『ヘタッピマンガ研究所R』のネタバレ感想をレビュー。作者は村田雄介。出版社は集英社。掲載誌はおそらく少年ジャンプLIVE。ジャンルは少年コミック。初心者のために「漫画の描き方」などを書かれたエッセイ風漫画。
「R」の意味は「リターンズ」。何故リターンかというと、実は大昔に鳥山明が『ヘタッピマンガ研究所』という同名本を発売しているから。決して「ロマンティック」みたいな意味はありません。
ただ淡々と解説してるってワケではなく、編集者のサイトウという方がマンガ家を目指すという話の軸があります。そして村田雄介がアドバイスを伝授していく体でストーリーが進行します。実際にサイトウという編集者は集英社を辞めてマンガ家を目指してるそう。
でもサイトウは当然ヘタッピ。なかなか上達しない。数々の失敗を繰り返しつつも、果たしてプロ漫画家を目指すことはできるのか?みたいな展開が薄っすら薄っすらあります。だから漫画タイトルの「ヘタッピ」は読者のことを指しているのかと思いきや、一応はサイトウのことを指しているっぽい。
だから普通の漫画家初心者本よりは読みやすい構成になっている気がします。
例えば道具の選び方。超絶的な初心者はまずそこでつまづくので、原稿用紙の種類や鉛筆の種類など色々記載されています。
ペン(正確にはペン先)やインクも、これだけ色んな種類があるらしいです。Gペンあたりは有名。これを使わずに長年プロ漫画家をやっていた方もいますが、もちろん使いこなせるにこしたことはありません。
何故なら、こんな風に立体的に物事を描写できるから。要するに線・ラインに強弱やメリハリが生まれることで、より描写したモノがリアルに仕上がるってこと。
またキャラクター作りの基礎として、顔のパーツの配置を変えるだけで与える印象がガラッと変わる。そこを利用すればキャラクターを複数作れるようになる。ただ逆に言えば、パーツの配置が毎回同じじゃないと同一人物としては認識されないって裏返しでもあります。
普通は下書きを鉛筆で書いてネームを作っていくわけですが、その時は画像のような人形を描く。そこで紙の上で一通り動かして調節していく。ただこの時でも人形の段階でキャラクターを識別できた方が「漫画のデザインとして機能的」とのこと。ここでしっかり区別できてたら、確かに顔の表情がそこまで作れなくてもごまかせたりもします。
他にもパースのことや動きをつけるための線の使い方や「切り貼り」などを伝授してくれています。ただ村田雄介はテクニック以外の心得なども教えてくれています。
例えば、「持ち込み」。地方住みだと出版社へ足を運ぶのは、特に中高生だとかなりハードルが高いと思いますが、やはりその場でプロの編集者が問題点を的確に指摘してくれるのはメリット大とのこと。投稿だと時間がかかりすぎる。
村田雄介曰く、最近の若い人は出版社への持ち込みが少ないとのこと。実際出版社へ持ち込んだ人でも、そこから2回目以上持ち込んでくる人は半分もいないらしい。でも実はpixivあたりで投稿してる絵が上手い若い素人さんを見て、村田雄介は嫉妬しているそう。才能に溢れているからこそ、逆にもっと出版社に持ち込めばいいのにとヤキモキしているそう。そんで「ジャンプで暴れまわってみろ」とのこと。みなさーん、挑発されてますよー(笑)
つまるところ「上達のためには手段を選ばない」ことが重要らしい。割りと村田雄介は絵が上手い方ですが、それでもデビュー時は「自分の線があまりに雑なことに悩んでいた」そうとにかく描きまくることでここまで成長したらしい。まさにTHE努力。
だから終盤では「ろくすっぽ漫画も描かないうちから、漫画の描き方だけ知ってもしょうがない」と元も子もないことを言ってサイトウを突き放すんですが、まさに真理。知識だけ増やしても、それを体現できなきゃ意味がない。そのためにはひたすら描きまくるしかない。
みなさん、ちゃんと努力してますか?
