『いつかティファニーで朝食を』1巻から7巻のネタバレ感想。作者はマキヒロチ。月刊コミックバンチで連載中の恋愛漫画。出版社は新潮社。累計発行部数は100万部突破するなど意外に人気漫画。

近々トリンドル玲奈で実写ドラマ化することが決定したらしいのでレビュー。最近は有村架純も然り、顔デカ女子が流行ってるんでしょうか?絶対アゴとか殴っても倒れねーよな…とか書いたら怒られそう(*´Д`)ハァハァ

とりあえず面白いかつまらないかの考察レビューを書いてみました。


あらすじ

主人公は佐藤麻里子(トリンドル玲奈)。アパレル系の会社に勤務する28歳アラサー女子。朝食を食べるのが何より大好き。ましてや大好きな彼氏と一緒に仲良く食べるのは、もっと大好き。

いつかティファニーで朝食を1巻 佐藤麻里子
(1巻)
ただ彼氏の創太郎は夜遅くまで飲み歩くことが多く、まともに朝食を食べることができない日々が続く。妥協に妥協を重ねた生活に耐え切れなくなって、ついに二人は別れてしまう。合わない部分すら合わないことにようやく気づく。「誰かがそばにいるのに世界で一人ぼっちのような夜はイヤ」ということで、理想の朝食を求める日々が始まる。

「朝食」がテーマではありますが、ざっくり言うと恋愛や結婚がテーマ。アラサー女子は結婚できないあまりに、スピリチュアルに走ったり着物やワインを急に追求し出したりするお年ごろ。失恋後、佐藤麻里子はスマホで男と連絡することはなく、すっかりLINEツムツムの常連。果たして、理想の朝食という名の理想の彼氏を見つけて結婚することはできるのか?というストーリー。

他にもストレス太りで苦労したヨガ講師・阿久津典子(森カンナ)や、一見すると子供も二人いて幸せそうな専業主婦・那須栞など、色んなタイプの女性目線で「幸せってなんだろう?」的なことがアプローチされてます。那須栞だと仕事をしてないからこそ社会と隔絶されていて、バリバリ働く友達に置いて行かれてる錯覚に苦しんでたりする。

いつかティファニーで朝食を2巻 那須栞
(2巻)
でも敢えてそこは仕事を始めるという選択肢ではなく、既にある「幸せ」を再確認することで自分の幸せを改めて実感したりする。ちなみに後々は再び社会に出て働き出します。ただ家庭との両立で苦しんだりー的なことも「朝食」というテーマで乗り切ったりしてます。


男運がない結婚できない佐藤麻里子

とにかく主人公・佐藤麻里子は男運がない。

例えば、和玖という中学時代の元カレと久しぶりに地元で再会。なんか良い感じになるものの、実は既に奥さんがいて結婚してた。とりあえず「ヤれたらいいな♪」的なドラえもんチックなアプローチをされただけ。しかも主人公とは異なって、口リ巨ニュウなタイプ。

ある時、菅谷という仕事の後輩ができる。でも無愛想で自分とは波長が合わない。だから「嫌な奴」と最初は思っていたものの、
いつかティファニーで朝食を3巻 佐藤麻里子と菅谷
(3巻)
一緒に過ごす時間が長くなる内に、菅谷の良いところも見えてくる。また変に波長も合って、長年連れ添った夫婦的な仲の良さを見せる。

いつかティファニーで朝食を3巻 佐藤麻里子と菅谷2
(3巻)
でも実は菅谷には彼女がいましたー!全然おまえなんか眼中になかったでーす!(爆笑)

状況が一瞬把握できない佐藤麻里子の表情が切ない。読者の自分も仲が良いので、このまま付き合うもんかと思ってただけに、ちょっと失笑に近い笑いがこみ上げてきました。多分、菅谷からしたら「ノリの良いお姉ちゃん」のような親族的な親しみがあっただけなのかも。

あらすじでも書いた元カレ・創太郎は長い期間付き合っただけに年齢も年齢。だから佐藤麻里子には後がない。また男性と触れ合う機会もすっかりなくなった。

そこでたまたま旅行先で知り合ったのが高浪啓太という男。
いつかティファニーで朝食を6巻 高浪啓太
(6巻)
「好きな人と一緒に食べてるから美味しいんだろうなー」とか、さり気なく言えちゃう。佐藤麻里子も久しぶりに男に優しくされたので号泣。優しくしてあげたらマジで泣いちゃう女性っていますよね。ウサギちゃんか!

「理由もなく電話で一日の報告を聞いてくれて理由もなく一緒にゴハン食べてくれるひとがいること」がスゴいとマジ惚れ。しかも高浪啓太は「じゃあ理由もなくずっと一緒にいようよ」と返答。うわー、めんどくせー、うさんくせー男…と思ってたら、案の定コイツは面倒くさい。

スマホでの連絡手段は最近LINEが主流らしい。潜入スパイごっこしてたものの、そこの大学生に捕まった京都府警の公安ポリスも、上司にLINEで助けを求めてました。

そこでちょいちょい問題になるのが「既読スルー」。メッセージが読まれたかどうかが確認できるシステム。だからメッセージを送信した側からしたら、何で読まれてるのに返事がないの?とイラッと来ることも多いんだとか。佐藤と高浪の間でも既読スルーがケンカの原因になって、高浪が激怒します。

いつかティファニーで朝食を7巻 高浪啓太
(7巻)
ただ佐藤麻里子が既読スルーしてたからではなく、高浪側が既読スルーしてたのに何故佐藤は反応しないの?ということ。要するに高浪は佐藤のことを試してたわけです。でも佐藤側はウザい女と思われたくないから、必死に追加のメッセージを送るのを我慢してた。

確かにこういうすれ違いはリアルでもありがちではありますが、一応コイツラはアラサーですからね。そこそこいいオッサンとオバサン。コイツラめんどくせー!!

