシンボル通天閣を穴にぶち込んで、奥歯ガタガタ言わせたろかーo(`ω´*)o



浜渡浩満(ハマー)というイジられキャラ

個人的に好きな話というか、ハマったキャラクターが「ハマー」。もちろんアダ名で、本名は浜渡浩満。常に見た目が忍者。主人公たちが17歳18歳という設定が多い中、一人だけ何故かハマーの年齢は26歳。

学力が偏差値一桁ぐらいで、ちょっと可哀想な感じ。でも性格だけは前向きで明るく、自己啓発セミナーは一切無用。そんないじられキャラが笑った。

ピューと吹くジャガー3巻 ハマー
(3巻)
高校に全部落ちて高校浪人した時もアッパラパー。「為せば成る」というセリフがここまで似合わないシュチュエーションと人物はいない。

ピューと吹くジャガー3巻 ハマー2
(3巻)
そして何を血迷ったか、アレクサンダー流忍者学園に入学。ここがある意味ハマーの原点。でも明らかに外国人が経営してる学校法人。そもそも学校法人としての資格を満たしてるのか疑わしい。しかも浪人してまで入る学校か?

そしてハマーの借りてきた猫感がハンパない。友達の前ではおちゃらけてるけど、赤の他人の前ではおとなしい。この思春期感がムダにうっとうしい。

ピューと吹くジャガー13巻269話 久保帯人にもしばかれるハマー
(13巻269話)
もはやマンガの垣根を超えてBLEACHの久保帯人にもシバかれる。不憫で不憫で仕方がない。でもだからこそ愛おしい。

ピューと吹くジャガー 最終20巻 ハマーの髪の毛が悲惨
(最終20巻)
最終回では薄毛になりすぎて、増毛サロン系リアップ状態。

ちなみに最終話の秘密をネタバレしておくと、普通は漫画の中では時間軸が止まったままなんですが、実は「時間がそのまま進行してた」というオチ。だから『ピューと吹くジャガー』は完結した時には足掛け9年連載してたので、最終回の段階ではハマーは35歳だったみたいな結末。それにしてもハゲすぎやん!(笑)


計算した笑い

ただ『セクシーコマンド外伝マサルさん』とは違って笑いに爆発力が欠ける印象。うすた京介のベースはシュールな笑い。

ピューと吹くジャガー3巻 考えてる感じの展開
(3巻)
でも頭の中でいろいろと試行錯誤した上でのボケという印象を受ける。もっと言えば、発想やアイデアに意外感が欠ける。

ピューと吹くジャガー3巻 見た目のインパクト
(3巻)
見た目のインパクトにしてもやや欠ける。笛と時計の組み合わせも思いつかなくはないよなー。お笑い養成所に入ったばかりのハタチ前後の若者が、とりあえず変なことやればええやろ的なノリの範疇。

ピューと吹くジャガー13巻 見た目のインパクト
(13巻)
この改造した笛なんかだと、ただただ気持ち悪さが先行しがち。

もしシュールな笑いを突き通すのであれば、そこに良い意味で「突き抜けた何か」がないと笑い全体もこじんまりしがち。

シュールな笑いを大人が描くのは難しい?

やっぱりシュールな笑いは難しい。シュールを追求しようとすると、却ってシュールから遠ざかっていく。まさに新鮮で瑞々しいセンスがいる。

でも作者うすた京介が「ボケ→ツッコミ→ドーン」という勢いで笑わせるギャグ漫画に方向転換したわけでもないので、ピューと吹くジャガーの評価は月並みなものに落ち着く。

もちろん、うすた京介が勢いだけの笑いが描けないことはないと思いますが。
ピューと吹くジャガー13巻280話 ハマー
(13巻280話)
ハマーが描いた自作の漫画がジャガーにズタズタにされる場面とか笑った。

だから才能の枯渇というより、加齢に伴うセンスの摩耗。どうしてもやっぱり年齢を重ねるにつれて、常識的な判断や思考力が身についてくる。それらが無意識的にトゲトゲしい悪ノリを生む妨げになるのか。


総合評価 評判 口コミ


『ピューと吹くジャガー 全巻』のネタバレ感想をまとめると、基本的に面白いギャグ漫画です。ただ良く言えば毎回安定感はあるものの、悪く言えば毎回置きに行ってる感も否めない。感性やノリよりで作った笑いというより、綿密に思考した上で作ってる笑いに近いので爆発的な笑いも少ないか。

だから大きなハズレはないものの、大きなアタリも少ない感じ。イヤな感じのつまらなさは微塵もないですが、うすた京介を「どこまで偉大なギャグ漫画家か?」と考えてるかによってまた評価も変わるのかも。