例えば、『トリコ』の島袋光年は「読者がキャラクターを好きになるポイントは共感」とのこと。ちなみに島袋光年の金持ちらしいエピソードも収録されています。そりゃあ簡単に女子高生も買えちゃいます(笑)
他にも『魔人探偵脳噛ネウロ』の松井優征だとコチラ。2011年当時はまだ『暗殺教室』の連載を始めてなかったことで、こんな出で立ち。松井優征曰く、「構図なんかにこだわるな」とのこと。
他にも『いちご100%』の河下水希は可愛らしい女の子のキャラクターの描き方を伝授してくれています。
なんか得体の知れないものが冨樫からハミ出てるーー!!!これキグルミやったら小さい子供が泣いてるパターンッッ!!まさに青ヒゲ危機一髪!!www
ここからも分かるようにワンコ仮面以外は、ほぼ写実的に描かれてる冨樫義博。だから割りと腕毛モッサーだったり、でっぷりとしたおデブちゃん体質を村田雄介が再現してくれています。そりゃあ、こんだけデブってたら腰痛にもなりますわ(笑)
色んな面白いエピソードを語ってくれています。
例えば、最初出版社に投稿した原稿のページ裏に「これから漫画化を目指す者ですが、その出鼻を挫く厳しい批評をお願いします」と書いたコメントが面白いと編集者の目に止まって、そこからプロデビューの糸口を掴んだそう。だから冨樫も最初は実力じゃない。
実際かけ出しの頃には担当編集から「下手クソ」と罵られたぐらい、そこまで冨樫の絵は上手くなかったそう。そこで一念発起して、絵の練習をしたのが水島新司のマンガで模写したらしい。確かにシンプルな絵柄なので参考になりそうです。
他にも当時の担当編集者からは「面白くない映画をたくさん観ろ」とアドバイスを受けたそう。自分ならこうする・こうすれば面白くなると観ながら考えてメモすることで、ストーリーの構成力が身につく。ただ今では冨樫義博は没入して映画やドラマを観ることはできないそう(笑)
だから映画の脚本家の入門書や30ページ程度の短編小説もいっぱい読み漁ったそう。具体的に言うと、筒井康隆の短編小説を愛読してたとか。中には2・3ページの短編小説を、自分だったらどう長く伸ばすかを頭でこねくり回すことが後に役立っているらしい。
冨樫義博のネーム力の高さは言うまでもありませんが、これはキャラたちと相談する感じでストーリーを作っているからだそう。
例えば、Aというキャラが右に行く、Bというキャラが左に行くという別行動を取る場合。キャラクターが紙の上でセリフの掛け合いをガツガツ行う。冨樫義博はそれを俯瞰しながら、果たしてそんな結論に至るのか?を検証作業を行う。結果として「Aが右へ行きたいとは言わない」という結論に至るとボツ展開だそう。
冨樫曰く、「漫才の掛け合いのそれ」とのこと。ふむふむ、こんな検証作業を緻密に何度も行っているから長期休載に入るの致し方ない…ってことにしておきましょう(笑)
他にも冨樫義博レベルですら「謙虚になって人の意見にも耳を傾けられる」ことが重要と主張しているのは面白いです。そりゃあ読者はそんなに甘くないですからね。他にも「キャラクターの人柄は作者の人柄」というのも納得。特に少女マンガだと露骨に反映されている気がします。
ただこの漫画を読み終わって重大な、重大な、重大なことに気付いてしまうんです。
それが本の半分近くをインタビュー対談ページで占められてるやんけ!!!と。村田雄介がほとんど仕事してないやんけッッッ!!うぉぉぉい!編集者のサイトウがこの本の主人公と仮定すると、村田雄介が傍観者もいいところ。もはや単なる聞き手に過ぎず、おまえは阿川佐和子か(笑)
『ヘタッピマンガ研究所R』のネタバレ感想をまとめると、漫画の描き方といった点で評価すると平凡。割りと初歩的な情報からプロ以降にも役に立つ情報まで掲載されてますが、既にそういった本を持っているのであれば改めて購入する必要はないでしょう。
ただ他力本願感がハンパないものの、冨樫義博の話や考え方を知れるだけ読む価値があるとも言えます。また『ワンパンマン』『アイシールド21』の原点が詰まっていると言ってもいいので、その一端を知りたい方は購入しても損はしないでしょう。
特にレビューする予定もなかったんですが、最近作者の村田雄介が講談社のイブニングで、更にこれをパロった『マンガ家夜食研究所』というマンガの連載が始めたので何となく感想を書いてみた。
「R」の意味は「リターンズ」。何故リターンかというと、実は大昔に鳥山明が『ヘタッピマンガ研究所』という同名本を発売しているから。決して「ロマンティック」みたいな意味はありません。
あらすじ物語・ストーリー内容
内容は多く説明するまでもありませんが、作者・村田雄介によるマンガ解説本。ただ淡々と解説してるってワケではなく、編集者のサイトウという方がマンガ家を目指すという話の軸があります。そして村田雄介がアドバイスを伝授していく体でストーリーが進行します。実際にサイトウという編集者は集英社を辞めてマンガ家を目指してるそう。
でもサイトウは当然ヘタッピ。なかなか上達しない。数々の失敗を繰り返しつつも、果たしてプロ漫画家を目指すことはできるのか?みたいな展開が薄っすら薄っすらあります。だから漫画タイトルの「ヘタッピ」は読者のことを指しているのかと思いきや、一応はサイトウのことを指しているっぽい。
だから普通の漫画家初心者本よりは読みやすい構成になっている気がします。
漫画家になるためには?
