『鬼灯の冷徹』19巻のネタバレ感想。作者は江口夏実。モーニング(講談社)で連載中のギャグ漫画。

あらすじ

主人公は鬼灯(ほおずき)。閻魔大王の下で働く鬼神。ただ下で働いてるとは言っても、閻魔大王をめちゃめちゃ見下してる超絶ドエス。だから舞台としては地獄。そこへ中国の神獣・白澤など個性的なキャラクターたちと笑える一悶着がありまっせ的なギャグ漫画。

一話完結のオムニバス形式なのでテキトーにピックアップしてレビューします。

156話…死因

話の順番にレビューしていきます。まずは156話「死因」。

そもそも閻魔大王が何をしてるかというと、死者が果たして天国へ行くべきなのか?地獄へ行くべきなのか?という裁判官役。つまり人間は亡くなるとまず閻魔大王のところへ行くらしい。

だから人間界と同じように裁判めいたものが行われる。そこまで強面の鬼たちに従わざるを得ない。
鬼灯の冷徹19巻156話死因
(19巻156話)
例えばオバちゃんは「子供の可愛らしい鬼が手を引いてくれたらいいわ」なんてボヤいたりする。隣のお兄ちゃんの「サッカーの入場行進じゃねーか」というツッコミがまさに。まあオバちゃんがサッカーするとは思えませんが。

でも裁判が始まるまでは長いのでヒマ。ついつい死者同士が待合室でペチャクチャと話してしまう。この156話はそういった話。じゃあどういった話で盛り上がるかといったら、タイトルにもあるように「死因」。

鬼灯の冷徹19巻156話死因3レスキュー隊
(19巻156話)
前述のツッコミお兄ちゃんの死因が「『俺のことはいいから先に逃げろ』と言った直後に亡くなった」らしい。まさにマンガ。思わず他の死者たちも立ち上がる。ちなみにお兄ちゃんの職業はレスキュー隊。自分がもう助からないことを自覚した上ででしょうから、なおさらスゴい。

そういえば東日本大震災で逃げた少女の話を思い出しました。何と生き埋めになってる自分の母親が「助けて」と懇願してるのに、「お母さん、私はしっかり生き延びるね!」と自分だけサッサと逃げた。更にスゴいのが、お涙頂戴の美談として大学入試かなにかでその逸話をアピール。しかも門田隆将というアホなジャーナリストが「ええ話やで―」とホメてて更に笑いました。

話を戻すと、そこから死者たちがスゲー死因をアピールをしだす。ある男は「この戦争が終わったら…俺結婚するんだ…」と言った直後に亡くなった傭兵。フラグビンビン丸。
鬼灯の冷徹19巻156話死因5ウソ
(19巻156話)
画像の彼女は不治の病だったものの特効薬が無事開発された。じゃあ何故亡くなったのかというと、あまりに嬉しくで踊り狂いながら特効薬を飲んだせいで喉につまらせて窒息。いや踊り狂えてる時点で、お前めちゃめちゃ元気やんけ!

…などなど話がどんどん大きくなってきてアレ?と思った直後に、主人公の鬼灯が登場。案の定というオチ。『鬼灯の冷徹』は妖怪など架空のキャラクターが多く登場するマンガですが、意外にも人間目線でストーリーを作るのもアリだなと。予備知識が必要ないので比較的他より読みやすい。

157話…縁談破棄

157話では甜瓜(てんか)という通販サイト好きのOLさん(獄卒)が登場。ただ結婚もしないので母親から縁談を半強制的に勧められる。

鬼灯の冷徹19巻157話縁談破棄1
(19巻157話)
ただ二人は上半身が裸。でも終始パンツだけ履いてるイメージの鬼なので、個人的には違和感はありませんけどね。とりあえず左右の二人は無条件で除外されて、真ん中のいかにも御曹司風の男相手に「どうやってお見合いを断ろうか?」ということがストーリーのメインになってきます。

ちなみに拷問器具メーカーの社長の息子。「性格は優しそうよ」と母親は勧めるんですが、甜瓜は御曹司である点をツッコむ。でも優しかったら拷問器具なんて作るなよって、そこをツッコめよ的な。

主人公・鬼灯がアイデアを出す。「やっぱり見合いで大事なのは顔だよ顔」という流れになる。そこで鬼灯は秀逸な喩え話をする。

もしディズニーのラプンツェル(髪長姫)の歌声に惹かれて、王子様がラプンツェルの髪の毛をよじ登ってきたとしよう。でも遠目では顔が見えない。もう少しで辿り着くぞという場面でようやく顔の造形がハッキリと見え出す。

