『ハイスコアガール CONTINUE』1巻から5巻のネタバレ感想をレビュー。作者は押切蓮介。掲載誌は月刊ビッグガンガン。出版社はスクウェアエニックス。ジャンルは少年コミックのゲーム漫画。Kindleでもダウンロード可能です。


発禁されてしまった過去

『ハイスコアガール』は主人公・ハルオと大野とのラブストーリーを軸としながらも、1990年代に流行った実際のアーケードゲームや格闘ゲームを登場させることで当時少年たちだったオッサン読者を歓喜させる内容でした。

ただスクウェアエニックスや作者・押切蓮介がゲームの版元に許可を取っていなかったことが発覚。実際には某ゲームの版元が許可を取ってくださいと連絡していたものの、スクウェアエニックス側が「引用」の一言で逃げまくってた。ある意味問題をズルズルと先延ばしにした結果、法廷闘争へ。『ハイスコアガール』のアニメ化が決まった直後ぐらいだったので大揉め。

そして『ハイスコアガール』は回収されて事実の発禁処分になりました。それが約数年ほど前の話。更なる詳細はググッていただくとして、この度『ハイスコアガールCONTINUE』という新しいタイトルで復活した…という流れになります。

だから基本的なストーリーの流れなどは一切変わらないので、改めてあらすじなどのネタバレは割愛します。じゃあ『ハイスコアガール CONTINUE』と旧作『ハイスコアガール』とではどういった変更点や違いがあるのか?

結論から書くと、許可をもらっていなかったゲームのキャラクターなどが全削除されてます。そして許可をもらったゲームのキャラクターやゲーム画面に差し替わってる。つまりこの感想記事では、具体的にどこがどう変更されたのかを簡単にまとめた内容のレビューになります。


どのゲームが消滅したのか?

ハイスコアガール1巻5
(ハイスコアガール1巻)
例えば発禁処分された『ハイスコアガール』だと、あるゲームセンターに遊びに行ったハルオは「平安京エイリアン」というレトロゲームを発見する場面がある。

ハイスコアガールContinue1巻5
(CONTINIE 1巻)
これが『CONTINUE』ではどうなってるかと言えば、「平安京エイリアン」のゲーム画面が消滅して、ハルオと大野が「平安京エイリアン」の画面を覗き込んでいる場面に変わってる。上手いといえば上手い逃げ方(笑)

ハイスコアガール2巻1
(ハイスコアガール2巻)
ハルオが中学二年生に進級した1993年。この年はJリーグが開幕したなど、そういったものとリンクさせることで読者の記憶を呼び覚ます。そこには「サムライスピリッツ」というゲームも象徴的な存在として扱われていました。

ハイスコアガールContinue2巻1
(CONTINIE 2巻)
これが『CONTINUE』では「スーパーストリートファイターⅡ」に差し替わってる。前ページでは「ストリートファイターⅡターボ」を記載してるので、どとうのストリートファイター推し。しかもこのページも良く読むと「龍虎の拳」から「ストリートファイターⅡダッシュ」に差し替わってる。もう苦肉の策感が半端ない(笑)

ハイスコアガール2巻4大幅修正
(ハイスコアガール2巻)
『ハイスコアガール』だと「龍虎の拳」がガッツリ登場させている場面などは大変。

ハイスコアガールContinue2巻4大幅修正
(CONTINIE 2巻)
ほとんど数ページに渡って「ストリートファイター」に差し替え。リョウ・サカザキがザンギエフに変わるという、セロも真っ青の大マジックを展開させてる。ほとんど全ページ修正ぐらいの大幅修正。

ざっくり言うと、スクウェアエニックスを提訴したSNK系やネオジオ系のゲームやキャラクターは淘汰されていて、その大体がカプコン系のストリートファイターに差し替わってる状態。

5巻だと「キングオブファイターズ」が「バーチャファイター」に変更されてます。ある意味、2Dグラフィックから3Dグラフィックへ進化させてます(笑)自分の場合、どちらかと言えば「バーチャファイター」の方がよく遊んだ印象。しかし格闘ゲームは90年代からほとんど進化させてないよなと。

2巻だとアーケードゲームの「ジュラシックパーク」がセガのレースゲーム「アウトランナーズ」に変更されてます。日本の道路とフランスの道路が繋がっているのが特徴のゲームらしいですが、さすがにハリウッドに許可を取らないとは随分スクウェアエニックスも冒険しました(笑)

日高の夢の中で登場した「キングオブモンスターズ」のキャラクターは「源平討魔伝」のBBAに変更。PCエンジンで発売されてた「カトちゃんケンちゃん」シリーズの画面も消去されてます。「ちょっとだけよ~」というノリでは許されなかった模様。

ちなみにゲームタイトルだけは残ってるパターンもあります。著作権を厳密に解釈したら多分アウトなんでしょうが、歴史的な出来事として使ってる分には問題がないのか。はたまた歴史的なメーカーさんが許可したのか…。