サイトウが編集者のくせに超絶初心者ということで、割りと基礎的な情報から色々と列挙してくれています。例えば道具の選び方。超絶的な初心者はまずそこでつまづくので、原稿用紙の種類や鉛筆の種類など色々記載されています。
ペン(正確にはペン先)やインクも、これだけ色んな種類があるらしいです。Gペンあたりは有名。これを使わずに長年プロ漫画家をやっていた方もいますが、もちろん使いこなせるにこしたことはありません。
何故なら、こんな風に立体的に物事を描写できるから。要するに線・ラインに強弱やメリハリが生まれることで、より描写したモノがリアルに仕上がるってこと。
またキャラクター作りの基礎として、顔のパーツの配置を変えるだけで与える印象がガラッと変わる。そこを利用すればキャラクターを複数作れるようになる。ただ逆に言えば、パーツの配置が毎回同じじゃないと同一人物としては認識されないって裏返しでもあります。
普通は下書きを鉛筆で書いてネームを作っていくわけですが、その時は画像のような人形を描く。そこで紙の上で一通り動かして調節していく。ただこの時でも人形の段階でキャラクターを識別できた方が「漫画のデザインとして機能的」とのこと。ここでしっかり区別できてたら、確かに顔の表情がそこまで作れなくてもごまかせたりもします。
他にもパースのことや動きをつけるための線の使い方や「切り貼り」などを伝授してくれています。ただ村田雄介はテクニック以外の心得なども教えてくれています。
例えば、「持ち込み」。地方住みだと出版社へ足を運ぶのは、特に中高生だとかなりハードルが高いと思いますが、やはりその場でプロの編集者が問題点を的確に指摘してくれるのはメリット大とのこと。投稿だと時間がかかりすぎる。
村田雄介曰く、最近の若い人は出版社への持ち込みが少ないとのこと。実際出版社へ持ち込んだ人でも、そこから2回目以上持ち込んでくる人は半分もいないらしい。でも実はpixivあたりで投稿してる絵が上手い若い素人さんを見て、村田雄介は嫉妬しているそう。才能に溢れているからこそ、逆にもっと出版社に持ち込めばいいのにとヤキモキしているそう。そんで「ジャンプで暴れまわってみろ」とのこと。みなさーん、挑発されてますよー(笑)
つまるところ「上達のためには手段を選ばない」ことが重要らしい。割りと村田雄介は絵が上手い方ですが、それでもデビュー時は「自分の線があまりに雑なことに悩んでいた」そうとにかく描きまくることでここまで成長したらしい。まさにTHE努力。
だから終盤では「ろくすっぽ漫画も描かないうちから、漫画の描き方だけ知ってもしょうがない」と元も子もないことを言ってサイトウを突き放すんですが、まさに真理。知識だけ増やしても、それを体現できなきゃ意味がない。そのためにはひたすら描きまくるしかない。
みなさん、ちゃんと努力してますか?
