『ヒナまつり』9巻のネタバレ感想。作者は大武政夫。ハルタ(角川書店)で連載中。ヤーさんの新田と超能力少女・ヒナのなんでもない日常を描いたギャグ漫画。

アンズは良い子ちゃんの巻

ヒナは学校のスキー教室で新田の家を留守にする。一方、アンズ(同じく超能力少女)は住み込みで働いてるラーメン屋の夫婦が旅行。ただ一緒に付いていくことはなく、久しぶりの夫婦水入らずだから気を使って、新田の家へしばらくおせっかいになることになった。

ヒナまつり9巻 アンズ3
(9巻)
でもアンズはめっちゃ良い子。わがままは一切言わない。新田の家事のお手伝いはしてくれるし、一緒に遊園地がどっかに遊びに行っても二人で楽しもうとしてくれる。なんてええ子や。

ヒナまつり9巻 アンズ2
(9巻)
それ故に新田はヒナとの違いに怒りがこみ上げてくる。ただラーメン屋の夫婦に敵意を向けるのはお門違いも甚だしい(笑)

それもそのはず。アンズはテレビを観ても素直に「面白ーい」と楽しんでくれるところ、
ヒナまつり9巻 アンズ
(9巻)
ヒナは鼻をホジホジしながら、「ハハッ!しょーもな!」とオッサン丸出し。股を閉じなさい股を!こういうブツクサ言ってる奴に限って、テレビを毎日かじりつくように観てる不思議。

だから新田はアンズをヒナのように自堕落で、どうしようもない超能力少女にしようと画策。ラーメン屋夫婦にも自分と同じ苦痛を与えてやろうと、アンズを様々な方法で誘惑していく。でもアンズの純真さは微塵も揺らがない。これぞピュアガール。でなきゃ、コツコツとホームレス生活も送ってません。ちなみにアンズはラーメン屋夫婦に引き取られる前はホームレスやってました(笑)

ヒナまつり9巻 アンズ4
(9巻)
最終的に新田は諦めて、アンズの純真っぷりに身を委ねる。そのときの描写がまさに天国と地獄。まさにアンズには「父親の理想郷がここにはある」んだそう。つか、サッカー日本代表の「絶対に負けられない戦いがここにはある」的に言ってくれてんじゃねーよ。

しかし、父親の理想郷に浸っていられたのもつかぬ間。夢が覚めて現実がやって来る。ただアンズが無事ラーメン屋さんの夫婦の元へ帰った後、学校から新田の元へ電話がかかってくる。
ヒナまつり9巻 アンズ6
(9巻)
まさかの冬山でヒナが遭難。新田、ムダに状況を飲み込むのが早すぎ。もっと驚けよ。「なるほど」というセリフは、多分こういう時に使うべきではない。

その冬山遭難シーンは割愛しますが、このときにヒナが超能力を使えることがバレます。というか超能力を使わないと事態を乗り切れません。オチは新田とアットホームな終わり方?

3年後にストーリーが進行するの巻

そして時間軸がいきなり3年後へ進行。ヒナまつり8巻に登場したマオという超能力女が再登場。一度無人島に遭難したものの、ココナッツの実を使ってヒナとアンズの人形を作っていた女。ようやく日本へ帰国することができます。

ちなみにマオはこの3年間何をしていたかというと、中国にある拳法の寺で客寄せパンダとして働かせられていてた。
ヒナまつり9巻 マオ(ジャッキー・チェンのやつ)
(9巻)
でもヒナとアンズはやっぱり人形。無人島に遭難したときはココナツの実だったので、ちょっと進化。つか、これジャッキー・チェンが修行でやるやつー!ヒナとアンズをボコボコにしちゃダメ。

このマオを救ってくれたのが、昔ヒナを使って一世風靡したロック歌手。マオの超能力を体感した時に「これこれー!」と叫ぶシーンが激しくウザい。ただ拳法の寺からしたら客寄せパンダを失うのは経営的に痛い。

だからマオの日本へ帰国させないように必死に止めようとするものの、
ヒナまつり9巻 マオ4
(9巻)
マオは「私の力で門下生は増え、月謝の額もかなりのなったはず。恩は返せたものと思っています」とめちゃめちゃ冷静!アホのくせに現実的。だから拳法のトップ・師父もぐうの音も出ない。

ちなみにマオは心の中で、この師父のことを「シワシワツルツル」と呼んでる。相反する擬音語にも程がある。あと「気が触れてる」というギリギリ攻めまくったワードを多用しすぎ(笑)

