[まとめ買い] いぬやしき
『いぬやしき』2巻のネタバレ感想。作者は奥浩哉。イブニング(講談社)で連載中のSF漫画。


獅子神という悪魔

主人公は犬屋敷壱郎という60歳手前のオジサン(ただし見た目は完全なお爺ちゃん)。ただある日、ひょんなことから宇宙人と思しき未確認生物に、自分の肉体をロボットに改造されてしまう。その犬屋敷が次々と悪者を倒していく…みたいなマンガなんですが、犬屋敷と同時にロボットに改造されてしまった人物がもう一人いる。

いぬやしき2巻 獅子神ヒロ5
(2巻)
それが獅子神ヒロ(漢字はメンドーなので省略)。不登校気味の友達のために動く正義感の強そうな高校生。ただその正義感が向かう方向が間違ってる。

いぬやしき2巻 獅子神ヒロ1
(2巻)
カラスを撃ち落としてみたり、自分が手に入れた強力なパワーが向かう矛先が明らかに弱者ばかり。神戸の元少年Aの過去もそんな感じだったんではないでしょうか。ちなみに元少年Aが書いた『絶歌』はレビュー済み。

いぬやしき2巻 獅子神ヒロ2
(2巻)
心なしか、犬屋敷の中身よりも強そうなロボット武装は気のせいか。そして、この獅子神と主人公・犬屋敷がいずれ相まみえるという展開。


獅子神ヒロの暴走!

獅子神が2巻では大暴走。あらすじではカラスを撃ち落としてましたが、これはまだ軽い方。

いぬやしき2巻 獅子神ヒロ3
(2巻)
見ず知らずの他人の家に上がり込んでバンバンバン。SMAPの歌にそんな歌詞がありましたが、獅子神に容赦が全くない。獅子神にやられるのが、本当に「普通の人」。

いぬやしき2巻 獅子神ヒロ4
(2巻)
お母さんの次は、子供とお風呂に入ってるお父さん。これまた「普通の人」。何の抵抗もしない上に、子供を身を挺して守ろうとする。そんな「普通の人」たちを獅子神はまさに一家全員、ドリフ大爆笑ではないですがバンバンバン。想像以上にグロい状況かも。

いぬやしき2巻 獅子神ヒロ5
(2巻)
この直後に「ああ生きてる…俺生きてる感じがする」というセリフを爽やかな表情で吐く。ちなみに冒頭に貼った獅子神の画像がこれ。まさに外道!鬼畜の所業!ただ前フリとしては最高。


犬屋敷との邂逅!

残念ながらこの2巻の段階では本格的なバトルや衝突はないものの、獅子神と犬屋敷は初めて出会う(厳密にはロボ化される直前に同じ場所にいた)。

いぬやしき2巻 犬屋敷と獅子神1
(2巻)
獅子神は獅子神に襲われた家族の悲鳴が聞こえる。そこで急いで駆けつけようとするものの間に合いそうにない。そこで車内で一人「止めろ!」と叫ぶものの虚しく響く。

いぬやしき2巻 犬屋敷壱郎3
(2巻)
殺戮を気軽に楽しむ獅子神とは異なり、犬屋敷の弱者や小動物を助ける言動や救った時に見せる涙が対比的に描かれてる。

そして犬屋敷は無事辿り着いたものの、時既に遅く一家は全員死亡。獅子神は家族の生き残りだと思って、結果的に犬屋敷は少し返り討ちに合う。
いぬやしき2巻 犬屋敷と獅子神
(2巻)
ただ再び立ち上がっての、獅子神を睨む姿は凄みがある。嵐の前兆のようなゾワゾワ感しかない。既にレビュー済みですが3巻ではまだ二人は戦わない。4巻でようやく犬屋敷を追い詰めていく?みたいな展開に。

いぬやしき2巻 獅子神の友達・直行
(2巻)
それを手伝うのが獅子神の友達・直行(チョッコー)。この直行が不登校気味だった生徒。獅子神が元気付けようと見せてくれた数々の犯罪に、直行は強い違和感しか抱かない。友達だからこそ獅子神を止めようと動く。


総括

犬屋敷と獅子神のキャラクターのギャップ感が良い。4巻を読む限り、獅子神が母親を悲しませたことに罪悪感を芽生え始めて、展開としては二人が戦うのかやや微妙な情勢になったのかも。

いぬやしき2巻 集団的自衛権
(2巻)
そういえば獅子神が前述の家族に押し入った時、流れてたニュースが集団的自衛権。安倍ちゃんが強引に閣議決定したやつ。作者・奥浩哉的には安倍晋三と獅子神を重ね合わせて、暗に批判してるようにしか見えなくて笑ったw

ちなみにいぬやしきは面白い漫画なのかという考察記事はアップ済み。