島袋光年や松井優征、河下水希も登場
ただ残念ながら、村田雄介はあくまで「作画屋」ということで、キャラクター作りやストーリー作りはてんでダメ。そこで色んな漫画家さんが登場して、代わって様々な疑問に答えてくれています。例えば、『トリコ』の島袋光年は「読者がキャラクターを好きになるポイントは共感」とのこと。ちなみに島袋光年の金持ちらしいエピソードも収録されています。そりゃあ簡単に女子高生も買えちゃいます(笑)
他にも『魔人探偵脳噛ネウロ』の松井優征だとコチラ。2011年当時はまだ『暗殺教室』の連載を始めてなかったことで、こんな出で立ち。松井優征曰く、「構図なんかにこだわるな」とのこと。
他にも『いちご100%』の河下水希は可愛らしい女の子のキャラクターの描き方を伝授してくれています。
冨樫義博の才能の秘密
そして何と言っても最たる例は『ハンターハンター』の冨樫義博。いつもの眼鏡ワンちゃんのルックスで登場してくれてるんですが、なんか得体の知れないものが冨樫からハミ出てるーー!!!これキグルミやったら小さい子供が泣いてるパターンッッ!!まさに青ヒゲ危機一髪!!www
ここからも分かるようにワンコ仮面以外は、ほぼ写実的に描かれてる冨樫義博。だから割りと腕毛モッサーだったり、でっぷりとしたおデブちゃん体質を村田雄介が再現してくれています。そりゃあ、こんだけデブってたら腰痛にもなりますわ(笑)
色んな面白いエピソードを語ってくれています。
例えば、最初出版社に投稿した原稿のページ裏に「これから漫画化を目指す者ですが、その出鼻を挫く厳しい批評をお願いします」と書いたコメントが面白いと編集者の目に止まって、そこからプロデビューの糸口を掴んだそう。だから冨樫も最初は実力じゃない。
実際かけ出しの頃には担当編集から「下手クソ」と罵られたぐらい、そこまで冨樫の絵は上手くなかったそう。そこで一念発起して、絵の練習をしたのが水島新司のマンガで模写したらしい。確かにシンプルな絵柄なので参考になりそうです。
他にも当時の担当編集者からは「面白くない映画をたくさん観ろ」とアドバイスを受けたそう。自分ならこうする・こうすれば面白くなると観ながら考えてメモすることで、ストーリーの構成力が身につく。ただ今では冨樫義博は没入して映画やドラマを観ることはできないそう(笑)
だから映画の脚本家の入門書や30ページ程度の短編小説もいっぱい読み漁ったそう。具体的に言うと、筒井康隆の短編小説を愛読してたとか。中には2・3ページの短編小説を、自分だったらどう長く伸ばすかを頭でこねくり回すことが後に役立っているらしい。
冨樫義博のネーム力の高さは言うまでもありませんが、これはキャラたちと相談する感じでストーリーを作っているからだそう。
例えば、Aというキャラが右に行く、Bというキャラが左に行くという別行動を取る場合。キャラクターが紙の上でセリフの掛け合いをガツガツ行う。冨樫義博はそれを俯瞰しながら、果たしてそんな結論に至るのか?を検証作業を行う。結果として「Aが右へ行きたいとは言わない」という結論に至るとボツ展開だそう。
冨樫曰く、「漫才の掛け合いのそれ」とのこと。ふむふむ、こんな検証作業を緻密に何度も行っているから長期休載に入るの致し方ない…ってことにしておきましょう(笑)
他にも冨樫義博レベルですら「謙虚になって人の意見にも耳を傾けられる」ことが重要と主張しているのは面白いです。そりゃあ読者はそんなに甘くないですからね。他にも「キャラクターの人柄は作者の人柄」というのも納得。特に少女マンガだと露骨に反映されている気がします。
ただこの漫画を読み終わって重大な、重大な、重大なことに気付いてしまうんです。
それが本の半分近くをインタビュー対談ページで占められてるやんけ!!!と。村田雄介がほとんど仕事してないやんけッッッ!!うぉぉぉい!編集者のサイトウがこの本の主人公と仮定すると、村田雄介が傍観者もいいところ。もはや単なる聞き手に過ぎず、おまえは阿川佐和子か(笑)
総合評価・評判・口コミ
『ヘタッピマンガ研究所R』のネタバレ感想をまとめると、漫画の描き方といった点で評価すると平凡。割りと初歩的な情報からプロ以降にも役に立つ情報まで掲載されてますが、既にそういった本を持っているのであれば改めて購入する必要はないでしょう。
ただ他力本願感がハンパないものの、冨樫義博の話や考え方を知れるだけ読む価値があるとも言えます。また『ワンパンマン』『アイシールド21』の原点が詰まっていると言ってもいいので、その一端を知りたい方は購入しても損はしないでしょう。
特にレビューする予定もなかったんですが、最近作者の村田雄介が講談社のイブニングで、更にこれをパロった『マンガ家夜食研究所』というマンガの連載が始めたので何となく感想を書いてみた。
コメント
コメント一覧 (3)
これがまさに商業漫画家脳だよなぁ。pixivなんて、ただ創作が楽しくてやっているって人達もいくらでもいるだろうに。創作は商業で雑誌連載するべきだと、その方が上なのだと思い込んでいる
商業より面白いweb漫画なんて腐る程ある現在、メリットは金がもらえることくらいなのにね
4年前のコメントに返信するのも変な感じだけど
こんな曲解するような読者がついちゃうんだから、漫画家ってのは大変だなと思うわ
良いって思ってるユーザーがFANBOXに移行したらキレるタイプだ