ちなみに冒頭で別れた創太郎はしばらくウジウジしてたものの、7巻で再び登場したときには、すっかり主人公のことは吹っ切ってる。漫画の編集者をやってたものの、人事異動で営業課へ異動。慣れない仕事で揉まれたせいか、人間として成長を見せる。主人公・佐藤麻里子は惚れなおすものの、逆に自分は何も成長を見せていないことにショックを受ける。色んな意味で時既に遅し。


朝食を通して人生を見つめ直す

漫画タイトルからも分かりますが、映画『ティファニーで朝食を』がモチーフになってる恋愛漫画。簡単にあらすじを説明しておくと、ニューヨークで自由奔放に生きる女性が主人公の映画。ただマンガでは「いつか」というタイトルからも分かるように、そういう自立した女性や優雅な生活に憧れはするものの「実際には難しいよね?」的なスタンス。

佐藤麻里子を筆頭に恋愛では上手く行かないことが多いものの、友達関係や家族関係では「朝食」を通して人生を見つめ直したり、少し休憩を取ることで生活に一種の潤いを取り戻す。例えば、冒頭でも説明した専業主婦・那須栞は家族の有り難みを再任用して、一種の安らぎを感じたりする。

いつかティファニーで朝食を5巻 阿久津典子
(5巻)
阿久津典子では姉の再婚妊娠を境に疎遠になっていた父親と再び親交を深める。画像の場面では朝食ではなく夕食ですが、翌朝姉と一緒に父親と幼いころ食べていた食堂に行く。そこで父親との懐かしい記憶がフラッシュバック。太っていた自分を受けいられなかった過去があるから、いつの間にか人(父親)も受けいられなくなっていた。

主人公の部下・伊達というサブカル系の文学女の話だと、高校時代に寺田という親友がいた。伊達は一見すると前髪ぱっつんのブス(眼鏡外すと美人)なものの、寺田は見るからに活発な美少女。ただ『女が嘘をつくとき』など大好きな小説が一緒で、趣味が合って急速に仲良くなる。

ただ大学に入学に入ると、寺田はいわゆる大学デビュー。見た目は更に垢抜けて、コンパニオンで働き出したりもする。一方、伊達は相変わらず一見するとブスのまま。その違いが如実に顕著になって、コンプレックス+寂しさを感じた伊達の方から徐々にフェードアウトしていく。
いつかティファニーで朝食を7巻 伊達が親友・寺田の結婚式へ
(7巻)
でも寺田の結婚式に呼ばれた伊達。そこで現在の寺田の状況や旦那さんとの馴れ初め話を人伝で聞いたら、寺田は何も変わってなかった。むしろ自分だけ変わってた。「人は忘れて変わっていくもの。だけど変わらないものもあるんだ」と、二人はかつて仲が良かった親友に戻る…という話。朝食は絡んでは来ませんが、なかなか良い話。

いつかティファニーで朝食を1巻 佐藤麻里子2
主人公・佐藤は恋愛面ではなかなか上手いこと行きませんが、仕事では色んな壁にぶつかりながらも充実した生活を送れてる。


総合評価


『いつかティファニーで朝食を』の感想をまとめると、アラサー女子が仕事に悩んで、恋愛に悩んで、友達家族関係で悩んで、それでも朝食を通して人生のコーヒーブレイク(一時休息)ができたらいいやん的な内容。登場人物たちの絵柄もキレイで爽やかで好感は持てるので、いかにも女性向けの恋愛漫画と言えます。

いつかティファニーで朝食を2巻ちくわ天かけうどん
(2巻)
料理描写も上手く、東京で働いてるOLということで小洒落たパフェみたいなんがばっか登場するかと思いきや、画像のちくわ天かけうどんのようなガッツリ系の料理も多め。それ故に女性としての悲哀もあったりなかったり。

どうしても現実逃避的な側面も目立ちますが、フワッと読めばそれなりに前向きになれそう。キャラクターが幸せになれないのは自業自得やん?と思わなくもないですが、ブログでママタレントに絡んでいくようなタイプの読者には向いてないかも。

確かに後半にかけて「朝食」という演出は付随的なものになってる気がしないでもないですが、下手に型に嵌めようとしても却って全体が崩れることもあるので、女性向けマンガということも考えたら、特に気にする必要もないでしょう。Amazonレビューで酷評されている失速感も特別感じはしません。

ただ東京でバリバリと働くアラサー女ということで、ややハイソ系。一昔前の古き好きテレビドラマ的な、さり気ないシャレオツ感があります。それ故に「読者がどこまで共感できるのか?」という部分もなくはないのかも。田舎で女性が働くとしたら、せいぜい食品工場やレジ打ちのパートか、事務ぐらいが関の山ですから…とか書いたら怒られるか。

だから設定やテーマ的には東村アキコの『東京タラレバ娘』に似てます。あっちのテイストは完全にギャグですが、最近多く見られる設定とも言えます。それだけ結婚したいけどできずにもがき苦しんでる女性読者が多い裏返し?