結果的に日本への帰国を許されるものの、師父からは「日本に支部を作ることを許そう。とにかくお客をいっぱい入会させるのだ」と強要される。しかもマオは快諾。やっぱりコイツアホ!というか、師父もお金にガメつすぎだろ!搾り取れるだけ搾り取ってやろうという魂胆がえげつない。中国社会の闇を見た気がします。

新田、一般社会に溶けこむの巻

『ヒナまつり』のストーリーは本当に3年後に時間軸が移動します。つまり主人公・ヒナは中学1年生から高校1年生に成長。少しぐらいは成長してるのかと思いきや、全く成長してません。

ヒナまつり9巻 ヒナ
(9巻)
お風呂を沸かすためだけに超能力を使って、新田をリビングまで連れてくる。そして、そのままお風呂へ新田を飛ばす。冷静に考えたら、その能力を使って直接お風呂の沸かせられるやん!二度手間もいいところ。

二人はかつて住んでいた高級マンションを追い出される。昨今はやはりヤクザ屋さんに対する風当たりは強い。そこで一軒家に引っ越しするものの、近隣住民には悟られないようにエリートサラリーマン風を装う。
ヒナまつり9巻 ヒナ4
(9巻)
すっかり父親役も板についている雰囲気。ヒナを育ててる時点で一般人として生活すりゃあいいじゃん、と思わずアドバイスしたくなるぐらい適応能力が高い新田。

ただあまりに市民生活に溶けこむ新田に不安を覚えたのが、お仲間さんの組員たち。有能な新田に組を逃げられたら、もう山口さんちのツカサ君どころじゃないよ~ってことで取った手段があまりに残忍。
ヒナまつり9巻 ヒナ5
(9巻)
新田が近所の家庭と仲良くBBQをしてる最中に、一斉に黒服姿で乗り込む。車はもちろんベンツのメルセデスちゃん。そして「新田さんはみんなの憧れです!」と、何故か小学校の卒業式で在校生がやってる復唱で褒め称える。これじゃあ、新田も自分がヤクザであることを認めるしかないよ~っていう(笑)

ヒナまつり9巻 ヒナ3
(9巻)
その間、イクラを焼き肉で巻く。冨永愛と三角関係で揉めた創作料理家がいましたが、それを髣髴とさせるグロテスクさ。「子供には分からない味だよ…こいつの可能性にはね」とドヤ顔ってるんですが、おそらく可能性の奥行き感は1mmもないはず。多分野良犬ぐらいしか分からない味かも。

総合評価

『ヒナまつり』は何故か3年後に時間軸が進みます。ヒナのキャラクターは12・3歳だったから成立してた笑いという気もしますが、果たしてこのことが吉と出るか凶と出るのか?

そもそもヒナはどうやって高校に入学したんだと。中学校の中間試験では超能力を使ってカンニングしまくり。アンズは正義感が強いので、ちょっとしたバトル展開まで発生(『ヒナまつり』8巻参照)。偏差値は視力検査並のはずだから、絶対自分の力では受かってない。10巻以降で明らかになるのかも?

またヒナが成長してるということは、当然アンズや瞳ちゃんたちも成長してるということ。心底幸せになっていて欲しいと願うばかりですが、真面目なアンズはラーメン店を二店舗ぐらい経営してるかも。

個人的に気になるのは、瞳ちゃん。この9巻ではバーテンに訪れたお客のために、新田の組員たちを使って情報収集を代わりにしてあげる。そのお客は瞳ちゃんの気を引くためウソをつきすぎて、いつの間にか両親を死に追いやったヤクザを追ってる設定になってた。瞳ちゃんはそれを信用した。
ヒナまつり9巻 瞳
(9巻)
でも瞳ちゃんの組事務所に入る姿が板につきすぎ。組員たちが次々と頭を下げる風格がエグい。それだけの実績がある。しまいには米兵の下で培った銃の扱い(8巻)を披露。極道の妻ならぬ「極道のJK」になってたりして?もうただただ嫌な予感しかしない。3年後にストーリーを進めるために、8巻ではわざわざ渡米までさせたのかも

今後の展開がどう描かれるか知りませんが、ギャグマンガというジャンルもあってか、こういう変化があると連載終了の匂いがしないでもないです。もし連載が続くとしても、このままキャラクターが成長していって「母親になったヒナ」とかを描写されても見てられないですけどね(笑)



◯展開★3.5◯テンポ★5
◯キャラ★5◯画力★4
◯全巻大人買い★5
◯おすすめ度…87点!!!!