鬼灯の冷徹19巻157話縁談破棄4ラプンツェル例え
(19巻157話)
でもラプンツェルがもしブサイクだったら、消防士の出動場面よろしくシャーッと降りていくだろう。きっと王子が滑り落ちる摩擦熱で、ラプンツェルの髪の毛も燃える可能性も。想像しただけで男の自分が読んでもヒドい話(笑)

そして鬼灯に負けてられないとばかりに、甜瓜の弟・唐瓜(からうり)の同僚・茄子が更なる喩え話。
鬼灯の冷徹19巻157話縁談破棄5一寸法師例え
(19巻157話)
一寸法師のルックスがもしブサイクだったら、打ち出の小槌ですぐ小さく戻されるはず。姫らしき女性の「思いのほか画素数が粗かった」というセリフがヒドい。一気に巨大化、そして一気にミクロ化。きっと一寸法師の身体への負担感はハンパない。ちなみに一寸法師は一応イケメンらしい。

どうやって見合いを断るかという目的から脱線しすぎて、「何の話よ!こっちゃ真剣なの!」という甜瓜のツッコミも鋭かった。

161話…よきにはからえ

宋帝庁という組織に務める漢(かん)という獄卒が登場。死者(亡者)の邪淫を見抜くのが得意。ヒマができたから鬼灯の職場へ遊びに来る。この時点で色々とアレ。ただ想像以上に空気が読めない。というか他人の話を聞かない。働いてる鬼灯を本人は自覚がないだけで、ものっすご邪魔してくる。

鬼灯の冷徹19巻161話よきにはからえ1漢 宋帝庁
(19巻161話)
その延長線上で、漢は「エジプトのツタンカーメンのアゴの部分って何入ってるの?」という疑問をふと抱く。何故か「栗ようかん」が入ってると思い込む。エジプトに栗ようかんはないやろ。せめてパンとかやろ。

一応ツタンカーメンのアゴの部分は「ヒゲ」らしい。どんだけぶっといヒゲやねんと思ってしましますが、当然それを聞いた漢も納得。ただ色々と思考を巡らせていくうちに…
鬼灯の冷徹19巻161話よきにはからえ2漢 宋帝庁
(19巻161話)
「やっぱ軽石じゃね?だって軽いから重くねーし、角質もとれてツルツルだ!」とピピンと勝手に閃き直す。アゴの角質って何?ちなみにスクラブは「ゴシゴシ洗う」という意味の医療用語?

鬼灯の冷徹19巻161話よきにはからえ3漢 宋帝庁
(19巻161話)
ただ間髪入れずに「イヤ、だからヒゲだっつってるでしょうが」と鬼灯のツッコミ。この不毛なやり取りが何回か続きます。漢ウゼー!!(笑)

総合評価

あまりレビューし過ぎると怒られそうなので、3話分程度にネタバレは留めておきます。

鬼灯の冷徹19巻159話和風1シロ 
(19巻161話)
161話の「和風」だと欧米かぶれにキレるネタ。犬のシロはゴールデンレトリバーの自慢にキレるものの、ゴールデンレトリバーは日本育ち。ネタの展開のさせ方とかは好き。賽の河原の子供たちのクダリや、地獄江戸村のクダリなど。

そういえば、エジプト人を気取ってるオバハンのフィフィを彷彿。こいつは1歳2歳ぐらいから日本で育ってるくせに、やたら外国は…と上から目線でほざいてる。そのくせ日本国籍でもないらしく、お前はどの立場から物を語ってるんだと。冗談は顔だけにしてろ。というか、犬のシロも確か品種は不明らしいので、冷静に考えてみたらシロもどの立場からキレてるのか不明(笑)

鬼灯の冷徹19巻162話楽しげな見た目
(19巻162話)
座敷わらしたちオシャレをしようと自分でパーマをかけたら、ただのミュージカルのアニー。トゥモロー♪トゥモロー♪じゃねーよ(笑)

鬼灯の冷徹19巻なかよし出張版 面接
(19巻)
少女漫画『なかよし』に出張した読み切りも掲載されてます。タイトルが「面接」。正直小学生中学生ぐらいの女の子に伝わるネタとは思えません。

◯展開★3.5◯テンポ★3.5
◯キャラ★4◯画力★4
◯全巻大人買い★4
◯おすすめ度…85点!!!!