意外に修正点や変更点が多い

だから数巻の一部を見ただけでこれだけ変更点があることからも分かりますが、意外と修正点が多いことが伺えます。まさに「ウォーリーを探せ状態」。

ハイスコアガール2巻11
(ハイスコアガール2巻)
例えば他にも、大野とお祭りの屋台に遊びに行った時、ハルオはネオジオの本体が景品として売られていることに驚愕する場面があります。

ハイスコアガールContinue2巻11
(CONTINIE 1巻)
それも『CONTINUE』ではシャープの訳の分からないゲーム本体に差し替わってます。裁判の和解にはやはりSNK系の徹底排除が条件があったと推察されます。細かい部分では壁に貼られたポスターも変更されているなど徹底されてる。

ハイスコアガールContinue5巻 クレジット変遷
(上:ハイスコアガール 下:CONTINUE 5巻)
クレジット表記を見ても、下の『CONTINUE』ではかなり細かく許可が取られたことが伺えます。面白いのだと宮沢りえの写真集のクレジットも表記されてたりします。こういった許可を取るのに手間取って、ここまで再販されるのに時間がかかったと想像されます。

例えば「スウィートホーム」や「トイレキッズ」といったドマイナーゲームも消滅してるんですが、中には時間的金銭的な制約なども考えて、スクウェアエニックス側が積極的に権利関係をクリアしなかったゲームもありそうです。

さすがに全部の変更点をピックアップするとキリがないのでメンドーだからしませんが、逆に考えるとこれだけ権利関係をクリアしてこなかったと解釈することも可能。そりゃあ大問題にもなりますわな(笑)


許可が下りたゲームも実はアウトだった?

ちなみに『ハイスコアガール』では全てのメーカーに対して許可を取ってなかったわけではなく、一部のメーカーとの交渉をおざなりにしてたことで問題になった。特にカプコン系とは重点的に許可を取ってたとのこと。

ただ意外なのが、許可をもらっていたであろうゲーム画面も修正されてる。例えば「ストリートファイター」のダルシムの顔。敗戦後はボコボコにされた表情が映し出されるんですが、こちらがガチのゲーム画面から作者・押切蓮介が手書きしたものに変更されてる。

他にも「桃太郎活劇」などゲーム画面をそのままコピペした画像が一切排除されて、ほとんど全てが手書きのものに変更されてます。「ぷよぷよ」もプレイ中の画像からタイトル画面に差し替わっているなど、許可をもらっていたメーカーでも細かい部分の条件を煮詰めていなかった可能性もあります。

写真をそのまま貼り付けるよりマンガとしては読みやすくので問題はありませんが、これが権利上の問題なのか演出上の配慮なのかは定かではありません。そこら辺の事情は読者としては知るすべはないのが現状でしょう。


特別編のスペシャルクレジットを新たに一話ずつ収録

ただ修正点や変更点だけではなく、各巻に一話ずつスペシャルクレジットとして特別編が新たに収録されています。

例えば1巻だと、遠足のおやつを買いに来たハルオと大野。駄菓子屋にあったラスト一個のスモモ漬けをめぐって、二人は「ダブルドラゴン」でバトル。「ダブルドラゴン」は対戦ゲームではないので「ファイナルファイト」的なアクションゲーム。ただダブルドラゴンはラスボスを倒すと、ヒロイン・マリアンをめぐってプレイヤー同士で戦うことが可能。

ハイスコアガールContinue1巻 ダブルドラゴン
(CONTINIE 1巻)
つまり二人同時協力プレイが必須にも関わらず、大野はハルオをフルボッコ。ダブルドラゴンは仲間同士でも攻撃できるという先進的な要素があったらしい。この大野の嬉しそうな表情ったらない。この勝負の結末はハルオが勝利するものの、遠足では…というオチ。

ハイスコアガールContinue5巻5スペシャルクレジット
(CONTINIE 5巻)
5巻ではハルオや友達がガングロギャル軍団に絡まれるというストーリー。沼田先生や麗子先生も巻き込んだ、何故か格闘ゲーム仕立ての展開へ。


総合評価 評判 口コミ


『ハイスコアガール CONTINUE』の違いや変更点を見てきたわけですが、まさにそれだけの内容。もちろんアラ探し的に変更点を探す楽しみはありますが、内容に大きな変更や目新しい展開がないのも事実。正直、改めて買い直す必要があるかは微妙な所。

ただ一巻に一話ずつ新しいスピンオフ漫画(特別読み切り漫画)が掲載されているので、『ハイスコアガール』ファンであれば買い直しても損はしないはず。贖罪の意味も込められているのか、手を抜いた感じは一切ない。一度は読んでおきたいか。

また特定のゲームこそ消滅した寂しさはあるものの、改めて再編集されたことによって若干読みやすくなっている気がします。旧作の『ハイスコアガール』を古本として売って、改めて『ハイスコアガールCONTINUE』を新刊として買い直すのもおすすめします。

ちなみに『CONTINUE』という新しいタイトルで連載を始めるのかと思いきや、実は最新6巻のタイトルは『ハイスコアガール』のまま。つまり『ハイスコアガールCONTINUE』の6巻は発売されてないし、今後も発売されない模様。だから買う上では意外とややこしい。中身のストーリーは当然繋がっていて何も変わらないので注意しましょう。